キャベツを食べて便秘に?便秘解消法とキャベツの注意点とは

キャベツと言えば食物繊維が豊富で便秘解消に効果がありそうなイメージですが、食べれば食べるほど便秘解消に効くのでしょうか?キャベツなどの食物繊維は確かに便秘解消に効果的ですが、「食物繊維を摂りすぎると便秘になる」という噂も聞いたことはありませんか?

実は食べ方を誤ると便秘が悪化してしまうこともあります。今回は、キャベツがなぜ便秘に効果があるか気になる方に向けて、噂の真偽と食べ方のコツをご紹介いたします。ぜひ最後までお読みください!

便秘ってどういうこと?

辛そうな顔でお腹を押さえている女性

便秘の定義

「便秘」とはよく使う言葉ですが、具体的には以下のような状態を便秘と呼びます。

  • 毎日お通じがあっても、残便感がある。すっきり感がない
  • 以前に比べて排便の回数が減ってしまった
  • 排便の間隔がばらばらで、便もコロコロしたうさぎのふんのようになっている

などが当てはまると便秘といえます。逆に2日に1回程度の排便ペースでも、便の状態が良くスッキリ感があるなら便秘とはなりません。

便秘の種類

一言に便秘と言っても、いくつかの種類があります。日本人にもっとも多いのは「弛緩性(しかんせい)便秘」で、排便があってもすっきり感がない・便がコロコロとしたうさぎのふんのようになっているなどが特徴です。筋力の低下や水分不足、食事量の低下が原因で起こります。

コロコロと硬い便と下痢を繰り返す「痙攣性便秘」は過度なストレスや自律神経が乱れた時に起こり、便意を我慢することで悪化する「直腸性便秘」などもあります。腸に大きな病気があれば、「器質性便秘」という自力では解決できないような便秘の種類も存在します。

便秘にキャベツが良い理由

いいねサインを出している女性

では、なぜ便秘解消にキャベツがいいのかを詳しくご紹介いたします。

食物繊維が豊富

キャベツは葉野菜ですから、食物繊維が豊富に含まれており便秘に効果的です。キャベツ100グラムあたりに1.8グラム含まれており、水溶性食物繊維が0.4グラム、不溶性食物繊維が1.8グラムとなっています。

キャベツの中でも特に食物繊維が含まれるのは、芯の部分です。便秘解消のために食物繊維をたっぷり食べたい場合は、芯を中心に食べるのがおすすめです。

女性が1日に摂取すべき食物繊維の量は17グラム以上なので、キャベツだけで1日に必要な量の食物繊維を摂取するのは難しく、おすすめできません。便秘解消のために効果的な食物繊維の食べ方は後ほどご紹介しますので、ぜひ参考になさってください、

ビタミンUの効果

キャベツが便秘解消に効果的なもう1つの理由は、ビタミンUが豊富に含まれていることです。ビタミンUというと聞きなれないと思いますが、別名を「キャベジン」といいます。胃腸薬としてその名をご存知の方も多いのではないでしょうか。

キャベツから発見されたビタミンの1種類で、胃粘膜の保護や活性化や胃潰瘍の改善にも大きな効果があります。また、肝機能の強化にも効果があります。外食で揚げ物を食べる時によくキャベツが添えられていますが、胃粘膜の保護をして胃もたれを防いでくれる目的があり理にかなった付け合わせなのです。

「キャベツは胃に効果があるけど便秘には関係ないのでは?」と思われそうですが、胃と腸は密接に関係しています。胃の調子が悪くて食べ物が正常に消化されないと未消化の食べ物も腸に送られ、腸壁に未消化物が貼り付いてしまうのです。そうなると、腸本来の役割である「栄養の吸収」の邪魔をしたり、便がスムーズに作られなくなったりするので便秘につながるのです。

便秘気味で胃の調子が悪い時にキャベツを食べると、ビタミンUが胃粘膜を活性化するおかげで消化が助けられ、便が作られやすい状態で腸に消化物が送られるので便秘解消につながるのです。

ちなみに、キャベツの中でもビタミンUが特に含まれるのは葉の色が濃い部分です。便秘と胃の不調に悩んでいるときは、キャベツの緑が濃い部分を積極的に食べましょう。また、ビタミンUはまだ不明な部分も多くあり、1日に必要な摂取量も明らかになっておりません。

ビタミンCの効果

キャベツにはビタミンCも多く含まれており、キャベツ100グラムあたりに41ミリグラム含まれています。これは、ビタミンCが豊富と言われるレモンの約半分に相当します。

ビタミンCは健康目的や美容目的で推奨される摂取量が変わるのですが、厚生労働省が推奨している量が1日あたり100ミリグラム~300ミリグラムですので、キャベツを300グラムほど摂取すれば1日に必要な量を摂取できます。

美白効果や美肌効果など美容面で高い効果があるとされているビタミンCですが、便秘改善にも大きな働きをしてくれます。腸内にある善玉菌を活性化して、腸内環境を改善してくれるのです。便秘になると滞留した便によって腸内環境が悪くなっているので、頑固な便秘に悩んでいる人は積極的に摂取しましょう。

ビタミンCは水溶性で水に溶けるため、身体が不要と判断した分は尿で排出されます。そのため摂りすぎても大丈夫とよく言われますが、人によっては腹痛を起こすこともあります。一度に大量のビタミンCを摂取せず、少しずつ増やしてみることをおすすめします。

また、水溶性の栄養素は体内に長く留まることができないので、1度にたくさん摂るのではなく毎日決まった量をこまめに摂取する方がより高い効果があります。

実はキャベツの食べ過ぎには注意が必要

千切りにされたキャベツ

このように便秘改善に効果的な栄養素を多く含むキャベツですが、「たくさん食べれば便秘が解消する!」とやみくもに食べると便秘を悪化させてしまうこともあります。

便秘が悪化する場合がある

前述したように、キャベツに含まれる食物繊維のほとんどは水に溶けない「不溶性食物繊維」です。不溶性食物繊維はキャベツなどの野菜やイモ類などに多く含まれる筋状の食物繊維で、多くの人が食物繊維と言えばこちらの不溶性食物繊維をイメージします。

便秘解消といえば食物繊維ですが、水に溶けてドロドロのゲル状になる「水溶性食物繊維」と、筋状で水に溶けることがない「不溶性食物繊維」の2種類あります。

不溶性食物繊維は水を吸って膨らむ性質を持っており、腸内に十分な水分があれば便のカサを増やして腸壁を刺激することで便意を起こし、便秘解消につながります。そのため、運動不足による便秘や食事量が急に減ったことで起こる便秘に特に効果を発揮します。

ですが、身体が水分不足になっていると膨らむことができずに腸壁を刺激できず、詰まってしまうことで便秘が悪化します。これこそが、「食物繊維を摂りすぎると便秘になる」と言われる理由なのです。

そのため、不溶性食物繊維をたくさん含んだキャベツばかりを食べていると便秘が改善するどころか悪化してしまうのです。キャベツには水分もたっぷり含まれていますので、一度に食べすぎることで下痢になる場合もあります。

また、甲状腺に病気がある人はキャベツの食べ過ぎに注意が必要です。キャベツはアブラナ科の野菜であるため「ゴイトロゲン」という成分を含んでおり、摂りすぎることで薬の効果が薄くなってしまうことがあります。もちろん多少キャベツを食べたくらいでそのようなことにはなりません。気になる方は、病院でどれくらいなら食べて問題ないか確認すると安全でしょう。

食物繊維の黄金バランス

便秘解消には、もちろん水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も必要です。気を付けるべきは「摂取するバランス」です。

便秘解消に効果的な食物繊維の摂り方は水溶性食物繊維1に対して、不溶性食物繊維が2のバランスが黄金バランスとなっています。キャベツなどの不溶性食物繊維を食べたら、水溶性食物繊維もその半分程度の量を摂取することを意識します。

水溶性食物繊維はドロドロした透明の繊維で、ワカメやこんにゃく、アボカドなどの熟した果実にも多く含まれています。両方の食物繊維を黄金バランスで摂取することで、便秘改善に大きな効果を発揮します。

不溶性食物繊維をとる時のコツ

キャベツに多く含まれる不溶性食物繊維は前述した通り水分が必要ですので、たっぷりの水分と一緒に食べることが便秘解消のコツです。キャベツを食べる時に水分も忘れずに摂取することで、便秘解消につながります。

またキャベツと言えば千切りのイメージが強いですが、便秘解消以外にもダイエット効果を狙いたいなら「ざく切り」がおすすめです。千切りよりも噛む回数が増えますので満腹感を得やすく、食べ過ぎの防止にもつながります。

便秘を改善するキャベツの正しい食べ方

千切りにされるキャベツ

最後に、便秘を改善するためにはキャベツをどう食べたらいいのかについて、具体的にご紹介いたします。

生のままのほうが効果が高い

キャベツに多く含まれるビタミンUやビタミンCなどの栄養素は、熱に弱い性質を持っています。そのため、茹でたり炒めたりと火を通すのではなく「生」で食べるのが最も便秘改善に効果的な方法です。

ただ、生野菜を食べると身体が冷えたり、寒い時期には辛かったりという場合はスープの具材にする方法もあります。栄養が溶け出したスープも一緒に飲むことで、ビタミンUやビタミンCを逃さず摂取することができます。

食事の最初に食べる

「食べる順番を変えるだけで効果があるの?」と思われそうですが、意外にも食べる順番は身体に影響を与えるのです。キャベツはビタミンUの働きで胃の粘膜を保護して消化を助けてくれますから、最初に食べることでそのあとに食べた物の消化もサポートしてくれる働きがあります。

また、キャベツなどの食物繊維から食べはじめることで、ほかにもいろいろなメリットがあります。キャベツにも微量に含まれている水溶性食物繊維は、食べることでネバネバしたゲル状に変わります。そのため後から食べた物を包み込むことで、血糖値の急激な上昇を抑えたり、満腹感を得やすいので炭水化物の食べ過ぎを防いだりとダイエット効果も期待することができます。

水分を一緒に摂る

前述した通りキャベツは不溶性食物繊維がほとんどですから、便秘改善で食べるなら水分は欠かせません。キャベツと一緒に必ず摂取するようにしましょう。

人の身体の6割以上は水分でできていますから、不足することで便秘以外にもさまざまな悪影響を引き起こしますし、過度に水分が不足すると死に至ることだってあります。

食事にも水分は含まれていますから、水分としては1日あたり1リットル~1.5リットルを目安に摂取するようにしましょう。便秘に効果的なのは、朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むことです。腸は朝活発に動きますから、お水を飲んでさらに腸を刺激することで便意が起きやすくなります。

あっさり目の味付け

キャベツの味付けにもポイントがあります。塩分の強いドレッシングや、カロリーの高いマヨネーズをたっぷりかけて食べるのはおすすめしません。あっさりした味付けを意識することが大事ですが、何もつけずにキャベツをたくさん食べるのは辛いものがあります。

便秘解消には食物繊維と水分が大事とお伝えしましたが、「油分」も必要です。良質な油は美容にも健康にも効果的ですので、エキストラバージンオリーブオイルと適量の塩をかけて食べるのが便秘解消に最もおすすめの食べ方です。

キャベツを上手に食べれば便秘を改善できる!

便秘解消に対するキャベツの働き、食べ方についてご紹介しました。食材としてポピュラーなキャベツには、さまざまな栄養が含まれています。今回ご紹介した食べ方を実践することで、便秘改善に大きな効果を発揮してくれることでしょう。

どの食品にも言えることですが、「食べ過ぎてもいい食材」といものはほとんど存在しません。栄養は単体で機能するものはあまりなく、基本的にはチームで働くことで効果を発揮します。もちろんキャベツは便秘解消に効果的ですが、栄養バランスを考えてたくさんの食品を摂ってくださいね。この記事が参考になれば幸いです。