なんとなくガムを噛めば口臭を予防できるような気がしていませんか。色々な種類の中からガムを買う時、何となく目に付いたものを選ぶことが多いかと思います。
ガムには口臭予防効果があるのか、あるとしたらどんな効果があるのか、どのガムでも同じなのか、ガムと口臭について詳しくご説明いたします。
ガムを噛むことで得られる口臭予防の効果
口臭が気になる時のエチケットとして、ガムを常備している方も多いのではないでしょうか。出先で歯磨きができない時も、手軽に口臭を予防することができるので、とても重宝ですね。
口臭が発生する大きな要因として、お口の中の乾燥が挙げられます。ドライマウスとも言われ、乾燥することで細菌が活発になり、口の中のネバネバやパサパサ、歯垢が繁殖します。
歯垢とは、長時間歯磨きができない状態で、食べカスなどに細菌が結びついて出来る白い粘度のある物質です。お口の中がこの様な状態になるのを防ぐためには、唾液がいかにたくさん分泌されているかがポイントです。
ここでは、ガムを噛むことで、どのような口臭予防の効果があるのかをご説明します。
唾液分泌促進
唾液の量が少なくなることで、お口の中は乾燥し、食べカスなどをエサにして細菌が繁殖しやすくなります。唾液には抗菌作用や、食べカスを胃の中に流し込む作用があるので、口臭を予防するにはとても大切な役割をしています。
食べ物を口の中に入れることで唾液の量は増えますが、ガムを噛むことがどの程度の効果があるのでしょうか。
味の素(株)と東京歯科大学の研究結果によると、口に入れて噛むものは、硬いものやザラザラとした食感のものがより咀嚼時間が長く、唾液の分泌量が多くなると発表しています。
さらに歯につきやすい食べ物を噛むほど、唾液を分泌するスピードもアップし、ガムの場合は食べ始めの30秒から3分後の間が、もっとも唾液の分泌量が多い状態だそうです。このことから、ガムは唾液の分泌量を増やし、しかも即効性があることがわかりますね。
参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/40/4/40_4_299/_article/-char/ja/
リラックス効果
ガムには気持ちをリラックスさせて、集中力を高める効果もあります。ガムを噛むことでこのような効果が得られるには、セロトニンというホルモンが関係しています。
幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、脳内神経伝達物質の一つです。必須アミノ酸の一種、トリプトファンから作れられ、気持ちや心を安定させる作用があります。
ガムを噛むことでセロトニンの分泌が活発になるので、ストレスが原因で唾液の量が減少するという状態を緩和し、口臭予防にとても効果があります。
また、スポーツ選手がガムを噛んでいる映像をみたことが見た事があるかもしれません。これは、平常心を安定させ、集中力を高めることで、ベストなパフォーマンスができる状態を作るためです。
また、眠気を解消し、イライラせずに集中できる状態をつくるので、勉強や運転中などにもおすすめです。ガムには口臭予防以外にも、意外な効果があるのですね。
鼻で呼吸する
人間の呼吸の仕方には、口呼吸と鼻呼吸があります。唇が乾きやすい、寝起きのお口の中はネバネバ感がある、よだれが出やすい、鼻が詰まりやすいなどの症状があれば、口呼吸の可能性が大です。
口は本来、食べ物を味わい、噛み砕く消化器官です。口呼吸が習慣になることで、お口の中が乾燥しやすくなり、外気に触れることで細菌が繁殖、侵入しやすい状態になり、口臭の原因になります。
口呼吸が習慣になっている方でも、ガムを噛むことで手軽に鼻呼吸に切り替えることできます。鼻呼吸はお口の環境を良くするだけでなく、健康のためにも大変メリットがありますので、この機会に呼吸を意識してみましょう。
ガムを選ぶときの注意点
コンビニの商品棚だけでも、たくさんの種類のガムが並んでいます。最近のガムは、息スッキリやキシリトール配合など効果効能をうたったものが多く、もはやお菓子の一つという位置付けではなくなってきました。
キシリトールやフラボノイド配合、シュガーレスなどといった健康面でも意識の高いガムが人気のようですね。ガムを噛むことで、歯周病や虫歯を予防できる効果もありますので、どんなガムを選ぶかがポイントです。
シュガーレスのガムを選ぶ
ガムには砂糖やブドウ糖を使った「シュガータイプ」と、、キシリトールなどの砂糖以外の甘味料をつかった「シュガーレスタイプ」の2種類があります。
シュガータイプのガムが10kcal前後なのに対し、シュガーレスのガムは2〜3kcalと低カロリーになっています。キシリトールは白樺や樫といった樹木から取れる天然の甘味料です。
お口の中のミュータンス菌という細菌は、砂糖の甘さが大好物です。砂糖を栄養源として酸をだし、歯を溶かしてしまいます。これが虫歯になるメカニズムです。
砂糖の代わりにキシリトールを配合した場合、同じくらいの甘みがあっても、酸が出ることがないため、歯が溶けることはありません。それどころか、キシリトールはミュータンス菌の繁殖を弱める働きもあるため、虫歯予防の効果があります。
ガムを選ぶときには、キシリトールが配合されているかどうかをまずチェックしましょう。
キシリトールの含有量を見る
キシリトールの効能がわかったところで、さらにもう一つの大切なポイントをご説明します。キシリトールガムなら、どれも一緒?という疑問ですが、答えは一緒ではありません。キシリトール配合と記されている場合、この配合量が大きなポイントです。
たくさんの種類が売られているキシリトールガムでも、100%キシリトールのものはとても少なく、ほんのわずかでも配合されていれば、キシリトールガムとして売られているので、惑わされてしまいがちです。
虫歯予防効果には、最低でもキシリトールの含有量が50%は必要となり、それ以下はほとんど効果はありません。キシリトール以外の成分として炭水化物が記載されていると、糖質ゼロにはなりません。砂糖などの糖類がゼロであっても、糖質が0でなければ、何らかの甘味料が入っていることがほとんどです。含有量の低いキシリトールガムは、虫歯を引き起こす可能性があるということを知っておきましょう。
キシリトール100%(歯科医院専売品)はおなじみのキシリトールガムですが、キシリトール100%、他の甘味料を使用していないタイプは歯科医院で販売されています。アップルミント、クリアミント、マスカットの3種類の味で、ミントが苦手な小さいお子さんでも食べられるように作られています。家族みんなで食べられるよう、大容量のボトルタイプが人気です。
マスキング効果の高いガム
ここからは、 口臭に効果的なガムの噛み方やおすすめのガムをご紹介します。口臭に対してマスキング効果という言葉が良く使われます。まず初めにガムのマスキング効果の意味から、知っておきましょう。
マスキング効果とは?
マスキング効果とは、臭いを消すのではなく、他の香りで臭いをわからなくすることを意味します。ガムにはミントの香料が良く使われますが、ミントの香りは他の臭いにおいに対してマスキング効果が高いことが理由です。
食べ物を調理するときに、臭みやクセのある肉や魚にはハーブや香菜を使用して、臭みをわからなくする方法と同じ原理ですね。
マスキング効果を得られる時間は?
マスキング効果とは、あくまでも一時的に臭いをわからなくする作用ですので、効果を得られる時間に限りがあります。口臭が気になる状態を、ガムのミントの風味でカバーすることができるのは、約20分程度と言われています。あくまでも口臭の根本的な解決方法ではないので、これくらいの時間で妥当かもしれないですね。
マスキング効果の高いおすすめのガム
歯医者さんで購入できる歯科専用ガムには、市販のものと比べてより効果の高いものが多くあります。見た目のパッケージや商品名は、市販のものと変わらなくても、内容成分はキシリトール100%のガムを取り扱っています。
これは、キシリトール以外の甘味を使用していないので、安心して噛むことができます。
味もミント味やアップル味など、バラエティ豊富に開発されているので、市販品と比べても良いこと尽くしです。歯科医院に行く手間がありますが、今は通販でも入手しやすくなっていますので、チェックしてみましょう。
マスキング効果の高いおすすめガム
マスキング効果の高いオススメがむにはストライドがおすすめです。ストライドはペパーミントのシャープな香りと味わいが口いっぱいに広がる、冷涼感あふれるミントフレーバーのシュガーレスガムです。
消臭効果のあるガム
マスキング効果が一時的な口臭対策なのに対して、ガムには臭いの原因に直接作用する消臭効果もあります。ガムはマスキング効果と消臭効果のダブルの効果でアタックし、口臭を防いでいるのです。
どんな成分?
消臭成分としては、クロロフィルやフラボノイドが代表的です。クロロフィルとは、植物に含まれる葉緑素の別名です。植物が光合成をするときに必要とする成分で、小学校の理科の授業でもお馴染みかと思います。クロロフィルは消臭効果のほかに、濃い緑を利用して着色料としても使用されています。
次にフラボノイドですが、これは植物の色素の総称です。フラボノイドの中には、大豆のイソフラボン、ブルーベリーのアントシアニン、緑茶のカテキンなどが細かく分類されています。抗酸化力や生活習慣病の予防の効果もあるので、サプリメントなどにも多く使用される成分です。
どんな効果があるの?
クロロフィルやフラボノイドの効果には高い消臭効果があります。クロロフィルは桑の葉などの植物から抽出されますが、工業的に作り出されたものは、銅クロロフィルという記載になっています。
フラボノイドの場合は、高い消臭効果から緑茶フラボノイドを配合しているものが多いようです。この2つの働きとしては、消臭効果はもちろん、抗酸化作用、殺菌効果があげられます。
ガムを噛むことで唾液の分泌量がアップする事との相乗効果で、口臭を改善していきます。
消臭効果のあるおすすめのガム
具体的に口臭や歯周病予防の効果がある、おすすめのガムをご紹介します。
クロレッツXP オリジナルミントは消臭成分にクロロフィルを含み、味の持ちが良いことでお口スッキリの効果が高いことから人気のガムです。
硬い噛み応えのあるガム
ガムの成分についての選び方をご説明しましたが、次にガムの食感についても少しご説明していきましょう。ガムの食感は、できれば硬く噛み応えのあるものがおすすめです。
シュガーレスのタイプで、消臭効果、虫歯予防など、高機能なガムのほとんどは硬めの食感になるよう作られています。反対にシュガータイプで、お菓子として食べる風船ガムは、とても柔らかい食感です。硬いガムをおすすめする理由と、その中でも特に硬めにできているガムをご紹介しましょう。
唾液の分泌を促進
はじめの項目でもお伝えしましたが、お口の中は、硬くてザラザラした食感のものを食べた方が、唾液はたくさん分泌されることが分かっています。その他、良く咀嚼することで、顎の筋肉も鍛えられ、ほうれい線などのたるみや、小顔効果もきたいできます。
健康面でも、咀嚼力がアップすると、ホルモンの分泌がより促進され、脳への血流がアップすることもわかっています。口臭予防の効果以外にも、嬉しい影響がたくさんなので、硬めのガムをセレクトすることをおすすめします。
噛み応えのあるおすすめのガム
噛み応えのあるおすすめガムは全部で2種類あります。
ブレスコントロール(株式会社タイヨウ)
数あるガム製品の中でもブレスコントロールガムは、特に硬めで噛み応えのあるシュガーレスガムです。噛みながら舌の上を転がすようにすることで、口臭の原因である舌の汚れのお掃除効果もあります。
口臭治療専門のドクターが商品開発に関わっている点でも信頼性が高く、お口の中からのきれいな息に徹底してこだわった商品といえるでしょう。
ローズマリー抽出成分のポリフェノールで、口臭の主成分である揮発性硫黄化合物を分解し、長時間口臭を抑えながら、硬めの食感なので、長時間噛み続けることができます。
POs-Ca F(ポスカエフ)
虫歯予防の効果だけでなく、初期の虫歯なら噛むだけで治すことができる、という優れもののガムで、グリコから販売されています。トクホ(特定保健用食品)認定されているので、安全性はお墨付きです。酸により溶け出した歯に、POs-Caは直接カルシウムを補給することができます。
さらに、初期虫歯を再結晶化させる働きもあり、丈夫な歯を作れるガムです。噛み応えもしっかりあるので唾液も十分にでてきます。ポスカはコンビニでも売っていますがポスカFは歯科医院専売です。
たかがガムされどガム
いかがでしたでしょうか。普段何気なく手にしたもの、目に留まったものを買っていることが多いガムですが、その効果を考えると大変奥が深いアイテムということを感じます。
噛むことで虫歯になる可能性が高まるガムではなく、きちんと口臭対策、虫歯予防ができるガムを選びたいですね。さらにガムは一時的な口臭を予防できるだけなのでしっかり治す場合にはあわせてこちらも読むとより口臭に対しての理解が深まります。