春先になると私たちを取り囲む空気の中に、様々な物質が混じり始めます。目がショボショボしたり、喉の違和感、肌にムズムズかゆみが出て肌荒れをおこすのは、花粉だけが原因ではありません。
この時期は、中国大陸から偏西風にのって黄砂やPM2.5といった有害物質が浮遊し始めます。大気汚染から肌を守るには、どのような対策をしたらよいのでしょうか。
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肌荒れを起こす黄砂・PM2.5とは
黄砂とPM2.5の違いをご存じですか?同じようなイメージですが、実は全く違うものです。それぞれどんなものなのか、詳しく調べてみましょう。
黄砂とは
黄砂とは、中国大陸にある砂漠の砂です。具体的にはゴビ砂漠やタクラマカン砂漠、黄土高原などの乾燥した砂漠地帯の砂が強風にのって広い範囲に拡散し、砂ぼこりとしていろいろな地域に浮遊してくることで、日本でも被害を受けています。
大気中を流れる間に、中国や韓国などの上空を渡ることで、工業地帯などで排出される公害物質などが染み込んでしまいます。
その状態で舞い降りてしまうと地域の土壌を汚染され、吸い込んでしまった人は喘息がおこるなどの健康被害が出ているのです。
PM2.5とは
PMとは、Particouldete Matter(粒子状物質)を頭文字で略したものです。2.5は粒子の大きさを意味しており、その単位はマイクロナノメートルです。μm(マイクロナノメートル)とは、mm(ミリメートル)の10分の1ほどの大変小さな微粒子の単位です。
このことからPM2.5とは、目には見えないとても小さな粒子状物質が、大気中に舞っているということがわかりますね。
この極小微粒子の正体は、飛来している汚染物質です。主に中国の大気汚染の物質が流れてきたと言われていますが、国内でも発生しています。
工場などのボイラーや焼却炉からの煙、自動車や船舶、航空機などから排出される硫黄酸化物や窒素酸化物、身近なものではたばこの煙などさまざまなものが発生源となり、空気中に浮遊しています。
黄砂と同じように、PM2.5による健康被害が起こっており、主に呼吸するときに吸い込んでしまうことで、血管や循環器などの疾患にも及んでいます。
黄砂・PM2.5による肌荒れの症状とその原因
私達の生活の中で、黄砂やPM2.5が舞い降りる時期は、肌荒れを起こすケースが多くみられます。どちらもとても微粒子なため、目には見えず、肌についている実感もありませんが、確実に悪影響を及ぼしています。黄砂やPM2.5による肌へのダメージは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
肌のかゆみや荒れ、乾燥などの肌トラブル
黄砂やPM2.5などの大気汚染に肌がさらされてしまうと、肌は刺激を受け、肌の内部で活性酸素を作り出します。
活性酸素は一定の量までは、体の細胞をウィルスなどから守ってくれる役割があるのですが、増えすぎてしまうと細胞やDNAを傷つけてしまうという作用が起こります。増えすぎた活性酸素が起こす主なトラブルは、体や肌を錆びさせてしまい、過酸化脂質という有害な物質を自ら作り出してしまうことにあります。
真皮層にある肌に弾力をもたらしているコラーゲンやエラスチンなどの繊維を破壊して、シワやたるみ、乾燥を引き起こします。また、バリア機能も壊れてしまうことで、肌荒れやかゆみの原因にもなるのです。
黄砂・PM2.5 が原因でニキビや炎症が起きる
黄砂やPM2.5は、大変小さな微粒子なので、これらの化学物質が皮膚に付着することで炎症を起こしたり、毛穴の皮脂と結びついてニキビができてしまうことがあります。ニキビや炎症は、ひどくなると肌に跡が残ってしまうことがあるので、なるべく悪化させないことが大切です。
鼻のかみすぎや目のこすりすぎでも肌を傷めやすい
呼吸とともに体内に黄砂やPM2.5が入り込んでしまうと、アレルギーの症状が現れます。涙目になったり、目周りのかゆみ、鼻水、鼻つまりなど花粉やその他のアレルギー症状と変わらないものがおもな症状です。
目周りの薄い皮膚は、かゆみが出るとつい擦ってしまい、その摩擦で乾燥やくすみ、肌荒れを起こします。小鼻の周りの皮膚も、ティッシュとの摩擦で薄皮が剥けてしまったり、皮膚に赤みや痛みが出てしまうことも少なくありません。
黄砂・PM2.5で肌荒れにならない対策方法
黄砂やPM2.5による肌荒れを起こさない予防としては、とにかく肌に触れないように守ることと、呼吸の際に吸い込んで体内に入り込むことを防ぐことです。日常の生活の中で、気をつけるべきポイントを6つご紹介します。
生活習慣を整える
元々の自分自身の体力や免疫力が低下していると、少しの刺激でも敏感に反応してしまいます。
体温を上げて、基礎代謝を高くすることで、外的刺激に負けない体を作ることができます。疲れを翌日に持ち越さないようしっかりと睡眠をとること、適度な運動を取り入れて体を動かすこと、バランスの食生活を送ることなど、不摂生をしないよう規則正しい生活をおくりましょう。
マスクを着用する
通常のマスクでも良いのですが、黄砂やPM2.5のような粒子がとても小さい有害物質には、ウィルス対策のためのマスクがよりいっそう効果的です。
有害物質の遮断率をあらわすPFEの基準をクリアしていることが明記されているなど、埃やウィルスなどの侵入も防ぐ効果のあるものがよいでしょう。
肌をあまり露出させない
黄砂やPM2.5が多く観測される時期は、2〜6月あたりです。現在までに7月から9月には、まだ観測されておらず、中国の砂漠で砂嵐が多発する時期に多く飛来するとみられています。
日本ではこの時期、寒い時期のピークが過ぎて、徐々に気温が上がり始める季節を迎えます。薄着になる機会は多くなりますが、気象情報などをチェックし、黄砂やPM2.5が多く観測されている日には、長袖を着用し、直接肌に触れないように注意しましょう。
保湿を行い、肌をいたわる
乾燥した肌はバリア機能がこわれ、外的刺激をもろに受けてしまいます。顔はもちろんですが、首回り、手の甲など外気に触れる箇所は、徹底的に保湿するようにしましょう。
クリームが油分の膜を作り、外的刺激から直接的に肌を守ります。特に帰宅後は、すぐにお風呂に入り、髪の毛や肌についた汚染物質をきれいに洗い流しましょう。
朝お風呂にはいるという習慣の方も、この時期はそのままベッドに入らず、夜のうちにきれいにしておくことが大切です。
外出を控える
汚染物質が多く浮遊する日は、外出を控えることが理想的です。特別な用事がなければ、わざわざ刺激を受けに外に出る必要はありません。
気をつけたいポイントは洗濯物です。この時期は外に干さずに、室内干し又は乾燥機を使用しましょう。
外出していた服は、速やかに洗濯するのがベストですが、スーツやコートなど家庭で洗えないものは、玄関の外で一度はたくことで、汚染物質を家の中に持ち込むことを防ぐことができます。
黄砂・PM2.5から守るスプレーを使用する
微粒子の汚染物質でも、鼻や口に入ることを防げるスプレーを活用するのも良い方法です。通勤や通学の前に、顔にシュッと吹きかけるだけで表面に膜を作って、空気中の汚染物質だけなく花粉やウィルス対策にもなります。
保湿効果があり、顔にもスプレーできるものや、衣類や布団用のスプレーなどいろいろな商品が出ているので、このあといくつかご紹介しましょう。
黄砂・PM2.5を防ぐおすすめスプレー3選
黄砂やPM2.5からお肌を守ってくれるスプレーのご紹介です。お出かけ前にスプレーしておけば、見えないベールで一日中黄砂やPM2.5が髪や肌に付着するのを防いでくれます。
マスクが苦手な人や小さい子供にも使えるので、スプレータイプはとても重宝するはずです。
資生堂薬品 イハダアレルスクリーンN スプレータイプ
お出かけ前にシューっと吹き付けるイオンの透明マスク。天然温泉水配合でメイクの上からも使えて、花粉、PM2.5をブロックして髪や肌に寄せ付けません。
利用者の口コミ
- アレルギー薬を飲んでいても、顔の肌が露出している部分がピリピリした感覚がありましたが、これを使うと落ち着きます。
- マスクが苦手で薬を飲んでも症状が出る人には、プラスアルファで持っていた方が良いと思います。
アレルシャット ウイルス花粉イオンでブロック スプレータイプ
プラスイオンの力が髪や顔をコートし、花粉やPM2.5、黄砂を吸着、反発して肌への付着や鼻からの侵入を防ぎます。アルコールフリーなので、敏感肌や小さなこともにも安心です。保湿成分ヒアルロン酸Naを配合。
利用者の口コミ
- 薬を飲むと喉が渇いたり、眠くなったりの症状がでるが、これは副作用の心配がありません。
- これを使ったら目薬をする回数が減りました。
アース製薬 アレルブロック 花粉ガードスプレー ママ&キッズ
髪や顔にスプレーするだけで、花粉やPM2.5、ウィルス、ハウスダストの体への付着を防ぎ、目や鼻からの侵入を予防します。布団や衣類にも使えます。
ヒアルロン酸とセラミドが配合されていて、お肌にもやさしいため、小さなお子さんとも一緒に使えます。
花粉などでブロックするだけでなく肌を保湿したい場合には以下の記事を読んでみてください。
利用者の口コミ
- つけていると子供の鼻水の出方が違います。
- ミストが細かく、無臭なのでにおいやベタつきが気になりません。目のかゆみが違うので効果があると思います。
黄砂・PM2.5から肌を守って肌荒れの改善を
黄砂やPM2.5が多くなる時期は2月から6月あたりなので、その前からしっかりと体調を整えて、外的刺激にも負けない体作りをしながら備えることが大切です。
顔はもちろん、首周りや体も十分に保湿をし、マスクやスプレーなどを用いて、有害物質から大切なお肌をしっかりと守りましょう。かゆみや肌荒れがひどくなる前に、皮膚科の医師の診断を受け、薬を処方してもらうことをおすすめします。