汗が肌荒れを起こすのはなぜ?原因と予防法をすべて解説します!

夏になると多くの人を悩ませるのが汗。汗染みやにおいなど気になることはいろいろありますが、汗による肌荒れに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。汗は、放っておくとかゆみやニキビ、あせもなど、さまざまな肌トラブルの原因になります。そこで今回は、汗による肌荒れの原因と予防法について徹底解説。夏になると肌荒れがひどくなるという人は、ぜひ肌ケアの参考にしてください。

汗と肌荒れの関係

走った女性

なぜ汗をかくの

体温が上昇すると、脳の視床下部というところから体中の汗腺に向かって汗をかくようにという信号が出されます。これは、体温の上がり過ぎによって体の組織や、特に熱に弱い脳がダメージを受けるのを防ぐためです。

汗をかくと、その水分が蒸発するときに気化熱を奪っていきます。それによって体温を下げることができるようになっています。反対に、汗を全くかかないと体温が体の中に閉じ込められ、熱射病になってしまうこともあります。汗は、人の体を守るためにかかせない機能なのです。

また、緊張や興奮など、精神的な要因によって汗をかく場合もあります。このときも、体温調節のときと同じく、視床下部から汗をかく命令が出されます。精神的な要因の場合、足の裏や脇などに、どっと汗をかくのが特徴です。

汗による肌荒れの症状

体の機能を守るのに欠かせない汗とはいえ、放置しておくと肌荒れの原因になります。

代表的な症状としては、まずかゆみが挙げられます。かゆいからといってかきむしってしまうとそこから炎症が広がり、さらに肌荒れを広げることにもつながります。

また、肘の内側やももの内側、髪の生え際など、汗をかきやすい場所にでやすいのがあせもの症状です。ぷつぷつと赤い小さな腫れものがたくさんでき、かゆみを伴います。

さらに、汗はニキビを増加させる原因にもなります。普段はあまりニキビができないのに夏場だけ多くなるという人は、汗が原因かもしれません。

汗による肌荒れの原因

タオルで顔を拭いている女性

汗が蒸発すると、肌のうるおいが奪われる

汗をかくと肌がうるおったように感じられたり、べたつきが気になったりします。しかし、汗の主成分は水です。そのまま放置しておくと、汗が蒸発し、肌の表面からどんどん水分が失われてしまうのです。

また、汗をかいたあとに冷房に当たると、水分の蒸発は促進されます。熱い屋外と冷房の効いた室内を行き来することが多いと、それだけ肌の水分が奪われていきます。

乾燥した肌はバリア機能が弱く、ニキビや赤みなどの肌トラブルが起きやすい状態になっています。汗をたくさんかく時期は肌の乾燥を実感しづらいですが、だからこそ、丁寧にうるおいを補充してあげる必要があるのです。

汗に含まれる塩分や尿素、雑菌などが肌トラブルを起こす

汗には、体の中から排出された塩分や尿素、雑菌なども含まれています。また、汗をかくことによってほこりなども付着しやすく、ますます肌は汚れやすくなっています。

こうした汚れを放っておくと、肌の表面で雑菌が繁殖し、肌荒れの原因になります。雑菌がさらに繁殖すると、毛穴詰まりを起こしてニキビができたり、汗腺が詰まってあせもとなって表れることがあります。

汗による乾燥でバリア機能が弱っているときにはこうしたトラブルも起こりやすくなっています。普段は肌トラブルとは無縁だという人でも、いつも以上に丁寧に肌をケアしてあげることが大切です。

汗による肌荒れの予防法

タオルで顔を拭いている女性

汗はこまめにふき取る

第2章で解説したとおり、肌の表面の汗を放置しておくと、さまざまなトラブルの原因になります。それを防ぐ一番の方法は、こまめに汗をふき取ることです。

ただし、たくさん汗をかいたからといってごしごしふくのはNG。ただでさえ傷みやすくなっている肌にさらに刺激を与え、かえって荒れる要因になってしまいます。柔らかいタオルやティッシュなどで、優しく押さえるようにしてふき取りましょう。

また、タオルで汗をふき取る場合は、何枚か携帯しておくようにしましょう。汗をふいたタオルには当然雑菌が付着しているので、そのまま一日中使い続けていると、せっかくふき取った汗をもう一度ぬりつけているのと同じことになってしまいます。手洗い用に1枚、汗ふき用に2~3枚を持っておくのがベストです。

皮膚を洗い過ぎるのは良くない

汗をかくと肌にべたつきを感じますが、それを洗い流そうとして過度に洗いすぎるのはやめましょう。肌に必要な皮脂まで洗い流してしまい、さらなる乾燥や肌荒れを引き起こしてしまいます。

汗をかくたびに洗顔料を使う人もいますが、それは逆効果。洗顔料を使うのは多くても朝と夜の2回にとどめましょう。泡立てネットなどを使ってたっぷりと泡を立て、優しく洗うこともポイントです。

また、洗顔後は保湿も忘れずに行ってください。汗をかいているといつもの保湿も余分なように感じられますが、実は肌は乾燥した状態。たっぷりの化粧水を肌に優しくなじませ、しっかりと水分を補ってあげましょう。

エアコンの使い過ぎに注意

エアコンの風に当たると、肌の乾燥はどんどん進みます。暑いからと言って直接風に当たるのは避けましょう。

また、体の冷えは新陳代謝を妨げ、肌のターンオーバーを阻害します。さらに、冷えや急激な温度変化にさらされているとホルモンバランスが乱れることにもつながり、ますます肌は荒れやすくなってしまうのです。

ポイントは、暑すぎない程度にエアコンの温度を設定し、決して冷やしすぎないことです。職場などでは自由に温度を設定できないこともありますから、その場合は、シャワーで済ませずにゆっくり湯船に浸かり、体を温めてあげましょう。

紫外線対策を忘れずに

太陽

紫外線も、肌トラブルの大きな原因になります。汗を多くかく夏は紫外線も強い時期です。汗対策と合わせて、紫外線対策も忘れずに行いましょう。

UVカットの化粧下地やFPSの高い日焼け止めをぬっても、汗や摩擦によってどんどん落ちていってしまいます。朝ばっちり対策をしたからといって満足せず、定期的にぬりなおすことが重要です。目安としては、日焼け止めは2~3時間に一度はぬりなおしたいところです。

また、メイクの上から使えるスプレータイプの日焼け止めなどもあるので、メイク直しが頻繁にできない場合などは、こうしたものも活用しましょう。

帽子をかぶったり、薄手の羽織物で肌を隠すのも、紫外線対策には効果的です。

衣類に気を配る

女性と猫

通気性のよい服を選ぶ

風通しがよい服は、体温を逃がしやすく、汗をかきづらくしてくれます。

服を選ぶときのポイントは、袖口や裾にゆとりのあるものを選ぶことです。開口部に余裕があることで風の通り道ができ、体感温度を下げてくれます。

また、素材の中でおすすめなのが麻です。日本では昔から、暑い時期には麻が愛用されてきました。麻自体の通気性もさることながら、素材にハリがあることで肌に張り付きにくく、風通しのよさを保ってくれるというメリットもあります。

生地の硬い服を避ける

生地の硬い服は、肌にこすれて刺激を与え、肌荒れを悪化させてしまいます。夏場は硬い生地の服は避けましょう。

買ったばかりでは硬くても、何度か洗濯しているうちに柔らかく、風合いが変わってくるものもあります。夏物で生地が硬いと感じたら、何回か洗濯機にかけてみるのもひとつの方法です。

ちなみに、先ほど紹介した麻も硬い素材ですが、肌にあまりはりつかないので、こうしたトラブルは少ないといえます。

汗で肌が荒れてしまったら

かゆくがあった女性

かゆくても肌をかかない

汗をかくと肌がかゆくなることがあります。むずむずして我慢できないこともありますが、できるだけかかないようにしましょう。

肌をかいてしまうと、肌の表面がめくれ上がり、さらに荒れやすくなってしまいます。また、一時はかゆみがひいても、しばらくすればまたかゆくなってきます。

これを繰り返していると、ひどいときは出血したり黄色い湿潤液が出てきてしまいます。こうなると、治りが遅くなるだけでなく、肌を露出する服も着にくくなってしまいます。

患部を冷やす

肌を冷やすことで、一時的にかゆみなどを抑えることができます。冷水で濡らして絞ったタオルや、タオルで包んだ氷などで優しく患部を冷やしましょう。

また、肌の温度を下げることで、汗を抑える効果もあります。汗で肌が荒れ、さらに汗をかいてかゆみが出て……といった悪循環に陥っているようなときは、患部を冷やすことでその連鎖を断ち切ることができます。

市販のかゆみ止めを塗る

それでもどうしてもかゆみが収まらないときは、市販のかゆみ止めに頼るのもひとつの方法です。

かゆみ止めの中には、体温上昇時のかゆみや、汗によるかゆみによく効くものもあります。ただし、独断で選んでしまうと、効果が得られなかったり、症状を悪化させてしまうこともあります。ドラッグストアや薬局などで相談をして、症状にあったものを選ぶようにしましょう。

肌荒れが治らない場合は皮膚科へ行く

笑っている女性

汗による肌荒れは、汗をこまめにふき取り、しっかりと保湿ケアをすることである程度予防できます。

また、体を冷やし過ぎると、新陳代謝が悪くなったり、ホルモンバランスが崩れたり、お肌にとってもいいことはありません。冷房の使いすぎには注意し、体を冷やしてしまったときにはゆっくりと湯船につかって温めることを心がけましょう。

それでもなお肌が荒れてしまったときには、決してかきむしらないことが大切です。しかし、肌荒れが続いていると、かゆみが我慢できず悪化させてしまったり、肌荒れ自体がストレスになってしまったりすることもあります。なかなか治らない場合や、かきこわしてしまったときなどは、我慢せず皮膚科に相談しましょう。