もしかして毎日の排便の後そのまま流してしまったりしていませんか?たかが便と思っていたらもったいないです。便にはあなたの今の健康状態が隠されているので見落とさないようにして下さいね!
便のカタチでみる健康状態
ブリストルスケールという便のタイプを知る指標を皆さんは聞いたことがありますか?このスケールはイギリスのブリストル大学において、1997年に発表された現在では世界的になっている「便」の状態の基準です。
日本でも最近は活用されており、便秘外来などだけではなく、いろいろな専門病院でも問診に多く利用されています。
なかなか便の状態を他人に伝えたり、判断したりするのは難しいので、このスケールがあれば病院においても便の状態のコミュニケーションをしやすくなっています。
まずは、どのようなスケールに分かれているのかみてみましょう。
ブリストルスケール
①コロコロ便
硬くてコロコロとしていて、ウサギの糞のような形です。排便するのが困難な便タイプの便です。
②硬い便
ソーセージ状ではあるが、硬い便
③やや硬い便
表面にひび割れのあるソーセージ状の便
④普通便
表面がなめらかでやわらかいソーセージ状、あるいは蛇のようなトグロを巻く便
⑤やや柔らかい便
はっきりとしたシワのあるやわらかい半分固形の便
⑥泥状便
境界がほぐれ、ふにゃふにゃの不定形の小片便泥状の状態
⑦水様便
水様で固形物をふくまない液体状の便
以上のどのタイプに当てはまるのか、ご自分の便をよく観察してみましょう。そのためにも、すぐに洗い流さないようにしてくださいね。
ブリストルスケールの判断
まずは、①の方であればあるほど、消化管の通過時間も遅く、最大で100時間になってしまっています。一方⑦の状態では非常に早くて10時間くらいになります。同じ便でも90時間も変わってくるということです。
①〜②の便の状態だと、腸内に便が停滞してしまう時間が長くなるので便秘と判定されます。
③〜⑤の便の状態だと、正常な便だと判定され、特に④は理想的な便の状態だと考えられています。ブリストルはイギリスなので表現はソーセージ状と言われていますが、日本式にするとバナナ状と表現されることが多いようです。
⑥〜⑦の便の状態は、便秘ではありませんが、下痢なのであまり良くない状態です。
ただし、先に硬いウサギの糞状のものが出た後に、水便が出る場合には、便秘と判断しますし、排便回数はあっても残便感がある場合も便秘と判断されます。
一般的に、①の状態が続いてしまうと、排便にも時間がかかり、いぼ痔や切れ痔の原因となります。理想は、トイレで座ったらするりと排便ができ、④のバナナ状便になることです。
コロコロ便はれっきとした便秘
コロコロ便でも、便が出ていれば問題ないと考えている人もいますが、それは間違いです。コロコロ便はれっきとした便秘の状態であり、このまま放っておくと体にとっても良くないことが起きる可能性すらあるのです。
ここでは、コロコロ便に注目して、その特徴や改善方法について紹介していきます。
コロコロ便は水分60%以下
コロコロ便は、水分が60%を下回っている状態になるとなってしまう便です。理想的なバナナのような便の場合には、水分が70%〜80%くらいになっているので、水分を意識して摂取することが大事になってきます。
また、この硬さになるまでに多くの時間がかかっているのも問題なところです。通常のバナナ便ならば、1日〜2日くらい長くても3日以内に消化吸収されたものですが、コロコロ便になると4日以上たったものが出てきていることになります。
コロコロ便を放置すると
コロコロ便は、放置していても、そう簡単には良くならないケースが多いと言われています。
コロコロ便はかなりの硬さになるので、それが細い腸管を通って排出されることになるので、激痛を伴う場合があります。
さらには、硬い小石のようなコロコロ便にまでなってくると、痛みをともなうことに止まらず、腸壁などの内臓を傷つけてしまう可能性も高いといわれています。
また、それだけ硬いと、痔にもなりやすくなり、そのままコロコロが改善されないと慢性的な痔になってしまいます。つまり、放置しておくと良くなるどころか、悪いことだらけです。
また、便が出ないことで毒素やガスが腸内にたまり、体のデトックスができないことで以下のような悪い事態に発展する可能性すらあります。
<コロコロ便で起きる症状>
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- だるさ
- むくみ
- 顔色の悪さ
- 肌トラブル
- 免疫力の低下
便が出ているからと安心しないで対策を
コロコロ便でいると上記で紹介したような、不健康状態になってしまうので、何らかの対策が必要です。まずは生活習慣を変えていくことが必要です。できることからチャレンジしていきましょう。
①スープや味噌汁で水分をとる
成人女性が1日にとるべき水分の量は、1.5Lもあります。もちろん一気にこの分量を摂取しても、尿として排出されてしまうので意味がありません。オススメなのが食事によって味噌汁やスープから摂取することです。
味噌汁やスープであれば、濃度が高く固形物を含んでいるので水分が途中で吸収されず、腸までとどきやすく効率が上がります。
②水溶性食物繊維を30%の割合で意識してとる
食物繊維には、水溶性と不溶性がありますが、この2種類をバランスよく食べることも大事です。理想的なバランスは、水溶性:不溶性を3:7でとることです。
どのような水溶性食物繊維がオススメかというと、海藻、こんにゃく、ところてん、果物などです。
一方で、不溶性食物繊維は以下のようなものになるので意識して「水溶性:不溶性=3:7」になるように食物繊維をコントロールしましょう。
特に水溶性食物繊維は不足しがちなので、意識的に取り入れることがバランスを保つには必要です。
<不溶性食物繊維を含む食品>
- ゴボウ
- 芋類
- 豆類
- 穀物
- きのこ類
③料理にオリーブオイルをプラス
ダイエットで油をカットしすぎると、便秘になってしまうこともあります。便をスルッと出すには油を摂るのも効果的。油不足を解決するためには、オリーブオイルがオススメです。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進してくれます。さらには、単純に便の滑りをよくしてくれる効果もあるようで、朝に1日スプーン1杯程度とるだけで効果があることも。
ただしオリーブオイルの中でも、オレイン酸を豊富に含むエキストラバージンオイルを選びましょう。
④善玉菌を増やす食生活
腸内環境に悪玉菌が多くなってくると、腸の動きが悪くなりコロコロ便になりやすいと言われています。そうならないためにも、善玉菌を摂取して、腸内環境を改善しましょう。乳酸菌などを積極的に摂取すると、腸内環境が整い、便通も正常に近づきます。
<善玉菌を含む食品>
- ヨーグルト
- チーズ
- 納豆
- 味噌
- 漬物
⑤女性は弱い腹筋を鍛える
女性の方が便秘になりやすい理由を知っていますか?実は単なる筋力不足であることが理由にもなっているようです。
中でも腹筋が女性は弱いので、腸の蠕動運動が弱く、排便に至っていないことがあるようです。毎朝20回でもいいので、腹筋をはじめましょう。
⑥朝にトイレタイムをつくる
自分の中にルーチンな流れとしてトイレタイムというものを設けましょう。決まった時間に排便をすることが便秘の人には大事になってきます。
もちろん、オススメは朝です。ただし、10分以上は粘っても意味がないどころか、痔を招く要因にもなりかねません。次の便意が来るのを待つか、時間があるときに再トライしてみましょう。
自分の中で排便しやすい時間を知ることが大切です。見つかったら、それを習慣にしてみましょう。
便の色でみる健康状態
便の色を毎日確認していますか?実は便の色の状態によってその時の体調や腸の状態がわかってしまうのです。それでは色によって健康状態をチェックしてみましょう。
茶色い便
茶色い便は、もっとも通常の便の色です。本来、便の色は便の大腸通過時間で決まってくるといわれています。短かいならば、短いほど明るい黄色で、時間が長いとこげ茶に近づいてきます。
はっきりとした茶色い便であれば、その滞留時間は正常であり、腸の健康状態は良いと考えていいでしょう。
あとは、ブリストルスケールでの形に問題ないかを見てみましょう。もし、黄色っぽくて水のような下痢が続く場合には、過敏性腸症候群など腸の病気の疑いがあるので医師に相談しましょう。
黒い便
見るからに問題がありそうな黒い便は身体の危険視号と思ってください。タール便とも呼ばれており、体の不調のサインとなります。
この黒さは血液から生まれており、血液は酸と接触することにより、黒ずんでいきます。つまり、黒い便の場合には、食道や胃、十二指腸などの上部消化管のどこかで出血している可能性があるので医師に相談しましょう。
灰色の便
灰色の便ももちろん正常ではありません。考えられるものとしては、ウイルス性腸炎や、海外からの帰国後であれば、危険な病気であるコレラなどの疑いがあります。
灰色の便が出たら、迷わず医師に相談しましょう。見かけとしては、ほとんどが米のとぎ汁のような水溶性の便です。もちろん、普通の形でも灰色の便であれば要注意。
膵臓障害や黄疸の兆候として、胆汁の分泌に問題がある可能性もあるのでいずれにしろ医師に相談しましょう。
赤い便
赤い便は、いわゆる血便であり、黒い便と同様に体に異常があり、鮮血が混じっている可能性があります。
ほとんどが大腸の病気による出血となっており、状態によって以下のように分かれる可能性があります。
水溶性・・・食中毒、赤痢、潰瘍性大腸炎など
軟便・普通便・・・大腸ガン
ただし、赤い便でもっとも多いのは痔によるもので、イチゴのような綺麗な赤です。いずれにしろ医師に相談することを心がけましょう。
黒色の便は便秘の兆候だけじゃない
黒色の便も便秘の場合がありますが、黒色だった場合にはまずは医師に相談することです。なぜなら、危険な病気である可能性もあるからです。
ここでは、黒色の便になるとどういったことが体の中で起きているのかを紹介していきます。
黒くて硬い便は腸内環境の悪化
黒くて硬い便は、腸内環境の悪化が原因である可能性があります。通常、便の色は胆汁に含まれているビリルビンという物質によって決められています。腸内が酸性だと、茶色、アルカリ性だと、黒っぽい色になると言われています。
腸内が正常の場合には、善玉菌が豊富にいるので腸内は酸性になっています。一方で、悪玉菌が多い場合には、アルカリ性になるので黒っぽくなるのです。
つまり黒色の便は、悪玉菌が多くなっているということになり、腸内環境が良くないということです。
タール状の便は病気が隠れている
黒色の便が、タール状だった場合には腸内環境の悪化だけでなく、病気を心配する必要があります。なぜならば臓器などの出血によって、黒いドロドロとしたタール状になっている可能性があるからです。
原因場所としては、食道や胃、十二指腸、小腸など、上部消化管の臓器から出血していると考えられます。
その他にも、鉄剤などの造血剤を服用している場合にも便が黒くなることもあります。いずれにしろ黒いタール状の便が出たら、医師に相談しましょう。
オリゴ糖を摂り入れるなど改善を
黒色の便を改善したいとき、病気が隠れていない場合を除けば、腸内環境を改善することで改善が見込めます。そのためにオススメなのが、オリゴ糖になります。
オリゴ糖は、善玉菌のエサとなるので腸内環境において善玉菌優勢の環境を作ることができ、茶色の健康な便の色へと近づくことができます。
同様に、ヨーグルトや発酵食品などに含まれている乳酸菌、食物繊維の多い野菜、ビタミン、ミネルなども一緒にとれる青汁などで、どんどん腸内環境を改善していきましょう。
お通じは毎日の健康サイン
いかがでしたでしょうか?毎日出している自分の便がどのようなレベルであり、その状態が良いのか悪いのかが分かって頂けたかと思います。
特にここで紹介したコロコロ便は、なかなか排便しづらく、出たとしても切れ痔やいぼ痔などの原因を引き起こしてしまう可能性もあります。
さらにコロコロ便の便秘を放っておくと、頭痛や吐き気、免疫力の低下、肌トラブルなども引き起こしてしまうので、早い段階で対処していいましょう。また、黒色の便や赤色の便、灰色の便が出たときは医師に相談することも忘れないようにしましょう。