便秘を改善できる果物とできない果物を知って健康的なお通じへ

便秘の改善に欠かせないのは食生活の改善で特に重要なのは食事のバランスです。食物繊維をとると良いとよくいわれていますが、効果的に食物繊維を摂取することは何を食べていいのかわからず難しいですよね。そこでおすすめしたいのが調理など必要ない果物です。便秘改善に効果のある果物をご紹介して参ります。

便秘について

お腹と腰を押さえている女性

便秘に悩んでいるという方の中には、実は気にしなくてもよい状態で便秘だと悩んでいる方もいるかもしれません。まずは便秘という状態の定義について理解することから始めてみましょう。

便秘とはどういうこと?

便秘の定義はいくつか存在しています。

内科医学会では「3日以上便が出てない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」のことを便秘といいます。日本消化器病学会では、「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す」としています。

学会によって定義が異なるので、どれを信じたらいいか迷ってしまうことでしょう。というのも、どの程度で辛いと感じるかは人それぞれに個人差が大きいことが関係します。もしあなたは毎日排便がなくてもスッキリ感があるなら便秘ではなく、毎日あっても便が残っている感じがあれば便秘になるわけです。

便秘の種類

便秘の種類は原因によって大きく6つに分けることができます。

  • 弛緩性便秘・・ 腸の蠕動運動が低下して排便しにくくなる状態
  • けいれん性便秘・・ストレスなどにより腸の一部がけいれんして細くなっている状態
  • 直腸性便秘・・ 直腸まで便が降りてきているが排便しにくい状態
  • 器質性便秘・・ ガン、ポリープなど形態的な異常が腸に見られる場合
  • 食事性便秘・・ 食事の減少などにより引き起こされる便秘
  • 薬剤性便秘・・ 薬の副作用により便秘になっている場合

女性の多くが弛緩性便秘ですが、次いで多いのが直腸性便秘です。また、けいれん性便秘としては腸の知覚過敏による過敏性腸症候群も近年注目されています。

便秘の改善をはかる上でも便秘の種類を知っておくことが大事です。それぞれの便秘の種類について詳しくはこちらの記事で紹介しています。自分の便秘のタイプを知りたい方はチェックしてみてくださいね。

健康なお通じを保つ3つのポイント

健康なお通じを保つには日頃の食生活と生活習慣がカギとなります。便秘にならないようにするために、次の3つの項目をきちんと守ることが大事です。それぞれ見ていきましょう。

①適量の食物繊維の摂取

食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」です。水に溶けないセルロース、リグニン、水に溶けるペクチン、アルギン酸などがあります。便の体積を増やしたり、腸内細菌の餌になって腸内環境を活発にするなどの効果があります。これら食物繊維は、

厚生労働省策定の食事摂取基準[2005年版]によれば、1日あたりの目安量は、30~49歳では男性26g、女性20g、50~69歳では男性24g、女性19gとなっています。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html

特に食物繊維が多い、ひじき、納豆、ライ麦パン、さつまいも、しいたけ、ごぼうなどは、普通に食べるだけで2−3gの食物繊維を取り入れることができる優秀食材です。

②水分の十分な摂取

便は腸の中で最初はドロドロの液体だったものの水分が腸壁から吸収されて硬くなったものです。便秘期間が長いと水分が吸収されすぎて便がカチカチになってしまいます。水分は外から摂取するしかないため、十分な量をとることが大事。1日あたり1.5-2.0Lを目安に飲みましょう。

③腸の働きを良好に保つ

腸の働きを保つには、規則正しい生活が基本です。睡眠不足によって便秘になっている人もいるので、十分な睡眠をとることも大事です。また、寝る前の食事は腸に負担をかけて便秘を招く原因になります。夕食は軽めに済ませて、朝ごはんはしっかり食べること。これが排便を促す食事リズムのポイントになります。

果物で便秘改善する理由

カットされたフルーツが山盛りになっているボウル

では本題に入っていきますが、便秘に果物が効果的だと言われる理由はどこにあるのでしょうか?その理由を大きく4つに分けて解説していきます。漫然と果物を食べて失敗しないようにするためにも、果物が効く理由を知っておきましょう。

食物繊維の摂取

日本人の多くの方が食物繊維が不足ぎみで、1日あたり14g程度しか摂取できていない状況です。理想は概ね20g程度とすると、あと6gを何かで補いたいところです。

たとえば、キウイフルーツならば1食で約2g、バナナは1.5g、りんごは1.6g程度の食物繊維を補うことができます。フルーツを1日1個から2個取り入れていくだけで、大幅に食物繊維不足を解消できることになります。また、果物は水溶性食物繊維が豊富なものが多いのもメリット。水溶性は不足しがちな繊維なので果物をぜひ積極的に取り入れていきましょう。

水分の摂取

果物はみずみずしい食べ物ですが、まさにその通りで水がいっぱい含まれているという特徴があります。水分摂取としては、普段は純粋な水から摂取することが基本ですが、果物を食べるようにすることで水分をさらに補うことができます。また同時にカリウム補給などもできるので、脱水を防止するためにも取り入れたい食品です。

腸内環境を整えてくれる

果物に含まれている食物繊維は腸内環境を整えます。食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、どちらも腸内環境を改善するために欠かせません。

不溶性食物繊維・・ 便のかさを増やして出しやすくする、腸を刺激する

水溶性食物繊維・・ ヌメリ気が腸の汚れを絡めとり、腸内細菌のエサになり腸内環境を改善する

以上のような2つのはたらきをダブルで得られるのが果物のメリットです。特に水溶性食物繊維が豊富なので、日頃食事のバランスが乱れがちな忙しい方には強い味方となります。

健康なお通じを保つ3つの秘訣が全て含まれている

果物が素晴らしいのは、上で説明した3つの秘訣が全て含まれているという点です。どれか1つならば、いろいろな食品でも叶えられることですが、全てを網羅していることは珍しいことです。果物は便秘改善に効果のある3つのメリットを同時に取り入れられる食材として、積極的に取り入れてほしいと思います。

便秘改善してくれるおすすめの果物

リンゴを手に持って笑っている女性

果物とはいえども種類によって栄養価が異なります。便秘改善に役立つ上に、手頃な値段で買いやすく、日常的に飽きずに食べられるような果物を選びたいところですよね。今回は特におすすめの3つの果物を紹介します。

キウイ

キウイは便秘解消に最もおすすめしたい果物です。なぜならキウイはフルーツの中でも、水溶性食物繊維の量が群を抜いて多いからです。整腸作用を期待するならばキウイを1日1−2個食べることをおすすめします。

また、キウイを食べることがリラックスした状態を作り出して、副交感神経が優位になり腸管運動が高まるとも言われています。中にはたっぷり酵素が含まれているのでジャムなどではなく、生のフルーツでそのまま頂くことをおすすめします。

桃には食物繊維のペクチンが豊富に含まれています。腸内環境を整えてくれる食物繊維です。実は桃には桃仁という種が数個ふくまれていて、漢方薬に使われているほど昔から薬効の高い食材として扱われています。婦人病や便秘の解消に効果があるとして重宝されてきました。桃には皮と実の間に栄養がたくさん入っているので、皮ごと食べると良いそうです。

りんご

りんごは一年中日本においては手に入りやすく、しかも価格も安めで安定しているので続けて取り入れやすい果物と言えます。りんごには、桃と同じくペクチンという水溶性食物繊維が豊富に含まれています。またりんごに含まれている抗酸化成分が腸粘膜のダメージの回復を流してくれます。

切って食べるのはもちろん、食べにくい場合はすりおろしたり、ジュースにしても飲みやすいです。

詳しくはこちらの記事でりんごの特徴を紹介しています。効果的なりんごの食べ方について詳しく知りたい方はぜひ読んでみてくださいね。

バナナ

便秘になったらとりあえずバナナを食べるという方も少なくないでしょう。バナナには食物繊維が他の食べ物と比べても豊富に含まれています。薬膳の考えにおいても、バナナは腸の熱を取り、乾燥による便秘を防ぐ食材として扱われています。

バナナは皮をむくだけで食べられて、しかも経済的なのでおすすめです。バナナはジュースやスムージー、ヨーグルトとも相性が良いのでいろいろとアレンジして取り入れていきましょう。

プルーン

プルーンには生のタイプとドライフルーツのタイプがありますが、どちらが一般的かというと圧倒的に後者でしょう。便秘解消にはプルーンを食べているという女性も多いようです。プルーンには食物繊維だけでなく、腸を刺激するソルビトールも含まれています。

プルーンには鉄分補給など他にも嬉しい効果がたくさんです。詳しくはこちらの記事でプルーンの特徴、効果的な食べ方などを紹介しています。ぜひ参考にしてプルーンを取り入れてみてくださいね。

果物摂取以外にも便秘改善するためにするべきこと

ランニングをしている女性

果物を食べれば便秘改善への階段を一歩上がることができるはずですが、それだけでは実は不十分です。単に果物を食べるだけでは便秘改善は難しい方も多いでしょう。そこで果物を食べることに加えて次に紹介する方法も同時に取り入れてみてください。

適度な運動とバランスの良い食事

便秘解消には食事改善と運動も大事です。運動の強度としてはやり過ぎることなく、適度な運動が最も効果的となります。激しい運動では交感神経が優位になってしまうので便秘解消には逆効果です。できればリラックスできるようなウォーキング、ヨガ、水泳などをゆったりとした気持ちで取り入れていきましょう。

そして、果物だけに偏るのではなく、バランスの良い食事が基本です。主食のお米、野菜、肉魚類、発酵食品などを色々と組み合わせて、栄養バランスの整った食事を食べることが大事です。

病院での検診

便秘の原因の多くは、食事の乱れ、生活の変化、ストレス、筋力不足などですが、中には病気が隠れているというケースもゼロではありません。例えば、大腸ポリープ、憩室などの腸の異常以外にも、甲状腺の異常などが関係していることもあるからです。

長引く便秘、繰り返す便秘に悩んでいる方は、一度病院での検診を受けてみることをおすすめします。原因を明らかにして問題がないことを知った上で、セルフケアを取り入れていった方が安心です。

リラックス

ストレスや緊張が便秘を招いている方が現代人には多くなっています。夜も寝るギリギリまでPCやスマホを見ているなど神経が休まる時間が短いのです。

便秘解消にはリラックスも大事です。リラックスするのに手軽にできるのは、深呼吸です。息をできる限り深く吸って、吸うよりも長い時間をかけて吐いていくことで自律神経を整えることができます。深呼吸は腸を動かすことにもつながるのでぜひ取り入れてみてください。

果物を積極的に取り入れてみましょう

美味しく、みずみずしい果物は便秘改善に役立つことを解説してきました。食物繊維がバランスよく含まれていて、水分摂取にもなり、腸内環境も改善してくれるので、便秘に悩んでいる方はぜひ積極的に取り入れて欲しいと思います。

ただし、果物がいくら良いからといって食べ過ぎは糖分の取り過ぎになり太ってしまったり糖尿病の原因になることも。いくつかの種類を適量取り入れるようにすると良いでしょう。

便秘に悩んでいる方はぜひスーパーで果物を買って、家に常に常備しておくようにすることをおすすめします。あなたの便秘改善に役立ってくれることを願っています。