便秘になる原因はさまざまで、対処法も多岐にわたっています。便秘薬を使うというのがもっとも簡単な方法ですが、中には薬はできるだけ飲みたくないという方もいることでしょう。
そんなときに推奨されるのがビオフェルミンです。では、ビオフェルミンにはどのような特徴があるのでしょう。
コマーシャルなどでもよく耳にするビオフェルミン。ビオフェルミンというと、便秘の改善に効果的といったイメージを持っている方もたくさんいらっしゃることと思います。
では、そもそもビオフェルミンとはどのようなものなのでしょうか。また、便秘薬とはどのような違いがあるのでしょうか。効率のよい便秘解消法とあわせて紹介したいと思います。
CONTENTS
ビオフェルミンってなに?
それでは早速ですが、便秘に対してビオフェルミンがどのように働いてくれるのか、また、ビオフェルミンとはどのようなものなのかについて見ていきたいと思います。
製薬会社のこと
ビオフェルミンは、大正製薬を母体とする、神戸にある製薬会社のことで、正式名称をビオフェルミン製薬といいます。また、ビオフェルミン製薬が販売している便秘薬である「新ビオフェルミンS」のことを、ビオフェルミンと呼ぶケースもあります。
便秘どめの薬として用いられるビオフェルミンには、乳酸菌の一種であるビフィズス菌が含まれています。新ビオフェルミンSは、指定医薬部外品に分類されており、薬局やドラッグストアで簡単に入手することができます。
乳酸菌の働き
乳酸菌には、腸内で乳酸と酪酸を作ることによって、腸の運動を正常にしたり、悪玉菌から腸内を守ってくれたりする働きがあります。
乳酸菌を多く含む代表的な食品がヨーグルトですが、1パックのヨーグルト(450g)には、500億もの乳酸菌が含まれているということです。
整腸剤
乳酸菌には腸内環境を整える働きがあることから、ビオフェルミンも整腸剤として用いられています。どちらかというと、便秘の予防や下痢の予防を目的として用いられています。
メリット
ビオフェルミンを服用するメリットとしては、「副作用のリスクが低い」ということがあげられます。なぜなら、乳酸菌はもともと人間の体内に存在している細菌だからです。
そのため、小児科などでも風邪の症状を緩和する薬と一緒に、ビオフェルミンを配合した整腸剤が出されることもあります。
ビオフェルミンと便秘薬との違い
「新ビオフェルミンS」というフレーズをコマーシャルで聞いたことがあるという人もいらっしゃると思いますが、ビオフェルミンと便秘薬にはどのような違いがあるのでしょうか。
効果の違い
ビオフェルミンと便秘薬との違いとしては、その効果の違いがあげられます。ビオフェルミンがどちらかというと腸内環境を整えて、便秘を長期的視点で改善するのに比べ、便秘薬には即効性が期待されています。
というのも、病院で処方される便秘薬が医療用医薬品であるのに対し、ビオフェルミンは指定医薬部外品に属する医薬品だからです。
医療用医薬品はその名の通り、医療目的で用いられる医薬品のことを意味します。医療用医薬品は、医師による処方箋がないと、購入することができません。
薬局やドラッグストアで購入できるタイプの医薬品は、一般用医薬品とか、OTC医薬品と呼ばれます。OTC医薬品のOTCは、「Over The Counter」の頭文字をとったもので、カウンター越しに対面販売される医薬品のことを意味しています。
一般用医薬品やOTC医薬品はかつて、大衆薬や市販薬と呼ばれていましたが、2007年から法律的には一般用医薬品、大衆向けにはOTC医薬品と呼ばれるようになりました。
一般用医薬品(OTC医薬品)には、第一類医薬品と第二類医薬品、第三類医薬品があります。第一類医薬品は副作用などのリスクが高いため、薬剤師の説明を聞かないと購入することができません。
医薬部外品は副作用などのリスクが少ないため、薬剤師の説明を聞かなくても購入することができます。ただ、副作用のリスクが低い分、便秘に対する効果も緩やかなのです。
便秘薬の種類
便秘にはいろいろなタイプがあり、それに応じて便秘薬も使い分ける必要があります。では、代表的な便秘薬を紹介していきたいと思います。
・浸透圧性下剤
比較的身体にとってのリスクが少ない便秘薬としては、浸透圧性下剤があげられます。浸透圧性下剤には、塩類下剤や糖類下剤、膨張性下剤や浸潤性下剤などがあります。
塩類下剤は昔からよく使われているタイプの下剤で、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムを主原料としています。腸内のものを早く排出したいときに用いられるタイプの下剤です。
便秘の中では、機能性の便秘だけでなく、病気が原因となっておこる器質性の便秘を改善する目的でも用いられています。
酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムには、消化管内の水分を吸収して保持し、便を軟らかくしてくれる働きがあります。また、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムは腸管に吸収されにくいため、便秘薬を使っても習慣性にならないというメリットがあります。
糖類下剤は、消化管に吸収されにくいD-ソルビトールやラクツロースなどを主原料として作られる便秘薬です。それぞれバリウムを飲んだあとの便秘予防目的で使われたり、肝機能障害にともなう便秘の改善に用いられたりします。
膨張性の下剤はその名の通り、腸管内で膨張して便のかさを増し、それによって腸管を刺激して便意を起こすタイプの便秘薬です。便秘の中でも弛緩性の便秘や直腸性の便秘を改善する目的で用いられます。
浸潤性下剤はジオクチルソジウムスルホサクシネートやカサンスラノールを主原料として作られる便秘薬で、直腸性の便秘や弛緩性の便秘、痔を持っている人の便秘などを改善する目的で用いられます。
ジオクチルソジウムスルホサクシネートには浸透圧によって便を軟らかくする働きがあり、カサンスラノールには、腸の蠕動を活発にして、便意を高める働きがあります。
・刺激性下剤
刺激性下剤には、小腸刺激剤と大腸刺激材、そして直腸刺激剤があります。小腸刺激剤としてはヒマシ油が有名です。小腸の働きを活発にし、便を早く大腸へと送りたいときにもちいられます。
大腸刺激材としては、アントラキノン誘導体やジフェニール誘導体があげられます。大腸を刺激することで腸の蠕動を活発にする働きがありますが、アントラキノン誘導体を頻繁に用いると、耐性がついてしまうというデメリットがあります。
直腸刺激剤は簡単に言うと坐薬のことです。直腸に直接刺激を与えることで、便意を起こさせることが目的となっています。やはり習慣性に移行しやすいので、頻繁に用いることは避けるべきです。
ビオフェルミンを用いた効率的な便秘の改善法
便秘の改善法はいろいろありますが、ビオフェルミンを用いて便秘を改善するのであれば、ビオフェルミンの効果的な服用法について知っておくべきでしょう。
まずは便を出す
現在進行形で便秘を抱えている場合、いきなりビオフェルミンを飲んでもあまり効果がありません。なぜなら、ビオフェルミンは腸内環境を整えるための薬であって、排便を促進するための薬ではないからです。
腸内に便がとどまっている状態というのは、悪玉菌が優勢になっている状態です。そのようなときに乳酸菌を摂取しても、効率よく善玉菌を増やすことができません。
まずは病院で処方してもらった便秘薬を用いて、腸内にとどまっている便を出すようにしましょう。ビオフェルミンを服用するのはその後です。
次に腸内環境を整える
病院で処方してもらった便秘薬によって無事、排便がみられたようであれば、次に腸内環境を整えることとなります。そのために、ビオフェルミンを服用すると効果的です。
ビオフェルミンに含まれている乳酸菌(ビフィズス菌)は善玉菌のエサとなります。善玉菌が増えれば腸内の日和見菌も善玉菌に似た働きをするようになるため、効率よく腸内環境を改善することができますよ。
良好な腸内環境を維持する
腸内環境が改善できたら、今度は良好な腸内環境を維持することが重要となります。そのためには、善玉菌のエサとなる水溶性の食物繊維やオリゴ糖、はちみつなどを積極的に摂取するようにしましょう。
便秘薬のリスク
便秘薬はビオフェルミンなどの整腸剤よりも、直接的に便秘を改善する効果があるということでした。ただ、便秘薬には以下のようなリスクもあることを覚えておいてくださいね。
習慣になってしまう
便秘薬を使って排便した場合、便秘薬に頼らなければ便が起こらなくなってしまう可能性があります。便秘薬を継続して用いることで、直腸性便秘などが悪化するケースもあるため注意が必要です。
効果が出にくくなる
便秘薬を継続的に服用していると、身体の方に便秘薬に対する耐性ができてしまいます。そうなると便秘薬の効果が出にくくなるため、さらに大量の便秘薬を服用することとなります。
病院で処方される便秘薬は、効果が高い分だけ副作用のリスクも高くなっています。副作用には吐き気やおう吐、胸やけや腹痛、腹部の膨満感などがありますし、便秘薬によっては月経時の女性や妊娠中の女性、特定の疾患を持っている人の服用を禁じでいるものもあります。
最悪の場合死ぬことも!?
便秘によって死亡する可能性があるなどというと驚かれるかもしれませんが、実際に、便秘が原因となって死亡するという事案も起こっています。
日本でも1998年に、奈良県に住む21歳の若い女性が、便秘が原因とみられる腸閉そくで亡くなっています。女性はどちらかというと小柄でやせ型のほうでしたが、亡くなったときには腸内に6.7kgもの便が詰まっていたそうです。
亡くなる1年以上前から便秘薬を服用していたということですが、医師の指導のもとで経過を観察しながら便秘薬を用いないと、このような痛ましい結果となることもあるのです。
ビオフェルミン以外の便秘解消法
便秘は治したいけど、なるべく薬に頼りたくないという方もいらっしゃることと思います。そのような場合、どうやって便秘を解消すればよいのでしょう。
適度に身体を動かす
そもそも便秘になってしまう原因としては、運動不足があげられることもあります。運動不足によって筋力が低下したり、血行が悪くなったりすることによって、結果として便秘になってしまうのです。
そのため、日頃から適度に身体を動かすように心がけましょう。特別、走ったり筋トレをしたりしなくても、ウォーキングをするだけで十分に運動効果が得られます。
というのも、人間は歩くときに全身の80%もの筋肉を使うとされているからです。腕を大きく振ったり、軽めのダンベルを持って歩いたりすると、より運動効果を得ることができますよ。
食物繊維を摂取する
弛緩性の便秘と言って、腸の蠕動が弱くなることによって起こるタイプの便秘があります。そのような場合、不溶性の食物繊維を積極的に摂取するようにしましょう。
不溶性の食物繊維には体内の消化酵素でも溶けることがなく、保湿性が高いという特徴があります。そのため、消化管内の水分を吸収してゆっくりと直腸へと進んでいきます。
不溶性の食物繊維が腸内で膨張すると、便のかさを増し、腸管を刺激し、それによって便意が起こることとなります。ただし、直腸性の便秘の場合、不溶性の食物繊維を摂取するとかえって便秘の悪化することがあるので要注意です。
直腸性の便秘の場合、便はちゃんと直腸へと送られているのですが、便意がうまく脳に伝わらないという状態になっています。直腸に便があるのに次々に便が送られてくるため、やがて直腸内の便はカチカチに硬くなってしまいます。
そのようなときに不溶性の食物繊維を摂取すると、かえって便秘が悪化する結果となる訳です。直腸性の便秘がみられる場合には、水分を多く補給するようにしましょう。
心身ともに健康状態を保つ
便秘の原因としてはストレスの存在もあげられています。ストレスには、人間関係のトラブルや仕事上の悩みといった精神的ストレスだけでなく、疲労や睡眠不足といった身体的ストレスも含まれます。
健全な肉体に健全な精神が宿るなどといいますが、心身のトラブルは自律神経のバランスを見出し、便秘を誘発することとなります。
身体が疲れている場合はもちろんのこと、心が疲れているような場合も、しっかりと休息を取るように心がけましょう。
ビオフェルミンの正しい効果を知り使用してみて
今回の記事では、便秘のときにビオフェルミンが効果的なのかどうかについて見てきました。ビオフェルミンは、体内にたまっている便を出すためというよりは、便を出した後に腸内環境を整えることを目的としていることが分かって頂けたことと思います。あなたの便秘改善にビオフェルミンが役立つことを祈っています。
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