便秘で手術が必要なことはある?手術後に便秘になることも?

便秘に悩まされている方は多いと思いますが、一般的には便秘薬を飲むことで乗り切っている方が多いのではないでしょうか。便秘にともなって、手術が必要となることなどあるのでしょうか。また、どのような手術をすると、便秘になるリスクが高くなるのでしょう。

多くの女性を悩ませる便秘ですが、便秘がひどくなった場合、手術が必要となることはあるのでしょうか。また、何らかの手術をすることで、便秘になってしまうことはあるのでしょうか。今回の記事では、便秘の種類について解説するとともに、便秘を根本的に治す方法についても迫りたいと思います。

便秘で手術が必要になることってあるの?

「便秘で手術なんて大げさな!」と思われる方もいらっしゃることと思いますが、過去には便秘をこじらせて亡くなられた方もおり、決して甘くみてはいけません。では最初に、便秘の概要について見ていきたいと思います。

便秘の概要

便秘に悩まされている人は、10人に1人とも、5人に1人ともいわれています。独立行政法人国立病院機構である久里浜医療センターの調べによると、インターネット上の調査で、人口の28%もの人が、便秘に悩まされているというデータもあるそうです。

便秘は虫歯や痔などと並んで、日本人の国民病ともいえるものなのですが、不思議なことに、これまでに便秘治療のガイドラインといったようなものが存在していませんでした。

ところが、2017年の10月になって、「慢性便秘診療ガイドライン」と呼ばれる便秘治療のマニュアルが、日本消化器学会によって策定されることとなりました。

慢性便秘診療ガイドラインによると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

診断基準に関しては、「便の状態がウサギのフンのようにコロコロとしていたり、硬かったりすること」「便を排出しにくいこと」「排便回数が1週間に2回以下であること」「排便後に残便感があること」のうち、2つ以上に該当した上で、そのような状態が半年以上前から続いており、直近の3ヶ月で基準を満たしていると、便秘と診断されることになります。

逆に言うと、便通が2日間なかったとしても、快適に排便ができて残便感がなければ、便秘だということにはならないという訳です。

便秘による手術例の有無

では実際に、便秘を改善するために手術をするようなことがあるのでしょうか。今回調べた限りでは、便秘を改善するために手術をした例が5件見つかっています。それに関しては、後ほど具体的に紹介したいと思います。

便秘による死亡例

便秘をなぜ侮ってはいけないかというと、実際に便秘が原因となって亡くなられた方がいるからです。それも遠い昔の話という訳ではありません。では、どのような死亡例があるのでしょうか。

便秘が原因の腸閉そくによる死亡例

便秘が原因の腸閉そくによる死亡例は、1998年に日本で起こっています。奈良県に住んでいた当時21歳の女性が、腸内にたまった治療の便が原因で腸閉そくを起こし、死亡したという痛ましいニュースがありました。

亡くなられた女性は身長が158cmで体重が47.6kgということで、どちらかというと小柄で華奢な体型をしていましたが、亡くなったときには腸内になんと6.7kgもの便が詰まっていたということです。

しかも、肛門の出口につながっている直腸には、まったく水分を含んでいない、コンクリートのようにカチカチになった便が、10cmにわたって詰まっていたということです。

亡くなった女性は、死亡する1年以上前から便秘薬を利用していたということですが、便秘薬を習慣的に用いることによって、かえって便秘が悪化したのではないかと考えられているようです。

便秘が原因の多臓器不全による死亡例

便秘による死亡例は海外でも見られています。2016年ということですから、わりと最近のことですが、イギリスに住む26歳の女性が、出産時の多臓器不全によって亡くなったというニュースがありました。

女性はもともと便秘を患っており、妊娠前期の検査によって、腸内に大量の便のたまっていることが確認されていたにもかかわらず、適切な処置が講じられなかったということです。

結局、女性は分娩時に大量の出血を起こし、多臓器不全に陥って亡くなったということです。病院側の発表では、血栓が詰まることによって起こる「肺血栓症」が死因とされました、

ただ、女性が巨大結腸症であることを踏まえていれば、このような悲惨な事態には陥らなかったのではないかと考えられています。

便秘が原因の心臓麻痺による死亡例

やはりイギリスであった死亡例なのですが、2013年の2月に、コーンウォール州に住む16歳の少女が、便秘が原因と思われる心臓まひで亡くなったというニュースがありました。

亡くなった症状は幼いことから便秘を抱えており、亡くなる直前は8週間にわたって排便がみられなかったということです。

これらのケースは極めてまれだとは言えますが、便秘の初期段階で適切な治療や手術などをおこなっていれば、死亡に至るようなことはなかったかもしれません。便秘を侮ってはいけない理由について、分かって頂けたのではないでしょうか。

便秘による手術例

それでは実際に、便秘治療を目的とした手術例について見ていきましょう。手術例は5件ですが、すべて女性で、平均年齢は42歳ということです。

63歳の女性の場合

2002年の8月、63歳の女性が31年にわたって続いた便秘を改善するため、手術を受けました。便秘の種類に関しては後ほど詳しく紹介しますが、この女性は結腸通過遅延型便秘だったそうです。

大腸亜全摘手術をおこなったところ、便秘の改善だけでなく、それにともなう吐き気も改善されたということです。その後、5年にわたって経過を観察しましたが、症状は悪化しなかったということです。

27歳の女性の場合

10年にわたる便秘に悩まされていた女性が、2002年の3月に便秘改善を目的として手術を受けました。この女性は、便秘薬を用いないと、2週間に1回しか排便がなかったそうです。

検査の結果、便秘のタイプは排泄障害型便秘(やはり後ほど詳しく解説します)であることが分かり、直腸肛門の部分切除をおこなうことにより、便秘薬を使用しないでも2日に1日の排便が見られることとなったそうです。

32歳の女性の場合その1

2年間にわたって便秘と腹痛、嘔吐に悩まされていた女性が、2008年の4月に便秘改善を目的とした手術を受けています。

この女性は病院を受診した当時、10年間にわたって抗うつ薬を服用しており、さらに5年にわたって甲状腺機能低下症の治療薬を服用していたということです。

そのため、結腸通過遅延型便秘のほか、薬剤性の便秘、うつ病や甲状腺機能低下症による便秘が疑われたということですが、確定診断は下されなかったということです。

手術法は一時的回腸人工肛門をつけるというもので、それによって便秘薬を服用しなくても、便通がみられるようになったということです。

32歳の女性の場合その2

12年間にわたって便秘に悩まされており、便秘薬を使わないと全く排便が起こらないという女性が、2006年の8月に、腹腔鏡手術による大腸亜全摘手術を受けています。

手術によって、便秘薬を使わなくても毎日の排便がみられるようになったということです。ただ、手術後6年の時点で、腹痛と吐き気がたまにみられるということです。

43歳の女性の場合

摂食障害が原因で便秘になった女性が、2011年の11月に一時的回腸人工肛門をとりつける手術をおこなったという事例があります。

それ以前に輸液による食餌療法もおこなったそうなのですが効果がなく、体重が27kgしかなかったそうです。手術後は体重が48kgにまで回復し、便秘も改善したそうです。

便秘の種類

便秘にともなって手術が必要となるケースは、どちらかというと稀だと言えます。では、便秘にはどのような種類があるのでしょうか。

結腸通過正常型便秘

結腸通過正常型便秘は、慢性的な便秘の中でも、もっとも多くみられるタイプの便秘です。症状としては、腹部の膨満感や腹痛、便が固くなって排便しにくいといったことがあげられます。

もっともよくみられるタイプの便秘ではあるのですが、その病態はややこしく、ダイエットによって食事量が減少することによって排便が困難になることもあれば、直腸まで便が送られるものの便意が生じずに排便が困難になることもあります。

結腸通過遅延型便秘

結腸通過遅延型便秘は、消化物が消化管内を通りすぎるのに時間がかかるタイプの便秘を意味します。原因としては、腸の蠕動(ぜんどう)が弱くなることがあげられています。

結腸通過遅延型便秘が悪化すると、慢性偽性腸閉塞になったり、巨大結腸症になったりするリスクが高くなるため注意が必要とされています。

排泄障害型便秘

排泄障害型便秘は、便秘薬の乱用などが原因で、自然な便意が起こらなくなることによって発症するタイプの便秘です。

便秘の原因

一口に便秘と言ってもいろいろなタイプの便秘がありますし、どれか1つに分類されるという訳ではなく、複数のタイプの便秘が絡み合って排便障害を起こしていることもあります。では、そもそもなぜ便秘になってしまうのでしょうか。

ストレス

便秘の原因としては、ストレスがまずあげられます。ストレスは便秘だけでなく、さまざまな疾患の元となりますが、それは、ストレスによって自律神経のバランスが乱れるからだと考えられています。

自律神経は、私たちが特に意識していなくても勝手に働いてくれている神経のことを言います。たとば、私たちが食べたものは、私たちが消化しようと考えなくても、身体が勝手におこなってくれますよね。

食べたものの消化や吸収をおこなうだけでなく、血液循環をコントロールしたり、体温を調節したり、血圧や血糖値をコントロールしたりといったことすべてが、自律神経によっておこなわれているのです。

ところが、ストレスによって自律神経のバランスが乱れてしまうと、心身にさまざまな不具合が生じることとなります。もっとも分かりやすい疾患は、自律神経症状やうつといった精神疾患ではないでしょうか。

では、自律神経と便秘とはどのような関係があるのでしょうか。自律神経は交感神経と副交感神経の2つから成っており、両者がバランスをとることで私たちの生命活動が維持されています。

日中は交感神経が優位になって活動的に動くモードになり、夜間は副交感神経が優位になってお休みモードになる訳です。

そして、私たちが食べたものの消化や吸収は、副交感神経が優位になっているお休みモードのときにおこなわれるのです。

ところが、ストレス状態が継続することによって、休むべき時間にも交感神経優位状態が続くと、睡眠の質が低下して、食べたものの消化や吸収を阻害することとなるのです。

また、交感神経優位状態が継続すると、脳内の神経伝達物質の一種であるセロトニンの分泌量が減少します。セロトニンには神経を鎮静化させる働きがあるため、セロトニンの分泌量減少によって、さらに神経が興奮してしまうのです。

セロトニンの分泌量が減少すると、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激されにくくなることも分かっています。それによってついつい食べすぎてしまい、結果として便秘になる訳なのです。

食習慣

私たちの便は、私たちが食べたものの「成れの果て」ということもできます。そのため、私たちが食べたものによって、便の状態が左右されることとなるのです。

たとえば、お肉ばかり食べていると腸内の悪玉菌が増えて、腸内環境が悪化してしまいます。それによって便秘になるという訳なのです。

便秘の改善には食物繊維が効果的だとされていますが、直腸に固い便がたまっているときに、不溶性の食物繊維をたくさん摂ると、かえって便秘が悪化することもあります。

運動不足

運動不足も便意になる原因と考えられています。特に、腸の蠕動が弱くなることによって、結腸通過遅延型便秘になる可能性が高くなると考えられています。

手術後に便秘になるケース

便秘を改善するために手術が必要となるケースもあれば、手術が原因となって便秘になってしまうようなケースもあります。代表的なのは開腹手術です。

開腹手術をおこなった場合、多かれ少なかれ腸と腸、もしくは腸と複壁に癒着がみられることとなります。それが原因となって、便秘になることもあるということです。

早めに便秘を改善し手術を避けましょう

今回は、便秘を改善するために手術をすることがあるのかどうか、また、手術をすることによって便秘になることがあるのかどうかについて見てきました。

便秘を改善するために手術をするのはまれなケースですが、ないわけではありません。また、開腹手術をおこなうと、便秘になるリスクが増すということです。普段から生活習慣に気をつけて、便秘にならないようにしたいですね。

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