唇が日焼けするときの治し方!ワセリンとはちみつはどっちが効果的?

「夏に海に行ったら、全身だけではなく唇まで焼けて、ヒリヒリして痛い」…そんな方、いらっしゃいませんでしょうか。顔には日焼け止めを塗りますが、唇には日焼け止めを塗らないケースも多いと思います。

では、唇が日焼けした場合、どのように対処するのが正解なのでしょうか。唇の日焼けを予防する方法や、唇が日焼けしたときにしてはいけないことなどとあわせて解説したいと思います。

唇日焼けの治し方!すぐに冷やしておこう!

唇が乾燥

「顔や身体には日焼け止めを塗るけど、唇が日焼けするなんて考えもしなかった」…そんな方は多いと思います。では、不幸にして唇が日焼けしてしまった場合、どのようにして対処すればよいのでしょうか。

唇が日焼けたらすぐ冷やして炎症を和らげる

誰でも一度や二度は日焼けを経験したことがあると思います。もともと色の黒い人や、日焼けしやすい人はあまり経験がないかもしれませんが、日焼けをしにくい人にとって、日焼けはやけどと変わりません。

場合によっては水泡ができることもあります。要するに、日焼けとは皮膚に炎症を起こしている状態のことを言うのです。

医学的にはやけどのことを「熱傷」と呼んでいます。やけどというと、高い温度の物質が皮膚に触れることによって起こるイメージがありますが、実際には40度から55度程度の、それほど熱くないものが長時間皮膚に触れることでもやけどを起こします。

夏の日差しも同様です。長時間高温の日差しにさらされることによって、皮膚がやけどを起こしてしまうのです。それが唇にみられた場合、ある意味、唇をやけどしているともいえるのです。

そのため、唇が日焼けしたときには、通常のやけどと同じ対処法をとる必要があります。やけどは皮膚に炎症を起こしている状態なので、炎症をまずは鎮める必要があります。

炎症には5大徴候と呼ばれるものがあり、炎症に対しては「RICE」という処置を施すのが一般的です。炎症の5大徴候は、「発赤(ほっせき)」「熱感」「腫脹(しゅちょう)」「疼痛(とうつう)」「機能障害」です。

発赤は文字通り、炎症によって赤くなることを意味します。ただ、唇はもともと、どちらかというと赤い場所なので、それほど発赤が目立たないケースもあります。

唇の日焼けも炎症を起こしている状態なので、唇に熱感や腫脹(腫れること)、疼痛(ズキズキと痛むこと)をともないます。また、動かすと痛い(機能障害)ケースもあるでしょう。

炎症に対する「RICE」とは、「Rest( レスト)」「Ice」「Compression」「Elevation」のことを指します。レストは安静にすること、アイスは氷などで冷やすことを意味します。

RICE

コンプレッションは圧迫することを意味しますが、関節に炎症を起こしているケースはともかく、唇を圧迫するような必要はありません。

エレベーションは、怪我をした場所を心臓よりも高くすることを意味します。それによって血流を弱め、炎症を抑えるのです。ただ、唇はもともと心臓よりも高い位置にあるので、あまり意識する必要はありません。

以上のことを踏まえると、唇を日焼けした場合、冷やして安静にしておくのが一番だと言うことです。炎症を抑える際には、氷や保冷剤で冷やすのがよいでしょう。

ただ、氷や保冷剤を直接唇につけてしまうと、唇にくっついてしまう恐れがあります。そのため、ビニール袋などに氷を入れ、適度に水を入れたものを唇にあてて冷やすとよいでしょう。

刺激の少ない白色ワセリンで唇を保護する

唇を日焼けした場合、応急処置として冷やすのが一番です。冷やして炎症がある程度落ち着いたら、今度はワセリンで唇を保護するとよいでしょう。

ワセリンで唇パック

ワセリン

やけどなどの炎症性疾患の治療法として、湿潤療法(しつじゅんりょうほう)と呼ばれるものがあります。湿潤療法は「うるおい療法」ともいわれ、人間が本来持っているケガを治そうとする力(自己治癒力)を最大限に活かすことを目的としています。

傷を治すためにもっとも重要なことは、「傷を乾燥させないこと」だと考えられています。なぜなら、生きている細胞が乾燥によって死滅してしまうからです。

野生の動物を見ているとよく分かるのですが、傷ついた動物は自らの傷をなめ、ひたすら安静にしています。人間も動物であってみれば、湿潤療法はとても理にかなっているのです。

唇のやけどに対しては、ワセリンを塗って唇を乾燥させないようにしましょう。その際、一般的には白色ワセリンを用いることとなります。

唇の日焼けに蜂蜜は逆効果?

はちみつ

はちみつには高い殺菌効果のあることから、ケガの治りを早めたり、呼吸器系の疾患を改善したりするのに役立つとされています。栄養価が高いので、日々の健康のために摂取している方もいらっしゃることと思います。

そして、はちみつを日焼けした唇に塗ることで、炎症を早く抑えられるという人がいます。一方、唇の日焼けに関しては、はちみつを塗ってはだめだという人もいます。たらこのように腫れたという人もいます。

ただ、この件に関しては、明確なエビデンス(医学的根拠)をともなった研究や論文が見当たりません。今後の調査結果が待たれるところです。

ビタミン摂取で唇の組織が修復していく

ビタミン

唇も皮膚の一種であり、ターンオーバー(新陳代謝)によって生まれ変わっています。一般的に、皮膚のターンオーバーは28日周期だとされていますが、唇に関しては、3日から5日程度で新陳代謝が起こると考えられています。

つまり、唇の日焼けは、ほかの部分に比べると治りやすいともいえる訳です。ターンオーバーを促進するには、タンパク質をはじめとして、ビタミンが豊富な野菜や果物を摂るとよいそうです。

日焼けで唇の皮がむけたら、指で優しくマッサージ?

唇を触っている女子

日焼けに関して解説している雑誌やインターネットの記事には、日焼けをしている唇の皮がむけたら、指で優しくマッサージするとよい、としているものがあります。

ただ、唇も皮膚である以上、余計な刺激は厳禁です。マッサージをして皮を取ることに意味があるとは思えませんし、皮膚にとって摩擦が大敵であることは、美容に詳しい皆さんならご存知のことだと思います。

唇が日焼けしたら冷やす・保湿・ビタミン摂取が順番

きれいな唇

ここまでの説明でご理解頂けたことと思いますが、唇の日焼けは、ある意味やけどです。そのため、火傷に対する対処法と同様の対処を、唇に対してもおこなう必要があります。

その対処法として、日焼けした唇を冷やすことや、ワセリンで保湿すること、また、ビタミンを摂取することなどがあげられていました。では、これらの対処法はどういった順番でおこなうのが正しいのでしょう。

基本的には、唇が日焼けしていたいのであれば、冷やすのが最優先です。炎症を鎮めないことには痛みが治まりませんし、ビタミンを摂取したからと言って、すぐに日焼けの痛みが取れる訳ではありません。

この点は、西洋医学と東洋医学の違いに似ているかもしれません。西洋医学の歴史は、ある意味、戦争の歴史と歩を一にしています。

刀による傷を負った人や、銃で撃たれた人に対して、「自然治癒力が…」などと言っている場合ではありませんよね。速やかに傷口を縫ったり、銃弾を取り除いて消毒したりしないと死んでしまいます。

一方、東洋医学には「未病」という考え方があります。病気になる一歩手前の段階で対処することで、病気にならずに健康的に過ごせるという発想です。

唇の日焼けも同様で、炎症の初期段階には冷やすことがもっとも重要です。落ち着いてきたら湿潤療法で自然治癒力を高め、その上で、ビタミンなどを摂取し、ターンオーバーを促すことが重要です。

唇が日焼けするときしてはいけないこと

両手をバツのマークのように組んでいる女性

唇が日焼けした場合の対処法については、ここまでの説明でよく分かって頂けたのではないでしょうか。では、唇が日焼けしたときに、逆にやってはいけないことってなんなのでしょう。

皮がはがれてもむかない

唇が日焼けしたときにしては池いないこととしては、剥がれてきた皮をむいてしまうということです。剥がれた皮をむいてしまうと、そこがさらに傷になってしまうリスクを高めてしまいます。

このことからも、先ほども説明したように、「唇の皮がめくれてきたら優しくマッサージする」ことの意味が分からない、ということをご理解いただけることと思います。

皮がはがれてきているというのは、お肌のターンオーバー(新陳代謝)が正常に進行している証拠です。私たちが単に「お肌」といった場合、それは「表皮」のことを指すケースがほとんどです。

そして、表皮のもっとも表側には、私たちが「角質」と呼んでいるところの「角層」が存在しています。皮膚の角層は14層から15層あるのですが、唇の角層は数層しかありません。

そのため、剥がれてきた皮をむいてしまうと、正常な角層まで剥がれてしまい、唇にダメージを与える結果となるのです。

刺激のある食べ物は食べないように

唐辛子

唇が日焼けしたときには、刺激のある食べ物を食べないようにしましょう。唇が日焼けしているときというのは、ある意味、唇を日焼けしている状態です。

身体を日焼けしたときにお風呂に入ると痛いですよね。それと同じで、唇が日焼けしているときに、刺激物を食べてしまうとなにより痛いです。

また、刺激物によって炎症状態が悪化するリスクも高くなってしまいます。傷口に塩を塗るような行為は控えた方が賢明でしょう。

リップメイクは暫くやめよう

きれいな女性

唇が日焼けしたときには、リップメイクをしばらく控えるようにしましょう。メイク自体が唇への刺激になりますし、メイク落としも唇への刺激になります。

先ほども少し触れましたが、お肌にとってもっとも避けたいことのツートップは、「乾燥」と「摩擦」です。リップメイクは、乾燥と摩擦という両方のリスクを唇に与えてしまいます。

炎症を治す方法のところでもみましたが、炎症を治すためには、患部を安静にすることと冷やすことが重要です。

唇はターンオーバーの周期が早いので、3日から5日も安静にしていれば、また新しい皮膚ができてきます。それまでの我慢ですよ。

唇が日焼けしないようにするには

きれいな唇

唇が日焼けすると、見た目がみっともないですし、なによりも痛くて辛いです。そのため、唇が日焼けしないようにするのが一番です。では、唇が日焼けしないようにするには、どんなことに気をつければよいのでしょう。

紫外線対策のあるリップクリームを使う

唇が日焼けしないようにするためには、紫外線から唇を守ることが重要です。そのため、紫外線防止効果のあるリップクリームを使うとよいでしょう。

パウダーファンデーションで唇の紫外線対策を行う

「唇にパウダーファンデーション!?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、唇にパウダーファンデーションを塗ると、メイクの仕上がりが全体的にレベルアップするそうです。

そのため、メイクアップアーチストの方は、一度パウダーファンデーションで唇の字の色を消し、その上から口紅を塗っているということです。

それによって、口紅の持ちもよくなるということです。唇にパウダーファンデーションを塗るメリットはもう1つあります。

それは、紫外線防止効果のあるパウダーファンデーションを塗ることによって、唇の日焼けが予防できるということです。一石三鳥の効果があるので、ぜひ試してみてくださいね。

帽子・日傘で直射日光を避ける

帽子をかぶっている女性

外出する際には、帽子をかぶったり日傘をさしたりして、直射日光が唇に当たらないようにしましょう。暑い夏は、日傘をさしているだけで体感温度が下がるというメリットもありますよ。

唇の日焼けまとめ

リップを塗っている女性

唇が日焼けした場合の対処法や、日焼け対策について見てきましたが、いかがだったでしょうか。唇の日焼けは、やけどと一緒です。そのため、まずは冷やして炎症を鎮め、それから湿潤療法をおこないましょう。

ただ、日焼けしてしまうと痛いので、やはり日焼けする前に予防することが先決です。外出する際には、むぎわら帽子をかぶったり日傘をさしたり、リップクリームや化粧品で紫外線対策をしたりして、唇を紫外線の脅威から守ってあげてくださいね。

なお、あまりにも長いあいだ、唇の痛みやかゆみが治らない場合や、化膿してしまっている場合、黒ずみがみられるような場合には、速やかに皮膚科を受診するように心がけましょう。