「最近、口臭が気になる」…そんな方、いらっしゃいませんか?実は、口臭の原因は1つではありませんし、口以外の場所に問題があるケースもあります。そのため、口臭の原因によって、治し方も異なってくることとなります。
今回の記事では、口臭の起こる原因について徹底解説していきたいと思います。口臭の原因がわからない方は、この記事を参考にして自分の口臭と向き合ってみて下さい!
CONTENTS
口臭の原因の8割以上は口の中に
口臭の原因はいろいろで、口の中以外の場所に問題あることで、口臭を生じるようなケースもあります。とはいうものの、やはり口臭の原因は口の中にあることがほとんどです。
舌苔が原因
舌苔って聞いたことがあるでしょうか。舌苔は「ぜったい」と読みます。「舌に苔が生えるの?」と思われるかもしれませんが、本物の苔が生える訳ではありません。
舌の表面には細かい襞があるのですが、そこに食べ物のカスや口内の上皮細胞などが溜まることによって、苔が生えたように舌が白く見えるのです。
健康な人にもあたりまえに見られる舌苔なのですが、舌苔の量が増え過ぎると、口臭の元となることが分かっています。
舌苔の量が増える原因はいくつかあります。その1つが、唾液の分泌量が減少することです。唾液には口の中をキレイにしてくれる働きがあるのですが、唾液の分泌量が低下すると、口の中が汚れやすくなります。
唾液が正常に分泌されていれば洗い流されていたはずの食べカスが、唾液の分泌量が低下することによって、舌に溜まりやすくなってしまうという訳なのです。
また、睡眠不足や過労などの身体的ストレス、人間関係の悩みや仕事上のトラブルなど、精神的ストレスによって免疫力が低下することによって、舌苔が溜まりやすくなると言われています。
ストレス状態が継続すると、自律神経のバランスが乱れることとなります。自律神経が乱れると、唾液の分泌量が低下してしまうので、結果として舌苔が溜まりやすくなるという訳なのです。
磨き残しが原因
口臭で起こる原因としては、歯磨きをした時に、歯の汚れや食べカスを磨き残してしまうということもあげられています。磨き遺した食べカスは歯垢(プラーク)となって、歯に付着します。
歯垢は虫歯菌のエサとなりますが、その際に虫歯菌が酸を産生することによって、歯が溶けていくこととなります。これが、虫歯になるメカニズムという訳なのです。
また、口内にある細菌は舌苔も分解します。その際に、揮発性硫黄化合物と呼ばれる物質が産生されるのです。そして、この揮発性硫黄化合物が口臭の原因とされているのです。
そのため、歯を磨くだけでなく、舌苔を磨き落とすことも口臭予防する際には重要となります。とはいうものの、歯ブラシでゴシゴシと舌を磨くようなことは厳禁です。
なぜなら、舌は非常に繊細な器官だからです。舌を磨くときには、専用の舌クリーナーを用いて、優しく磨くように心がけましょう。
ちなみに、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物としては、「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」の3つがあげられています。
歯周病が原因
口臭の原因としては、歯周病もあげられます。歯周病とは、歯茎が歯周病菌に感染することによって、炎症を起こして腫れる疾患のことを言います。
歯周病は初期には特に自覚症状がないことから、気が付いたらすでに進行していたということもよくあります。一般社団法人の「日本生活習慣予防協会」によると、20代の人の70%、30代から50代の人の80%、60代以上の人の90%が歯周病を患っているということです。
つまり、歯周病とはとてもありふれた疾患であり、歯科医によっては歯周病をある意味、生活習慣病のようなものであると捉える人もいます。
歯周病の人に特徴的なのが、口内を検査した時に揮発性硫黄化合物の一種であるメチルメルカプタンを高濃度で検出するということです。
メチルメルカプタンは、後で紹介する生理的口臭の原因となる硫化水素よりも口臭濃度が強いことで知られています。そのため、歯周病患者さんの息は臭く感じるのです。
歯周病が進行すると、やがて歯茎が溶けて膿を生じることとなります。これも、歯周病によって口臭がひどくなる原因の1つとなっています。
日本人には予防歯科という概念が希薄とされています。「虫歯になれば歯医者に行けばいい」といった考え方の人が多いので、痛みのない歯周病がいつの間にか進行してしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまうのです。
厚生労働省では「8020運動」といって、80歳時点での残存歯数20本を目指す啓蒙活動をしています。これは、欧米諸国と比較して、日本の高齢者の平均残存歯数が少ないことに端を発しているのです。
予防歯科の先進国であるスウェーデンでは、80歳時点での平均残存歯数が25本であるのに対し、日本では80歳時点での平均残存歯数がたったの8.8本しかないということです。
口臭予防をするのももちろんですが、いつまでも自前の歯で美味しく食事ができるように、若いうちから歯の定期健診を受けて、歯周病にならないように気をつけましょう。
内臓・胃が原因の口臭
歯周病には「生理的口臭」や「病的口臭」、「外因的口臭」などがありますが、内臓や胃といった臓器が原因で起こる口臭のことを、病的口臭の中でも「口腔外が原因となって起こる病的口臭」と分類しています。口臭の原因の1割程度ということも覚えておいていただきたいです。
胃腸炎
口内に口臭の原因が見られないのに息が臭ってしまうような場合、胃腸炎の疑われるケースがあります。胃が悪い人の息を嗅いだ経験のある方もいらっしゃると思いますが、胃腸炎などを患っている人の息は独特の臭気を放っています。
胃から直接におってくるわけではなく胃腸で発生したガスが血液から肺へそして口臭としてにおいを発するメカニズムです。
また、胃腸の調子が悪くなることによって舌にある「舌乳頭」に異常が生じ、それによって舌苔が付着しやすくなることもあります。結果として、口臭がひどくなってしまうという訳です。
便秘
便秘とは、腸管内に大便が長くとどまる状態のことを指します。腸管内に長くとどまっている便はやがて腐敗し、メタンガスと呼ばれる臭い物質を産生するようになります。
おならが臭い理由がメタンガスにあるのですが、メタンガスは血液中にも溶けだします。それが肺に至って呼気として吐き出されることで、独特の臭気を帯びた口臭になる訳です。
胃潰瘍
胃潰瘍は、胃酸によって胃の粘膜がただれる疾患のことを言います。ストレスや飲酒、喫煙によって起こることもあれば、ピロリ菌に感染することで起こるケースもあります。
胃潰瘍を発症すると、胃酸過多が起こるため、独特の臭気を帯びた口臭が出るようになります。また、胃腸炎の場合と同様、舌苔が増えることによって口臭が悪化することもあります。
喉が原因の口臭
口臭の中には、喉になんらかの異変が生じることによって起こるタイプのものもあります。内臓が原因の口臭と同じくこちらも口臭の原因としては内臓と併せて1割程度です。その原因としては、以下のようなことがあげられています。
膿栓膿汁
喉の奥に異物感があるような場合や、咳やくしゃみにともなって白い塊が飛び出してくるような場合、また、喉から鼻の奥にかけて変な臭いを感じるような場合、膿栓ができていたり、膿汁を出していたりする可能性があります。
膿栓とは簡単にいうと、喉の奥にある扁桃腺に食べ物のカスや白血球の死骸、扁桃組織の壊死細胞などが溜まった白っぽい塊のことを指します。
また、急性扁桃炎を起こしたような場合、扁桃が赤くはれ上がって、膿汁を出すようなこともあります。膿栓も膿汁もとても強烈な臭いを発することで知られています。
臭い玉
くしゃみや咳をしたときに白っぽい塊が飛び出すことがあります。それ自体には臭いがないのですが、塊を潰すと鼻が曲がるような臭いを発します。そのことから「臭い玉」などと呼ばれることがあります。
実は、この臭い玉の正体は、先程紹介した膿栓だということです。膿栓に関しては医師の間でも見解が分かれており、ぜひ取った方がよいという医師もいれば、健康上の問題がなければ放っておいてよいという医師もいます。
喉の炎症
喉の炎症によって口臭が増すことがあります。喉の炎症は細菌やウィルスなどに感染することが原因でおこり、腫れや発赤、痛みなどが現れます。
ウィルスに感染すると、体の免疫反応が働きます。簡単にいうと、白血球が細菌やウィルスと戦ってくれるのです。そして、役目を終えた白血球は死んでしまうのですが、その死骸こそが膿の正体なのです。そのため、細菌やウィルスに感染してしまうと、口臭の増すことがあるのです。
食べ物が原因の口臭
食べ物や飲み物が原因で起こる口臭のことを外因的口臭と言い、生理的口臭や病的口臭とは区別しています。食べ物や飲み物によって起こる口臭は一時的なものであり、時間の経過とともに自然となくなっていくものだからです。
にんにく
食べ物を摂取することで発生する外因的口臭の最たるものが、にんにくと言っても過言ではないのではないでしょうか。にんにくを含む食事をした後、独特の口臭がすることは、みなさんもよくご存じのことだと思います。
牛乳
にんにくなど臭いの強いものを食べた後に牛乳を飲むと、口臭を緩和できるということはよく知られています。でも、その牛乳が口臭の原因となってしまうこともあるそうです。
牛乳には大量の窒素化合物や硫黄化合物が含まれているため、舌のコンディションが悪い時に牛乳を飲むことによって、舌苔が増えてしまい、その結果として口臭の増すことがあるということです。
コーヒー
日本口臭学会の研究発表によると、コーヒーを飲んだ後には口臭の強くなることが分かったそうです。簡易ガス測定器の結果を見ても、官能検査の結果においても、そのことは明らかだということです。
コーヒーは舌背部に残りやすいことから、舌苔中の嫌気性菌を活性化させ、その結果として口臭が強くなるということです。
また、コーヒーを飲んだ後には、唾液の分泌量が低下することも分かっています。そのため、口臭を予防するために、コーヒーを飲んだ後は水で洗い流すようにしましょう。
病気が原因の口臭
口臭の原因として、病気があげられることもあります。そのような場合に見られる口臭のことを、先にも紹介したように病的口臭と呼んでいます。病的口臭には口の中に原因があるものと、口以外の場所に原因があるものとの2種類があります。
歯周病
先ほども紹介した歯周病ですが口の中に原因があるタイプの病的口臭として、代表的です。歯周病になると、揮発性硫黄化合物が産生されたり、膿を生じたりすることによって、口臭の増すことが分かっています。口臭の6割を占めているとも言われています。
内臓胃の病気
口以外の場所が原因となって起こる口臭の一つに、内臓や胃の疾患があげられます。胃腸炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍がそれにあたります。
癌
口臭は癌によって起こることもあります。例えば、大腸癌が原因となって消化器内に大便が滞ることによって、独特の臭気を帯びた呼気を発することがあります。
肺がんや舌の癌などでも独特ににおいを発すると言われています。
糖尿病
糖尿病によるケトン体が原因で甘いような口臭が増すというものもあります。糖尿病の人の呼気には、独特の臭気が見られるということです。
また、糖尿病が口臭を悪化させてしまうことも研究でわかっているため、歯周病による口臭が原因ぼ場合もあります。
ストレスが原因の口臭
ストレスは万病の元などと言いますが、口臭予防をするときにもストレス管理が重要となります。では、なぜストレスが口臭の原因となるのでしょうか。
唾液減少
人がストレスを感じると自律神経のバランスが乱れてしまいます。自律神経のバランスが乱れると、唾液の分泌量が低下してしまうため、生理的口臭が出やすくなります。また、そのような状態が長く続けば、虫歯や歯周病になるリスクも高くなってしまいます。
口臭は治せます
口臭にはさまざまな原因がありますが、ほとんどの口臭は適切な対応をすることによって改善が可能です。1人で悩んでいないで、まずは病院で口臭の原因を特定することから始めましょう。
原因を知ることが重要
口臭の原因について見てきましたが、いかがだったでしょうか。一口に口臭と言っても、実にさまざまな原因のあることが分かって頂けたことと思います。口臭が気になるような場合には、まず歯科医院や口臭外来を受診しましょう。
歯科医院や口臭外来で口臭の改善が見られない場合には、内科系の疾患や耳鼻科系の疾患の起こっている可能性もあります。そのような場合には内科や耳鼻科で相談するとよいでしょう。