ストレッチの種類と方法!ダイエットするならどのストレッチ?

ストレッチをすると、ダイエットしやすくなるなどと言われています。なぜそのようなことが可能なのでしょうか。また、ダイエットできるとすれば、どのような方法があるのでしょう。今回は、ダイエットとは何かということから紐解いて、ストレッチの種類やその効果について解説します。

ストレッチというと、「対象となる筋肉を意識して少し痛いくらい」おこなうというイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ところが、最近ではそのような従来型のストレッチが否定される場面もあるようです。

今回は、ストレッチとは何か、またどのような種類があるのかを解説するとともに、ダイエットにも効果的なストレッチを紹介します。

そもそもストレッチとは?

電子ブックを読む女性

ストレッチをすることによってダイエットができるのか、また、できるとしたらどのようなストレッチを選択すればよいのかを紹介する前に、まずは、そもそもストレッチとはどのようなものなのかについて紹介していきたいと思います。

筋線維を伸ばすこと

ストレッチとは、ごく簡単にいえば筋肉を伸ばすことです。筋肉とは一つの塊でできているのではなく、筋線維という線維の束によって構成されています。

私たちが通常「筋肉」と呼んでいるのは「骨格筋」のことを指します。その由来は、筋肉が骨と骨とを結んでおり、筋肉の収縮や弛緩によって関節を動かしているからです。

身体の中心部からみた場合、筋肉が付着している骨の近位端(身体の中心部から近い法)のことを筋肉の「起始部」と呼んでおり、遠位端のことを筋肉の「停止部」と呼んでいます。

筋肉の起始部と停止部との間にある、筋肉の盛り上がった部分のことを筋紡錘と呼んでいます。力こぶの筋肉(上腕二頭筋)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)をイメージしてもらうと分かりやすいのではないでしょうか。

ストレッチとは、この筋紡錘の部分を伸ばす動作のことを意味します。筋肉の起始部や停止部は腱に移行しているため、ストレッチによって伸びることがありません。たとえば、ストレッチでアキレス腱が伸びたら大変ですよね。

ストレッチの種類

ストレッチというと、ある年齢より上の人は「少し痛いくらいの方が効果的」と思っているかもしれませんが、最近ではそのような考え方は否定されがちです。そして、ストレッチには大きく分けて、静的ストレッチと動的ストレッチの2種類があります。

静的ストレッチ

公園でストレッチをしている女性

それではまず、静的ストレッチについて見ていきたいと思います。静的ストレッチはスタティックストレッチともいわれており、皆さんがストレッチと聞いたときにまずイメージするタイプのストレッチだと思います。

効果

静的ストレッチの効果としてはまず、関節の可動域を広げられるということがあげられます。筋紡錘がゆるむことによって、関節が広げやすくなるという訳です。

また、筋肉を緩めることによって、血行を促進することも可能です。さらに、ストレッチにはリラクゼーション効果もあるため、副交感神経を優位にして、睡眠の質を高めることも可能となっています。

やり方

静的ストレッチのやり方は、対象となる筋肉を30秒から40秒程度伸ばすだけです。ただ、最近では対象となる筋肉を意識しすぎず、リラックスしておこなうことが重要だとされています。

腕のストレッチとしてよくおこなわれるのが、上腕三頭筋(力こぶと反対側の筋肉)のストレッチです。肩こりの解消にも効果的なので、無意識におこなっている人も多いと思います。

右手の上腕三頭筋のストレッチをおこなう場合、右手を顔の左の方へまっすぐにのばし、左手の手首の部分で、右手の手首を引きつけます。このときに、右手が下がらないよう、まっすぐの状態を保つように意識しましょう。

デスクワークをおこなっている人の場合、前腕の屈筋群のストレッチも効果的です。手をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを上にむけます。反対側の手で人差し指から小指を掴んで、手のひらを反らすように下方へと力を加えます。

いずれのストレッチも左右交互に、30秒×3セットほどおこなうとよいでしょう。また、以降のストレッチも同様ですが、お風呂に入って身体を温めることによって、より効果的におこなうことが可能です。

肩甲骨周囲

肩甲骨周囲にもデスクワークなどによるこりがたまりやすいので、積極的にストレッチしてあげるとよいでしょう。肩甲骨のストレッチをする場合、まず右手で右肩を触ります。次に、左手を右ひじに添えて、まっすぐ後ろへと力を加えます。

肩甲骨の外側もデスクワークの人はこりやすいので、やはりストレッチで柔軟にするとよいでしょう。やり方は、前腕のストレッチを応用します。

まず、右手をまっすぐ前の伸ばし、手のひらは上にむけます。左手で右手の人差し指から小指をつかみ、下方へと力を加えます。この段階で、右手の屈筋群(前腕の日焼けしにくい方)にハリが出ていることと思います。

その状態からさらに、左手で右手を内側(おなか側)にねじります。肩甲骨の外側辺りにハリが感じられれば、上手にストレッチできている証拠です。左右ともにおこないましょう。

股関節

股関節が固くなると、股関節だけでなく腰痛や膝痛の元となってしまいます。股関節は沈黙の運動器ともよばれており、気が付くとかたくなっていたということがほとんどです。日頃から柔軟性を保つようにしましょう。

股関節のストレッチとしておすすめなのが、ヨガの身体をねじるポーズです。まず、床やヨガマットなどに足を投げ出した状態で座ります(長座)。

次に左足を、あぐらをかくようにまげます。さらに、右膝を立てて、右足を左の膝の外側へもってきます。その状態から身体を右にひねり、左の肘で右の膝を押すようにします。

慣れないうちは、左足を伸ばしたまま右足を曲げて、右足を左膝の横におきます。その状態で、左の肘で右の膝を押すようにして、身体を左にねじるようにしましょう。両方の股関節を同時にストレッチングできるのでおススメですよ。

太もも

太もものストレッチは、前面と後面とを分けておこなうとよいでしょう。太ももの前面には大腿四頭筋と呼ばれる筋肉があり、大腿直筋と外側広筋、内側広筋、縫工筋で構成されています。

大腿四頭筋が固くなると、股関節だけでなく、膝関節にも悪影響を与えてしまいますので、夜寝るときに寝ながらでもよいのでストレッチしましょう。

大腿四頭筋をストレッチする際には、仰向けに寝た状態で、片方の膝を曲げてお尻の横側に持ってきます。太ももの前面にハリが感じられれば、上手にストレッチできている証拠です。

ハムストリングスのストレッチには、タオルを使うと便利です。片方の足を上にあげて、両手に持ったタオルを足の裏へと引っ掛けます。その状態で、膝が曲がらないようにして足をまっすぐ上にあげましょう。太ももの裏にハリが感じられれば、上手にストレッチできている証拠です。

ふくらはぎ

ふくらはぎの筋肉は、関節を動かすだけでなく、熱を発したり、血液を心臓へと送り返したりする重要な働きを持っています。そのため、冷え症の人やむくみのある人はしっかりとストレッチしてあげましょう。

ふくらはぎのストレッチをする際には、いわゆる「アキレス腱伸ばし」をおこないます。壁に両手をついた状態で、片方の足をまっすぐ後ろに伸ばします。つま先をついた状態でかかとを上げ、つま先に力を加えてふくらはぎを伸ばしましょう。

動的ストレッチ

林間をスキップをしている母親と子供2人

動的ストレッチはダイナミックストレッチとも呼ばれており、近年になって注目されるようになったストレッチです。誰でも知っているラジオ体操も、ダイナミックストレッチの一種なんですよ。

効果

動的ストレッチの効果としては、適度な緊張を保ちつつ筋肉を緩めたり、身体を温めたりできるということがあげられます。

というのも、従来型のスタティックストレッチをおこなうと、筋肉がゆるんでパフォーマンスが低下したり、怪我のリスクが高くなったりすることが分かってきているからなのです。

運動をするときには、筋肉を収縮させる(緊張させる)ことが重要なのに、スタティックストレッチによって筋肉がゆるんでしまうと、期待する効果が発揮できないという訳なのです。

やり方

動的ストレッチは、身体を動かしながら対象となる筋肉や関節にアプローチすることでおこないます。ラジオ体操をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。

肩甲骨周囲

肩甲骨周囲の動的ストレッチは、野球のメジャーリーグで活躍する前田健太投手のおこなう「マエケン体操」が参考になるでしょう。

両手をぐるぐる回しながら、肩甲骨を動かしたり、肩甲骨を寄せるような動作をしたりして、肩甲骨周りの筋肉を温めながら適度に緩めていきます。マエケン体操で検索するとたくさん動画が出てきますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

股関節

股関節の動的ストレッチは、極端な話、大股で歩くだけでも可能です。その他にも、歩いている最中に膝を大きく持ち上げるなどといった方法もあります。

また、サッカー選手がウォーミングアップのときにおこなうように、ジョギングをしながら膝を前方にあげて、股関節の開閉をおこなうという方法も効果的です。

下肢

下肢の動的ストレッチとしてもっとも簡単なのは「スキップ」です。前だけでなく、横方向へスキップするのも効果的です。スキップしながら両手をぐるぐる回せば、肩甲骨周りの動的ストレッチも同時におこなうことが可能です。

ストレッチをする際の注意点

青く塗装された木の壁を指差す女性

ストレッチは怪我を予防したり、ウォーミングアップしたりするためにおこなうものですが、下手におこなうとかえって怪我のリスクが高まります。そこで、以下のことに注意しておこなうようにしましょう。

反動をつけない

ストレッチの中でも特に、スタティックストレッチ(静的ストレッチ)をおこなう際には、反動をつけないようにしましょう。反動をつけると、かえって筋線維を痛めてしまう可能性があります。

強くしすぎない

ストレッチをおこなう際には、強くしすぎないことも重要です。ある年齢より上の人は、「ストレッチは少し痛いくらいが効く」などと指導されてきたかもしれません。ただ、現在では、そのようなストレッチは逆効果であることが分かってきています。

身体を温めてからおこなう

ストレッチをおこなう際には、身体を温めてからおこなうようにしましょう。特に自宅でストレッチをするような場合、おふろなどでしっかりと温まってからおこなうことで、ストレッチをより効果的なものとすることが可能です。

ストレッチでダイエットは可能?

?と書かれた紙を持っている女性

インターネット上で「ストレッチ」「ダイエット」と検索すると、実にさまざまな記事が出てきます。そのうち、ストレッチについて本当に正しいことが書かれているのは、2割程度しかないのではないでしょうか。

原則として、ストレッチだけで痩せるようなことはありません。あくまでも、ストレッチは運動のパフォーマンスを向上させたり、リラックスしたりするためにおこなうものです。

効果はゼロではない

基本的に、ストレッチをおこなうだけで痩せることはありませんが、動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)の中には、継続することでダイエットが可能なものもあります。

ただ、やはりストレッチというのはメインとなる運動の準備としておこなわれるものなので、ストレッチをするだけでみるみる痩せるようなことはありません。

ダイエットに必要なこと

ダイエットに必要なことはたったの3つだけです。それは、「脂肪燃焼」「筋力アップ(維持)」そして食事制限です。

この3つのうち、どれが欠けていてもダイエットの成功はあり得ません。ストレッチやマッサージ、着圧グッズなどで痩せられるという妄想は、いい加減に捨てた方がよいでしょう。

ストレッチで毎日スッキリ過ごしましょう

今回は、ストレッチの種類や、ストレッチとダイエットとの関係について解説しました。残念ながら、ストレッチだけでみるみる痩せるようなことはありませんが、怪我を予防したり、睡眠の質を高めたりするのにストレッチはとても効果的です。寝ながらできるストレッチも紹介しましたので、ぜひ寝る前におこなってみてくださいね。