昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」などといわれ、身体にとって良い成分がたくさん含まれている柿ですが、食べ方によっては便秘になってしまう可能性があることをご存じだったでしょうか。今回は、どのような食べ方をすると柿を摂取することで便秘になるのか、また、柿の栄養を効果的に摂取するにはどのようにして食べるといいのか、などについて解説したいと思います。
柿に含まれる成分
柿を食べることによって便秘になるのか、それとも便秘を解消できるのかについて解説する前に、まず、柿にはどのような成分が含まれているのかについて知っておきましょう。
ビタミンC
柿には、ビタミンCが多く含まれていることで知られています。ビタミンCというと、レモンやミカンをイメージされる方もいらっしゃることと思います。実際に、同じだけの重さで比較した場合、柿にはイチゴやキウイよりもたくさんのビタミンCが含まれているのです。ビタミンCには抗酸化作用や免疫力を高める作用があります。そのため、エイジングケアにとって欠かすことのできない栄養素となっています。
β-カロテン
β-カロテンはニンジンに含まれていることでよく知られている成分ですが、柿にも豊富なβ-カロテンが含まれています。そして、β-カロテンにもビタミンCと同様、強い抗酸化作用のあることが分かっています。抗酸化作用とは、「酸化から身を守る働き」のことを言います。鉄が酸化すると錆びるように、私たちの身体も酸化すると老化します。β-カロテンを摂取することで、そのようなリスクを下げることが期待できるのです。
ペクチン
ペクチンは、水溶性の食物繊維の一種で、便秘の解消やダイエット効果があることで知られています。ペクチンがどのようにして便秘を解消してくれるのかについては、後ほど詳しく解説したいと思います。私たちが太る原因として、糖質の存在があげられていますが、水溶性の食物繊維には、腸管内の糖質を包み込んで、腸管に吸収されるのを防ぐ働きがあります。それによって、太るリスクを下げてくれるのです。
タンニン
柿にはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。タンニンは抗酸化作用が高いことで知られています。ポリフェノールはそもそも、植物が有害な紫外線からその身を守るために産生するものです。そして、柿に含まれているポリフェノール=タンニンの抗酸化作用は、それを摂取した人間にも恩恵を与えてくれるのです。ポリフェノールが身体によいといわれるのはそのためです。
カリウム
柿にはカリウムも多く含まれています。カリウムというと、足がむくむのを防いでくれる働きのあることでも知られています。足がむくむ原因の1つとして、塩分(ナトリウム)の摂りすぎがあげられています。柿に含まれているカリウムを摂取することによって、余分なナトリウムを排出することが可能となります。それによって、脚のむくみを改善することができるのです。
柿が便秘に有効な理由
柿に含まれている成分について知って頂いたところで、次に、柿が便秘改善に効果的な理由を見ていきたいと思います。
柿の便秘解消成分①食物繊維
柿が便秘改善にとって効果的なのは、柿には食物繊維が豊富に含まれているからです。食物繊維には水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維とがあり、いずれも便秘改善にとって欠かすことができません。水溶性の食物繊維には、ダイエット効果だけでなく、便秘を改善してくれる効果も期待されています。それは、水溶性の食物繊維が腸内の善玉菌のエサとなるからです。水溶性の食物繊維を摂取することで腸内の善玉菌が増えると、腸内環境が改善されることとなります。その結果として、便秘の改善効果も得られるという訳なのです。
また、不溶性の食物繊維には私たちが持つ消化酵素で溶かすことができないという特徴と、消化管内の水分を吸収して膨張するという特徴があります。不溶性の食物繊維が腸管内で膨張すると、腸管を刺激して便意を促すことにつながるため、便秘の改善に効果的だとされている訳です。
柿の便秘解消成分②ペクチン
柿の便秘解消成分としては、ペクチンもその1つにあげられています。ペクチンは水溶性の食物繊維であり、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれる働きが期待されています。
生の柿と比べた場合、干し柿の方が多くペクチンを含んでいるため、便秘をより効率よく改善したい方は、生の柿よりも干し柿を食べるようにするとよいでしょう。1日に食べる柿の量ですが、生の柿であれば1日に1個、干し柿であれば1日に1個から2個程度を目安にするとよいでしょう。
柿が便秘に逆効果になる場合もある
柿に含まれているタンニンには、腸管を収縮させる働きもあります。通常の摂取量で便秘になるようなことはあまり考えられませんが、人によっては柿の食べすぎで便秘が悪化する可能性もなくはありません。
柿を食べることによるデメリット・メリット
柿にはいろいろな栄養分が含まれており、とても健康的な食べ物です。では、柿を食べることにはどのようなメリットがあり、どんなデメリットがあるのでしょうか。
柿を食べすぎることによるデメリット
柿はとても身体によい食べ物ですが、人によっては柿の食べすぎによってデメリットが生じることもあります。一般的には、以下のようなデメリットがあるとされています。
貧血
柿に含まれているタンニンには、生活習慣病の予防効果があるのですが、鉄分の吸収を妨げるという特徴もあります。そのため、貧血気味の人は、柿の食べ過ぎに気を付けた方がよいでしょう。
頻尿
柿にはカリウムが豊富に含まれているため、脚のむくみを改善する効果があります。ただ、カリウムには利尿作用もあるため、柿を食べすぎることによって頻尿になる可能性もあります。
体を冷やしてしまう
食べ物には身体を温めるものと身体を冷やすものとがありますが、漢方の世界では、柿は身体を冷やす食べ物に分類されています。そのため、冷え症の人は食べすぎないように気をつけましょう。
柿を食べることのメリット
柿を食べることにはデメリットもありますが、それを上回るメリットがあります。では、柿を食べることにはどのようなメリットがあるのでしょう。
二日酔い防止
干し柿は二日酔いにいいなどといわれますが、それは、柿に含まれているタンニンに、アルコールを分解する働きがあるからです。二日酔いの元となる物質として、アセトアルデヒドがあげられていますが、タンニンにはアセトアルデヒドを吸着して、体外へと排出してくれる働きがあるのです。
止血作用がある
意外に思われるかもしれませんが、柿には止血作用もあります。民間療法の中には、渋柿を傷口に当てることで止血するというものがあるくらいです。柿に含まれている止血成分は、これまでもたびたび登場しているタンニンです。タンニンにはたんぱく質を凝固させる働きがあるため、血液中のたんぱく質を凝固させて止血することができるのです。
のぼせにきく
先ほど、柿は漢方の世界で身体を冷やす食べ物に分類されると説明しました。そのため、冷え症の人は食べ過ぎに気をつけなければならないのですが、逆に、のぼせやすい人が食べることで、身体の熱を下げてのぼせを改善することができます。
柿の便秘に効果的な摂取方法
それでは、便秘を解消するのに効果的な柿の摂取方法について見ていきたいと思います。生で食べるのはもちろん、おいしく食べるための意外なコツも紹介しますよ。
生の柿
柿を食べるときにもっともオーソドックスなのが、皮をむいて生で食べるという方法ではないでしょうか。完熟した柿はとてもジューシーなので、ぜひ生で頂きたいものですね。ちなみに、生の柿100gあたりのカロリーはおよそ60キロカロリーとなっています。
干し柿
お正月によく食べられる干し柿も、とても栄養価の高いことで知られています。柿を干すことによって水分が抜けますが、その分、β-カロテンや食物繊維の含有量がアップします。カロリーは、100gあたりおよそ270キロカロリーとなっています。
そのほかの柿の食べ方
そのほかの柿の食べ方としては、意外に思われるかもしれませんが、柿を焼いて食べるという方法もあります。柿を皮ごと8等分程度にカットし、グリルに並べて10分程度焼くだけです。焼くことによって柿の甘味が増すため、完熟していないか気であってもおいしく食べることができます。また、柿に含まれているポリフェノールは皮の部分に多く含まれているので、焼いて食べることによってアンチエイジング効果もアップしますよ。
柿の便秘解消に効果的なレシピ
便秘解消にオススメな下記のレシピはズバリ、柿のサラダです。お好みの野菜と柿を和えるだけで、便秘解消に効果的な食物繊維をたっぷりと含んだサラダができますよ。そこで、おすすめのレシピ「柿とアボカドのマヨネーズ和え」を紹介したいと思います。
出典:https://cookpad.com/recipe/3745861
(用意するもの・2人分)
柿1個
アボカド マヨネーズ レモン汁かポッカレモン オリーブ油 ごま
柿を食べると太らない?
柿を食べるときに気になることの1つが、柿を食べることで太ってしまわないかどうかだと思います。柿は甘いので太ってしまうのではないか、干し柿はカロリーが高いので太るのではないかと心配な方もいらっしゃることと思います。
結論から言うと、柿を食べて太るようなことはほとんどありません。また、カロリーの計算も無意味です。なぜなら、太る原因はカロリーではなく糖質の過剰摂取だからです。実際に、オリーブオイル100mlを毎日飲むという実験をおこなったところ、体重や体脂肪に有意な変化は見られなかったということです。オリーブオイル100mlのカロリーは、なんと920キロカロリーもあります。
この実験から分かるように、私たちが太る原因はカロリーではありません。また、柿には糖分が多く含まれていますが、果物に含まれている糖分は、砂糖のように血糖値を急上昇させることはありません。
柿を食べて太るかどうかを心配するよりは、ご飯やパン、麺類といった糖質を多くふくむ食品の過剰摂取に気を付けた方がよいでしょう。
まとめ
柿を食べると便秘になるのか、それとも便秘を解消できるのかについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。基本的に柿は便秘解消に効果的な食べ物ですが、食べ過ぎると便秘を悪化させることもあります。ただ、それは柿に限ったことではありません。バランスよく食べることが便秘の改善にとってもっとも重要です。便秘解消法についてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。