肥満になると死亡率は上がる?理想のBMIが22って本当?

LIL 編集部

肥満度を測る尺度として、世界的にBMIといわれる指標が用いられています。日本人に関して言うと、BMIの数値が22であると、理想的だとされます。その根拠は何なのでしょうか。また、少し太っているくらいの方が長生きなどといわれますが、実際のところはどうなのでしょう。

肥満はなんとなく身体にとってよくないようなイメージをお持ちの方もたくさんいらっしゃることと思いますが、実際に、肥満体形になると死亡率の上がるようなことがあるのでしょうか。今回の記事では、BMIと死因との関係について見るとともに、BMIだけにとらわれることの危険性についても紹介していきたいと思います。

肥満の測定法

肥満になると死亡率が高くなるのかどうかについて検証する前に、まずは肥満の測定法として、世界各国で一般的にもちいられている方法である「BMI」について、紹介しておきたいと思います。

BMIの算出法

BMIは英語の「Body Mass Index」の頭文字をとったもので、人間の肥満度を測定するための方法であり、体格指数であるとされています。

BMIは「身長(m)の2乗を体重(kg)で割る」ことによって求められます。たとえば、身長が175cmで、体重が70kgの人のBMIは、[]70÷」(1.75×1.75))=「22.86」となります。

肥満度の判断基準

BMIの算出法については分かりましたが、では、BMIがいくつであれば肥満と認定されるのでしょうか。日本における判断基準について見ていきたいと思います。

痩せ型

BMIが18.5未満の場合、痩せがたに分類されることとなります。インターネット上では、BMIが18以下の女性のことを「シンデレラ体重」などと呼ぶこともあるそうですが、後述するように、ただ痩せていれば健康上のリスクが減少するわけではありません。

標準体重

BMIが18.5以上25未満であれば標準体重に分類されます。特に、BMIが22であると理想だといわれているのですが、これに関して疑問を呈している医師も存在しています。

肥満

BMIが25を超えると、肥満に分類されることとなります。ちなみに、肥満大国であるアメリカでは、BMIが30を超えた場合、肥満に分類されることとなります。

アメリカ人には肥満の人が多いので、BMIに関しても基準が緩くなっているのでしょうか。実はそうでなく、アメリカ人に比べて日本人のほうが、体質的にBMIの上昇にともなって、生活習慣病などを発症するリスクが高いとされているからのです。

日本人の場合、BMIが25を超えたあたりから、高血圧などの生活習慣病になるリスクが上昇するとされています。実際、日本人の場合、スリムな生活習慣病患者もいますが、アメリカ人の生活習慣病患者はとても太っています。

それはともかくとして、肥満にも肥満度という分類が設けられています。BMIが25以上30未満である場合、1度の肥満(軽度肥満)とされます。

BMIが30以上35未満になると2度の肥満(中等度肥満)、BMIが35以上40未満になると3度の肥満、BMIが40を超えると4度の肥満とされます。3度の肥満と4度の肥満は、重度肥満とされています。

肥満症にともなうリスクとは?

肥満になると、なんとなく身体にとってよくないというイメージをお持ちの方もいらっしゃることと思います。では、実際に肥満によって、どのようなリスクを抱えることとなるのでしょうか。

脂肪細胞の質的異常による肥満症の場合

肥満にともなって、なんらかの疾患を発症したり、なんらかの疾患を発症するリスクが高まったりする場合、医師による治療が必要となります。そのような肥満のことを「肥満症」と呼んでおり、単なる肥満と区別されています。

肥満とは単に太っている状態を説明しているだけであり、病気をともなうかどうかは問題とされていないからです。そして、肥満症には2つのタイプがあります。

まずは、脂肪細胞の質的異常によっておこる肥満症について見ていきたいと思います。脂肪細胞の質的異常などと書かれると、なんだか難しそうに思えますよね。

ただ、脂肪細胞の質的異常による肥満症を簡単に説明するなら、「内臓脂肪型の肥満症」ということが可能です。中年男性に多くみられるタイプの肥満で、内臓脂肪がたくさん付着することによって起こります。

脂肪細胞の質的異常によって起こる肥満症の場合、高血圧や脂質異常症(かつての高脂血症)、高尿酸血症や通風、耐糖能障害(2型の糖尿病など)といった、いわゆる「生活習慣病」になるリスクが上昇します。

また、狭心症や心筋梗塞といった心疾患や脂肪肝、肥満が原因で起こる腎臓病といった、内科系の疾患を発症するリスクも高くなります。さらに、脳梗塞を発症するリスクが上昇することも分かっています。

女性の場合、生理不順やPMS(月経前症候群)などのリスクが上昇したり、妊娠中に「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などの合併症をおこしたりする可能性も、高くなることが分かっています。

脂肪細胞の量的異常による肥満症の場合

「脂肪細胞の量的異常による肥満症」などというとやはり難しく聞こえますが、簡単言うと「皮下脂肪型の肥満」のことです。どちらかというと女性に多くみられるタイプの肥満ですが、男性であっても無縁ではありません。

脂肪細胞の量的異常によって肥満症になった場合、睡眠時無呼吸症候群や肥満低換気症候群といった、呼吸器系の疾患を発症するリスクが高くなります。

また、皮下脂肪は「付きにくく落ちにくい」という性質を持っているため、体重の増加によって身体の各部への負担が増します。その結果として、腰痛や膝痛といった整形外科的な疾患を発症するリスクも高くなります。

肥満症と死亡率との関係

肥満症になると、高血圧や脂質異常症をはじめとする生活習慣病や、心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高まるということですから、当然、死亡率も上がることになるのでしょう。では、BMIと死因との関係について見ていきたいと思います。

全死因

全死因を見た場合、「男女ともにBMIが21以上、27未満においてもっとも死亡率が低い」、という調査結果が出ています。男性に関しては平均して11年間追跡調査をおこない、女性に関しては13年の追跡調査をおこなった結果なので、有意の調査結果だということが可能です。

死亡のリスクがもっとも低いとされるのは、BMIが25以上で27未満のカテゴリーであり、もっとも死亡率の高いのは、BMIが14から19までのカテゴリーとなっています。

肥満によって明らかに死亡率が上昇するのは、BMIが30を超えた場合のみとなっています。つまり、軽度の肥満であれば死亡率の上昇はみられず、全死因を見た場合、むしろ痩せ型の方にたかい死亡率が見られるという訳です。

がん

がんによる死亡率に関しては、男性と女性で大きな差がみられます。女性ががんを発症するリスクは、BMIが30を超えた場合と、反対にBMIが19を下回った場合に上昇しますが、その他のカテゴリーではそれほどの差異が認められません。

男性の方は、BMIのカテゴリーによって死亡率にかなりの差異が認められます。男性ががんを発症するリスクは、BMIが19未満の場合にもっとも高く、次いでBMIが19以上21未満のカテゴリーとなっています。

BMIが25以上27未満のカテゴリーで、もっともがんの発症率が低くなっており、BMIが30を超えると、がんを発症するリスクが高くなっています。曲線を見るとアルファベットの「J」を反対にしたような形になっています。

心疾患

心疾患による死亡率は、男性の場合、BMIが30を超えたケースでもっとも高くなっています。女性の場合は、BMIが30を超えた場合と、BMIが19を下回った場合でもっとも死亡率が高くなっています。

先ほども説明したように、男性の場合、脂肪細胞の質的異常によって肥満になると、狭心症や心筋梗塞といった心疾患のリスクが高くなるということでした。その事実が、このデータによって裏付けられているといえそうです。

脳血管疾患

脳血管障害による死亡率も、心疾患による死亡率と同様、男性の場合はBMIが30を超えるカテゴリーでもっとも高く、女性の場合はBMIが30を超えた場合と、BMIが19を下回った場合でもっとも高くなっています。

…以上の結果から、BMIが低ければ低いほど死亡率が下がるという訳ではなく、むしろがんに関しては、痩せている人の方が死亡率の高いことが分かりました。また、全死因を通して、もっとも死亡率が低いのは、BMIが25以上27未満のカテゴリーということも分かりました。

BMIだけにとらわれる危険性とは?

先ほどのデータは、国立研究開発法人である「国立がん研究センター」の発表している調査に基づいたものですが、同センターによって、以下のような限界も示されています。

体重と身長しか考慮されていない

BMI別の死因に関しては、16万人の男性と19万人の女性を、長期間にわたって追跡調査することによって得られており、かなり有効なデータだということが可能です。

ただ、BMIは身長と体重の身によって求められるものだという欠点があります。どういうことかというと、体型や筋肉量は考慮されていないということです。

同じ身長で同じ体重であったとしても、運動習慣のない一般人と、プロスポーツ選手とでは、中身が異なっていますよね。

長期的な変化を見落としがち

BMI別の死亡率は、長期間にわたって追跡調査をおこなった結果だということなのですが、必ずしも期間中の体重の変化までも追ったものではありません。

ある時点での体重を基準として追跡調査をおこなっているため、その後の体重変化について考慮されていないという欠点があります。

生活習慣を加味していない

追跡調査の結果をより正確にするため、男性に関しては喫煙者を除いて調査したり、5年以内の早期死亡例は除外して調査したりしたところ、調査結果に差異は見られなかったということです。

ただ、肥満のリスクを高める生活習慣は実にさまざまであり、そこまでは考慮できないという限界もあります。とは言うものの、一定の評価を与えられる調査であることに変わりはありません。

体重管理の方法

肥満によって罹患する疾患によっては、脂肪率が高くなることもあります。痩せすぎも問題ですが、やはり太りすぎも問題だといえそうです。では、どのようにして体重管理をおこなえばよいのでしょうか。

男性と女性との違い

男性と女性では、太り方に若干の差が認められます。男性の場合はリンゴ型と言って、おなか周りが太くなる内臓脂肪型の肥満が多いですが、女性の場合、洋ナシ型と言って、下半身を中心として太る皮下脂肪型の肥満が多いです。

もちろん、男性にも皮下脂肪が付くことはありますし、女性に内臓脂肪が付くこともあります。とは言うものの、一般的には男性に内臓脂肪型の肥満が多く、女性に皮下脂肪型の肥満が多いのは事実です。

内臓脂肪と皮下脂肪にはそれぞれ特徴があります。内臓脂肪は「つきやすく落ちやすい」という特徴を持っており、皮下脂肪は「つきにくく落ちにくい」という特徴を持っています。

ということは、内臓脂肪型の肥満の方が、容易に体重をコントロールできるということになります。特に、現代人は糖質を摂りすぎだとされているので、男性の肥満の場合、糖質の摂取制限をおこなうとよいでしょう。

女性の場合、いったんついてしまった皮下脂肪は落とすのに時間がかかるため、長期的な展望に立ったダイエットをおこなうことが重要です。

皮下脂肪を燃焼させるためには、有酸素運動をおこなうのがもっとも効果的です。有酸素運動を20分以上おこなうと、体脂肪の燃焼がおこるとされています。

毎日少しずつでも構わないので、歩く習慣を身につけましょう。仮に心疾患を有していたとしても、医師の指導のもとで適度に身体を動かすことで、心疾患を改善することが可能だとされています。

生活習慣の見直し

体重を管理するためには、生活習慣の見直しも重要です。早寝早起きをして栄養バランスのとれた食事をし、適度の身体を動かしていれば、肥満になるリスクは低下します。

普段からエレベーターやエスカレーターに頼らず、階段を使うようにしたり、ちょっとそこまで出かけるときには、車や自転車ではなく、歩いていくようにしたりしましょう。

手遅れになる前に肥満の改善を

肥満と死亡率との関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。がんに関しては、痩せている場合に死亡率が高くなるというのが驚きでしたよね。とは言うものの、肥満でさまざまな生活習慣病のリスクが上昇することに変わりはありません。手遅れになる前に、少しずつでも肥満を改善しましょう。

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LIL 編集部

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