肥満になるとどうしてもお腹がぽっこり出てしまってだらしない印象になってしまいます。ただ肥満でお腹に脂肪がついてしまう原因は1つではないことご存知でしょうか?お腹の脂肪が気になっている方は早めの改善が必要です。
肥満とは
皆さんは、肥満という単語をどのように認識していますか?実は肥満でも程度によっては、ただ単に太っているだけで病気ではないのです。ところが、肥満症となる治療などの必要がでてきてしまいます。
その判定はどこで判断しているのでしょうか。ここではまず肥満症の判定に用いられるBMIについて紹介していきます。
BMI25以上
現在、肥満の目安となるものとして、BMIというものがあります。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められ、肥満度の分類は、性別にかかわらず、BMI18.5以上25未満が「普通体重」とされており、BMIが25以上になってくると「肥満」と判定されてしまいます。
そして、BMIを5刻みで、肥満1度から肥満4度までに分けられており、全部で6段階になっています。
日本の肥満は、欧米と比べると少ないと言われていますが、最近では食生活の変化などで、高度な肥満の方も多くなってきています。
最近では、肥満度の高い人が増えてくる可能性も考慮して、BMI35以上を「高度肥満」と定義し、診断や治療の対象と認識されてきています。
<日本肥満学会の肥満度判定基準>
BMI | 肥満度判定 |
18.5未満 | 低体重 |
18.5~25未満 | 普通体重 |
25~30未満 | 肥満(1度) |
30~35未満 | 肥満(2度) |
35~40未満 | 肥満(3度) |
40以上 | 肥満(4度) |
病気のリスクも上がる
体重が重かったり、体が大きかったり、BMIが高いだけの軽度の肥満ならば病気とはいえませんが、そこだけで問題は終わらないのです。生活習慣を変えないと、肥満ぎみから高度な肥満へと徐々にランクが上がっていってしまいがちです。
肥満が肥満症までいってしまうと、生活習慣病などの病気にかかりやすかったり、すでにかかっている可能性があるので、放っておくことはできなくなります。
まずは、自分が肥満であるか、肥満症であるかの区別を知っておくことが大事です。
肥満と肥満症の違い
肥満と肥満症は同じものではありません。BMIが25以上だとしても、いきなり肥満症であり治療が必要というわけではないのです。
その一方で、肥満症は病気であり、医学的にも治療が必要な状態です。また、肥満症の場合には、肥満による健康障害があり、関連する症状があったりもします。
<肥満症の判断基準>
BMIが25以上で、かつ
1)肥満に関連する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害がある
2)内臓脂肪が蓄積している
引用元:http://club.panasonic.jp/diet/kiso/himan/index.html
以上のいずれかに当てはまる場合には、「肥満症」と病名がつき、医学的な治療が必要となってきます。肥満症の場合には、以下のような病気が引き起こされる可能性があります。
- 高血圧
- 耐糖能障害
- 脂質異常症
- 高尿酸血症
- 痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞
- 脂肪肝
- 月経異常及び妊娠合併症
- 肥満関連腎臓病
これ以外にも、脂肪量が異常に増えると以下のような病気にもなるとされています。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 肥満低換気症候群
- 整形外科的疾患
肥満のお腹タイプ
肥満のお腹タイプには、大きく分けて2つあります。体脂肪の種類やその形から、リンゴ型と洋なし型と呼ばれています。
ここではまずは簡単にそれぞれのお腹タイプについて紹介していきます。2つのタイプにはそれぞれの太り方に特徴があることで、その対策法も違ってきます。まずはその特徴からチェックしていきましょう。
肥満のお腹タイプ1・リンゴ型
リンゴ型のお腹タイプでは、まさにリンゴのようなお腹になっています。
お腹周りに脂肪がついており、言い方によっては、ビール腹と言われることもあり、中年男性に多いお腹タイプだと言われています。
医学的には、内臓脂肪型ともいわれ、内臓につく脂肪は以下のような生活習慣病を引き起こしやすいと同時に、体内で悪玉物質の量を増やします。
<生活習慣病>
- 糖尿病
- 脳梗塞
- 高血圧など
リンゴ型肥満の脂肪は、内臓まわりについてしまうことにより、蓄積されるのも早いと考えられています。しかし、その一方で、分解されるのも早いのです。
これはどういうことかというと、運動や食事制限をしっかりと行えば、比較的簡単に落とすことができるということを意味します。
特にダイエットとして、有効なのが有酸素運動です。これは体脂肪を直接エネルギーとして使うので内臓脂肪の燃焼に効果的です。
有酸素運動としては、ウォーキングやジョギングなどを無理ないレベルで習慣にするとよいでしょう。食生活においては、脂質と糖分を控え、カロリーを抑えた良質なタンパク質を摂取するようにしましょう。
肥満のお腹タイプ2・洋なし型
洋なし型のお腹タイプは、女性に多く見られる太り方で以下のような、下半身を中心とした女性が太りたくないところに限って太ってしまうタイプでもあります。
<太りやすい場所>
- お尻
- 下腹
- 太もも
さらにこの洋なし型のお腹タイプは、皮下脂肪型ともいわれています。お腹周りは、女性にとっては妊娠や出産時のエネルギー源となるため、あまり減らしすぎることもできない部分です。
しかし、皮下脂肪が蓄積されて代謝されないままだと、セルライトができやすくなってしまうので注意が必要です。女性にとって、セルライトは美容の大敵ですよね。気になってあまり肌を露出したくなくなってしまいます。
また、洋なし型のお腹タイプの脂肪は、内臓脂肪に比べると代謝が悪いので、どちらかというと分解されにくく、なかなかダイエットも成功しづらいのです。
さらには、洋なし型のお腹は、外見的にも肥満であることが目立ちやすいという問題も。
でも、外からの刺激には効果が出やすいので、運動療法、食事療法にマッサージなどによる血行促進により、見た目の変化は出やすいという特徴があります。
また、下半身を強化するような筋力アップも必要。有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)を組み合わせると良いでしょう。
リンゴ型の特徴
リンゴ型の特徴は、男性に多く内臓脂肪型ということです。問題なのは生活習慣病などの危険な病気になりやすいという点。まずは、内臓脂肪が多いことについて解説していきます。
内臓脂肪が多い
体脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があり、一般的につまめるのが皮下脂肪で、内臓周りについていて外からは見えないのが内臓脂肪です。
リンゴ型のお腹の特徴は、内臓脂肪の方で、実は見えないだけで中に脂肪がたまっていることになります。隠れ肥満ともよばれるタイプですね。
この内臓脂肪は、お腹まわりの筋肉と内臓の間につく脂肪です。過剰に蓄積すると生活習慣病、動脈硬化や脳卒中などの原因となり、危険な状態になります。
男性に多い
この内臓脂肪は、一般的に女性よりも男性に蓄積しやすいと言われており、さらに加齢とともに蓄積しやすくなるという特徴もあるようです。
男性の場合、皮下脂肪が少ないためお腹の皮が薄い反面、内臓脂肪が多くつきやすいという特徴があります。そのため、一見太って見えないので肥満に気づきにくいとも考えられています。
目で見てもすぐに肥満になっているか分かりにくいので、日頃から次のチェックしていくことを男性の方にはオススメします。
チェックとしては、「ウエスト(cm)÷身長(cm)=0.5」かどうかを調べます。もし、0.5以上であった場合には、内臓脂肪が蓄積しており、肥満の可能性が高くなります。
ちゃんと調べたい人は、腹部CT検査で断面像を撮影してもらえれば、内臓脂肪面積が100cm2以上であるかどうかで、内臓脂肪の蓄積、つまりはメタボリックシンドロームかどうかを確認できます。また、体脂肪率が見た目の割に多いかどうかも簡単な指標となりますよ。
リンゴ型は病気の危険性大
先ほども紹介しましたが、リンゴ型のお腹タイプの場合には、生活習慣病になるリスクが高くなります。内臓脂肪が増えると、次のような問題も引き起こってきます。
- 遊離脂肪酸が増加
- 善玉アディポカサイトカインが減少し、悪玉アディポカサイトカインが増加
- インスリン抵抗性
など
その結果、内臓脂肪からはじまった問題が、脂質異常症、糖尿病、高血圧にまで発展してしまう危険性があるのです。
そして、これらの生活習慣病は動脈硬化を引き起こし、脳関連の危険な病気にまで発展してしまう可能性を秘めています。
洋なし型の特徴
洋なし型の特徴は、皮下脂肪による肥満であり、女性に多いということです。そのダイエット方法は簡単なのでしょうか?それとも難しいのでしょうか?皮下脂肪の特徴について解説していきます。
皮下脂肪が多い
洋なし型のお腹の場合には、リンゴ型とは逆で、つまめる脂肪、いわゆる皮下脂肪が多くなってきます。皮下脂肪とは、皮膚のすぐ下の内側にある脂肪のことをいい、見た目にもわかりやすい脂肪になっています。
女性に多い
皮下脂肪は、男性よりも女性の方が多くつくと考えられており、例えば乳房も皮下脂肪の一種だと考えられています。
体温を保ち、エネルギーを蓄積する役割を持っています。特に、女性の場合には、妊娠・出産をすることもあるので、体が大事な生殖器官を守るために腰回りに男性よりも皮下脂肪が多くつくとも考えられています。
落としにくいため早めに改善を
皮下脂肪は、内臓脂肪と違ってなかなか有酸素運動などで落ちません!そのため、皮下脂肪がついてしまったら、すぐに対処することをオススメします。
それでいて、お腹だけでなく、足や背中、お尻など下半身の気になる部分につくので厄介なのです。
内臓脂肪と比べて危険な生活習慣病になりやすいわけではありませんが、見た目に見えるという影響があるので、根気強くダイエットをする必要があります。
長期的な有酸素運動をして、脂肪を燃焼することも大事ですが、日頃から食事をバランスよく食べて、摂取カロリーが消費カロリーを超えないようにしましょう。
リンゴ型、洋なし型の改善方法
リンゴ型と洋なし型の改善方法は、基本的には同じですが、型によってその効き目が若干変わってきます。ここでは、リンゴ型、洋なし型の改善方法について両方の特徴を踏まえながら解説します。
食べ過ぎてる方はまず食事制限から
リンゴ型も洋なし型も、つまりは、内臓脂肪も皮下脂肪基本的には、食事が原因といっても過言ではありません。なぜなら、摂取エネルギーが消費エネルギーを超えていれば、それは脂肪として蓄積してしまう可能性を秘めているからです。
肥満の場合に治療も、まずは食事療法というくらい肥満の対処方法は食事制限が大事になってきます。
運動は必須
リンゴ型も洋なし型もどちらも運動は必須となってきます。摂取エネルギーを消費エネルギーが超える必要がありますので、そのためには運動が大事になってきます。
特に内臓脂肪には有酸素運動が大いに効果があります。適度な疲労をともなう有酸素運動を30分前後、週に2、3回行うとよいでしょう。有酸素運動としては続けられるものが望ましく、ランニングではなくても、ウォーキングやジョギング程度で問題ありません。
また、洋なし型の場合には、皮下脂肪なので内臓脂肪であるリンゴ型にくらべると有酸素運動でもそれほど効果をあげられませんが、まったく無駄というわけではないので、長期的な計画で運動を続けていきましょう。
検診も受けてみては
リンゴ型も洋なし型も、自己判断で判断するのはあまり良いことではありません。皮下脂肪は自分でつまんで確かめることもできるレベルかもしれませんが、内臓脂肪においては、隠れ肥満ともいわれるくらいなので、しっかりと病院に行き、検診することが大事です。
また、内臓脂肪による肥満の場合には、ただ単に肥満であるだけでなく、生活習慣病の恐れもあります。肥満かどうかの検診だけではなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のチェックも受けることも意味があるといえるでしょう。
自分のタイプに合わせて改善しましょう
いかがでしたでしょうか?太るにはタイプがあり、それぞれに発生する原因の違いや、対処法にも違いがあることがわかったかと思います。皮下脂肪が多い方も、内臓脂肪が多い方も、どちらも食事と運動を改善することが欠かせないことに変わりはありません。将来の病気を未然に防ぐためにも、自分の体型をよく観察して、タイプにあった対処法を選んで取り組んでいくようにしましょう。