肥満度が高いと病気かも!?起こりうる病気と肥満度を下げるコツ3選

現代の食文化では、普通に食べていても太ってしまう可能性があります。かなり意識した生活を送らない限り、日々の生活の中で体を動かすこともありません。

これまで欧米の問題だと思われていた肥満の問題ですが、日本でも肥満と認められる方々が増えています。アナタはダイジョウブですか? 今回は肥満度を測り、健康的に過ごすことの大切さについて考え直してみたいと思います。

肥満度とは

お腹の脂肪に悩んでいる女性

厚生労働省による「国民健康・栄養調査」(2016年)によりますと、日本人の肥満者の割合は、男性およそ30%、女性およそ20%です。年代別に見てみると、男性では20-29歳では25.7%で、50-59歳で36.5%と徐々に肥満者の割合が高くなっています。一方、女性では、30-39歳では14.3%で、60-69歳で24.2%と割合が高くなっています。

この数値からもわかるように、肥満は年齢とともに気になる問題と言えますが、では、肥満とはいったいどのような状態で、どういった基準で肥満度は図られるのでしょうか。

肥満とは

肥満とは、通常よりも体重が多い、または体脂肪過剰についている状態のことです。体重や体脂肪が増えたことでさまざまな症状が現れますが、「肥満」はそういった症状があるかどうかは関係ありません。単に太っている状態のことを表します。

では太っているかどうかはどうやってわかるのでしょうか。これにはちゃんとした基準があって、数値を計算することができます。それがBMIです。

BMIとは?

BMIとはBody Mass Indexの略で、体格指数と訳されます。この指数は、体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で計算することができます。この数値が22の場合、統計的に最も病気にかかりにくいと言われています。

一般的に、日本肥満学会の数値が肥満度を測る際に利用されています。日本肥満学会の基準では、BMIが18.5~25未満を普通体重とし、25以上を肥満としています。

ちなみに、25以上30未満が肥満1度、30以上35未満が肥満2度、35以上40未満が肥満3度、40以上が肥満4度で、とくにBMI35以上は高度肥満とさらに細かく分類されています。

BMIとメタボの関係は?

BMIは慎重と体重で計算されますが、メタボは内臓脂肪が溜まっている状態と関係が深いウエストで測ります。その診断基準は国によっても異なれば、機関によっても異なりますが、日本肥満学会の基準を借りると、ウエスト周径が男性で85cm以上、女性で90cm以上で、中性脂肪150mg/dL以上、HDL(高比重リポたんぱく質)40mg/dL以上、血圧収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上、空腹時血糖値110mg/dL以上です。

BMIとメタボは必ずしも相関関係があるわけではありません。BMIが標準であっても、ウエストが大きくて内蔵型肥満であれば、メタボである可能性もあります。

実際に肥満度をチェック

体重計に86kgと出てしまっている人

それでは実際に肥満度をチェックしてみましょう。まずはBMIを計算してみましょう。身長と体重を測って数式に当てはめてみると、ご自身のBMI値や標準体重がわかります。

合わせて体脂肪率を測っておくこともオススメします。体脂肪率とは体重に占める脂肪の割合を指します。体脂肪率を測るには、家庭用の体脂肪計で測ります。

BMIでチェック

たとえば、身長160cmで体重55kgの場合、体重(55㎏)÷身長(1.6m)÷身長(1.6m)=21.48となります。この数値は、BMIが18.5~25未満を普通体重とする範囲内です。

一方、身長158cmで体重65㎏の場合、体重(65㎏)÷身長(1.58m)÷身長(1.58m)=25.39となります。この場合、BMI25以上であるため肥満の状態で、さらに細かく見ると、25以上30未満の範囲内であるため、肥満1度となります。

体脂肪率でチェック

BMIで肥満かどうかのチェックはできますが、体の脂肪が多いかどうかを知ることはできません。そこで役に立つのが体脂肪率です。

体脂肪率は、体脂肪の重さがわかれば、体脂肪率(%)=体脂肪の重さ(kg)÷体重(kg)×100で計算できますが、体脂肪の重さを知ることは難しいですよね。家庭用の体重計に、体脂肪機能がついているものもありますので、うまく利用してみてください。

厚生労働省による体脂肪の基準は、男性で15~20%、女性で20~25%が普通、男性で25%以上、女性で30%以上が肥満と判定されます。

子どもや妊婦の場合は?

ところで、子どもや妊娠女性の場合はどのように調べたらいいのでしょうか。

子供の場合

厚生労働省の「子どものメタボリックシンドロームが増えている」によりますと、子どもの肥満は、肥満度(%)で測ります。肥満度は、(実測体重―標準体重)÷標準体重×100で計算されます。幼児では肥満度15%以上が肥満児、学童期以降では20~30%が軽度肥満、30~50%が中等度肥満、50%以上が高度肥満と判定されます。

また、厚生労働省では「小児期メタボリックシンドローム」の診断基準を作成しています。小児期とは6~15歳までの子どものことです。成人と同様、子どものメタボも日々の生活習慣から生じます。生活習慣の改善、とくに規則正しい適切な食事、適度な運動を取り入れることで、肥満になりにくい体を作っていくことが大切です。

厚生労働省「子どものメタボリックシンドロームが増えている」

妊娠女性の場合

妊娠中の体重増加について、その推奨値は各機関によって微妙に異なります。ちなみに、厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」にある「妊娠期の至適体重増加チャート」によりますと、BMI18.5未満は9~12㎏、BMI18.5以上25未満では7~12㎏、BMI25をやや超える程度の場合はおよそ5㎏、著しく増える場合は個別に対応するとあります。

厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」内「妊娠期の至適体重増加チャート」

肥満と病気

腸内の模型を手に持っている女性

肥満とは標準よりも太っている状態のことですので、このこと自体、問題ではありません。ただ、肥満の状態が続いていくと、多くの病気を招く原因になる可能性が高いことが問題なのです。

とくに、最近では、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が注目されています。生活習慣病とは、日頃の食生活をはじめ、運動不足な生活習慣が原因で起こる病気で、これらの病気に関連して、メタボリックシンドロームの状態になることもあります。

肥満で起こりうる病気

肥満の状態でいると、まず、重たい体重を支えている足腰に何らかの影響が及んでいきます。腰痛や膝痛などの関節痛が起こりやすくなります。

また、肥満の状態は生活習慣病を発症させ、血管を傷つけ、血液がドロドロになり、やがて動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気へ進む可能性があります。

食べ過ぎが原因で肥満になった方は、尿酸が体内に過剰に入り込むことで起こる高尿酸血症を起こすことがあります。放置しておくと、痛風を引き起こすことでも知られています。

さらに、肥満の方は中性脂肪が肝臓に蓄積する脂肪肝を引き起こす可能性があります。脂肪肝を放置しておくと、肝機能が低下し、肝硬変、肝臓などが起こる可能性があります。

10%以上の方

標準体重に対する肥満度は、(実測体重―標準体重)÷標準体重×100で計算されます。成人の肥満度は、10%以上で過体重、20%以上は肥満とされています。

実際に計算してみて、10%以上になった方は生活習慣を改める必要があります。「まだ過体重だし…」と思っていては危険ですよ。生活習慣は、年齢を重ねるごとに改めるのが難しくなります。気づいたときからはじめ、肥満にならないように考え方を改めたほうがベターです。

10%以下の方

肥満度が-10%~10%未満の方は普通です。標準の範囲内に入っていますが、油断は禁物。現状を維持し、必要であれば日々の生活にさらに運動を取り入れたり、食生活を少しでもよくするように替えてみたりしていきましょう。

なお、肥満度が-10%未満の方はやせすぎています。厚生労働省による「国民健康・栄養調査」(2016年)によりますと、「やせ」または「低栄養傾向」の女性の割合はこの10年間で増えているそうです。

とくに20代女性の「やせ」の割合は20.7%、65歳以上の女性は22.4%という数値で、栄養不足の問題や、過剰なダイエットによる摂食障害などが心配されます。栄養を考えて、健康的な生活を目指していきましょう。

肥満度を下げるためには

たくさんの野菜の中心に置かれたダンベルと聴診器と縄跳び

まさか肥満度が高くなっているとは知らなかったという方、けっこういらっしゃるのではないでしょうか。かなり健康を意識した生活を送っていないと、すぐに食生活が偏り、運動不足になってしまいます。

そんなまさかの肥満度が高くなってしまったら、いったいどうしたらいいのでしょうか。どうやって肥満度を下げたらいいのか、いくつかご提案させていただきたいと思います。

運動

まずは動くことです。最も取り入れやすく、また持続できるのがウォーキングです。仕事柄、座りっぱなしや立ちっぱなしの方もいらっしゃいますよね。でも、通勤の際、エスカレーターを使わずに階段にする、ひと駅分歩くなど、ちょっとした意識の変化でずいぶんと動くことができるようになります。

お仕事をされていない方やあまり外に出ない方は、家事や買い物の際になるべく動きを取り入れるようにします。掃除機をかけながら手足を動かし、窓を拭きながら腕を大きく動かすなどです。体を動かすことを意識することで、それまでに比べたらだいぶ運動を取り入れていることになります。

食事制限

肥満度を下げるためには、食生活の改善は必須です。食事の内容はさることながら、食事の時間帯、食事の食べ方なども意識していきます。夜遅くには食べないこと、食べた後は動くこと、ゆっくり食べることなども大切なことです。

食事を制限するのが難しい場合、ビタミンやミネラルが豊富な野菜の量を増やしていくといいですよ。炭水化物の摂り過ぎに気をつけ、バランスよく食べるようにします。最近ではアプリケーションなどでかんたんに食事のカロリーを計算することもできますよね。

健康診断に行く

何よりも健康診断で診てもらうことが大切です。病気も早期発見が早期改善につながりますよね。定期的に健康診断を受け、健康状態をチェックし、肥満にならないように日頃から注意しておきたいですよね。

肥満度は健康のヒント

肥満度は、BMIの数値や体脂肪率などから調べることができます。肥満になると、さまざまな病気を引き起こすことにもなりますので、肥満度チェックで引っかかった方は、肥満度を下げるために生活習慣を改めましょう。そして、定期的に健康診断を受けて、健康状態をチェックするようにしましょう。