便秘が続くのは病気が原因だと聞いたことはありませんか?もしかしたら、身体がSOSを出しているかもしれません。日々のお通じは身体の健康を計る大切なものですから、一体どんな病気が便秘に関係するのか・自分にその可能性があるのか気になるところですよね。
今回はそんな便秘と病気の関係が気になっている方に向けて、具体的な病気やその原因についてご紹介していきます。便秘が気になっていない方も、予備知識としてぜひご覧ください!
便秘ってどんなもの?
まずは便秘の具体的な症状や原因、種類について見ていきましょう。
便秘とはこんな症状
便秘の具体的な症状と言えば「最近お通じがない」「腸にガスが溜まってお腹が張っている」などがあります。便秘だけでは大きな病気とは言えませんが、そのまま放置すると重大な病気を引き起こす可能性があります。
日本では日本内科学会と日本消化器病学会という2つの学会が、便秘の定義を設けています。日本内科学会は「3日以上排便がない状態か、もしくは毎日排便があっても残便感(便が出きっていない感じ)がある状態」としています。
一方で日本消化器病学会は、「排便が減少して数日に1回程度になり、排便の間隔が不規則で便に含まれる水分の量が低下している状態」としながらも、「明確な定義はない」ともしています。
つまり、お通じがあったとしても便がうさぎのふんのようにコロコロと硬いものであったり、排便したはずなのに残便感(ざんべんかん:便が出きっていないと感じる状態)があったり、排便の回数が減ったりすれば便秘となります。
便秘の原因
便秘に悩む女性は多いですが、その多さはなんと2人に1人の割合となっています。便秘の主な原因となるのは、食生活の乱れや食事内容の偏り・水分不足・運動不足・ストレス・冷えなどが挙げられます。
特に忙しく働いている女性は、朝ご飯を抜いてしまいがちです。腸の動きは朝が最も活発なので、そのタイミングで食事を摂ると腸に刺激を与えられ、排便しやすくなります。朝起きてすぐお水を飲むのも効果的です。
運動不足や薄着・冷たい飲み物による身体の冷えは、腸の機能を低下させてしまいます。一見無関係に見えますが、ストレスも便秘に大きく関わるのです。
便秘の種類
デスクワークや電車中心で歩かない生活が定着してしまうと、便を押し出す筋肉が失われて便秘が悪化します。この大腸の機能が低下することによる便秘を「弛緩性(しかんせい)便秘」と言いますが、日本人の約8割がこの弛緩性便秘と言われています。
女性の多いのが、「家のトイレじゃないと排便しにくい」「オフィスで排便はしたくない」などでせっかく便意が来ても我慢してしまうことです。便意を我慢してしまうと、大腸の間隔が鈍って便秘が悪化する「直腸性便秘」になります。改善しにくくスーパー便秘とも呼ばれる手ごわい便秘です。
排便をコントロールするのは自律神経で、私たちの意志に関係なく24時間生命維持活動をしている神経です。この自律神経はストレスに影響を受けやすく、ストレスが溜まることで働きが悪くなり便秘につながってしまいます。一時的に緊張など強いストレスを受けた場合、硬い便と下痢を繰り返す「痙攣性便秘」になりやすいです。
生理前や、数日間で急に食事の量が激減することで起こる便秘は「急性便秘」と呼ばれ根本が解決しなければ便秘が解消することはほぼありません。また、これ以外に怖いのが腸の中が物理的にふさがれることで排便ができない「器質性便秘」です。
体調管理に気を付けても便秘が改善しない・いくら対策してもおならも出ないという場合は、一度病気の可能性を疑ってみるのもいいでしょう。
便秘は病気のサイン?疑われる病気10選
大腸は健康のバロメーターです。症状に便秘を伴う病気10選を以下にまとめましたので、ご自身に当てはまるものがないか確認してみてください。
疑われる病気その①過敏性腸症候群
数か月以上腹痛を伴う便秘(もしくは下痢)が続いていて、排便があると腹痛が落ち着くなら過敏性腸症候群の疑いがあります。過敏性腸症候群は先進国の20代~40代の人に多い病気で、男女比では女性の方が多くなっています。
腹痛やお腹に不快感が生じる病気で、腸の検査や血液検査では異常が見つかりません。原因は明らかになっていませんが、免疫異常などが原因と考えられています。下痢型・便秘型・下痢と便秘を繰り返す交代型がありますが、女性は特に便秘型の人が多いです。
疑われる病気その②大腸がん
便に血が混ざる「血便」が出る、便が細くなるなどの症状があれば大腸がん検査を一度受けてることをおすすめします。日本では非常にかかる人の多い病気で、男女比は同じくらいと言われています。
自覚症状の少ない病気だからこそ、便秘や血便が出たらすぐに病院に行って診てもらいましょう。
疑われる病気その③腸閉塞(ちょうへいそく)
周期的に強い腹痛が襲ってくる、お腹が張る、嘔吐や吐き気があるなら腸閉塞という病気を疑ってみましょう。「閉塞」という言葉通り、小腸や大腸で消化物が詰まることで肛門の方に進めなくなり、腸が膨らんだりお腹が張ったりする病気です。
吐き気や嘔吐を伴うなら、まず初めに疑うべきなのが腸閉塞です。過去にお腹を開いて手術したことがある人が発症しやすく、腸が圧迫されたりねじれたりすることが原因で起こる病気です。
疑われる病気その④炎症性腸疾患(IBD)
小腸や大腸に炎症・潰瘍ができてしまう病気のことで、潰瘍性大腸やクローン病という病気も炎症性腸疾患に含まれます。血便が出たら大腸がんの疑いがあるとご紹介しましたが、発熱や全身の倦怠感も伴うなら炎症性腸疾患の可能性もあります。
この病気は、明確な治療方法が見つかっていない病気であるために難病に指定されています。10代~20代の若い方が多く、中高年にはほとんど発症しません。またアジアやアフリカではこの病気を発症する人は少なく、欧米の方に多いと言われています。
疑われる病気その⑤巨大結腸症
先天性の病気なので、ほとんどのケースが生まれて間もない新生児期に発症します。主な症状は頑固な便秘やお腹の張り、嘔吐などです。気づかれず放置されれば死に至る重大な病気です。病気の原因は明らかになっておりませんが、遺伝子の異常が関わっていると言われています。
後天性の場合もありますが、その場合の症状は軽度で頑固な便秘やお腹の張りなどがあります。解決方法は基本的に手術で、人工肛門になることもあります。
疑われる病気その⑥大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)
血便以外に下痢や軟便・発熱や腹痛を伴うなら大腸憩室症の可能性があります。大腸の圧が上がることで粘膜の一部が袋状に外側に飛び出してしまう病気です。先天性と後天性の両方があり、比較的高齢者に多い病気です。
食の欧米化で食物繊維の摂取量が減ったことや肉食になったこと、そして便秘などで腸管内の圧が上がることや、加齢で腸が弱くなることが原因とされています。
疑われる病気その⑦頚椎症(けいついしょう)
腹痛はなく、便秘以外に肩こりや手・指の感覚がおかしくなる、こわばるなどの症状があれば頚椎症の可能性があります。頸椎とは頭と首をつなぐ7本の骨でできていますが、その骨が本来ある場所からずれたり飛び出したりすることで、脊髄に圧力がかかってしまう病気です。
加齢やケガが原因で起こることが多いです。急激に症状が出る病気ではなく、首のあたりから症状が徐々に出始めてじわじわと上半身や下半身に影響を及ぼします。
疑われる病気その⑧卵巣腫瘍・子宮筋腫
便秘以外にも下腹部の傷み・不正出血・頻尿などの症状があれば卵巣腫瘍や子宮筋腫などの病気の疑いがあります。卵巣腫瘍も子宮筋腫も女性に多い病気ですが、悪性と良性の2種類があります。
骨盤やホルモンの状態が変わることで、便秘を引き起こしている状態です。これらの病気で気を付けたいのは、不正出血や頻尿などの初期症状が生理の影響だと無視しがちなことです。早期発見すれば大したことがなかった病気も、放置することで取り返しがつかなくなることもあります。少しでもおかしいと感じたら早めに病院に行きましょう。
疑われる病気その⑨胆のう炎
肝臓で作られた胆汁(たんじゅう)を溜めておくための臓器を「胆のう」と言い、その胆のうに結石などが詰まって炎症を起こす病気のことを胆のう炎と言います。
胆のうも胃や腸と同じ消化器官なので、ここから正常に消化液を排出できないことで消化器官の機能を低下させ、便秘も引き起こしてしまいます。
胆石が発生していることが多いですが、必ずではありません。軽度の場合は抗生物質などで様子を見ますが、手術で胆石を摘出することもあります。
疑われる病気その⑩裂肛(れっこう)
排便時に肛門に痛みがある、鮮血の出血を伴う場合は裂肛の可能性があります。便秘で硬くなった便が肛門を傷つけることが主な原因で、女性に多く見られる肛門の病気です。
切り傷ですから触ると強い痛みを感じ、その瞬間に肛門にある内括約筋(ないかつやくきん)が痙攣して排便後もうずくような痛みが続きます。その結果排便が嫌になり、便秘が悪化するのです。病気が進行する前に早めに病院に行き、お薬を処方してもらいましょう。
便秘の原因を詳しく見てみましょう
便秘は放置すると病気を引き起こすこともあります。便秘の原因について、詳しく見ていきましょう。
直腸や肛門付近の筋力の低下
インナーマッスルが低下すると、便意を感じた時にいきむ力や押し出す力が弱くなります。その結果、出したくても出せないもどかしい状態になります。
インナーマッスルの衰えは年齢的なものもありますが、過度な食事制限によるダイエットでも起こってしまいます。
食事の量や水分が足りてない
便の元になる食事の量が足りていないと、排便に必要な量の便が溜まらず便秘になります。人の身体の60%以上は水分ですので、不足すると身体の不調を引き起こします。
腸の水分も不足することで、便が硬くなり移動しにくくなってしまうのです。
大腸の動きが弱まって便を運べていない
腸のぜん動運動が弱まると、便が作られても肛門側へ押し出されません。主な原因は加齢や運動不足による筋力の低下です。
またストレスも大いに関係があり、大きなストレスを抱えるとぜん動運動が低下してしまいます。
病気で腸管が狭まっている
前述したような大腸がんや腸閉塞などがこれに当てはまります。自分で解決できる病気ではないので、疑いがあれば早めに医師の診察を受けましょう。
病気で腸の一部が弱まっている
前述した病気であれば大腸憩室症がこれに当てはまります。いきんでも排便しにくくなることもあります。この場合も原因は病気になりますので、早めに病院に行きましょう。
便秘はしっかり改善しましょう
便秘体質の方で、改善しないから仕方がないとなかばあきらめている人もいます。ですが、ただの便秘と思って放置していると、甚大な病気につながることもあるのです。
女性のガンの死亡数1位は大腸がん
日本の死因でがんは常に上位ですが、女性の死因の1位は大腸がんです(ちなみに男性は第3位)。高齢化や食の欧米化が原因と言われていますが、なんと便秘も大腸がんの原因になると言われています。
女性に大腸ガンが多いのは、気が引けて病院になかなか行かないことと便秘しやすいことと言われています。便は発がん性物質などの身体の老廃物も排出する働きがありますが、便秘になるとその老廃物は再び体内に吸収されてしまいます。
便秘が続くと病気以外にもトラブルたくさん
便秘すると必ず病気になるというわけではありませんが、病気以外にもさまざまなトラブルが起こりやすくなります。
肌荒れや下腹の張りはまさにトラブルの代表です。便秘のせいで排出できなかった老廃物が、血液に溶けだして全身を巡って肌荒れを起こすのです。便とガスが溜まって下腹もポッコリして、身体のラインも崩れてしまいます。
「便秘を治して病気にかかるリスクを下げる!」
便秘が続いたときに疑うべき病気についてまとめました。病気と聞くと少し怖い感じはありますが、だからこそ早めに病院に行って先手を打つことが得策となります。
風邪などに比べると相談しにくい内容ではありますが、病気が進行して手遅れになることに比べれば大したことはありませんよ!この記事が参考になれば幸いです。