便秘で頻尿になった!?考えられる病気と対処法をご紹介!

日本人の成人、10人に1人は便秘に悩まされているそうですが、中には、便秘にともなって頻尿が見られるという方もいらっしゃいます。そのような場合、何からの疾患を併発している可能性があります。では、どのような病気になると、便秘と頻尿が見られるのでしょう。

便秘はそれほど珍しいものではありませんが、それにともなって頻尿が見られる場合、もしかしたらなんらかの疾患を患っているのかもしれません。そこで、今回の記事では、便秘にともなって頻尿が見られる場合に考えられる疾患を紹介したいと思います。便秘と頻尿に悩まされている方は参考にしてみてくださいね。

便秘と頻尿が見られる病気その1・子宮筋腫

お腹を抱えている女性

便秘と頻尿がみられる疾患としては、子宮筋腫があげられます。女性の多くにみられる子宮筋腫ですが、どのような疾患なのでしょうか。

子宮筋腫とは

子宮筋腫とは、子宮にできる良性の腫瘍のことを言います。腫瘍というとすぐに「がんなの?」と思ってしまうかもしれませんが、実際には腫瘍はがんを意味するものではありません。

腫瘍の「腫」には「腫れもの」という意味があり、腫瘍の「瘍」には「できもの」という意味があります。つまり、腫瘍とは「腫れて盛り上がったできもの」というような意味があるのです。

子宮筋腫の特徴

子宮筋腫は成人女性の4人に1人から、5人に1人程度にみられる疾患だということなので、必ずしも珍しいものという訳ではありません。

子宮筋腫の原因

子宮筋腫の原因に関しては、これほど医学の進歩した現代でもハッキリとしたことが分かっていません。ただ、女性ホルモンのバランスが関与しているのではないかということは指摘されています。

というのも、子宮筋腫は月経の終わる(閉経)時期、すなわち更年期を迎えると、自然と小さくなっていくからです。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫を発症すると、さまざまな症状が現れることとなります。一般的には、月経時の出血量が増えるということが指摘されています。その場合、レバーのような血の塊を認めることもあるということです。

月経時の出血量が増えることによって、貧血症状を訴えられる方もいます。また、月経時の痛みだけでなく、月経時以外にもお腹や腰の痛むことがあります。

子宮筋腫の大きさやできた場所によっては、膀胱が圧迫されてしまい、トイレに行く回数が増えたり(頻尿)、尿意を我慢できなくなったりします。

その他にも、これまでは1週間程度であった月経の期間が10日にまで伸びたり、月経時以外の出血(不正出血)がみられたりすることもあります。

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫によってトラブルが発生した場合、治療がおこなわれることとなります。では、どのような治療法があるのでしょうか。

薬物療法

子宮筋腫の治療をおこなう際、医薬品の用いられることがあります。更年期に似た状態にする医薬品や、妊娠時に似た状態にする医薬品、漢方薬などが用いられます。

更年期になると通常は子宮筋腫が小さくなることから、薬によって更年期が来たのだと脳に勘違いさせ、子宮筋腫の進行を抑えたり、子宮筋腫による症状を緩和したりすることが可能です。

更年期に似た状態にする医薬品としては、Gn-RHアナログと呼ばれる医薬品や、ダナゾールと言って、大性ホルモンと似た働きのある医薬品があげられています。

更年期に似た状態にする医薬品の副作用としては、実際に、更年期障害のような症状が出るということがあげられます。

肩こりや頭痛がひどくなったり、急に身体が熱くなって発汗したり(ホットフラッシュといいます)、精神的に落ち着かなくなってイライラしたり、不安を感じたりすることもあります。

妊娠に似た状態にする医薬品としては、低用量ピルなどがあげられています。また、黄体ホルモンを含む医薬品が用いられることもあります。

これらの医薬品の副作用としては、乳がんになるリスクが高くなったり、肝機能障害になるリスクが高くなったり、心筋梗塞になるリスクが高くなったりといったことがあげられています。

手術療法

子宮筋腫にともなう症状があまりにもひどかったり、子宮筋腫が異常に大きくなったり、子宮筋腫を取り除くことで妊娠の可能性が高くなったりするような場合、手術療法が勧められることもあります。

手術の方法としては、子宮をすべて取り除いてしまう方法(子宮全摘)と、筋腫の部分だけを取り除く方法(子宮筋腫核手術)の2種類があります。

便秘と頻尿が見られる病気その2・自律神経失調症

頭を抱えている女性

便秘と頻尿がみられる疾患としては、自律神経失調症もあげられます。しばしば耳にすることのある言葉だと思いますが、どのような疾患なのでしょうか。

自律神経失調症とは

自律神経失調症は、正確に言うと病気ではないということです。自律神経のバランスが乱れることによって、さまざまな症状(不定愁訴)がみられる状態のことを言います。

ただ、病院の中には自律神経失調症のことを病気とカテゴライズしているところも多いため、便宜上、自律神経失調症が病気であるということにして説明を進めたいと思います。

自律神経とは、運動神経とは異なり、私たちが特に意識しなくても勝手に働いてくれている神経のことを言います。呼吸や体温調節、消化や吸収など、私たちの生命活動の根幹を支えてくれているのが自律神経です。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つから成っており、両者がバランスをとることによって、私たちの生命活動が円滑におこなわれるのです。

交感神経が優位になると、血管が収縮して血圧があがり、活発に行動できるようになります。反対に、副交感神経が優位になると、血管が拡張して血圧が下がり、身体を効果的に休めることができることとなります。

どちらが優位になる方がよいということではなくて、活発に動くときにしっかりと交感神経が優位になり、身体を休めるときには、ちゃんと副交感神経が優位になることが重要なのです。

ところが、ストレス状態が継続することによって交感神経優位の状態が続いてしまうと、身体を休めるべき時間帯になっても、いわばアクセルを踏みっぱなしの状態(緊張状態)になってしまいます。

私たちが寝ている間には、成長ホルモンが分泌され、細胞分裂が活発に起こることとなります。それによって、身体の傷んだ部分を修復したり、新陳代謝が活発になったりするのです。

また、私たちが食べたものの消化や吸収は、私たちが寝ている間に活発におこなわれます。ところが、交感神経優位の状態が続くと睡眠の質が低下するため、消化や吸収もとどこることとなります。その結果、便秘になるリスクも高くなるのです。

自律神経失調症の特徴

自律神経失調症の特徴としては、症状がコロコロ変わるということがあげられます。昨日は頭痛がしていたと思えば、今日はお腹が痛いなど、日によって訴える症状が変わります。そのような症状のことを「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼んでいます。

自律神経失調症になると、実にさまざまな症状が訴えられることとなります。今回のテーマである頻尿はもちろんのこと、腹痛や倦怠感、耳鳴りやめまい、易疲労感などの身体的症状が現れます。

自律神経失調症によって生じるのは身体的症状だけではありません。些細なことでイライラしたり、反対に落ち込んだり、訳もなく悲しい気持ちになったりといった、精神的症状がみられることもあります。

自律神経失調症の治療法

自律神経失調症の治療法としては、薬物療法とカウンセリングがあげられます。自律神経失調症の治療に用いられる医薬品としては、精神安定剤やホルモン剤、ビタミン剤や睡眠導入剤などがあげられます。

便秘と頻尿が見られる病気その3・急性膀胱炎

お尻に両手を当てている女性

便秘と頻尿がみられる病気としては、急性膀胱炎もあげられます。どちらかというと女性に多くみられる疾患ですが、なぜそのようなことが起こるのでしょう。

急性膀胱炎とは

膀胱炎は女性に多くみられる疾患で、女性の2人に1人は、一生に1度は膀胱炎を経験するともいわれています。急性膀胱炎は細菌性の疾患であるということです。

年齢を問わず発症することがありますが、どちらかというと若い女性に多くみられる疾患だということです。特に、ストレスや風邪など、免疫機能が低下していると、急性膀胱炎を発症しやすいということです。

急性膀胱炎の中でも、便秘や性交渉などが原因となっておこる膀胱炎のことを「単純性膀胱炎」と呼んでおり、主な症状として頻尿や残尿感があげられています。

急性膀胱炎の特徴

急性膀胱炎の症状としては、先にあげた頻尿や残尿感のほかに、排尿時痛や血尿、お腹が張っている感じや、尿の臭いがきつくなるといったことがあげられています。

急性膀胱炎の治療法

急性膀胱炎は細菌感染による炎症性の疾患であるため、通常は抗生物質を用いて治療することとなります。たいていのケースで、2日ほどもすれば症状は収まってくるということです。

急性膀胱炎を予防するためには、普段から陰部を清潔に保つことや、水分補給を怠らないこと、トイレを我慢しすぎないことなどがあげられています。

便秘とひん尿が見られる病気その4・パーキンソン病

手を握っている

便秘と頻尿がみられる病気としては、パーキンソン病もあげられています。名前はよく聞くことのある病気ですが、パーキンソン病はどんな病気なのでしょう。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳に異常がみられることによって、運動障害が起こる疾患のことを言います。日本でも15万人以上の患者さんがいるということです。

映画俳優のマイケル・J・フォックスさんがパーキンソン病を発症したことや、ボクシングの元ヘビー級チャンピオンである故・モハメド・アリさんがパーキンソン病を患っていたことはよく知られています。

パーキンソン病を発症する原因としては、脳内の神経伝達物質の1つである「ドーパミン」の分泌量が減少するということがあげられています。

私たちが身体を動かそうとするとき、脳の大脳皮質という部分から、動かそうとした部分の筋肉へと指令が伝わります。その指令をおこなっているのが、神経伝達物質であるドーパミンなのです。

パーキンソン病を発症すると、このドーパミンの分泌量が減少するため、思ったように身体を動かすことができなくなってしまうのです。

パーキンソン病の特徴

パーキンソン病を発症すると、「運動症状」と「非運動症状」の2種類の症状があげられます。運動症状としてよく知られているのが、「振戦(しんせん)」「無動」「固縮」「姿勢反射障害」の4つです。

振戦とは、手や足がぶるぶると震えることをいいます。安静にしているときに、手や足が細かくぶるぶると震えるといったことが起こります。

無動とは、動作が小さく、少なくなることを言います。たとえば歩くときに歩幅がせまくなり、歩くスピードが遅くなる、といったようなことがあります。

固縮は筋肉が固く縮こまってしまうことをいいます。姿勢反射障害とは、姿勢を保つことが困難になることを言います。バランスを崩すと立て直すことができなくなり、そのまま倒れてしまいます。

非運動症状としては、「精神症状」や「睡眠障害」、「自律神経症状」などがあげられています。精神症状には、不安やイライラ、無関心などがあります。実際、パーキンソン病患者さんには無表情の人が多くみられます。

睡眠障害としては、不眠やむずむず脚症候群が、自律神経症状としては便秘や頻尿、起立性低血圧などがあげられています。

パーキンソン病の治療法

現代医学をもってしても、パーキンソン病を根本的に治す方法は残念ながらないということです。そこで、少しでも生活の質を上げるために、薬物療法がおこなわれることとなります。

パーキンソン病の治療に使われる医薬品としては、神経伝達物質であるドーパミンを補充するためのデボドパや、ドーパミンと似た働きをするドーパミンアゴニストといった医薬品があげられます。

その他にも、抗コリン剤やMAO-B阻害剤、塩酸アマンタジンやアポモルフィン、ドロキシロパやCOMT阻害剤、アデノシンA2A受容体阻害剤、ゾニザミドなど多数の医薬品が用いられることとなります。

便秘と頻尿に関係性

便秘と頻尿がみられる病気について見てきましたが、いかがだったでしょうか。便秘と頻尿という一見なんの関係もなさそうな症状ですが、病気によっては両者が同時に現れることもあるということです。便秘や頻尿がみられて、その他にも気になることがあるようでしたら、早めに病院を受診するようにしてくださいね。