肌荒れが気になっている人の中には、「顔の肌荒れが気になってメイクや肌ケアを見直したけど、全然効果がみられない」などとお悩みの方もいらっしゃることと思います。
そのような場合、もしかしたら肝臓に何かトラブルが発生しているかもしれません。そこで今回は、肝臓と肌荒れとの関係や、肝臓からくる肌荒れの改善法について紹介したいと思います。
肝臓と肌荒れの関係
肝臓と肌荒れとの関係について解説する前に、まずは人体の中で最大の臓器である肝臓の果たす役目について知っておきましょう。
肝臓の働き
肝臓の役割としてもっとも重要なのが、体内の毒素を分解して無毒化するということがあげられます。また、肝臓には胆汁などの体液を産生したり、血液を貯蔵したり、血液の循環を促したりする働きもあります。
肝臓は別名を「沈黙の臓器」といい、肝臓に何らかの異変があっても、特に症状として現れないのが特徴です。初期に風邪のような症状がみられることもあるのですが、たいていは風邪として見過ごされがちです。
肝臓の機能が低下すると肌荒れになる原因
肝臓の働きについて簡単にですが説明したところで、次に、肝臓の機能が低下すると、なぜ肌荒れが起こるのかについて解説したいと思います。
分解されない有害物質の影響
肝臓の働きをしてもっとも重要なことの1つが、体内の毒素を分解して中和し、体外への排出を促すということです。
私たちの体内には、日々多くの有害物質が入り込んできます。食事にともなって添加物や農薬を摂取することもあれば、タバコの煙、アルコールといった有害物質を取り込むこともあります。
通常だと、それらの有害物質は自然に解毒されるのですが、摂取量があまりにも多いと、肝臓による分解が追い付かなくなり、血管中に溶け出し、結果として肌荒れが起こるのです。
血液中の栄養が不足している
肝臓にはビタミンを貯蔵する働きがあります。ビタミンには身体の調子を整えたり、お肌の調子を整えたりする働きがありますが、肝臓の機能が低下することによって、ビタミンを貯蔵する働きも低下してしまい、やはり肌荒れの原因となるのです。
血行不良になる
肝臓には血液の循環を促す働きもあるため、肝臓の機能が低下すると、血液の循環が悪くなります。血液には酸素や栄養、白血球などが含まれているので、血行が悪くなった場所には栄養状態や免疫機能の低下がみられることとなるのです。
栄養状態や免疫機能の低下がお肌に現れると、お肌の調子が悪くなり、肌荒れやニキビ、吹き出物などとなって現れるのです。
肝臓機能低下による肌荒れの症状
肝臓の機能が低下すると、巡り巡って肌荒れとなって現れるということでした。それでは、肝臓の機能が低下することによる肌荒れとしては、どのような症状があげられているのでしょうか。
血行不良によるくすみ
肝臓の機能が低下することで現れる肌荒れの症状としては、血行不良によるお肌のくすみがあげられます。肝機能障害に限ったことではありませんが、血液の循環状態が悪くなれば、顔色が悪くなるのは当然のことです。
逆に考えると分かりやすいと思いますが、お風呂に入ったあとやスポーツをした後の顔は血色がいいですよね。それは、血行がよくなっているからです。逆に、血行が悪くなれば、顔色も悪くなってくすみがちになるのです。
肝臓機能低下によるシミ?
シミの中には、肝斑(かんぱん)と呼ばれるものがあります。30代から40代以降の女性によくみられるタイプのしみで、両頬に現れてなかなか治りにくいという特徴があります。
肝斑には肝臓の「肝」という字が使われているので、肝臓と関係があると思われがちですが、実際には肝臓とは関係がなく、女性ホルモンのバランスが乱れることで現れるとされています。
乾燥肌も肝臓の調子と密接な関係
肝臓には血液の循環を促す働きがあるので、肝臓の機能が低下すると、血液の循環も滞ることとなります。血液の循環が悪くなった場所には栄養状態の低下がみられるため、お肌の新陳代謝が滞って乾燥肌になることもあります。
代謝機能低下によるニキビ
先ほども述べたように、乾燥には血液の循環を促す働きがあります。そのため、血行が悪くなった場所には栄養状態の低下もみられることとなります。
栄養状態の低下がお肌にみられた場合、お肌の新陳代謝(ターンオーバー)が滞ることとなります。そうなると、本来であれば剥がれおちるはずの角質がはがれおちなくなり、角層が分厚くなってしまいます。
分厚くなった角層によって毛穴の皮脂や老廃物が排出されなくなると、ニキビや吹き出物ができることとなるのです。
肝臓の機能低下による湿疹やかゆみ
ブツブツが現れるといった皮膚の見た目の変化がないのに、なぜかかゆみや湿疹が起こるような場合、肝機能が低下している可能性もあります。
昔から「内臓は身体を映す鏡」などと言われますが、肝臓の機能が低下すると、お肌の見た目は普通なのに、強いかゆみの現れることがあります。皮膚疾患の場合と異なり、掻いてもかゆみが治まらないという特徴があります。
肌荒れ以外にもこんな症状がある
肝機能障害や肝臓病を発症しても、初期には風邪のような症状(微熱など)が出るだけで、目立った症状が現れません。ただし、肝機能障害や肝臓病が進行すると、徐々に以下のような症状が現れ始めます。
- 身体が疲れやすくなる
- お酒が残る、おいしく感じなくなる
- 足のむくみがひどくなる
- 全身がかゆくなる、かゆくて寝られない
- お腹が張る
- 手が震える
- 肌が黄色っぽくなる
- 食欲がなくなる
- 体重が減少する
- 口臭がひどくなる
- 指の形状に変化が見られる
- 手のひらが赤くなる
肝臓機能を低下させない肌荒れ改善する方法
肝機能障害が進行すると、さまざまな症状が現れ始めます。そして、症状があらわれたときには、肝機能障害がかなり進行していると考えられます。そうならないためにも、肝機能低下を予防して、肌荒れを改善しましょう。
アルコールなどを避ける
アルコールは適度であれば身体にとって良薬となりますが、摂取量が多くなると、さまざまなリスクが生じます。というのも、肝臓による解毒機能が追い付かなくなってしまうからです。
アルコールを分解する際には、大量のエネルギーと水分が使われることなります。そのため、身体の他の部分のためのエネルギーが不足してしまうのです。
また、大量の水分が使われることによって、いわゆる「ドロドロ血液」になります。ドロドロ血液になると血行が悪くなるので、結果として肌荒れにもつながるのです。
肝臓にいい食べ物を食べる
肝臓の機能を低下させないためには、肝臓にとってよい食べ物を摂ることも重要です。肝臓にとってよい食べ物とは、オルニチンやタウリン、クルクミンといった栄養素を含んだ食品です。
肝臓によい食品というと、シジミなどの貝をイメージされる方も多いと思いますが、オルニチンに関していうと、きのこの方が優秀です。
同じ量のきのことしじみを比べた場合、きのこに含まれるオルニチンの量は、しじみの7倍にも及ぶということです。タウリンはイカやタコ、カツオやサバ、カキやアサリといった魚介類に多く含まれています。
クルクミンは、カレーを作るときに用いられるウコンにたくさん含まれています。普段からこれらの食品を摂取することで、肝機能の低下を予防しましょう。日々の食事でなかなか摂取できないのであれば、サプリも利用するとよいでしょう。
肝臓に良い漢方で肝臓を労わる
漢方薬の中には、肝臓にとってよいものもあります。肝機能障害を改善するのに効果的な漢方薬としては、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃたんとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、通導散(つうどうさん)や四物湯(しもつとう)などがあげられています。
ただし、漢方薬も「薬」である以上、お医者さんや薬剤師さんに、漢方薬を用いた疾患の治し方や、服用上のアドバイスを聞いてから服用することが重要です。
血行を促進して肝臓を労わる
肝機能障害に限った話ではありませんが、何らかの症状があらわれている場所には、必ずと言っていいほど血行不良がみられます。
たとえば、腰痛や頭痛は8割以上が原因不明とされていますが、血液の循環がかかわっていることは間違いないそうです。
内臓諸器官に関しても同様で、血行が悪くなれば機能も低下してしまうのです。そのため、全身の血行を促進して、肝臓を労わることも忘れないようにしましょう。
腸内環境を改善する
腸内環境がお肌のコンディションを左右することは、経験上、多くの方がご存じだと思います。便秘になると肌荒れの生じるのが分かりやすい例だと思います。
なぜ腸内環境によってお肌のコンディショニングが左右されるかというと、人間の免疫細胞の7割が腸管内に存在しているからです。
つまり、腸内環境が悪化すると、免疫力が低下してしまうのです。肌の免疫機能が低下すると、細菌などに負けて肌荒れが生じることとなるのです。
適度に運動する・ストレスをためない
ストレスは万病のもとなどといいますが、肝臓やお肌にとってもストレスは大敵です。なぜなら、ストレスによって交感神経が優位になると、血管が収縮して、血行が悪くなるからです。
そうならないためにも、ストレスをため込まないように日頃からケアしましょう。また、適度に身体を動かすことで、血行を促進したり、ストレスを発散したりしましょう。
肌荒れと肝臓疾患の症状があったらまずは病院へ
肌荒れと肝臓との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。単なる肌荒れと思っていたら、肝臓に問題があったかもしれないなんで、恐ろしいことですよね。
と言っても、素人判断は禁物です。肌荒れともに、今回紹介したような疲れやすい・食欲がないなどといった症状が見られる場合には、すみやかに病院を受診するようにしてくださいね。