歯の黄ばみを除去する方法!実はステインが原因じゃなかった!?

お茶やコーヒーをはじめとした色の濃い飲み物や食べ物を口にすると、歯に色がつくのが気になりますよね。タバコを吸う方はさらに気になるのではないでしょうか? もちろんお茶やタバコは歯に茶渋がつく原因になります。でも、その原因が茶渋ではなかったとしたら……いったいどうしますか?

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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歯の黄ばみはステインが原因?

コーヒーがコーヒーカップに入っている写真

茶渋やヤニのことをステインと言います。よく湯飲み茶碗や急須などに付着しているあの茶色のことです。こうした色の付着が、歯に黄ばみを与えることがありますが、そんな茶渋の原因となる物質には、お茶やコーヒー、タバコ、色の濃い食べ物などがあります。

でも、それだけではありません。唾液が少なくなったことで、口内で自然洗浄ができていないこともステインの原因となることがあるのです。詳しく見てみましょう。

お茶やコーヒー

お茶やコーヒーは、黄ばみの原因となる色味の元であるカフェインやタンニンが含まれています。こうした成分は、唾液に含まれている金属イオンと結合し、歯の表面を覆っている膜に付着します。この付着物が黄ばみの原因となるのです。

一般的に、紅茶よりもコーヒーの方が歯の黄ばみになりやすいと思われていますが、実際には紅茶の方が着色しやすいため、紅茶を日常的に飲んでいる方は注意が必要。お茶の中では、緑茶、麦茶、ほうじ茶などはタンニンの量が少ないため、歯の黄ばみを考えてこうしたお茶を選ぶこともひとつ。

タバコ

タバコのニコチンも歯の黄ばみの原因ですよね。タバコのニコチンが長期間にわたって歯に付着するとステインになってしまいます。こうなってしまうと、通常の歯磨きではなかなか落ちなくなってしまいます。

タバコは嗜好品ですので、吸う・吸わないは個人の好み。でも、タバコを吸う方は、ニコチンがステインにならないように、歯のケアを心がけるようにしたいですね。

色の濃い食べ物や飲み物

食べ物や飲み物の中には、色が付着しやすいものとそうではないものがあります。歯に色が付きやすい食品には、紅茶やコーヒー、赤ワイン、カレーなどがあります。

紅茶やコーヒーは前述したとおりですが、赤ワインに着色の原因となるタンニンが含まれています。カレーには天然の着色料と呼ばれているウコンが含まれています。食後に歯を磨くようにすることで、着色を防ぐことができます。ともに体にいい成分ですが、食後は気をつけましょうね。

唾液の減少

あまり知られていませんが、唾液によって歯の表面は洗い流され、清潔な状態を保たれています。このため、何らかの原因で唾液が減少すると、歯の表面の汚れが落ちにくくなることがあります。

唾液が減少する原因のひとつに、口呼吸があります。口で呼吸すると、口内が乾燥してしまうからです。日頃からご自身の呼吸法について意識することも大切ですね。唾液には、ほかにも口内に侵入してくるウイルスを撃退する抗菌作用もあるため、風邪などの予防にもつながりますよ。

ステインを除去しても黄ばみはとれない

厳しい顔をしながら歯のイラストを左手で持っている女性

以上のように、歯の黄ばみの原因が茶渋の場合はいろいろありますが、実はそれだけではないのです。ステインではないほかの原因によって、歯の黄ばみが現れてしまうことがあるんです。

多くの方が勘違いしている歯の黄ばみ、例えばタバコやコーヒーをやめたところで黄ばみが改善されるわけではありません。ステインを除去しても黄ばみが消えない理由とは何なのでしょうか。詳しくみたいきましょう。

歯が黄ばむ大きな原因

歯は3つの層で構成されています。外側には、白色で半透明のエナメル質、その内側に象牙色をした象牙質、さらに象牙質の中には歯髄という神経が通っています。

歯の色を決定するのは、歯の表面のエナメル質の厚さや色、その内側の象牙質の色です。エナメル質が厚いほど、象牙質の歯が隠れるため、歯が白く見え、反対に、エナメル質が薄いほど、象牙質の歯が透けてしまうため、歯が黄色く見えてしまいます。

また、エナメル質の色味も個人で異なります。エナメル質の透明度が低く、白っぽい歯は当然白く見えますし、反対に、エナメル質の透明度高い歯は、内側の象牙質が透けて見えるため、歯が黄色っぽく見えてしまいます。

さらに、内側の象牙質の色にも個人差があります。象牙質の黄色味が強いほど、エナメル質からその黄色味が透けて見えるため、歯が黄ばんで見えてしまいます。

物理的に白くするのは難しい

このように、歯が黄ばんで見える原因は、食べ物や飲み物ばかりではありません。生まれつきの歯の質や構造の問題です。したがって、生まれつき歯の色が黄色い場合、物理的にそれを白くすることは難しいと言えます。

とはいえ、茶渋を丁寧に落としたり、歯のケアを入念に行ったりすることで、歯がより一層黄色く見えることを防ぐことはできます。もともと歯の色が黄色くても心配することはありません。

ステインの場合の改善方法

黄ばみのある歯の写真

ステインを落とす方法には、セルフホワイトニングでのケアのほか、専用の歯磨き剤、歯の消しゴムなどを使うやり方があります。セルフホワイトニング以外はご自宅でも実践することができますので、気楽にはじめることができますよね。

セルフホワイトニング

セルフホワイトニングとは、歯科医院ではないセルフホワイトニングのサロンでご自身がケアを行うこと。専任のスタッフが説明やサポートを行いますが、医療行為は行われません。つまり、セルフホワイトニングサロンには、国家資格を持った歯科医や歯科衛生士がいないため、医療行為を行うことができないのです。

歯科医院でのホワイトニングでは、歯科医や歯科衛生士が歯科でしか取り扱うことのできない薬剤を使って専門的に行いますが、セルフホワイトニングのサロンでは食品添加物としても知られているメタリン酸やポリリン酸、酸化チタンなどを使用します。

このため、痛みなどの心配はなく、それまでの食生活で着色した黄ばみを安全に除去することができますが、薬剤による漂白効果はありません。

なお、セルフホワイトニングは、歯科医院などでのホワイトニングに比べるとはるかにリーズナブルで、しかも30分ほどの施術で終わります。歯を白くすると言うよりは歯を元の白さに戻すと言ったほうが正しいですね。

歯磨き剤

最近では、ドラッグストアやネットなどで、さまざまなホワイトニング用の歯磨き剤が販売されています。どれを選んだらいいのか迷ってしまいますよね。歯磨き剤を選ぶ際のポイントは研磨剤で汚れを取るか薬剤の成分の力によって汚れをとるかです。

研磨剤とは汚れをしっかりと取れる一方で歯の表面に傷がついてしまいます。歯の表面にあるエナメル質が傷がつくとステインの汚れが逆につきやすくなってしまいます。

また、エナメル質が削れると知覚過敏などの原因になるほか、細菌が歯に付着しやすくなる恐れもあります。

最近では研磨剤フリーの歯磨き粉もでてきています。先ほど紹介したセルフホワイトニングの薬剤を歯磨き粉に配合し成分の力によってステインを除去してくれる歯磨き粉もあります。

歯の消しゴム

歯の消しゴムとは、まさに歯の汚れを除去する消しゴムのこと。製品によっては、歯の平面部分に使用できるようなワイドタイプと、歯の隙間に使用できるようなペンタイプの2種類があります。歯の気になる汚れを気軽にこすり落とすには打ってつけの製品です。

しかし、歯の消しゴムはシリコンゴムで作られており、これに研磨剤が使用されています。このため、強くこすったり、使いすぎたりすると、歯の表面を傷つけるだけではなく、歯の汚れや着色が以前よりもつきやすくなってしまいます。どうしても明日までにステイン除去をしたい時だけにするなど使いすぎるのは厳禁です。
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歯の表面の傷を修復する

歯の健康を目指すさまざまな製品の中には、歯の表面の傷を修復する役目があるものがあります。日々の歯ブラシや研磨剤歯磨き粉に使用、食事などで歯の表面には傷がつきます。

よく耳にするフッ素で歯の再石灰化を促したり、ハイドロキシアパタイトといわれる歯と同じ成分で歯の目に見えない傷を修復することでステインの付かないつややかなな歯にすることができます。
歯磨き粉の商品写真
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元の歯の色を白くする方法

男性が歯をむき出しにしている写真

歯の表面にこびりついたステインを除去する方法をいくつか見てきましたが、こうした方法では、本来の歯の色を改善することはできません。いわば歯を一時的に白く見せる方法です。

上の写真もステインのついていない元の歯い色が原因で黄色い歯です。元の歯の色を本格的に改善するためには、やはり専門的なホワイトニングだけになります。

ホワイトニング

ホワイトニングとは、もともとの歯の色を漂白し、明るくするための施術を行うこと。前述したように茶渋などの汚れなどを取り除くクリーニングとは異なります。

もともとの歯を白くする施術のため、虫歯などで神経を処置したことが原因で黒くなってしまった歯や人口の歯などには施すことができません。

ホワイトニングには、その方法のちがいによって、歯科医院やホワイトニング専門歯科医院などで行うオフィスホワイトニング、マウスピースを使って自宅で施すホームホワイトニング、このふたつの方法を併用するデュアルホワイトニングなどがあります。

ホワイトニングの種類

歯科医院などで行われるオフィスホワイトニングは、歯科医あるいは歯科衛生士が施術します。歯科医師や歯科衛生士ではないと扱えない薬剤であるホワイトニング剤には、過酸化水素を使用し、それを歯の表面に塗り、ライトなどを当てて薬剤を活性化します。詳しくはオフィスホワイトニングの記事をご覧ください。

自宅で行うホームホワイトニングは、歯科医院などでマウスピースを作ってもらい、それを使ってご自宅で施術します。通常1日2時間ほど、医師から処方された低濃度のホワイトニング剤をつけたマウスピースを装着し、最低2週間施術を行い続けることで、ゆっくりと歯を白くしていきます。このため、色の戻りが起こりにくいというメリットがあります。ホームホワイトニングに関しても詳しくはこちらの記事をご覧ください。
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法です。ふたつの方法を取り入れることで、理想に近い歯の色を色戻りなく実現することができます。

原因に合わせた改善方法を実践すること

白衣を着て眼鏡をかけた女性が手で丸をつくっている

歯に対する美意識が高まりつつある昨今、こうして気軽に様々な方法で歯の黄ばみを除去することができるようになりました。でも、実践する前に、まずはご自身の歯の汚れの原因を見極めましょう。そして、それに合った方法を選んでいくようにすると、失敗せずに歯の白さを実現できるはずです。

喫煙をする方や着色しやすい食べ物や飲み物をよく口にする方でも全くステインがついていない場合も多いです。歯が元々黄ばんでいて年齢と共に黄ばんでくることを知らない場合安易にタバコや飲み物のせいだと勘違いしがちです。

ステインがついていないのにステインを取る方法を一生懸命行ったとしても歯を傷めるだけで一向に白くはなりません。もし自分で原因がわからない場合はホワイトニングでカウンセリングをしてもらい診てもらうのが良いでしょう。

白く清潔な歯はあなたのモチベーションに

歯の黄ばみを作るステインにはさまざまな原因がありました。でも、もともとの歯の色が原因で黄ばんで見えることもあります。歯の黄ばみの原因をしっかりと見極め、それに合った方法で黄ばみを除去し、歯の白さを実現することが大切です。

白く清潔な歯はあなたの印象をよくするだけでなく、自分自身も歯に対しての意識が高まり歯を大切にしていくきっかけにもなります。あなたが理想とする歯を手に入れられるように願っています。