玄米は身体によいというイメージをお持ちの方もいらっしゃることと思いますが、実際に玄米食を実行している人は意外と少ないようです。今回の記事では、玄米ダイエットのやり方とそのメリット、また、玄米ダイエットをするときに気をつけたいことについて解説します。
世の中にはたくさんのダイエット法がありますが、玄米ダイエットもその1つです。栄養価が高くて、食感にも優れている玄米は、ご飯好きの人におススメのダイエット法となっています。では、玄米ダイエットでなぜ痩せられるのでしょう。また、玄米ダイエットをおこなうときに、気をつけるべきことはあるのでしょうか。
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玄米ダイエットってなに?
玄米ダイエットのやり方や注意点について説明する前に、まずは玄米ダイエットとは、どのようなダイエット法なのかについて見ていきたいと思います。
白米から玄米に変えるダイエット法
玄米ダイエットは、ダイエット法の1つである置き換えダイエットの一種です。置き換えダイエットとは、太ってしまう元となる食品を、ほかの食べ物に置き換えるダイエット法のことを言います。
一般的に、穀類や麺類をその他の食品に置き換えることが多いですが、お肉の代わりに魚を食べるとか、お菓子の代わりに果物を食べるなどということも、ある意味置き換えダイエットと言えるでしょう。
玄米ダイエットは、白米の代わりに玄米を食べるというダイエット法です。では、そもそもダイエットとはどのような意味なのでしょうか。
ダイエットの意味
ダイエットとは、WHO(世界保健機関)によると、「健康と美容を目的として、食品のカロリーをコントロールしたり、食事内容を見直したりすること」だと定義されています。
また、英語の「Diet」には規定食という意味があります。何らかの病気を治療したり、体重を管理したりする目的で、規定された食事を摂るということです。もっとも分かりやすいのが病院食でしょう。
つまりダイエットとは、食事の量やカロリー、食事内容を見直すことであって、単に体重を減らすことを意味していないのです。
そういった意味では、有酸素運動をしてダイエットとか、筋トレをしてダイエットなどというのは、本来的なダイエットの意味からするとおかしな表現となります。
ただ、生活習慣病の人がダイエット=規定食にすると、多くの人に体重減少が見られます。その結果だけを見ると、ダイエット=痩せるとなるわけで、日本ではそのような意味で用いられることの方が多いようです。
玄米ダイエットで痩せられる理由
ダイエットとは、健康と美容のために食習慣を見直すことです。そういった意味で、玄米食はとても健康的なダイエット法と言えます。では、玄米ダイエットをすると、なぜ痩せられるのでしょうか。
食物繊維を摂取できる
玄米ダイエットで痩せられる原因としては、食物繊維を摂取できるという点があげられます。玄米ももともと植物なので、食物繊維を含んでいるのですが、精白する過程で食物繊維が取り除かれてしまいます。
白米の食物繊維量はゼロです。糖質とは炭水化物から食物繊維を取り除いたものを指すので、まさしく白米は糖質の塊だと言えるのです。
糖質には体内で脳や身体のエネルギーへと変えられるという特徴があるのですが、もう1つの特徴として、脂肪にかえられやすいという特徴があります。そのため、白いご飯は太りやすいとされるのです。
食物繊維には、水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維の2種類があり、どちらもダイエットをするときに有益な物質です。
糖質を摂取しすぎるとなぜ太るかというと、糖質を分解してエネルギーへと変えてくれるインスリンの分解能力を超えてしまうからです。
インスリンの分解能力を超えた糖質は、腸管から吸収されて脂肪細胞へと蓄えられることとなります。ところが、水溶性の食物繊維には、糖質を包み込んで腸管内に吸収されにくくするという働きがあるのです。
また、不溶性の食物繊維には、人間の消化酵素では溶かせないという性質があります。そして、不溶性の食物繊維には保湿性が高く、消化管内をゆっくりと進んでいくという特徴もあります。
不溶性の食物繊維が胃の中で膨張することによって、満腹感が得られやすくなります。また、腸管内で膨張することで便意を刺激し、便秘を解消する効果も得られます。
玄米には、水溶性の食物繊維も不溶性の食物繊維も含まれているため、ダイエットにはもってこいの食品だということが言えるのです。
満腹中枢が刺激されやすくなる
先ほど、玄米に含まれている不溶性の食物繊維が胃の中で膨張することで、満腹感を得られやすくなるという風に説明しましたが、玄米ダイエットの効果はそれだけにとどまりません。
実際に玄米を食べたことのある方ならご存知かと思いますが、玄米には独特のプチプチとした食感があります。そのため、白米を食べる場合よりも咀嚼回数が増えるのです。
咀嚼回数が増えることには、ダイエットという観点からすると2つのメリットがあります。1つは、食物に唾液を混ぜられること、もう1つは、食べるのに時間がかかるということです。
食物に唾液を混ぜることがなぜ重要かというと、胃酸にはそれほど高い消化能力がないからです。そのため、しっかりと咀嚼することで食べ物と唾液に含まれる消化酵素を混ぜることが重要となるのです。
また、玄米ダイエットをおこなうと、食事にかける時間が長くなる傾向もあります。私たちが「お腹がいっぱい」だと感じるのは、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激されるからです。
ところが、満腹中枢は食事を開始してから20分ほど経たないと刺激されないのです。そのため、早食いは太るといわれるのです。
玄米ダイエットをおこなった場合、食感のある玄米をしっかりと咀嚼することとなるので、食べすぎてしまうリスクを減らすことが可能です。また、食事に時間をかけることで、満腹中枢も刺戟されやすくなるのです。
グリセミック値が低い
玄米ダイエットで痩せられる理由としては、玄米のグリセミック値(GI:グリセミックインデックス)が低いということもあげられます。
グリセミック値とは、体内に入った糖質が、どれくらいの速さで吸収されるかを示すものです。つまり、グリセミック値が高いほど、太りやすいと言えるのです。
一般的に、グリセミック値が55以下の食品を低グリセミック食品、グリセミック値が56から69の食品を中グリセミック食品、グリセミック値が70以上の食品を高グリセミック食品として分類しています。
玄米のグリセミック値は55なので、低グリセミック食品ということになります。一方、精製された白米のグリセミック値は81となっているので、高グリセミック食品ということになります。同じお米でも、精白するかしないかでこれほど異なってくるわけですね
現代人は栄養失調!?
「現代人が栄養失調状態にある」といったら驚かれるでしょうか。特に、日本ではいつでもどこでも食料品が手に入ります。そんな状況下で、栄養失調など起こり得るのでしょうか。
実は、日本人の多くが「現代型の栄養失調」に陥りがちなのです。物がない事態の栄養失調ではなく、飽食の時代だからこその栄養失調です。
特に、若い独身男性の場合、コンビニやファーストフード、スーパーのお惣菜など、出来合いのもので済ませてしまっている方も多いと思います。
そして、そのような食生活をしていると、絶対的にビタミンとミネラルが不足してきます。ビタミンやミネラルは身体の調子を整えるのに欠かせないものです。
白米と玄米との決定的な違いは、その栄養素の違いです。極端な言い方をすると、玄米から栄養を取り除いたものが白米です。
お米を精白するときには、玄米から糠と胚芽を取り除きます。糠という字を見てもらえば分かるように、糠には健「康」に役立つ成分が多く含まれています。
また、胚芽にはこれから芽を出して花を咲かせ、実を成すためのエネルギーが蓄えられています。最近人気のスプラウト(新芽)と同じですね。
白米は、玄米からそのような栄養分を取り除いたカスのようなものです。それを証拠に、カスを漢字で書くと「粕」=白米となりますよね。
ダイエットとは、そもそも健康と美容のためにおこなうものです。そういった意味で、玄米ダイエットは、ダイエット本来の趣旨に沿ったダイエット法だと言えるのです。
玄米ダイエットのやり方
玄米ダイエットで痩せられる理由について、納得して頂けたでしょうか。それでは次に、玄米ダイエットのやり方について解説したいと思います。
白米を玄米に置き換える
玄米ダイエットのもっとも簡単なやり方は、普段食べている白米を玄米に置き換えるだけです。水加減を多めにして、しっかりと玄米に吸わせるようにしてくださいね。
白米と玄米を混ぜる
玄米ダイエットのやり方としては、白米と玄米とを半々、乃至2対1程度にするというやり方もあります。いきなり玄米だけにすると、最初は抵抗があるかもしれません。そのような場合はワンクッションおいて、白米と玄米とをあわせて炊くとよいでしょう。
玄米ダイエットを続けるコツ
玄米も慣れてくるとおいしいものですが、白米になれてしまっている人には、玄米だと物足りなく感じるかもしれません。そこで、玄米ダイエットを続けるためのコツを紹介したいと思います。
カレーにする
玄米ダイエットを続けるためには、なるべく玄米を美味しく食べられるようにアレンジすることです。そういった意味で、カレーというのは最強の調理法といえそうです。
もはや日本の国民食と言っても過言ではないカレーをかけてしまえば、たいていのものはおいしく食べることが可能です。パンやうどん、ラーメンやお鍋など、カレーはどこにでも顔を出して受け入れられています。
ましてや玄米はお米であるわけですから、カレーに合わないわけがありません。むしろ食感がプラスされて、白米よりもおいしく感じるかもしれませんよ。
チャーハンにする
玄米ダイエットを続けるための工夫としては、硬くなってしまった玄米をチャーハンにするという手もあります。白米に比べると、玄米は時間が経つとどうしても固くなってしまいがちです。
そこで、油を使ってチャーハンを作るという訳です。卵を身にまとったチャーハンは、白米で作るチャーハンとはまた別の味わいがありますよ。
おにぎりにする
玄米ダイエットを続けるためのコツとしては、玄米をおにぎりにするという手もあります。おにぎりの中に好きな具材を入れることで、楽しみながら食べることが可能となります。
また、炊き立ての玄米には玄米独特の香りがありますが、おにぎりにして冷めてしまうと、玄米特有の香りもそれほど気にせずに食べられるようになります。
玄米ダイエットをおこなう際の注意点
玄米ダイエットは、とても簡単で健康的、かつ効果的なダイエット法ですが、実際におこなう際には、以下のことに気をつけるようにしてください。
食べすぎに注意
玄米ダイエットをおこなう際の注意点としては、あたり前といえばあたり前ですが、食べすぎないということです。白米に比べると圧倒的に太りにくい玄米ですが、やはり糖質を含んでいることには変わりありません。
玄米だから大丈夫と必要以上に食べてしまうと、やはり太ってしまうリスクは高くなります。腹八分目に医者いらずなどといいますが、ダイエットをする際にも腹八分目を意識しましょう。
少しずつ慣れること
玄米がダイエットをするのに効果的だからと言って、いきなり白米をすべて玄米に変えると、人によっては胃が痛くなってしまう場合があります。
なぜなら、玄米には豊富な食物繊維が含まれているため、白米に比べると消化されにくいからです。特に、胃が弱い方は気をつけるようにしてくださいね。
玄米ダイエットは優れたダイエット法
玄米ダイエットについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。玄米には豊富な栄養が含まれており、痩せるという観点からしても、健康という観点からしても、とても優れたダイエット法だといえます。
ただ、慣れないうちは白米に少しずつ玄米を混ぜて食べるようにしてくださいね。慣れてくるととてもおいしく感じられるようになると思います。ごはん好きの方にはとてもおススメのダイエット法ですよ。