現役歯科衛生士が教える!ホワイトニングの知識【ホーム編】

歯を白くする方法はいろいろありますが、ホームホワイトニングもその1つです。自宅で気軽に取り組むことができて効果が長持ち。そのうえ、歯科医院でおこなうホワイトニングよりも料金を抑えられるというメリットもあります。今回は、ホームホワイトニングのメリットやデメリット、やり方などについて徹底解説していきたいと思います。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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歯について知ろう!

透明な歯の模型

ホームホワイトニングについて説明する前に、まずは簡単に歯の構造について勉強しておきましょう。それによって、ホームホワイトニングへの理解がより深まることと思いますよ。

歯の構造

私たちが一般的に「歯」と呼んでいるのは、歯ぐきから上に出ている部分のことを言います。実際は歯ぐきの内側にも歯があるのですが、ホワイトニングには関係ないのでここでは触れません。

歯ぐきから上にのぞいている部分の歯のことを、専門的には「歯冠(しかん)部」と呼んでいます。歯冠部はエナメル質と象牙質、そして歯髄(しずい)で構成されています。

エナメル質は歯のもっとも外側にある部分のことで、身体の中でもっともかたい組織であるといわれています。どれくらい固いかというと、鉄よりも固いということです。

象牙質は歯の大部分を構成する組織で、その内側に歯髄(いわゆる歯の神経)があります。そのため、象牙質にまで虫歯が進行してしまった場合、歯がとても痛むこととなります。

黄ばみの原因

ホワイトニングに興味を持つきっかけの1つとなるのが、歯の黄ばみではないでしょうか。では、そもそもなぜ葉が黄ばんでしまうのでしょう。その原因について見ていきたいと思います。

①老化

歯の黄ばんでしまう原因はいろいろあるのですが、誰にでも起こりうることでいうと、歯の老化があげられます。歯は簡単に言うと、もっとも外側にエナメル質があり、その内側に象牙質があります。

エナメル質はもともと白くて透明な見た目をしているのですが、象牙質はもともと黄色っぽい色をしています。そして、年をとるごとに象牙質の黄色が濃くなるのです。

また、歯磨き粉には多かれ少なかれ研磨剤が含まれていますが、長年の歯磨きによって歯の表面にあるエナメル質が摩耗し、それによって象牙質が透けて見えるため、歯が黄色く見えるということもあります。

②喫煙や食習慣

タバコを吸う人の歯が黄色くなることは、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。タバコに含まれているタール(いわゆるヤニ)は、松やに同様粘り気があるため、歯の表面に付着して黄ばんでしまうのです。

また、カレーなどの色の濃い食べ物や食品着色料、ワインや緑茶など、ポリフェノールやタンニンをふくむ飲み物をよく飲む習慣のある人も、歯が黄ばんでしまいやすくなるということです。

タールやポリフェノール、タンニンなどによる黄ばみのことを「ステイン」と呼んでいますが、いったんはの表面に付着してしまったステインは、通常の歯磨きではなかなか落とすことができないのです。

③歯の治療

歯の治療が原因で歯が黄ばんでしまうこともあります。たとえば、歯並びを直すために歯列矯正をおこなっている場合、どうしても歯の磨き残しができてしまうため、歯が黄ばんでしまいます。

また、歯の治療をおこなった際の金属の被せ物によって、歯が黄ばんだり、歯の根元が黒ずんでしまったりすることもあります。

④医薬品

歯の成長期にある種の抗生物質を服用したような場合、歯のエナメル質の形成に異常をきたし、生えてくる歯が黄色っぽかったり茶色っぽかったりすることがあります。

このような歯のことを、テトラサイクリン歯とよんでいます。テトラサイクリンとは、タンパク質の合成を阻害して、病原菌の増殖を防ぐタイプの抗生物質の総称のことです。

ホームホワイトニングのメカニズム

ホームホワイトニング用器具

歯の仕組みや歯が黄ばんでしまう原因について知ってもらったところで、次にホームホワイトニングによってどのように歯を白くするのかについて見ていきたいと思います。

過酸化尿素

歯科医院でおこなうホワイトニングのことをオフィスホワイトニングと言いますが、その際に用いられるホワイトニング剤には過酸化水素が配合されています。

ホームホワイトニングをおこなう際のホワイトニング剤には、過酸化水素とよく似た働きをする過酸化尿素が含まれたホワイトニング剤を利用することとなるのが一般的です。

というのも、過酸化尿素は自然に分解して、過酸化水素と尿素とに分かれるからです。その結果として発生した過酸化水素に、歯を白くする働きがあるという訳なのです。

歯科医院でおこなわれる過酸化水素を用いたホワイトニングは、即効性の高いことで知られています。それは、過酸化水素に強い漂泊効果があるからです。その代り、持続性はあまりないというデメリットがあります。

過酸化尿素は、徐々に分解されて過酸化水素と尿素とに分かれるため、漂泊効果そのものはオフィスホワイトニングに劣るものの、効果が長持ちするというメリットがあります。

特殊なマウスピースに過酸化尿素の入ったホワイトニング剤を塗布し歯に装着すると、過酸化尿素の分解によって生成された過酸化水素が酸化します。

過酸化水素は酸化する際に歯表面のエナメル質に沈着した有機物質をも酸化して分解するため、歯が白くなるという効果が得られるのです。

エナメル質深層を漂白

ホームホワイトニングは、じっくり時間をかけて浸透することによってエナメル質内部に沈着した有機質を分解していくことで色持ちの良い白さを手に入れられます。

時間はかかりますがしっかりと漂白できるのが一番のメリットと言えます。

行う期間

ホームホワイトニングは、オフィスホワイトニングに比べると比較的濃度の低い薬剤を使用するため、歯が痛んだりしみたりするリスクが低いというメリットがあります。

ただ、その分だけ漂泊効果がゆっくりと発揮されるため、2週間から1ヶ月にわたって使用を継続することが重要となります。

平均的な色のアップ

ホームホワイトニングをおをおこなう際には、1日に2時間程度マウスピースを装着することになるのですが、早い人の場合3日ほどで1段階、人によっては2段階歯が白くなるということです。

2週間から1ヶ月程度継続してホワイトニングをおこなうことで、周囲の人から見ても明らかに歯が白くなったことが分かるくらい(5段階程度)、歯を白くすることが可能だということです。

ホームホワイトニングの主な流れ

マウスピースを持つ女性

ホームホワイトニングでなぜ歯が白くなるのかを理解していただいたところで、次に、実際にホームホワイトニングをおこなう際の流れについて、簡単に説明しておきたいと思います。

マウスピースの作成

ホームホワイトニングをおこなう際には、最初にマウスピースをつくる必要があります。なぜなら、人の歯の形状や大きさ、歯並び等はそれぞれ異なっているからです。

そのため、その人その人の歯にフィットするマウスピースを作ることが重要なのです。歯の型取りをおこなってから、およそ1週間でマウスピースが完成するということです。

マウスピースにジェルを入れる

マウスピースが完成したら、いよいよホームホワイトニングの開始です。自宅でホワイトニングをする際には、マウスピースにホワイトニング用のジェルを入れて使用することとなります。

装着

次に、ホワイトニング用のジェルを入れたマウスピースを、歯に装着することでホワイトニングをおこないます。

そのまま時間を置く

マウスピースを装着したら、そのまま一定の時間マウスピースをつけたままにします。どれくらいの時間装着するかについては、ジェルの濃度によって変わってきます。説明書通りに使用しましょう。

マウスピースを洗う

ホワイトニングが終了したら、歯を磨いてジェルをキレイに落とします。マウスピースもしっかりと洗って乾かし、清潔に保つよう心がけましょう。

ホームホワイトニングのメリットデメリット

揺れる黄金の天秤

ホームホワイトニングは自宅でできる簡単なホワイトニング法ですが、メリットもあればデメリットもあります。それはどのようなことでしょう。

メリット

それでは最初に、ホームホワイトニングのメリットについて紹介したいと思います。その他のホワイトニング法と比べて、どのような点が優れているのでしょうか。

①持続性がある

ホームホワイトニングのメリットとしては、効果の持続性が高いということがあげられます。オフィスホワイトニングのように即効性があるわけではないものの、継続してホワイトニングをおこなうことで、効果を長持ちさせることが可能となっています。

②自宅で気軽に行える

ホームホワイトニングの最大のメリットは、自宅で気軽に行えるという点にあります。そのため、誰にも気づかれることなく、歯を白くすることが可能となっています。

③白くなる以外の効果

元々は歯周病予防から作られたお薬なので歯周病予防にもなります。

歯についている汚れも分解してくれるので歯周病予防につながるということです。

④濃度が選べる

ホームホワイトニングのメリットとしては、薬剤の濃度を選べるということもあげられます。それによって、歯がしみたり歯が痛くなったりするリスクを低下させることも可能となっています。

デメリット

ホームホワイトニングにはさまざまなメリットがありますが、物事にはメリットがあれば必ずデメリットもあるものです。それでは、ホームホワイトニングのデメリットとしては、どのようなことがあげられているのでしょう。

①ある程度の期間行う必要がある

ホームホワイトニングの最大のデメリットは即効性がないということです。最低でも2週間から1ヶ月程度はホワイトニングを継続しないと、他人が見て分かるほどの効果を得られません。

②手間がかかる

ホームホワイトニングのデメリットとしては、手間がかかるということもあげられます。歯科医院でおこなうオフィスホワイトニングの場合、極端にいえば口を開けているだけで勝手にホワイトニングが進んでいきます。

ところが、自宅でホワイトニングをおこなう場合、自分ですべてのことを準備しなければいけませんし、マウスピースも清潔に保つ必要があります。

③ホームホワイトニング中は飲食・喫煙の制限が

ホームホワイトニングをおこなう際には一定の時間、タバコを吸うことはもちろんのこと、カレーなどの色の濃い食べ物、コーヒーや赤ワインなど色素の濃い飲み物などを避ける必要があります。

デメリット解消法

ホームホワイトニングをやってみたいけど、即効で効果が出したいといったような場合、どのようにして対処すればよいのでしょう。また、面倒だという問題を解決する方法はないのでしょうか。

①オフィスと一緒に行う

ホームホワイトニングをおこなう際、効果を手っ取り早く出したいのであればデュアルホワイトニングと言って、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを並行しておこなうという手があります。

②慣れればかなり楽

ホームホワイトニングが面倒だという人もいますが、実際には面倒なのは最初のうちだけで、そのうちに慣れてしまいます。歯が白くなった自分をイメージして、楽しみながら行うものよいでしょう。

③短時間のタイプを選ぶ

ホームホワイトニングのメリットとして、ホワイトニング剤の濃度を選択できるということがあげられていました。即効性を得たいような場合は、短時間でホワイトニング効果の上がる薬剤を選択すると良いでしょう。

ホームホワイトニングの注意点

優しく微笑みながら上を指さす女性看護師

最後に、ホームホワイトニングをおこなう際の注意点について述べておきたいと思います。以下のような方は、ホームホワイトニングをおこなわないようにしましょう。

禁忌症の方は絶対に禁止

ホームホワイトニングをおこなう際には、過酸化尿素を用いるということでした。ところが、無カタラーゼ症という疾患を持っている人は、体内で過酸化尿素を分解することができません。

最悪の場合、過酸化尿素が体内に蓄積して、重篤な口腔疾患を招いてしまう可能性があります。無カタラーゼ症の方は、絶対にホームホワイトニングをおこなわないようにしましょう。

妊娠・授乳中は要注意

妊婦さんや授乳中の女性も、ホームホワイトニングを避けた方がよいでしょう。特に重大な問題が発生したという例はないようですが、安全性が担保されているという訳でもないようです。

矯正中の方は難しい

歯の矯正中の場合マウスピースを作っても歯が動いていくにつれてマウスピースが合わなくなってしまいます。矯正の装置もつけているのでマウスピースが作れない場合もありホームホワイトニングは難しいと言えるでしょう。

ただ、マウスピース矯正の場合はそのマウスピースを使用して行うことが可能な場合があります。矯正の先生に一度聞いてみましょう。

ホームホワイトニングで輝く歯を手にいれましょう!

ホームホワイトニングについて詳しくみてきましたが、いかがだったでしょうか。自宅で簡単にできて、輝くような歯の仕上がりを得られるホームホワイトニングは、歯を白くしたい人の強い味方となっています。ホワイトニングをおこなう際には、使用上の注意をよく読み、用法・用量をちゃんと守るようにしてくださいね。