食品に添加したり、お掃除に用いたりと大活躍の重曹ですが、ホワイトニング効果もあるというような噂を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「台所や換気扇の掃除に使う重曹を歯磨きに用いるのはちょっと…」という方に、重曹で歯磨きすることの効果や安全性を紹介したいと思います。
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重曹を歯に使って本当に大丈夫?
重曹歯磨きや重曹うがいは、今注目を集めている方法ですが、本当にお口の中に使ってもいいものなのでしょうか?
食用の重曹であれば使用可能
重曹には食用だけでなく清掃に使うものなど種類がありますが、歯磨きに使う場合は食用の重曹を使うことが絶対ですがこちらは問題なく使えます。
実際に販売されている歯磨き粉の中に最初から重曹が配合されているものも多くあるため歯磨きの時に重曹を使用することは通常とも言えます。
歯を傷をつけてしまうこともある
重曹には研磨効果があるので、重曹歯磨きをおこなうことによって、歯のクリーニングをすることが可能となっています。簡単に言えば、歯の表面に付着した汚れを落とすことができるということです。
ただし、一般的に歯磨き粉にも言えることなのですが、研磨効果のある重曹を用いて歯を磨き過ぎてしまった場合、歯の表面に傷を付けてしまう可能性があります。
試しに、重曹を使わなくなった歯ブラシに付けて、アルミホイルを磨いてみましょう。そうすると、アルミホイルの表面が剥げてくるのが分かると思います。
重曹歯磨きによって歯の表面を傷つけてしまった場合、どのような不都合が生じるのでしょうか。それには、歯の構造を理解しておく必要があります。
私たちが歯という場合、一般的には歯冠といって、歯ぐきの上にある部分のことをそう呼んでいるケースがほとんどです。そして、歯冠はエナメル質、象牙質、歯髄(いわゆる神経)によって構成されています。
エナメル質は透明でつやのある部分ですが、象牙質は黄色っぽい色をしています。そのため、重曹歯磨きによってエナメル質を磨き過ぎてしまうと、次第に象牙質が目立つようになってきます。
象牙質は個人差こそあるものの、一般的には黄色っぽい色をしているため、歯の磨き過ぎによって、歯が黄ばんで見えてしまうこととなります。
また、象牙質の内側には歯髄といって、いわゆる歯の神経が貼りめぐらされているため、象牙質がむき出しになることによって、知覚過敏を誘発してしまうリスクが高くなります。
塩分の過剰摂取に注意
重曹は、正式には炭酸水素ナトリウムということでしたが、重曹には塩化ナトリウム(いわゆる塩)と同様、塩分を多く含むという特徴があります。
そのため、頻繁に重曹を用いて歯磨きをしたりうがいをしたりすることによって、塩分を過剰に摂取してしまうリスクが高くなります。
特に、塩分の摂り過ぎが原因で生活習慣病を発症しているような人の場合、重曹歯磨きや重曹うがいは慎重におこなう必要があります。
「重曹を飲み込まないようにすればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、飲み込まなくても口腔の粘膜から塩分は吸収されてしまいますので注意が必要です。
歯石がつきやすくなる
重曹には口内環境を中性にしてくれる働きがありますが、過剰に摂取してしまった場合、口内環境が逆にアルカリ性に傾いてしまう可能性があります。
本来であれば、私たちの口内は弱酸性に保たれているのが理想です。弱い酸によって口内の細菌や虫歯菌を除去することが可能となっているからです。
ただ、酸性に傾き過ぎてしまうと歯のエナメル質が溶けたり、虫歯の元となる悪玉菌が活性化したりすることにつながります。
そのため、重曹歯磨きや重曹うがいで口内環境を中性に戻すことが重要なのですが、反対にアルカリ性になってしまった場合、口内の細菌や虫歯菌をやっつけるという肝心の働きが弱くなってしまいます。
それによって細菌の住処=歯石が付着しやすくなってしまうのです。重曹歯磨きや重曹うがいによって歯石が目立つようになったり、歯が黄色っぽくなったりするようであれば要注意です。
重曹ホワイトニングをするメリットとデメリット
やはり今回気になるのが重曹でホワイトニングをすることができるのかどうかだと思いますがここでは重曹でホワイトニングをした場合のメリットとデメリットをご紹介します。
重曹でホワイトニングをするメリット
1・値段が安い
重曹でホワイトニングをする一番のメリットは値段が安いことがあげられます。スーパーやネットで購入した場合でも1キロ1000円以内で手に入れることができます。
2・手に入れやすい
重曹でホワイトニングをしようと思った場合薬局やスーパーで普通に売っているためすぐ手に入れることができます。ネットでも様々な種類があるため自分の気に入ったものをすぐ購入することができます。
3・自分で行える、簡単
サロンや歯科医院に行かなくても自宅で手軽にホワイトニングを行うことができるのが注目を集めている点でもあります。ただ歯を磨くだけでホワイトニングをすることができるのでおすすめです。
4・忙しくても大丈夫
歯ブラシに重曹をつけるだけでホワイトニングが完了してしまうため、仕事で忙しい方でも毎日の歯磨きに摂り入れるだけで大丈夫です。
5・歯に付いた着色を除去できる
重曹ホワイトニングでは歯に付いた着色ぼ汚れを研磨効果によって除去することができます。歯に着色が付きやすい方はその着色が取れたことで歯が綺麗に見えます。
重曹でホワイトニングをするデメリット
1・歯そのものを白くすることはできない
歯が黄色い原因は歯の内側の部分が黄色いためであり、重曹で研磨したとしても歯そのものが白くなることはありません。
2・歯の表面が傷つく
先ほども話ましたが、重曹で歯を磨くことによって歯の表面は傷つきます。その結果、知覚過敏になってしまったり、汚れがつきやすくなり口腔内環境は悪化します。
3・皮膚や粘膜にダメージ
重曹はアルカリ性のためたんぱく質や油脂を分解する効果があります。そのせいで喉や歯茎がダメージをうけてしまうことがあります。頻度や濃度には注意しましょう。
4・着色がつきやすくなる
先ほどメリットで着色を除去できるとご紹介しましたが、重曹で歯磨きを続けることによって歯の表面が傷つき結果的に着色がつきやすくなってしまうのです。
5・歯が黄ばむ
口腔内がアルカリ性に傾くと歯石がつきやすくなることは先ほども紹介しましたが、歯石がつくことによって歯が黄色く見えてしまいます。白くしたいと思って重曹ホワイトニングを行ったのにそれによって黄色くなってしまうとは本末転倒ですね。
重曹ってどんなものなの?
重曹で歯を磨く効果や注意点、安全性などについて説明する前に、まずは、そもそも重曹とはどのようなものなのかについて解説しておきたいと思います。
炭酸水素ナトリウム
重曹は、正式名称を炭酸水素ナトリウムと言います。化学的に説明すると、ナトリウムの炭酸水素塩であり、化学式で表すと「NaHCO³」となります。
炭酸水素ナトリウムは別名を重炭酸ナトリウムとか、重炭酸ソーダなどと呼ばれることもあり、ソーダの当て字が「曹達」であることから、重曹と呼ばれるようになったという経緯があります。
重曹の用途
重曹についてよく知っていらっしゃる方でしたら、その用途が幅広いこともご存知かもしれません。まず、重曹には食品添加物として料理に使われるという用途があります。
重曹というとピンとこない方でも、ベーキングパウダーというと分かりやすいのではないでしょうか。料理における重曹は、ホットケーキやクッキーなどを膨らませる目的で使われています。
これは、炭酸水素ナトリウムが、熱に反応して二酸化炭素を発生させる性質に由来しています。二酸化炭素はよく言われるところの「炭酸」というやつですね。
その他にも重曹は、山菜のアクを抜く目的で使用したり、お肉を軟らかくする働きがあることから下準備に使われたりもしており、料理をする際にも大活躍しています。
また、重曹には洗浄効果があることもよく知られています。重曹には研磨効果があることから、湯呑についた茶渋を落としたり、キッチンの油汚れを落としたりするときに用いられます。
この研磨効果によって、歯を洗浄することも可能となっているのです。歯をキレイにする目的で使われる重曹は、主に歯磨き粉に練り込まれることとなります。
重曹にはまだまだいろいろな働きがあります。例えば消化剤として用いられることもありますし、pH(ペーハー)調整剤として用いられることもあります。
まだまだいろんな場面で用いられることのある重曹ですが、全てを紹介するスペースがないため、このあたりで終わりにしたいと思います。
食用のものを使う
重曹を用いて歯のクリーニングをする際には、当然ですが食用の物を用いることとなります。常識で考えても、換気扇を洗う目的の重曹が歯に適していないのは簡単に分かることですよね。
重曹を用いて歯をキレイにするもっとも簡単な方法は、重曹入りの歯磨き粉を購入するということです。その他にも、重曹を直接歯ブラシに漬けたり、重曹と水を混ぜてペースト状にして使ったりする方法もあるということです。
購入できる場所
重曹自体は、スーパーやホームセンター、薬局やドラッグストアなどの他、インターネットの通販でも購入することが可能となっています。
ただし、歯をキレイにする目的で購入する場合には、薬局やドラッグストア、スーパーの食品コーナーで、食品用の重曹を購入するようにしましょう。
間違ってもホームセンターやスーパーの掃除グッズコーナーで、掃除用の重曹を買ったり、それを歯磨き用に用いたりしないで下さい。
重曹を使ってみる
それでは次に、実際に重曹を用いる際の使い方について解説したいと思います。重曹は歯磨きをする以外にも、うがいをする際に用いることがあります。その目的と効果の違いについても説明していきます。
重曹歯磨き
歯をキレイにする目的で重曹を用いる際には、重曹歯磨きをするのが一般的です。重曹の入った歯磨き粉を用いて歯を磨くという方法が、もっともポピュラーなやり方となっています。
その他にも、重曹を直接歯ブラシに付けて歯を磨くやり方もありますし、重曹を水やハッカ油、グリセリンなどと混ぜてペースト状にし、それを歯ブラシに付けて歯を磨くやり方もあります。
インターネット上ではまるで料理のレシピのように、重曹のペーストの作り方を紹介したサイトやブログなどがあります。興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
先にも述べたように、重曹には研磨効果があるため、歯をクリーニングすることが可能となっています。
重曹うがい
重曹を用いた口内環境の改善法として、重曹うがいという方法があります。重曹うがいは、500mlの水に3gの重曹を溶かした水溶液を用いてうがいをすることを言います。
重曹うがいには、虫歯を予防したり、口臭を予防したりする効果があるとされています。なぜなら、重曹うがいには口内をアルカリ性にする効果があるからです。
私たちが虫歯になってしまう原因の1つとして、口内が酸性になってしまうことがあげられています。酸は歯を溶かしたり、歯周病の原因となったりします。特に、食事の後には口内が酸性になるため、食後の歯磨きが推奨されている訳です。
重曹の水溶液はアルカリ性であるため、食事をした後に重曹うがいをすることで、口内のpHを中和することが可能となり、それによって虫歯の予防効果を高めることができる訳なのです。
さらに、重曹には酸性の臭いに対する脱臭効果もあります。そのため、重曹うがいをおこなうことで口臭予防につなげることも可能となっているのです。
重曹のホワイトニング効果は?
重曹にはさまざまな働きがあり、また、口内環境の改善にとっても有効であることが分かって頂けたことと思います。では、実際に重曹歯磨きをすることで、歯のホワイトニングをおこなうことは出来るのでしょうか。
重曹の作用
重曹歯磨きによって歯のホワイトニング効果が得られるのかどうかを知るためには、歯に対する重曹の作用について理解しておく必要があります。
重曹の作用機序は先にも述べたように、食事などが原因で酸性になってしまった口内環境を、中性に戻すことにあります。
それによって、虫歯を予防したり口臭を防いだりする効果が得られるという訳です。また、重曹のアルカリ性によって口内環境を中性にすることで、歯の再石灰化を促進する効果も期待できるということです。
実際は表面の汚れを取るだけ
では、重曹には歯のホワイトニング効果があるのかどうかという点についてですが、これに関しては「ホワイトニング効果はあまり期待できない」と言わざるを得ないようです。
なぜかというと、重曹に含まれているのは研磨剤であって、ホワイトニング剤ではないからです。歯科医院などで用いられるホワイトニング剤には、過酸化水素といって、歯を漂白する効果のある薬剤を用いています。
過酸化水素を歯に塗布して専用のライトを照射すると、過酸化水素が活性化して、酸素と水とに分解されることとなります。
その際に発生した酸素が、歯のエナメル質(歯のもっとも表層の部分)に付着している有機物と反応することによって、歯の色素を分解して透明にするのです。
重曹は炭酸水素ナトリウムであるため、歯を漂白するような働きはありません。そのため、重曹を用いて歯を磨いても、実際には歯の表面に付着している汚れを落とす効果しか期待できないのです。
重曹はどんな人におすすめ?
重曹には歯をキレイにする効果はあるものの、歯のホワイトニング効果は期待できないということでした。では、重曹を用いて歯をクリーニングするのは、どのような人におすすめなのでしょうか。
重曹を用いて歯をキレイにするのがおススメな人としては、まず虫歯を予防したい人があげられます。重曹には食事によって酸性に傾いた口内環境を中性に戻してくれる働きがあります。
次に、口臭を予防したいような人にとっても、重曹を用いて口内環境を改善するのがおススメと言えます。ただし、口臭の予防はさまざまです。
口内環境が酸性に傾いていることで悪臭を発しているようなケースであれば、重曹歯磨きや重曹うがいによって、口臭を予防したり悪臭を改善したりすることが可能です。
ただ、口臭の原因が胃からくるものであったり、加齢であったり、差し歯や歯の詰め物からくるものであったりした場合、重曹歯磨きや重曹うがいでは対処が出来ません。
着色を少しでも除去したいと思っている方にはおすすめといえますが、その後さらに付きやすくなってしまうことは頭の中に入れておいてくださいね。
重曹を上手に使いましょう!
重曹を用いた歯磨きやうがいには、口内環境を改善する効果があり、虫歯を予防したり、口臭を防いだりすることが可能ということでした。ただし、上手に使わないとかえって虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性もあります。
また、重曹には歯の表面の汚れを落とす効果しかありませんし、磨き過ぎるとかえって歯が黄色っぽくなってしまうリスクもあります。あくまでも重曹は歯をキレイにする目的で利用し、ホワイトニングをしたい場合には歯科医院などで相談するとよいでしょう。
歯を白くするのにあまりお金をかけたくない方は歯磨き粉をホワイトニングの効果があるものに変えてみるのも1つの方法です。ホワイトニング効果のある歯磨き粉についてはこちらの記事を参考にしてください!