あなたがもし日常的に喫煙をするのであればタバコを吸ったあとの口臭に自覚はありますか?喫煙者は非喫煙者に比べてにおいの感覚が鈍っていることもあり楽観的に考えている、なんてことはないでしょうか。
非喫煙者はもちろん、喫煙者でも他人の口臭には敏感です。ここでは今すぐ気軽にできるタバコの後の口臭を消す方法をご説明させていただきます。
タバコの口臭の原因
タバコを吸ったあとに息やからだがくさくなるというイメージは誰しもなんとなく持っているものですが、具体的にはどのような成分がどのようなにおいを発しているのでしょうか。
タール等のタバコに含まれる物質のにおい
タバコによる口臭の主な原因はアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸という成分にあります。これらはタバコに含まれるタールの成分が元となり発生する成分です。
アセトアルデヒドは「車の排気口からするような刺激臭、息が詰まるようなにおい」、アンモニアは広く知られているように「尿のようなにおい」、酢酸は「汗のような酸っぱいにおい」と表現されることがあります。
これらの物質は悪臭が著しく、人々の気分や体調を害することが認められているために法律でも排出量を規制されているものばかりです。そんな物質のにおいを自分の体から発していたら、面と向かって会話をする相手は不快を感じるに違いありませんよね。
それに加えて有害物質を含む数百種類の成分が混ざったにおいなので、想像するだけでもひどいにおいだということがわかりますね。その成分の中には「野菜が腐敗したにおい」や「便と同じにおい」がする恐ろしいものも含まれているのです…!
唾液の減少
タバコを吸うとニコチンの作用によって血管が収縮します。血管が収縮すると血液管が狭くなり、そこを通ることの出来る水分量が減りますよね。その水分は唾液の材料でもあるので、結果として唾液の分泌量が減ってしまうのです。
唾液には強い殺菌作用があり、細菌の増殖を防ぐことで口腔内の清潔に保ってくれる役割があります。そのためタバコを吸っていない人でも唾液量が減ると舌の上に細菌が繁殖をして悪臭を放ちます。そして喫煙者の場合はタバコを吸うたびに自分の身体にみずからこの現象を引き起こしているということです。
タバコ+コーヒー=激臭
タバコとコーヒーは風味が合うということで、多くの喫煙者が好んでいる組み合わせですよね。お昼の喫茶店にはコーヒーを飲みながらタバコをふかすサラリーマンの人を多く見かけます。
ところがこの組み合わせ、口臭という観点では最悪の組み合わせだったのです。なぜコーヒーをタバコと組み合わせると口臭が悪化するのか、下にまとめました。
コーヒーをタバコと組み合わせると口臭が悪化する理由
コーヒーとタバコを一緒に摂取することで口臭が悪化することがあります。
コーヒーはタバコと同じく血管を収縮させる
→ただでさえタバコを吸う事で唾液の分泌が抑制されているのに、コーヒーに含まれるカフェインにも同じ作用を持っているので、追い打ちをかけるように唾液の分泌を阻害してしまいます。その結果口腔内には急激に細菌が増殖し始め、よりきつい口臭になってしまいます。
コーヒーの成分やにおいは口腔内に残りやすい
→多くの人が知っているように、コーヒーのにおいは歯や舌に強く残ります。タバコによる悪臭とコーヒーの強いにおいが組み合わさると不快なにおいになることは容易に想像がつきます。さらにたばこのタール(ヤニ)も歯に付着しやすいのできちんと掃除しない限りくさい口のままで過ごすことになります。
コーヒーには利尿作用がある
コーヒーに含まれるカフェインの利尿作用は体内の水分を排出してしまうので、たばこによってただでさえ体内の水分量が減っている状況下で、さらに唾液の分泌量を減らすことになります。
このように体内に取り込んだタバコとコーヒーはタッグを組んで体から水分を排出することで体内のにおいを濃縮させ、悪臭に拍車をかけてしまいます。できれば人と会う前予定がある日だけでも別の飲み物をチョイスしてみてはどうでしょうか。
タバコによる口臭を消す方法
タバコが口臭の原因になるとわかったうえで、それでもタバコを吸い続けたい方もいますよね。「タバコは大切なストレス発散の方法…でもタバコを吸った後に大切な人と会うときはにおいが気になって仕方ない」というときに次にご紹介する方法を試してみてください。
近くにコンビニがあればすぐ買えるものを使う方法や、何も持っていなくても実践できる方法ばかりです!
こまめな水分補給
さきほど詳しい説明をしましたが、たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させて唾液の分泌量を減らしてしまいます。その分外から水分を補って唾液の分泌量を補うという方法です。
さらにコーヒーを飲んでしまった時はカフェインによる利尿作用も働いているのでこまめに水分補給をしてください。人と会う直前に一口水を口に含ませるだけでにおいは大きく変わりますよ。
また、唾液量の観点以外に、タバコの成分が染み付いた口腔内をいったん清潔にするという意味でも水分補給は重要です。
このとき、緑茶やウーロン茶には利尿作用がある上に、カテキンの渋みが口臭に加わってしまうので必ずお茶ではなく飲料水を飲みましょう。1日に何度もタバコを吸う機会のある人は、ペットボトルの水を常に携帯しておくと安心です。
ガムを噛む
ガムをかむことで唾液量の分泌をうながすことができます。ガムの強いミントの香りはたばこのにおいと組み合わさるとあまりいいにおいではないので、タバコの後にかむように設計されたガムがあればそれをかむのがベストでしょう。
ガムをかむだけでは口臭を消す効果は少し弱いかもしれませせんが、携帯がしやすく職場などでも気軽に口に入れられることは重要なポイントです。かみ終わった後も舌の上でガムを転がしておくと唾液の分泌がより増えますよ。
梅干しを食べる
梅は酸性の食べ物なので、すっぱいですよね。すっぱいとみるみるうちに唾液が分泌されますよね。さらに梅干しの酸にも強力な殺菌効果がありますので舌の上のいやなにおいを消臭してくれます。
カリカリ梅ならばコンビニで気軽に買えるので、ガムと同様に常に携帯しておけますね。ガムだけでは弱いなと感じたときにつまむといいです。唾液の分泌がカギなので、レモンやおしゃぶり昆布のようなものでも代用できます。
ちなみに、梅干しを食べていなくても梅干しのことを考えるだけでどんどん唾液が出てくる経験がある人も多いと思います。実際は梅干しを食べずに、梅干しのことを考えるだけでも口臭予防に効果があるかもしれませんね…!
唾液腺マッサージ
唾液腺マッサージというものをご存知でしょうか。これはドライマウスの患者(唾液の減少により口腔内が乾燥しやすい人)のために開発されたマッサージです。唾液の分泌が少ないと口臭の原因になるということは先ほどお伝えしましたよね。
両手があればいつでもどこでも出来るおすすめの方法です。下に手順を記載します。わかりづらい場合は、「唾液腺マッサージ」で検索すると医師会や病院などのイラストで確認することも出来ますよ。
①耳の下を刺激する
両手の人差し指から中指を左右の頬に当てて、後頭部側から前に向かって優しく円を書くようにマッサージします。
②あごの裏を刺激する
両手の親指をあごの骨の内側(あごの裏)にある柔らかい部分に当てます。まずは耳の下辺り、左右の指を当てて、あご先に向かっていくように、やさしくプッシュしていきます。
③顎下から舌の裏側を押す
両手の親指を「グッド」のハンドサインになるようにしたあとそろえます。このとき親指の爪は自分の方を向いているような状態です。その手を顎先のやわらかい部分に当てて、上に押し上げるようにプッシュします。
歯みがきと舌みがき
既に行っている方も多くいらっしゃるかと思いますが、タバコを吸った後は、可能であれば歯と舌を磨きましょう。前歯はタバコを吸った後に着色汚れが目立ちやすい場所なのでよく見てみがくといいです(強くみがきすぎると歯の象牙質が剥がれてしまうのであくまでも力を抜いた状態で)。
歯みがきセットを持っていない場合はうがいだけも行ったほうがいいです。うがいも口腔内をうるおすので、口臭防止に一役買ってくれます。
歯みがきや舌みがきはもちろん口臭の予防にもなりますが、歯についたニコチンを除去して口腔内の衛生を保ったり、歯が黄ばむのを防いだりというメリットもあります。
また、舌磨きはやりすぎると逆に口臭を悪化させると指摘をする専門家もいるので、あくまでも人と会う直前にやさしく磨く程度にとどめておきましょう。1日に1回くらいに留めておくと良いです。
ちなみに、日本歯科医師会によると舌みがきは歯みがきの前にやらないと、余計に口臭がひどくなる場合があるとのことなのでお気をつけください!こんなところにトラップが隠されているとは驚きですね…!
深呼吸
肺いっぱいに吸い込んだくさいたばこのにおいを換気するようなイメージで、深呼吸をしましょう。この方法も何も持っていなくても出来る方法です。禁煙をしたい方に深呼吸の指導を行っている専門家もいるので、禁煙を目指している人はついでに習慣にしてしまいましょう。
日ごろから気を付けること
毎回タバコを吸った直後に大慌てするのは嫌ですよね。普段か口腔内のメンテナンスを欠かさないことで、いざというときに不快なにおいを抑えられるようになります。また、口腔内のメンテナンスはご自身の健康にもいいことだらけです。とくに喫煙者の皆さんは積極的におこなうといいでしょう。
歯科医院でのクリーニング
定期的に歯医者に通い、歯科健診とともに歯についた黄ばみ、ヤニの除去をしてもらいましょう。歯のクリーニングは基本的にどこの歯科医でも行っていますが、「着色汚れクリーニング」などという名目で1メニューとして料金とともにwebサイトに掲載をしている歯科医もあります。
不安な方は事前にお近くの歯科医のクリーニングメニューを探してみてくださいね。タバコのヤニの他にコーヒーやワインなどのステイン、歯石なども一緒に除去してくれるケースが多いです。もしも虫歯や歯周病が見つかったらついでに治療もできますし、歯医者には定期的に通うのがおすすめです。
歯周病の予防
喫煙をしている人は喫煙しない人に比べ歯周病にかかるリスクがとても高くなることはよく知られています。また、慢性的な口臭のほとんどの原因は口腔内の疾患や環境だという調査結果もあります。
つまり歯周病になってしまうとタバコを吸った直後でなくとも常に口臭がきつくなる可能性があるということですね。普段から歯科健診や歯磨き、うがい薬や健康な食事で歯周病にならないように努めましょう。食事のときによく噛むように意識するだけでも歯周病は予防できます。
舌苔を溜めない
舌苔を溜めないためには唾液の殺菌能力が必須となるので普段からこまめに水分を取ることが大事です。また、食べ物を食べるときによく噛むことでも唾液の分泌がさかんになります。上でもご説明したように、舌苔の除去はやりすぎるとかえって口臭に悪影響をおよぼすのでどうしても気になるときだけにとどめましょう。
電子タバコに変えるという手も
昨今、電子タバコが爆発的に大流行していますよね。電子タバコはたばこの葉に直接火をつけてその煙を吸うのではなく、葉や液体を電気で熱してその蒸気を吸うもので、悪臭の原因となるタールが含まれないことが従来のタバコとの大きな違いです。
電子タバコは紙巻きタバコよりも経済的であったり、癌になるリスクがすこし抑えられたり、受動喫煙に配慮できたり、とさまざまなメリットがありますよね!
でも多くの電子タバコ愛用者が頷くメリットは煙がでないのでにおいが体につかない・においで周囲に迷惑をかけないということがあるそうです。たしかにいやなにおいの原因となるタールが含まれていないのであれば、においはしないはずです。電子タバコも無臭ではないのですが、くさくて耐え難いにおいではないようです。
また、体にまとわりつくにおいだけではなく、ふつうの紙巻きタバコに比べると口臭も抑えられます。もしタバコの後の口臭を気にしたくないのであれば、これを機に電子タバコに変えてみるのもいいかもしれませんね。
今日から試して見て下さいね!
タバコを吸った後のにおいは本人にとっても周りの人にとっても厄介なのですが、気軽にできる対策方法が意外に多くあるということをお分かりいただけたでしょうか。
自分の趣味を大切にしつつ、周りの人とも良い関係を築くにはにおいエチケットは必須の時代です。消臭効果には個人の口腔内の状況にも左右されるのでので、ご自身でどの方法が一番消臭効果が高いかためしてみてくださいね。