便秘と頭痛、一見関係がないように思われますが実は便秘があると様々な不調の原因になるといわれているんです。今回は便秘と頭痛療法改善する方法をご紹介します。
便秘について
便秘は多くの人を悩ましている症状であり、便秘だけにとどまらずいろいろなお悩みを引き起こします。ここでは、まずは便秘の定義や原因や女性がなりやすい理由などを紹介していきます。
便秘の定義
便秘の定義は、実は難しく簡単に言えば「排便の回数が減る」ということになります。しかし、実際にはその境界線は曖昧で、もともとどのくらいの頻度で便通があったかによって異なってきます。
個人個人でその程度は変わってくるので一概に回数などでは定義しづらい一面があります。
1日3-4回でもあるいは3-4日に1回でもそれが長年の排便習慣で問題なく生活できていればどちらも問題ありません。
便秘の原因
便秘の原因は大きく分けて、以下の3種類に分類されます。
- 直腸に便が停滞してしまう・・・便が直腸まできても、うまく排便できない
- 大腸の運動機能が低下してしまう・・・水分が過剰に吸収されて固くなってでない
- 大腸の過緊張・・・副交感神経の興奮によって便がうまく運ばれず、便がコロコロになる
このうちの原因が1つのこともあれば、複数合わさっている場合もあります。
女性が便秘になりやすい理由
・ホルモンバランス
特に女性に便秘が多い理由の1つが、ホルモンバランスの影響です。
多いのが生理前の便秘で、これには黄体ホルモンが関わっています。排卵から生理の数日前まで便秘傾向になりがちです。普段は便秘ではない方も、この時期だけは便秘になってしまうことも少なくありません。
・身体の構造
一般的に女性は男性と比べても、筋力が弱いことも原因の1つです。というのは、筋力が弱いということは腹筋も弱いということであり、腸が下がりやすくなり、蠕動運動という便を押し出す力がないのです。
その結果、排便時のいきみ不足にもつながってしまい、便秘かつ便を出す力がなくなるのです。
食べてから排泄までの流れ
まず食物は食べてから、歯によって噛み砕かれ、唾液と混ぜ合わさりながら食道を通って胃に入り、強酸性の消化液によって、ドロドロの状態になって十二指腸におくられます。
その後、胆汁や膵液と混ざり、小腸へと送り出され、食物にふくまれている栄養素と水分の80%を吸収し、残りの繊維質や水分が大腸に送られていきます。ちなみに吸収された栄養などは腸の血管から肝臓にいき、全身に送られます。
大腸に送られた繊維質などは水分をさらに吸収され、便という固形物となって排泄されます。これが排泄までの流れにとなります。
便秘で起こる症状
便秘の厄介なところは便秘になって終わりではないところです。便秘になるといろいろな症状が引き起こされてきます。まずは1つずつ見ていきましょう。
便秘での症状1 腹痛
便秘になると、お腹にガスがたまったり、物理的に腸が窮屈になることで痛む場合があります。腸の膨張が周りの臓器にも広がり、痛みを感じやすくなってしまうのです。お腹が痛いという時、案外原因が便秘だったということも少なくありません。
便秘での症状2 腹部膨満
上記でも紹介したように、便秘になるとお腹にガスがたまり、お腹の中がパンパンになり、腹部膨満感を感じることがあります。これこそが、便やガスがたまっている証拠なのです
また、この症状は排便回数の減少にともなってあらわれ、原因は腸の働きの低下や腸の中に便がたまることによります。
便秘での症状3 食欲不振
便秘が続くと、胃腸の働きが低下します。胃腸の動きが鈍くなることで、食べたものが消化排泄されずにすっきりしません。その結果として食欲が落ちてしまうのです。さらには腹部膨満感や腹痛などの影響で食欲が低下してしまうこともあります。
便秘での症状4 吐き気
便秘の症状が悪化してくると、腸の不調だけでなく、胃や食道にまで悪影響を与えることがあります。腸が便やガスでパンパンになってくると、胃腸を下から上の方へ圧迫してしまい、そのまま吐き気につながってしまう場合があります。
便秘での症状5 肌トラブル
便秘になると、肌の張りや艶がなくなるなどの肌トラブルが起きます。例えば、以下のようなものがあります。
- ニキビ
- 肌荒れ
- くすみ
便秘により血行が悪くなったり、腸の中に悪玉菌が増えて有害物質が皮膚から排泄されるときに肌荒れを引き起こしてしまうのです。腸が綺麗だと肌も自然と美しくなりますよ。
便秘での症状6 頭痛・肩こり・めまい
便秘なると、腸内の毒素が増えて自律神経の働きが悪くなります。その結果として、頭痛、肩こり、めまいなどの症状も一緒にあらわれることがあります。
便秘での症状7 精神症状
腸は第二の脳と呼ばれるくらいなので、便秘が続くと精神的に不安定になりやすくなります。さらに出ないことによるストレスもたまり、どんどんイライラと不快感により精神症状が不安定になっていきます。
特に腸はリラックスホルモンと呼ばれるセロトニンを作る場所であり、便秘になるとその働きが悪くなります。神経の働きが悪くなることで、ますます便秘を引き起こし、悪循環に陥りやすいので要注意です。
便秘での症状8 肛門病変
便秘が続くと、カチコチの便になりやすくなり、トイレでいきんだりすることで切れ痔やいぼ痔、裂肛などになるなどの肛門病変が起こりやすくなります。痔ができてしまうと、ますます排便が怖くなり便秘を招いてしまうので危険です。
便秘での症状9 乳がん
最近の研究では、便通回数の少ない女性の方が、乳がんになる可能性が5倍にまで高まるという結果がでているようです。通常は乳がんの原因である女性ホルモンが便として排出されるところ、便秘になると大腸で、再度吸収してしまうので乳がんの発症リスクが高まると考えられています。
便秘での症状10 動脈硬化
便秘になると、胆汁として分泌されているコレステロールを大腸で再吸収してしまい、体内のコレステロールが多くなってしまいます。その結果、血液中に溶けたコレステロールが血管内に蓄積されることで高コレステロールとなり、将来的に動脈硬化になる可能性が高まります。
便秘と頭痛の関係性
便秘と頭痛は関係ないものだと思っていますか?でも便秘の時に一緒に頭痛になった経験がある人もいるのではないでしょうか?
ここでは便秘と頭痛の関係性について紹介していきます。
自律神経が大きく関わる
便秘になっている時に、一緒に頭痛が起きてしまっている場合には、自律神経が大きく関わっている場合があります。というのも、もともと便秘自体が自律神経の乱れによって、引き起こされている可能性が高いからです。
自律神経が正常に働いていれば、副交感神経がしっかりと働き、腸がしっかりと機能を果たし、便を排泄できるのですが、自律神経が乱れると副交感神経が十分に機能せず、便秘になってしまう場合があります。
例えば、ストレスは自律神経を乱し、便秘を引き起こし、頭痛も一緒に引き起こす可能性があります。
便秘での頭痛は片頭痛や緊張性頭痛と似ている
便秘で引き起こされる頭痛は、機能性頭痛と呼ばれている片頭痛や緊張性頭痛と似ている部分があります。
片頭痛とは、頭の片側もしくは両側が痛くなるタイプの頭痛で、ズキズキと脈に合わせて痛み、吐き気を伴う場合もあるほどひどくなることもある頭痛です。
一方で、緊張性頭痛とは、首、後頭部から頭の周り一帯をすべて締めつけられるような痛みを伴う頭痛です。ズキズキとした拍動はしないで、重くギューっと続く痛みになります。
いずれの症状も便秘を伴う場合があり、原因をよく見極めることが大切です。
便秘を改善する薬では意味がない
自律神経の乱れやストレスが原因となって頭痛が引き起こされている場合には、便秘薬を使うだけでは対処としては不十分です。たしかに便秘薬を使うことで頭痛が改善されることもありますが、即効性を求めるならば頭痛薬を使った方が良いこともあります。
なお、頭痛薬は胃粘膜を痛める作用もあるため、食後に服用するか、多めに水分をとり飲むようにしましょう。また根本的に頭痛と便秘を解決するには、生活習慣などの見直しも必要になってきます。
便秘による頭痛の改善方法
頭痛のタイプに応じて改善方法は変わってきます。ここでは片頭痛と緊張性頭痛の改善方法を紹介していきます。
片頭痛の時
<1>冷やす
片頭痛のもっとも手っ取り早い改善方法は、まずは冷たいタオルなどを頭の痛い部分にあてて冷やすことです。冷やすことで血管が収縮して、痛みが軽減する可能性があります。
逆に、温めるのは良くない改善方法なので気をつけましょう。とくに入浴やマッサージなどは血管を拡張させてしまい、片頭痛の場合には頭痛の痛みが増すことになる可能性があります。
<2>静かな部屋で暗くして休む
片頭痛の場合には、安静にすることも大事なポイントです。なぜならば、片頭痛の最中に体を動かすと痛みが逆に増してしまい、光や騒音ですらも痛みを助長してしまうのです。
そのため、安静にするときも、暗い場所かつ静かな場所を選んで横になりましょう。
<3>カフェインを摂る
最後にオススメする片頭痛の改善方法が、カフェインになります。コーヒーだけでなく、紅茶、日本茶にも含まれている成分です。
カフェインは血管を収縮する作用がありますので、偏頭痛による血管の拡張を抑え、痛みの軽減に役立ちます。片頭痛が来そうなときに飲むと良いでしょう。ただし、連日の過剰摂取は逆に頭痛を誘発してしまう可能性もあるので注意が必要です。
片頭痛になったら、まずは痛い部分を冷やして、暗い場所で休むなど、自分なりの対処法を身につけておくと良いでしょう。
緊張性頭痛の時
<1>ストレス発散
緊張性頭痛には、ストレスが重なることにより発生すると言われており、そのストレスの種類は精神的なものから、肉体的なものどちらでも考えられます。頭痛があるときには、心身にストレスを加えている要因をストップさせましょう。
極端に言えば、精神的なストレスだった場合には、その場から離れること、考えないことも必要です。早めに気分転換をするよう心がけましょう。
また、ストレスを溜めないように日頃から気分転換することも心がけましょう。
<2>入浴をする
緊張性頭痛は、片頭痛とは違い、体を温めて、血行を促進することがプラスに働きます。マッサージや蒸しタオル、さらには半身浴などで体を温めて、首や肩の筋肉のコリを解しましょう。
血行がよくなれば緊張性頭痛も改善していきます。
<3>緊張をほぐす
緊張性頭痛は、ストレスなどによる筋肉の緊張により起きているので、日頃から緊張をほぐしていくことが必要です。
そのため、例えば、仕事場などでも長時間同じ姿勢をとらないようにして、首や肩のコリがたまらないようにしましょう。
気づいたら、首や肩の血行アップするために、以下のようなストレッチもオススメです。
- 両肩を上げて、ストンと落とすストレッチ
- 首を左右に倒すストレッチ
- 椅子に座って前屈するストレッチ
痛み止めの薬を使うことも必要
片頭痛の場合には頭痛が起きた時に適した薬と頭痛を起こりにくくする予防薬があります。
頭痛が起きた時には、トリプタン系薬剤やエルゴタミン製剤を病院で処方してもらうか、市販などの解熱鎮痛剤などを使用します。また、片頭痛の予防薬としては、カルシウム拮抗薬などがあります。
緊張性頭痛の場合には慢性的に起きている場合は、鎮痛薬などを飲んでもあまり効果はないと言われています。むしろ、気休めで毎日のように鎮痛薬を飲んでしまうと、薬物使用過多による頭痛と言われる薬物乱用頭痛になってしまう可能性があるので、注意が必要です。
緊張性頭痛の場合にはあくまで鎮痛薬は一時的な服用にとどめ、日頃から緊張などを発散し、頭痛が起きない努力が必要です。
薬物乱用頭痛については片頭痛でも起きるので、毎日の服用には気をつけましょう。
便秘を改善できる健康的な生活
便秘を改善するには、健康的な生活を行う必要があります。食事療法により1日3回バランスよい食事をとりながらも、ストレスや緊張の少ない規則的な生活を心がけるようにしましょう。
便秘が原因ではない頭痛の特徴
ここまで紹介したように便秘と頭痛はその原因が一緒のものがあります。それがここであげた片頭痛や緊張性頭痛になります。
これら以外にも、もう1つ群発頭痛というものがあります。群発頭痛は1〜2ヶ月の間に集中してほぼ毎日起きてしまう頭痛です。痛む場所は必ず片側だけが痛み、目の奥がえぐられるような激痛でじっとしていられないレベルだと言われています。群発頭痛の発生と便秘にはあまり関連性がありません。
また、これまで紹介してきた片頭痛や緊張性頭痛も、便秘と原因が一緒でない理由で引き起こされることもあります。便秘と頭痛が同時に起きる方は、その原因を医師に相談するなどして見極めることが大切です。
健康的な生活を心がけましょう
便秘はそれだけでも大変な症状ですが、それ以外にもいろいろな症状が引き起こされる可能性があります。さらにはここであげたように片頭痛や緊張性頭痛などを一緒に引き起こす可能性があるので、食事やストレスに気をつけながら、健康的な生活を送るように心がけましょう。