子供の肌といえばツルツルでスベスベしているイメージがありますよね。でも、実はデリケートで肌荒れを起こしやすいものなんです。汗をかいて背中がブツブツしたり、掻きむしって傷ができ、そこから感染することもあれば、思わぬアレルギー症状である可能性もあります。症状によって、クリームなどの市販の製品を使っても問題ない場合もありますが、皮膚科で相談した方がいいケースもあります。今回はそんな子供の肌荒れについてご紹介します。
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子供が肌荒れしやすい原因
子供の肌は、大人の肌に比べて薄いため、肌のバリア機能を果たしている角質層も薄くなっています。このため、外からの刺激に弱く、異物などが入り込みやすいという特徴があります。ただ、成長の時期によって、皮脂の分泌量が少し異なり、生まれたばかりの新生児は、母体から受け継いだ作用で皮脂の分泌量は増えるものの、生後3ヶ月以降は徐々に減少していき、思春期の体の変化がはじまるまでは、皮膚が乾燥しがちとなっています。
また、汗を分泌する汗腺の数は大人も子供も同じです。皮膚の面積が小さい子供は、汗腺の密度が濃くなり、汗をかきやすい状態になっています。このため、汗の影響を受けやすく、あせもなどの症状が出やすくなっているのです。
子供の肌荒れの症状
あせも(汗疹)が原因の肌荒れ
高温や発熱などが原因で、汗をたくさんかいてしまい、皮膚の汗腺が詰まってしまい、汗がたまってしまうことを汗疹(かんしん)と言います。一般に「あせも」と呼ばれるもので、汗がたまる部位によって水晶様汗疹、紅色汗疹、深在性汗疹に分かれています。
水晶様汗疹は、肌の角質の間や下にできる水ぶくれで、触ると破れてしまいますが、数日でなくなってしまいます。紅色汗疹はよく見られるタイプで、表皮内がつまって起き、赤くて小さなブツブツが見られます。汗をかきやすい肘や膝の内側、首、脇の下などに見られ、水ぶくれができるほか、赤くかゆみが生じることもあります。深在性汗疹は、日本ではあまり見られないあせもで、表皮真皮境界部で発症します。紅色汗疹に続いて発症することもあり、白いブツブツが見られます。
とびひ(伝染性膿痂疹)
黄色ブドウ球菌と溶血性連鎖球菌などの感染で起こるとびひ。火事の飛び火のように接触によってうつっていくため、とびひとも呼ばれています。あせもや湿疹、擦り傷などによって皮膚表面に傷ができると、そこから菌が侵入して起こります。黄色ブドウ球菌は鼻の中に住んでいる菌であるため、鼻の周りから症状が現れるほか、鼻をいじった手で傷に触れると、そこから症状が起こることもあります。
とびひの症状は、水ぶくれができて、すぐに破れてただれてしまったり、かさぶたができてしまいます。伝染力が強く、水ぶくれの内容液によって周囲に伝染していくのが特徴で、家庭内や幼稚園などで流行することがあります。
おむつ皮膚炎
おむつ皮膚炎とはおむつかぶれのこと。おむつに覆われた皮膚が赤くなったり、ポツポツとあせものような湿疹が現れることがあります。また、ウエストや太ももの周りのおむつカバーやおむつのギャザーが当たる部分に炎症が見られることもあります。
おむつ皮膚炎はかゆみや痛みを伴うことがあり、悪化するとただれてしまうことも。おしりに触れると痛くて泣いたり、入浴時に患部がしみて泣いたり、おむつを取るとおしりのほうに手をやるなどが赤ちゃんからの合図。原因がわからず赤ちゃんが泣いているときは、おむつの状態を確認してみるようにしましょう。
アトピー性皮膚炎
強いかゆみや発疹が繰り返される皮膚の病気であるアトピー製皮膚炎。4ヵ月児の12.8%、1歳6ヵ月児の9.8%、3歳児の13.2%、小学1年生の11.8%、小学6年生の10.6%、大学1年生の8.2%が、アトピー性皮膚炎だという厚生労働科学研究の発表がありました。年齢とともに減少していくものの、大人になってからも続くことがあります。
乳児では頭や顔からはじまり、全身に赤みとかゆみが現れます。幼少期では、おもに肘や膝の内側、耳の付け根のあたりに現れます。思春期では、下半身よりも上半身で見られ、顔、首、胸、背中などに発疹が強く出ることも。
厚生労働省:アトピー性皮膚炎について
子供の肌荒れの治し方
肌を清潔にする
まずは汗をかいたらぬれタオルなどで拭いてあげること。吸収性のある衣服を着せて、汗をたくさんかいたら衣類を交換するようにしましょう。シャワーなどで清潔を心がけるようにします。パウダーは汗を吸い出す効果も期待できますが、汗で固まってしまうため、使い方には注意が必要です。
また、日常のケアも大事。低刺激のソープを使い、肌に負担をかけないようにしましょう。こすらずに「なでて洗う」ようにしなければ、皮脂を落としすぎてかゆみの原因にもなります。通気性のよくないおまた、足のつけね、肘や膝の裏、首や脇の下は念入りにケアしてあげましょう。
保湿を心がける
肌が乾燥すると、肌のバリア機能が低下してしまいます。そこに汗に含まれる塩分などが入り込むと、赤みやかゆみを生じてしまい、かゆくなってかきむしってしまうことに。肌の保湿はこうしたかゆみを予防するため、入浴後は保湿剤で肌のケアをしてあげるように心がけましょう。
入浴後の肌は、時間とともに乾燥していくため、なるべく早く保湿をしてあげるようにしましょう。また、製品を選ぶ際には、刺激の少ない、子供用の安全なものを選ぶように心がけましょう。はじめて使う製品は、体の目立たないパーツでパッチテストを行って、症状が出ないかどうか確認をしてから使うこと。
子供の爪は常に短くする
アトピーの子供をはじめ、乾燥肌の子供は、眠っている間に身体や顔をかきむしってしまい、かき傷ができてしまうこともあります。場合によっては、かき傷から血が出てしまい、布団や枕を汚してしまうこともあります。このため、子供の爪を短くしておくことはとても重要で、かゆみによるかき傷の予防につながります。
子供の爪を切る際、爪を立てたときに、指先の皮膚が肌に当たる程度まで深く切っても問題ありません。とくにアトピーの子供は肌を傷つけないためにも爪の長さは意識しておいた方がベターです。
部屋の湿度を適切に保つ
梅雨の頃の湿気、夏のジトジトした暑さ、冬のカラカラした乾燥など、季節の移り変わりとともに、室内を快適な環境にキープすることは非常に大切です。
梅雨から夏にかけては、エアコンのドライ機能を使って、湿気を取り除く一方、エアコンで冷えすぎないように注意します。反対に、冬は加湿器を使って室内の湿気をキープするほか、ぬれタオルを室内で干すなどして、室内の調整を心がけましょう。
室温は一般に、夏場は26~28度程度、冬場は20~23度程度にして、室内外の気温差は5度以内にするとよいと言われています。
子供の肌荒れはママのケアで改善できる
まだうまく言葉で表現できない赤ちゃんや子供にとって、ママのケアはとても大事。日頃からしっかりと気を配ってあげたいですよね。原因がわからずに子供がぐずっているとき、肌トラブルが起こっているかもしれません。体中をチェックして、すぐに対策をはじめましょう。
それでも症状が出た場合は、子供がかきむしってしまう前に市販の治療薬を使うか、皮膚科などの医療専門機関に相談しましょう。自己判断で放っておいたり、過信してしまうと、症状が悪化することも考えられます。よくわからないことは、専門の先生に相談すると解決することもありますよ。ひとりで抱え込まずに、頼れる人を頼りながら子供のケアを行っていきましょう。