便秘とめまいはストレスが原因!?考えられる3つの病気を紹介

便秘になったからめまいが起こるとか、めまいがすると便秘になりやすいなどという訳ではありませんが、便秘やめまいといった症状が、ストレスによって発生するケースがあります。では、どのような病気の場合、便秘やめまいが出やすいのでしょうか。

便秘に悩まされている方はたくさんいらっしゃることと思いますが、それにともなってめまいがみられるような場合、どのような病気の疑いがあるのでしょうか。

今回は、ストレスという点に注目して、便秘とめまいといった症状の現れる病気について解説していきたいと思います。

便秘やめまいはストレスのせい?

頬を押さえている女性

便秘やめまいが同時にみられる病気については、後ほど詳しく解説したいと思います。まずは、ストレスが人間の精神やからだに、どのような悪影響を及ぼすのかについて理解していただきたいと思います。病気になれば薬を飲むというのではなく、そもそも病気にならないことの方が大事ですからね。

ストレスは万病のもと

東洋医学では、古くからストレスが万病のもとになるという考え方をしていましたが、最近では、西洋医学の医師もストレスに注目するようになっています。

特に、現代はストレス社会といわれることもあって、ストレス管理が健康状態を維持する上でも重要なテーマとなっています。

生きていく上で、ストレスと全く無縁であることは不可能ですし、ある程度のストレスは、意欲を高めたり、向上心を高めたりするのに必要となることもあります。ただ、ストレスが過剰になることはやはり好ましくありません。

ストレスがたまるとどうなる?

それでは、ストレスがたまるとどのような不利益が生じることとなるのかについて見ていきましょう。精神面に与える不利益と、身体面に与える不利益とに分けて説明したいと思います。

精神に与える影響

ストレスは何となく精神的によくないものだというイメージをお持ちの方は多いことと思います。では、科学的にみた場合、どのようなメカニズムで精神に悪影響を与えるのでしょうか。

私たちの生命活動のほとんどは、自律神経の働きによって維持されています。自律神経とは、私たちが特に意識しなくても勝手に働いてくれている神経のことをいいます。

たとえば、「5秒だけで構わないので、心臓を止めてみて」といわれてもできませんよね。なぜなら、心臓の活動は自律神経によって律されているからです。

その他の内臓の働きや腸の働き、血糖値や血圧のコントロール、細胞分裂などなど、自律神経が私たちの意思とは関係なく、滞りなくおこなってくれているのです。

ところが、ストレス状態が継続することによって、この自律神経の働きに異常が生じるのです。具体的に言うと、交感神経が優位になりすぎてしまうのです。

自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、両者がバランスを取ることによって、適切な身体状況を作り出しているのです。ところが、ストレス状態が継続すると、副交感神経がうまく働かなくなってきます。

ごく簡単に説明すると、交感神経には身体や神経を興奮させる働きがあり、副交感神経には、身体や神経を鎮静化させる働きがあります。

ということは、交感神経が優位になりすぎることによって、身体や精神が興奮状態に陥ってしまうのです。興奮状態が短期的なものならいいのですが、長時間続くと、身体や精神を休めることができなくなってしまいます。

脳内にはさまざまな神経伝達物質がありますが、特にノルアドレナリンとドーパミン、セロトニンの3つは、脳内の三大神経伝達物質と呼ばれています。

交感神経が優位になると、ドーパミンやノルアドレナリンの分泌量が増加し、副交感神経が優位になると、セロトニンの分泌量が増加することとなります。

セロトニンには精神を落ちつける働きがあるのですが、交感神経が優位になりすぎるとセロトニンの分泌量が減少し、精神を落ち着けることができなくなってしまいます。

うつ病や自律神経失調症の人には、セロトニンの分泌量減少がみられるということですが、それは、セロトニンに精神を落ち着ける働きがあるからなのです。

身体に与える影響

自律神経のバランスが乱れると、精神だけでなく身体にもさまざまな悪影響を及ぼします。その最大の原因として、交感神経が優位になりすぎることで、血行が悪くなるということがあげられます。

交感神経が優位になると、血管が収縮します。それによって、血液の循環が滞ってしまうのです。血液は全身に酸素や栄養、白血球などを運んでいます。

そのため、血液の循環が悪くなることで栄養状態が低下したり、免疫機能が低下したりするのです。つまり、自律神経のバランスが乱れることで、冷え症やむくみが出やすくなったり、風邪をひきやすくなったりするのです。

また、交感神経優位の状態が続くと、夜間になってもいわばアクセルを踏みっぱなしの状態になり、睡眠の質が低下してしまいます。

私たちの身体は、夜寝ている間に修復されるため、睡眠の質が低下すると、身体の疲れが取れにくくなります。身体の疲れが取れないと、翌日の仕事や勉強に支障をきたすようになります。

さらに、交感神経優位の状態が続いてセロトニンの分泌量が減少すると、脳の視床下部というところにある満腹中枢が刺激されにくくなることも分かっています。

満腹中枢が刺激されにくくなると、ついつい食べすぎてしまうこととなり、肥満や便秘にもつながる訳です。ストレスによるやけ食いやドカ食いには、化学的な裏付けがあったということなのですね。

便秘やめまいが見られる病気その1・過敏性腸症候群

お腹を押さえながらトイレに駆け込んでいる女性

ストレスに関して長々と説明したのは、これから紹介する病気の改善に、ストレスコントロールが欠かせないからです。では、便秘やめまいが見られる病気にはどのようなものがあるのかについて見ていきましょう。まずは、過敏性腸症候群からです。

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群は、画像診断などで腸にはなんら異変がみられないにもかかわらず、腹痛をともなった便秘や下痢が現れる疾患のことをいいます。

消化器系の病気はたくさんありますが、過敏性腸症候群はもっともポピュラーな消化器疾患であり、日本人の場合、便通異常で病院を受診する人の10人に2人から3人が過敏性腸症候群と診断されるそうです。

男性の場合、30代から40代の人に過敏性腸症候群が多くみられるそうです。女性の場合は、20代の人と50代の人に過敏性腸症候群が多くみられるということです。

過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群の症状の特徴は、腹痛をともなった便秘や下痢です。便秘だけがみられる人もいれば、下痢だけがみられる人、便秘と下痢が交互に起こる人もいます。

腹痛に関しては、必ず決まった場所が痛むという訳ではなく、その時々によって異なるということです。ただ、共通して言えるのは、排便することによって痛みが焼失するということです。

過敏性腸症候群のもう1つの特徴は、寝ている間には腹痛や便意がみられないということです。その他の症状としては、めまいや頭痛、吐き気や食欲不振、疲労や不安感などがあげられています。

ちなみに、過敏性腸症候群の原因に関してはハッキリとしたことが分かっていません。ただ、夜間には症状が現れないこと、症状が不定であること、ストレス状態の改善によって症状が落ち着くことから、ストレスの関与が指摘されています。

過敏性腸症候群の治療法

過敏性腸症候群の治療は、基本的にストレスのコントロールが核となります。規則正しい生活リズムにして、適度にストレスを発散することが推奨されます。

場合によっては薬が処方されることもあります。腹痛がひどい場合には鎮痛薬が、不安感が強いときには精神安定剤が処方されるケースもあります。

便秘やめまいが見られる病気その2・うつ病

口を押さえながら落ち込んでいる女性

便秘やめまいが見られる病気としては、うつ病もあげられます。うつ病はそれほど珍しい病気という訳ではなく、男性の10人に1人が、女性の5人に1人が、一生に1度はなるといわれています。

うつ病とは

うつ病は気分障害の一種で、最初は身体の不調を訴えて病院を受診するのですが、検査をしても特に異常が見当たらず、そのうちに身体的不調だけでなく、精神的不調も現れるという特徴があります。

うつ病の症状

うつ病の症状は、身体的症状と精神的症状の2つに分けられます。身体的症状の代表的なものとしては、「不眠」があげられます。寝つきが悪くなったり、寝ている間に何度も目が覚めたり、朝早くに目が覚めたりします。

睡眠時間が短くなることで疲労が取れにくくなり、食欲や体重が減少することもあります。その他にも、便秘や下痢といった排便障害、めまい、動機や息切れといった症状がみられるようになります。

うつ病にともなう精神的症状としては、気分が沈みこむということがあげられます。自分は生きていても仕方がない人間だと思ったり、生きていてもなにも楽しくないと感じたりします。

また、特に理由もないのに悲しい気分になったり、自分を責めたりすることもあります。最悪の場合には、この世から消えてしまいたいという自殺願望を抱くようになります。

うつ病の治療法

うつ病の治療法は、薬物療法とストレスコントロールの2本立てです。セロトニンの働きを活発にするため、抗うつ薬を用いることがあります。

うつ病は、どちらかというと責任感の強いまじめな人がなりやすいので、長期休暇を取って治療するのがなかなか困難です。そのため、家族のサポートが欠かせません。

便秘やめまいが見られる病気その3・自律神経失調症

頭痛の症状を医師に相談している女性

便秘やめまいが見られる病気としては、自律神経失調症もあげられます。うつ病と並んで、日本人に多くみられる疾患の一種です。

自律神経失調症とは

自律神経失調症は、正確に言うと疾患名ではありません。原因不明の動機や息切れ、めまいやふらつき、便秘や下痢といった排便障害など、いわゆる「自律神経症状」が見られる場合、自律神経失調症といわれることがあります。

ただ、病院によっては自律神経失調症を疾患ととらえているところもあります。私たちの生命活動は自律神経によってコントロールされているので、どのような疾患であっても自律神経がかかわっている訳です。

そういった意味からすると、自律神経失調症という言葉自体がナンセンスだとも言えますが、原因不明の症状がみられる場合に便利使いされている言葉でもあります。

自律神経失調症の症状

自律神経失調症の症状の特徴は、不定愁訴(不定愁訴)が見られるということです。あるときには胃がもたれ、またあるときには頭痛がし、さらにあるときには悲しい気分になるなど、その時々によって訴えの違うのが不定愁訴です。

自律神経失調症の治療法

自律神経失調症の治療も、基本的にはストレスをコントロールすることです。適度にストレスを発散し、睡眠をしっかりと取り、生活にリズムを与えることによって、改善が可能となります。

便秘やめまいが見られる病気その4・子宮内膜症

頭が痛いため、ベットに横たわっている女性

便秘やめまいが見られる病気としては、子宮内膜症もあげられます。子宮内膜症とストレスにどのような関係があるのかと思われる方もいらっしゃることと思いますが、ストレスによってホルモンバランスが乱れると、子宮内膜症になるリスクが高くなると考えられているのです。

子宮内膜症とは

子宮内膜症と聞くと、子宮内膜に何らかの病変がみられることをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。実際は、子宮ではない場所に、子宮内膜に似た組織ができる疾患のことをいいます。

子宮内膜症はそれほど珍しい疾患という訳ではなく、女性の10人に1人は子宮内膜症を患っていると考えられています。近年は増加傾向があるともいわれています。

子宮内膜症を発症する原因については、今のところハッキリとしたことが分かっていません。ただ、女性ホルモンのバランスが影響するとは考えられているようです。

子宮内膜症の症状

子宮内膜症の症状は、月経時痛と不妊症、その他の骨盤痛であり、これらを子宮内膜症の「3大症状」と呼んでいます。骨盤痛には、性交時の痛みや排便時の痛み、慢性的な骨盤部の痛みがあります。

月経にともなって出血の量が増加することがあり、そのような場合、めまいやふらつきがみられることもあります。

子宮内膜症の治療法

子宮内膜症の治療は子宮筋腫の治療と似ていて、ホルモンバランスをコントロールする医薬品を用いたり、手術をおこなったりといった方法がとられます。

医薬品の中には、更年期と似た状態を作り出すものや、妊娠した状態を作り出すものがあります。それぞれ副作用もあるため、医師の指導のもとで服用することが重要です。

医薬品によって改善が認められない子宮内膜症や、妊娠を希望しているとき、将来のがんの可能性があるときなどは、手術療法が選択されることもあります。

全てにストレスが関与している

便秘やめまいとストレスとの関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。日本では主に西洋医学に基づいた治療がおこなわれており、ストレスをコントロールするという発想があまりないように思われます。

ただ、すべての疾患にはストレスが関与していると言っても過言ではありません。皆さんも、ストレスを抱え込みすぎないように気をつけてくださいね。