巷にはさまざまなダイエット法がありますが、最近話題になったダイエット法に、和菓子ダイエットと呼ばれるものがあります。和菓子を食事の中心とすることで痩せられたという人がいるのですが、本当にそんなことがあるのでしょうか。今回は、和菓子ダイエットの真実に迫ります。
最近、人気のテレビ番組で、「和菓子を食べてダイエットに成功した」という人が取り上げられたことを、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。常識で考えると、和菓子を食べると太りそうなものですが、なぜ和菓子を食べて痩せることができたのでしょう。今回の記事では、和菓子ダイエットのメリットとデメリット、おこなう際の注意点を紹介したいと思います。
CONTENTS
和菓子ダイエットってなに?
和菓子ダイエットのメリットやデメリットを紹介する前に、まずは和菓子ダイエットとはどのようなダイエット法なのかについて見ていきたいと思います。
食事の9割を和菓子にするダイエット法
和菓子ダイエットは、コンビニ和菓子&和スイーツブロガーである中原陽一さんが始めたダイエット法です。食事の9割を和菓子にして、あとの1割を玄米やお鍋にするというダイエット法です。
洋菓子の代わりに和菓子を食べるダイエット法
和菓子ダイエットのもう1つの特徴として、洋菓子ではなく和菓子を食べるということがあげられます。実際に、前出の中原陽一さんは、医師から和菓子はオーケーといわれたそうです。
和菓子ダイエットで痩せられる理由
和菓子ダイエットについてごく簡単に説明しましたが、次に、和菓子ダイエットでなぜ痩せられるのかについて見ていきたいと思います。
和菓子が植物性の食品だから
和菓子といわれるとみなさんはなにを思い浮かべるでしょうか。ウィキペディアによると、餅菓子や羊羹、饅頭や最中、落雁やせんべいなどがあげられています。
落雁は糖質の含有量が多いのでともかくとして、その他の和菓子は植物性の食品から作られていることが分かると思います。饅頭や最中に入っている餡子は、小豆から作られていますよね。また、せんべいや餅菓子も穀類から作られています。
38歳のときに医師から食事制限をするように指導された中原陽一さんですが、摂取しない方がよいものの中に、和菓子が含まれていないことに気づきました。
そこで医師に「和菓子は食べても構わないのか」と聞いたところ、医師は「和菓子は植物性の材料ばかり使っているから大丈夫だ」と答えたそうです。
洋菓子よりもカロリーが低い
和菓子ダイエットで痩せられる理由としては、洋菓子よりもカロリーが低いからといいうこともあげられます。洋菓子にはバターや生クリームといった、動物性の食品が多く使われています。そのため、和菓子よりもカロリーが高くなってしまうのです。
甘いものが好きな人で、しかも痩せたいという人が、洋菓子よりも和菓子を奨められるのはそういった理由があるからです。
本当は危険な和菓子ダイエット
1日の食事の9割を和菓子にするだけで痩せられるなんて、甘いもの好きからしたら夢のようなダイエット法なのではないでしょうか。ただ、和菓子ダイエットにはたくさんの危険が潜んでいます。
血糖値の急上昇を招く
私たちが太ってしまうのは、長らくの間、食べすぎることが原因だと考えられてきました。ところが、近年になって糖質が、肥満するかどうかのカギを握っていることが分かってきました。
糖質を摂取すると、すい臓からインスリンが分泌され、糖質を分解して身体や脳のエネルギーに変えてくれます。糖質がエネルギー源だといわれるのはそのためです。
ところが、糖質の摂取量が過剰になってしまうと、インスリンによる分解が追い付かなくなり、結果として脂肪となって体内に蓄えられることとなるのです。
そして、最近になって食後の血糖値の急上昇もまた、脂肪がたまる原因だと分かってきたのです。食事にともなって急激に血糖値が上がると、やはりインスリンの糖質分解能力を超えてしまうのです。
健康診断の際に血液検査をおこなうことがあると思いますが、空腹時の血糖値は70mg/dl以上、110mg/dl未満が基準とされています。この数値が急激に跳ね上がることによって、脂肪がつきやすくなってしまうのです。
仮に和菓子であるみたらし団子を2本食べた場合、食事を開始してから30分後には、血糖値が240mg/dlにまで跳ね上がります。大福を1個食べた場合など、食後80分まで血糖値の上昇が続き、ついには349mg/dlまでに達します。
和菓子が太りにくいと言っても、それはあくまでも洋菓子と比較した場合の話です。和菓子を食べれば食べるほど痩せるような、そんな魔法のようなことはあり得ません。
栄養バランスが偏る
和菓子ダイエットの危険なところは、栄養バランスが偏るという点です。食事の9割を和菓子にして、どうやって栄養バランスを保てるというのでしょうか。
栄養というのは、木で作った桶に入れた水のようなものです。どこか1ヶ所が欠けてしまえば、中に入った水はこぼれおちてしまいます。栄養も同じです。まんべんなく栄養を摂らないと、体内で有効に活用されないのです。
仮に、和菓子を食べることによってダイエットができるのであれば、とっくに医師や管理栄養士、料理研究家といった専門家によって、そのようなダイエット法が提唱されているはずです。
医師が栄養に関するプロである保証はない
和菓子ダイエットをおこなって痩せたという中原陽一さんは、医師から和菓子ならオーケーといわれたそうです。ただ、医師が栄養に関するプロフェッショナルとは限りません。
なぜなら、和菓子の中には落雁と言って、大量の砂糖が使われているものもあります。落雁20個には、100g(大さじ7杯弱)もの砂糖が含まれているということです。そのお医者さんは、何をもって和菓子ならオーケーとしたのでしょうか。
確かに、医師の中には日本臨床栄養学会によって認定された、認定臨床栄養指導医といわれる人もいますが、そのような医師であれば、和菓子ダイエットなどといった馬鹿げたダイエット法を奨めるようなことはないでしょう。
また、栄養学という分野は、誤解を恐れずに言うと「ガバガバ」な学問分野でもあります。カロリー一つとってみても、その根拠は怪しいものです。
カロリー理論は1883年に、マックス・ブルナーというドイツ人医師によって提唱されたのですが、その計算法は現在でもおおむね変わることがありません。
ある食品(食品A)のカロリー計算法は、[食品Aを空気中で燃やすときに必要なエネルギー(カロリー)]-[食品Aから出た排泄物を空気中で燃やすときに必要なエネルギー(カロリー)]とされています。
いろいろ突っ込みどころがあるのですが、まず、空気中の燃焼と体内で起こる燃焼とは異なるという点があげられます。体内で燃焼がおこるといっても、空気中でものを燃やすときほど高温になるわけではありません。
また、排泄物が純粋に食品Aだけから構成されることはまずありません。なぜなら、排泄物の半分以上が、腸内細菌によって構成されているからです。
このように、皆さんが信じているカロリー理論は、根本のところから大きく矛盾しているのです。なぜ太る原因が食べすぎではなく糖質の過剰摂取なのか、カロリー理論の破たんがその反証となっているのではないでしょうか。
栄養士や管理栄養士に関しても、基本的には正規のカリキュラムを経て認定されることとなるわけですが、基準となるカロリーがあてにならないのであれば、何を信じればよいのかという話になります。
和菓子ダイエットの真実
和菓子ダイエットの危険性については、皆さんもぜひ知っておいてくださいね。では、なぜ和菓子ダイエットなどというダイエット法がメディアを通じて話題になったのでしょうか。
食べて痩せるなどということはあり得ない
世の中にはさまざまなダイエット法がありますが、何かを食べることによって痩せるようなことは「絶対に」ありません。食べたら食べた分だけ血となり肉となり、脂肪となる訳です。
昔、納豆ダイエットというダイエット法が流行ったのをご記憶の方もいらっしゃることと思います。納豆にはダイエットに効果的な成分がたくさん含まれているので、日々の食事に取り入れようというものです。
納豆ダイエットが流行った頃スーパーに行ったら、納豆コーナーだけ空っぽになっていて驚いたことがあります。ただ、筆者の周囲で納豆ダイエットに成功したという話は聞いたことがありません。
それどころか、納豆ダイエットを始めたら太ったという人がいました。よくよく話を聞いてみたら、それまでは晩ご飯のときに納豆を食べていたのですが、納豆ダイエットがいいと聞いて、朝晩納豆を食べるようにしたということです。
このように、食べる量が増えれば、基本的に太ってしまうリスクは上昇するものなのです。何かを食べて痩せるなどといったダイエット法は、基本的に無理があるのです。
テレビは信じすぎないように
和菓子ダイエットがメジャーになった理由として、人気のタレントさんが司会を務める番組で紹介されたということがあげられます。
テレビ番組ではダイエット企画もたくさん放送されていますが、「ある食品を食べたり飲んだりするだけで○kg痩せた」などというものもあります。
でも、「ダイエットにチャレンジしました、失敗しました」では番組になりませんよね。そのため、タレントさんは何としてもダイエットに成功しようと頑張る訳です。おそらく、運動や筋トレ、食事制限もおこなうことでしょう。
皆さんもテレビをご覧になるときには情報に流されず、簡単に痩せることはありえないこととしっかり覚えておいてくださいね。
ダイエットする時に必要なたった2つのこと
和菓子ダイエットに限ったことではありませんが、およそ何かを食べて痩せるなどということはあり得ません。ダイエットを成功させたいのであれば、たった2つのことだけを押さえておきましょう。
食習慣の見直し
ダイエットとは、そもそも規定食のことを意味します。規定食とは、健康と美容のために、食事量をコントロールしたり、食事内容を見直したりすることを言います。
野菜が足りていないのであれば野菜をたくさん摂るようにし、栄養バランスが偏っているのであれば、バランスのとれた食事内容にすることが重要です。
また、現代人は糖質の摂取量が多い傾向にあるので、糖質の摂取量を把握したうえで、1日に摂取する糖質の量をコントロールするとよいでしょう。
運動
ダイエットを成功させるために必要なことは、食習慣の見直しと運動だけです。ある程度太っている人であれば、食事制限だけで痩せることは可能だと思います。
ただ、ある段階まで痩せたのであれば、その後は筋力を維持することも重要となります。なぜなら、筋肉量は基礎代謝と密接な関係があるからです。筋肉量が減少すると、結果として太りやすい体質になるので注意が必要です。
ダイエットの基本
和菓子ダイエットについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。常識で考えて、和菓子を食べる「だけ」で痩せられるようなことがある訳ないですよね。ダイエットの基本は食習慣の見直しと運動です。しっかりと身体を動かして美味しく食べることが、健康と美容を保つのになによりも重要だという訳ですね。