肥満になると不妊症になる?妊娠中の肥満のリスクとは!?

LIL 編集部

晩婚化や高齢出産が進んでいる日本では、不妊症も大きな問題となっています。不妊症の原因は実にさまざまですが、肥満もその内の1つだと考えられています。では、肥満をするとなぜ不妊の確率が上がるのでしょうか。今回はその辺の事情について解説したいと思います。

不妊症に悩む女性の方もたくさんいらっしゃることと思いますが、肥満をすると不妊症になる確率が高くなるという考え方もあるそうです。では、なぜ肥満すると不妊症になってしまうのでしょうか。

また、妊娠期や出産期に肥満をしていると、どのようなリスクがあるのでしょうか。今回の記事では、肥満と不妊症の関係や、周産期の肥満のリスクに関して解説していきたいと思います。

肥満とは?

周産期に肥満しているとどのようなリスクがあるのかを説明する前に、まずは肥満とはどのようなことを言うのかについて知っておきましょう。「そんなこと知っているよ」という方も、一度ご覧になってみてくださいね。

太っていること

肥満とはひとことでいうと、太っている状態を意味します。もう少し詳しく言うなら、標準体重の人よりも体脂肪がたくさん付着している状態のことを言います。そこになんらかの病変がともなうかどうかは問題ではありません。

肥満しているかどうかは、一般的にBMI(ボディ・マス・インデックス)という指標が用いられます。身長(m)の2乗を体重(kg)で割ったものが、その人のBMIとなります。

BMIは22が標準とされており、18.5以上25未満であれば標準体重の範囲内であるとされています。BMIが18.5未満なら痩せ型、25以上なら肥満と分類されます。

BMIの測定法は世界共通なのですが、たとえば肥満大国のアメリカでは、BMIが30を超えると肥満だと認定されます。

これは、アメリカの肥満に対する認識が甘いというよりは、日本人との体質の違いから来ているということです。日本人の場合、BMIが25を超えるあたりから生活習慣病のリスクが高くなるとされているため、このような基準が採用されている訳です。

肥満症

肥満と肥満症は、実は別物であると考えられています。肥満にともなって、なんらかの健康上の問題がある場合、肥満症という風に分類されます。

肥満症の人がなりがちな病気としては、高血圧や脂質異常症、耐糖能障害(2型の糖尿病など)、高尿酸血症や痛風といった生活習慣病があげられます。

また、心臓の冠状動脈にトラブルが起こったり、脳梗塞を起こしたり、脂肪肝や肥満が原因の腎臓病になったりすることもあります。

女性の場合は月経不順になったり、妊娠時に合併症をおこしたりすることもあります。さらに、膝痛や腰痛などの整形外科的疾患を発症するリスクも高くなります。

肥満と不妊の関係

それでは今回のメインテーマでもある、肥満と不妊との関係について見ていきたいと思います。肥満してしまうと、どのような弊害が見られるようになるのでしょうか。

排卵障害

肥満している人の脂肪細胞には、たくさんの脂肪が蓄えられることとなります。そして、脂肪細胞にはアディポネクチンというタンパク質の一種を産生しています。

アディポネクチンには、インスリンの活動をサポートする働きがあります。私たちの太る原因は糖質の過剰摂取だと言われており、インスリンが分解しきれない量の糖質を摂ると、脂肪細胞に脂肪が蓄えられることとなるのです。

つまり、インスリンが太るかどうかのカギを握っているとも言えるのです。ところが、脂肪細胞に脂肪が蓄えられ過ぎると、インスリンのサポートをするアディポネクチンの分泌量が減少してしまうのです。

アディポネクチンの分泌量が減少するとインスリンの働きが低下して太りやすくなるだけでなく、卵巣の表面が分厚くなって卵子が育ちにくくなり、結果として排卵障害を起こすことが分かってきているのです。

生理不順

脂肪細胞からは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが分泌されます。エストロゲンは女性が女性らしくあるために重要な働きをするホルモンなのですが、エストロゲンが過剰に分泌されることによって生理不順が起こることもあるということです。

肥満することによってエストロゲンが大量に産生されるようになると、卵巣の活動が低下し、卵巣からのエストロゲン分泌量が減少します。その結果、卵胞の成長がストップすることで生理不順になってしまうのです。

簡単に説明すると、本来であれば卵巣からエストロゲンが分泌されて生理を正常なサイクルにしているのですが、脂肪細胞からエストロゲンが分泌されることで、卵巣がエストロゲンの分泌をサボるということです。

妊娠中の肥満により妊娠高血圧症候群に!?

肥満をしていると妊娠しにくくなるだけでなく、仮に妊娠できたとしても、妊娠中にさまざまなトラブルを引き起こすことが分かっています。今回はその代表的な疾患である、妊娠高血圧症候群について解説したいと思います。

妊娠高血圧症候群とは

妊娠高血圧症候群とは、かつて「妊娠中毒症」と呼ばれていた疾患です。妊娠前は正常だった血圧が、妊娠中期以降から急に上がったり、むくみや1週間に500g以上の体重増加が見られたり、尿たんぱくなどが見られたりするような場合、かつては妊娠中毒症と呼ばれていました。

ところが、近年の研究によって、母体や胎児に悪影響を及ぼすのは主に高血圧であることが分かってきました。逆にいうと、むくみや体重増加、尿たんぱくが見られても、血圧が正常であれば母体や胎児に急変の起こることはないということです。

そのため、日本妊娠高血圧学会によって妊娠高血圧症候群という呼称が提唱され、2005年になって日本産科婦人科学会が正式にその呼び名を採用する流れとなったのです。

日本産科婦人科学会では、妊娠高血圧症候群の要件として「妊娠20週から産後12週まで高血圧が見られること、または、高血圧に尿たんぱくをともなうこと」としています。

さらに、そのような状態が「妊娠の偶発合併症によるものではないこと」としています。例えば、妊娠中にビックリするようなことがあって急に血圧が上がっても、それは妊娠高血圧症候群ではないということです。

そもそも妊娠前から高血圧や尿たんぱくがあった場合は、高血圧合併妊娠や腎疾患合併妊娠と呼ばれ、妊娠高血圧症候群とは区別されています。

妊娠高血圧症候群の原因

妊娠高血圧症候群の原因は、現代医学をもってしてもハッキリとした原因が分かっていません。そのため、こうすれば予防できるという効果的な方法もないということです。

ただ、妊娠高血圧症候群になってしまう原因として、1つの有力な説があります。それは、胎盤が形成される過程で、通常とは異なった形で血管が作られてしまうということです。

胎盤の血管が異なった形で形成されてしまうことにより、胎児への酸素や栄養の供給が滞ってしまい、その結果、胎児の発育不全などを招いてしまうのです。

酸素や栄養は血液によって運ばれているため、母体はより多くの酸素と栄養を胎児に届けようとします。そのような状態が続くことで、妊娠高血圧症候群に至ると考えられているのです。

妊娠高血圧症候群になりやすい人

妊娠高血圧症候群になりやすい人としては、まず高齢出産の人があげられます。35歳以上で妊娠した場合、妊娠高血圧症候群になりやすいとされており、40歳以上だとさらにリスクが高くなるとされています。

次に、初産の女性や、前回の妊娠のときに妊娠高血圧症候群になった人、前回の妊娠から5年以上経っている人も妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなるとされています。

そして、肥満している人も妊娠高血圧症候群になりやすいということです。BMIが25を超えている人や、妊娠前の体重が55kg以上あったような人は、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなるとされています。

その他、身内に妊娠高血圧症候群になった人がいる場合や、高血圧の人がいるような場合にも、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなるとされています。

妊娠高血圧症候群の症状

妊娠高血圧症候群になる原因は実にさまざまですが、では、実際に妊娠高血圧症候群になった場合、どのような症状が見られることとなるのでしょう。

子癇

子癇(しかん)は、ほとんどが妊娠高血圧症候群の女性に見られるけいれん発作のことを言います。妊娠20週以降に初めて見られるけいれん発作で、てんかんや脳血管障害などに起因しないものを指します。

妊娠中に急激に血圧が上がることによって、脳内へ大量に血圧が流れ込み、その結果、脳がむくむことによってけいれん発作が起こるのではないかと考えられています。

子癇が続くような場合、「脳ヘルニア」という状態になったり、脳出血を起こしたりすることもあります。その場合、帝王切開をして赤ちゃんを救出することがおこなわれます。

HELLP症候群

HELLP症候群は、「Hemolysis」「Elevated Liver enzymes」「Low Platelet」の頭文字を取ったもので、それぞれ日本語にすると「溶血」と「肝酵素の上昇」、「血小板の減少」を意味します。

溶血とは、血液中の赤血球が破壊されてしまうことを意味します。赤血球には簡単にいうと酸素を運ぶ働きがあるため、溶血が起こると母体、胎児ともに酸欠状態になってしまうのです。

肝酵素が上昇すると肝臓の機能低下を招くほか、全身の臓器にダメージが加わります。HELLP症候群を発症した人の5人に1人が多臓器不全を発症すると言われています。

実際にHELLP症候群になるのは、全妊婦さんの内0.2%から0.6%とされています。ただ、妊娠高血圧症候群の場合は、そのリスクが4%から12%に跳ね上がるとされています。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離はその名の通り、正常な位置にあるべき胎盤が、出産時期以前に剥がれ落ちてしまうことを意味します。

常位胎盤早期剥離は全妊婦さんの0.5%から1.2%に見られますが、妊娠高血圧症候群を発症した場合、そのリスクが5%から10%へと跳ね上がります。

なぜ常位胎盤早期剥離が起こるのかはよく分かっておらず、発症を予測することも困難だということです。

肥満の治療法

肥満になると妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなり、妊娠高血圧症候群になると、母体や胎児に危険が迫る可能性も高くなるということでした。では、肥満の治療はどのようにしておこなわれるのでしょうか。

生活習慣の改善

一般的な肥満の改善法と同様、病院や肥満外来で肥満の改善をおこなう場合も、生活習慣の改善が主たる方法となっています。

肥満をする原因は「食習慣」と「運動習慣」です。そもそもダイエットとは、健康と美容のために食事量をコントロールしたり、食事内容を見直したりすることを意味します。

ダイエットを英和辞典で引いて見ると規定食とあるのがその証拠です。そして、規定食の代表的な例が病院食です。

先程、私たちが太ってしまうカギとしてインスリンの存在をあげました。インスリンには糖質を分解してエネルギーに変える働きがあるのですが、インスリンに分解しきれなかった糖質が脂肪として体内に蓄えられるからです。

そのことから、肥満をする最大の原因は糖質の過剰摂取だと考えられるのです。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものを指します。

そのため、ご飯やパン、麺類といった主食を好んで食べるような人は、肥満になるリスクが高くなってしまうのです。もちろん、甘いお菓子を好む人も肥満になりやすいと言えます。

そこで、ダイエットをする際には、糖質を制限することが推奨されているのです。ただし、食事制限だけで体重を落とすと、筋肉も一緒に落ちてしまいます。

筋肉量は基礎代謝と密接にかかわっているため、筋肉量が減少することで基礎代謝が低下すると、かえって太りやすい体質になってしまいます。

そのため、ダイエットをおこなう際には、適度に身体を動かすことも重要となります。妊婦さんであっても、可能な限りウォーキングなどをおこなうとよいでしょう。

投薬

生活習慣を見なおすだけではなかなか肥満の改善がおぼつかないような場合、薬物療法がおこなわれることとなります。一般的には、食欲を抑える薬や脂肪が付きにくくなる薬などが処方されることとなります。

ただ、妊娠中の薬の服用は慎重におこなう必要があります。そのため、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。

外科的処置

日本ではまだメジャーな方法ではありませんが、肥満を改善する手段として減量手術という方法もあります。肥満大国のアメリカでは、年間21万件も減量手術がおこなわれているということです。

肥満すると不妊になったり、妊娠中にトラブルが発生したりするので、妊娠前に減量手術をおこなうのが有効とされています。ただ、日本ではまだ実施件数が少ないので、手術件数の多い病院を選択することが重要です。

肥満は不妊になるリスクが上がる

肥満と不妊との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。肥満すると不妊になるリスクが高くなるだけでなく、妊娠中にもさまざまなトラブルの現れる可能性が高くなります。これから妊娠・出産を考えられている方は、ダイエットをしておいた方が安心と言えそうですね。

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