「ホワイトニングに興味があるけど、種類がたくさんあってどれを選んでいいかわからない」という方、いらっしゃいませんでしょうか。
今回の記事では歯科医院でおこなわれる専門性の高いホワイトニングである「オフィスホワイトニング」について、隅から隅まで解説していきたいと思います。
CONTENTS
歯について知ろう!
オフィスホワイトニングについて解説する前に、まずは歯の構造について知っておきましょう。それによって歯の黄ばむ原因や、ホワイトニングによってなぜ歯を白くすることが可能なのか、分かりやすくなると思います。
歯の構造
「歯の構造について知っていますか?」と改まって聞かれると、正確に答えることはなかなか難しいのではないでしょうか。
ここではごく簡単に、歯の構造について説明したいと思います。歯は大きく分けると「歯冠部」と「歯根部」とに分類されます。
実際には歯頸部と呼ばれる部分もあるのですが、ホワイトニングに関して説明する際にはあまり重要ではないので、ここでは省いています。
歯根部は歯を支えている部分のことで、歯槽骨や歯根膜、歯肉などから成っています。こちらもやはりホワイトニングには関係ないので、詳しい説明は省きたいと思います。
歯冠部は歯ぐきの上から覗いている部分のことを指しており、私たちが一般的に歯を磨くとか、歯並びなどというときには、歯冠部を見ていることがほとんどです。
歯冠部は主として、「象牙質」と呼ばれる固い組織によって構成されています。そして、その周りを「エナメル質」という、人体の中でもっとも固い組織が包み込んでいるのです。
一般的にエナメル質は白い色をしており、象牙質は黄色っぽい色をしているという特徴があります。
黄ばみの原因
歯の構造について簡単にですが知ってもらった上で、次に、なぜ歯が黄ばんでしまうのか、その理由について説明していきたいと思います。
歯の黄ばみの原因としてもっとも一般的なのは老化です。象牙質がもともと黄色っぽい色をしていることは先述したとおりですが、加齢とともに象牙質の黄色みが増してくることが分かっています。
黄色みが強くなった象牙質が透けて見えることによって、年をとると歯が黄色く見えてしまうという訳なのです。また、長年の歯磨きによってエナメル質がすり減ることによって、さらに象牙質の色が目立つ結果ともなります。
歯が黄ばんでしまう原因としては、喫煙習慣や食習慣もあげられます。タバコに含まれているタール(いわゆるヤニ)が歯の表面に付着することで歯が黄ばんでしまうことは、みなさんもなんとなくご存知なのではないでしょうか。
あと、意外に思われるかもしれませんが、食習慣によって歯が黄ばんでしまうことがあります。カレーや着色料の入った食べ物など、色の濃い食べ物をよく食べる習慣がある場合、歯が黄ばんでしまうケースがあります。
また、ワインや緑茶、コーヒーなど、ポリフェノールやタンニン、カフェインを含む飲み物を好んで飲用する人にも、歯の黄ばみが現れやすい傾向があります。
飲食物によって歯に現れる黄ばみのことを「ステイン」と呼んでおり、いったん歯に付着してしまったステインは、通常の歯磨きではなかなか取れない厄介な存在となっています。
他にも遺伝的要因で歯が黄ばんでしまったり、歯の成長期に飲んだ医薬品のせいで歯が黄ばんでしまったりすることもあるということです。
オフィスホワイトニングのメカニズム
それでは今回のメインテーマであるオフィスホワイトニングについて詳しく見ていきましょう。オフィスホワイトニングにはどのような効果があるのでしょうか。
過酸化水素
歯科医院でおこなわれるオフィスホワイトニングと、民間のサロンやエステなどでおこなわれているホワイトニングとの最大の違いは、ホワイトニング剤に過酸化水素を用いているかどうかです。
過酸化水素は医師、または歯科衛生士の資格を持った人間しか扱うことができないため、原則として過酸化水素を含むホワイトニング剤を用いたホワイトニングは、歯科医院でしかおこなうことができません。
マスキング効果
歯が黄色く見えるのは表面のエナメル質のエナメル小柱と言う表面が平らな何本もの柱で構築されていて、そこに光を通すことにより内部の象牙質の黄ばみが透けて見えてしまっている状態です。
そこで過酸化水素を塗布することによりエナメル小柱に表面を丸くします。そうすると光が乱反射して内部の象牙質が見えにくくなります。
つまり歯の表面のすりガラスのようにして内部の象牙質の黄ばみを見えにくくするのがマスキング効果です。
フリーラジカル効果
元々歯は無機質ですが生活していると段々有機質の着色物が蓄積されていきます。
過酸化水素を歯に塗布すると、過酸化水素は水と酸素基に分解されこの時フリーラジカル(活性酸素)が発生します。
この時に発生したフリーラジカルが、エナメル質に蓄積されている有機質に反応して分解し脱色するため歯が白く見えるしくみです。
平均的な色のアップ
オフィスホワイトニングをおこなう際には、「シェードガイド」と呼ばれる歯の見本を用いて、歯の白さを確認するのが一般的です。
それによって、ビジュアル的にどれくらい歯の白さがアップしたのかが分かるようになります。また、オフィスホワイトニングは見えている歯全体におこなうため、平均的に歯の白さをアップさせることが可能となっています。
照射の回数などにもよりますが2~3段階から一気に9段階くらいまで白さをアップすることが可能になります。
オフィスホワイトニングの施術の流れ
オフィスホワイトニングで歯が白くなるメカニズムについて知ってもらったところで、次に、実際のオフィスホワイトニングの流れについて見ていきましょう。
表面の汚れを落とす
オフィスホワイトニングをおこなう際には、いきなりホワイトニング剤を塗布する訳ではありません。ホワイトニングの効果をあげるためにも、最初に歯の表面のクリーニングをおこないます。
また、実際の施術に入る前に虫歯がないかどうかや、ホワイトニングができる歯であるかどうかなどを確認します。
あと、シェードガイドと呼ばれる歯の見本を使って、現在の歯の色がどのレベルにあるのかを確認します。
ただし、歯のクリーニングをおこなう際に歯石が発見されたような場合、「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」と呼ばれる措置がおこなわれることとなります。
PMTCとは、歯科衛生士や歯科医師といった専門家が、歯のクリーニング専用の機器を用いて歯の表面をキレイにすることを意味します。歯磨きでは取れないバイオフィルムを剥がすこともできてよりホワイトニングの効果を高めることができます。
薬剤を塗布
カウンセリングや歯の表面のクリーニングが完了したら、実際の施術に入ります。まずは歯の表面にホワイトニング剤を塗布することから始めます。
ホワイトニング剤を塗布する際には、口をあけたままにしておく開口器(マウスリトラクター)を装着し、歯ぐきや唇にホワイトニング剤がかからないように注意しながら、歯の表面にホワイトニング剤を塗布していきます。
光を当てる
オフィスホワイトニングはホワイトニング剤を塗布したらそれでおしまいという訳ではありません。なぜなら、光を照射することによって過酸化水素の働きが活性化するからです。
ホワイトニング剤を塗布した後に光の照射をおこなうのとおこなわないのとでは、歯を白くする効果が3倍も違ってくると言われています。
光の照射をおこなうときには、目を保護するために専用のサングラスを装着します。そしてホワイトニング剤をふき取り、新しいホワイトニング剤を塗布し、さらに光の照射をおこないます。
何度おこなうのかは歯科医院によっても異なっています。行う回数により白くなる度合いや値段も変わってきます。
仕上げ磨き
ホワイトニングが終わったらホワイトニング剤をふき取り、うがいをし、フッ素を配合した研磨剤を用いて歯の表面を磨きます。それによって、歯の表面がツルツルとした感じになります。
これを行うことによりホワイトニングの色持ちが良くなります。
以上は歯科医院によっても内容が変わってきます。
オフィスホワイトニングのメリットデメリット
オフィスホワイトニングで歯が白くなるメカニズムや、治療の流れについては理解して頂けたことと思います。では、オフィスホワイトニングをおこなうことには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット
まずはオフィスホワイトニングをおこなうことによって、どのようなメリットが得られるのかについて見ていきたいと思います。
①即効性がある
オフィスホワイトニングの最大のメリットは、即効性があるということです。1回のホワイトニングをおこなっただけで、目に見えて歯の白くなる効果が実感できます。
②専門家に行ってもらえる安全性
オフィスホワイトニングのメリットとしては、歯科医師や歯科衛生士といった、「歯のプロフェッショナル」がおこなってくれるという安全性もあげられます。
原則的に、生業として口腔内に触れることは、専門の資格を持つ者しかおこなってはいけません。これは、身体に傷をつけるような治療は、医師しかおこなってはいけないのと同じことです。
③手間がかからない
オフィスホワイトニングのメリットとしては、手間がかからないということもあげられます。基本的に椅子の上に座って口をあけているだけで施術はどんどん進んでいきます。
問診や歯のクリーニング、アフターケアをあわせても小一時間ほどで終わってしまうので、気軽に受診することが可能となっています。
デメリット
オフィスホワイトニングにはさまざまなメリットがありますが、残念ながらデメリットもあります。それは以下のようなことです。
①色戻りする
オフィスホワイトニングには即効性があるのですが、その効果はやはり永続するものではありません。施術後になにもケアしなかった場合、個人差はありますが、数ヶ月から1年程度で元に戻ってしまうということです。
そのため、オフィスホワイトニングは何度かに渡って施術を受け、その後も定期的にメンテナンスを受けたり、食習慣を改善したりすることが重要となります。
②費用
オフィスホワイトニングのデメリットとしては、費用がそれなりに必要となるということもあげられます。原則としてホワイトニングは審美目的でおこなわれる施術であるため、保険の適用がありません。
そのため、費用は全額自己負担ということになります。歯科医院の多い土地では価格競争が起こっているため、比較的安価に施術を受けることが可能ですし、地方都市など審美歯科の少ないところでは都市部よりも費用の負担が大きくなります。
費用は歯科医院によってまちまちなので、オフィスホワイトニングに興味がある方は、審美歯科をおこなっている歯科医院に問い合わせてみたり、ホームページを見たりするとよいでしょう。
③知覚過敏がでることがある
オフィスホワイトニングを行うと人によっては一時的に知覚過敏になる場合があります。事前のカウンセリングの際に、しっかりと説明を受け心配な方はその旨を相談するようにしましょう。
デメリット解消法
オフィスホワイトニングにもいくつかのデメリットがありますが、それらを解消する方法があるので、紹介しておきたいと思います。
①ホームホワイトニングとの併用
ホワイトニングの方法として、オフィスホワイトニングのほかに、ホームホワイトニングというやり方があります。ホームホワイトニングは文字通り。自宅でおこなうホワイトニングのことです。
専用のマウスピースにホワイトニング剤を塗布して、それを歯に装着することで歯を白くしていきます。オフィスホワイトニングほどの即効性はありませんが、白さの色持ちが良いというメリットがあります。
また、一度マウスピースさえ作ってしまえば、ホワイトニング剤を追加購入するだけで白さの維持が出来るため、費用の負担を軽減することも可能となります。
②フッ素やカルシウムペーストを使用
オフィスホワイトニングをおこなうことで知覚過敏が出るような場合は、市販のフッ素ジェルを歯に塗布したり、知覚過敏用の歯磨きを用いたりするとよいでしょう。
オフィスホワイトニングの注意点
オフィスホワイトニングは専門の技術者によっておこなわれるため、比較的安全なホワイトニング法です。ただ、以下のような場合は注意が必要です。
禁忌症の方
オフィスホワイトニングは特殊な薬剤を用いるため、以下のような方がおこなうことは出来ません。
①妊娠・授乳中
妊婦さんや授乳中の女性がオフィスホワイトニングをおこなった場合、薬剤が血液中に溶けだす可能性がるあるため、ホワイトニングをおこなうことはおススメできません。
②無カタラーゼ症
無カタラーゼ症の人は、薬剤に含まれている成分を体内で分解することができません。最悪の場合、重篤な口腔疾患を誘発する場合があるため、絶対に禁止とされています。
③小児
小児の歯は成長過程にあるため、ホワイトニングをおこなった場合、歯の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
食事制限あり
オフィスホワイトニングをおこなってから2~12時間は、色の濃い食べ物を食べることは制限されています。なぜなら、ホワイトニングをおこなってから歯の表面に再着色しやすくなっているからです。
なるべく食事制限の時間が短いところを選ぶのも得策です。
知覚過敏の予防を
オフィスホワイトニングによって知覚過敏が出てしまうような人は、普段から知覚過敏用の歯磨きを使用したり、フッ素ジェルを塗ったりするなどして対処しましょう。
歯ぎしりによって歯に知覚過敏がでる方もいるので歯ぎしり予防装置なども有効です。
オフィスホワイトニングの歴史
ホワイトニングの歴史は意外と古く、最初にホワイトニングがおこなわれたのは1844年といわれています。オフィスホワイトニングが発見されたのはほんの偶然で、歯科医師が日光浴をしていたときにひらめいたそうです。
ただ、実際にオフィスホワイトニングが実用化されたのは1991年のことで、日本でも1998年になって本格的にオフィスホワイトニングがおこなわれることとなりました。
オフィスホワイトニングとは
オフィスホワイトニングについて徹底解説してきましたが、いかがだったでしょうか。歯を白くしたいというのは男女共通の悩みであり願いでもありますよね。
オフィスホワイトニングは歯のプロフェッショナルがおこなう、安全性の高いホワイトニング法です。気になる方は一度、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。