肥満や生活習慣病と言う言葉は良く聞くと思いますが肥満により生活習慣病になるリスクが上がってしまうことってご存知でしたか?
ただ太っているだけでは済まされず、病気の原因になってしまうとしたらあなたはどう行動しますか?
肥満と生活習慣病
肥満が健康に良くないことはみなさんもよく分かっていることだと思いますが、具体的にはどんな病気との関係があるか理解できているでしょうか。まずは、肥満と生活習慣病の関係からみていきましょう。
肥満は多くの病気の要因
肥満は、多くの病気の要因となっています。その病気の種類はとても幅広く、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの一般的な生活習慣病やメタボリックシンドロームとも密接な関係があります。
他にも、高尿酸血症から痛風を引き起こし、脂肪肝や膵炎に発展する場合もあり、睡眠時無呼吸症候群による突然死の原因にすらあげられています。
他にも大腸ガンや乳ガン、子宮ガン、前立腺ガンなど、多くのガンのリスクを高めることもわかっています。
肥満だと生活習慣病になりやすくなる
肥満だとしても必ずしも、生活習慣病になるわけではありません。しかし、脂っこい食べ物や糖分を摂りすぎる食生活や、運動をほとんどしない生活習慣などが、原因で肥満となってしまっている場合には、その生活を続けていると糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病になりやすいといえます。
さらに、悪い食生活や生活習慣を続けていると生活習慣病を悪化させて、血管を痛めたり、血管の弾力性を失う動脈硬化も引き起こしていしまいます。
そうなってくると心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気になってしまうことにもなりかねません。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、その名前がさすように以下のような生活習慣が原因で発症する病気です。
- 偏った食事
- 運動不足
- 飲酒
- ストレス
- 喫煙など
具体的な病名としては、以下のようなものがあげられます。
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症(痛風)
- 動脈硬化
- 脳梗塞
次の項目で詳しく症状などについて紹介していきます。
肥満が関係している生活習慣病
肥満が関係している生活習慣病は、かなり多岐にわたっています。ここでは簡単に1つずつ紹介していきます。
糖尿病
肥満が関係している生活習慣病の代表となっているのが糖尿病です。原因としては、肥満によってインスリンの分泌やインスリンの効き目に異常がおこることで生じます。
糖尿病は、血液の中のブドウ糖の濃度が高い状態(高血糖)がつづく病気ですが、放っておくといろいろな臓器にダメージが起きて様々な合併症が生じる可能性のある危険な病気です。
血糖が高い状態がつづくと、のどの渇き、疲労感、多尿、頻尿、体重減少などのいろいろな症状とともに心筋梗塞や脳梗塞などが合併します。さらには、網膜障害や神経障害などを引き起こすこともあり、透析などになる人もいます。
脂質異常症
脂質異常症には、以下の3つの種類があります。
- 高LDLコレステロール血症
- 低HDLコレステロール血症
- 高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)
肥満の場合には、動脈硬化を防ぐ働きをもっている「HDLコレステロール」が低下する「低HDLコレステロール血症」と「高トリグリセライド血症」になりやすいとされています。
これは肥満になる食生活である、中性脂肪やコレステロールなどの過剰摂取が原因となります。
高血圧
高血圧は、血圧が高い状態をいい、放っておくと心臓病や腎臓病などの危険性があります。
肥満になると通常の体重の人とくらべても2〜3倍多く高血圧になるリスクが高いことがわかっています。また、通常の体重の食生活の人と比べても過剰に塩分をとりすぎて、体内にナトリウムが過剰になることで高血圧になりやすいのです。
その他にもインスリン過剰によって、交感神経が刺激されカテコールアミンが放出され末梢血管を収縮させたり、ナトリウムの再吸収を促してしまうことも原因です。
高尿酸血症・痛風
肥満になる過程で、過食により尿酸が過剰に体内にとりこまれることで高尿酸血症や痛風にもなりやすいという問題があります。また、内臓脂肪の蓄積によっても尿酸産生が増進してしまうともいわれています。
高尿酸血症や痛風になると急性的な関節炎をともなうので注意が必要です。さらに放っておくと尿路結石や腎不全の原因にもなる怖い病気です。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪症候群と呼ばれ、複数の病気や異常が重なっている状態です。一般的にはウエストが男性では85cm以上、女性は90cm以上かつ、血清脂質、血圧、血糖のうち2項目で異常があるとメタボと判定されます。
肥満になる食生活などを続けていると内臓脂肪の蓄積によって、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が起こってきます。このような異常が重なると、動脈硬化が進みやすくなり、心臓病や脳血管疾患などのリスクも高まってしまいます。
動脈硬化
肥満になると内臓脂肪が多くなってきます。そして、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が増えしまい、動脈硬化のきっかけとなります。
その他にも、内臓脂肪が多い状態を放置しているだけでも、高血圧や高血糖状態を引き起こすので、動脈硬化になりやすいと考えられています。内臓脂肪そのものに動脈硬化を助長するリスクファクターが潜んでいることが分かってきたのです。
動脈硬化になると、心筋梗塞、脳梗塞、くも膜下出血、大動脈瘤などの危険な病気につながる可能性が高くなってしまいます。血管が細くなったり、部分的に狭くなったりすると血管が詰まったり、破れやすくなるため、大変危険な状態だといえます。
虚血性心疾患
肥満になると、肥満でない人に比べても、酸素や栄養分を余計に全身に届けなくてはならなくなります。そのため、心臓への負担が大きくなり、虚血性心疾患になりやすくなります。
さらに過食などによる肥満の場合には、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が重なると、動脈硬化が進み、虚血性心疾患にもつながりやすくなります。
虚血性心疾患は、心臓を動かす血液を運ぶ冠状動脈が硬くなり、つまってしまう病気で、放っておくと心筋梗塞になる可能性があります。症状としては胸を締めつけられる痛みや息苦しさを感じることがあり、最悪の場合死に至る怖い病気です。
脳梗塞
脳梗塞は脳血管がつまり動脈硬化を起こし、狭窄や血栓ができることで脳に酸素や栄養が届かなくなる病気です。その後、脳の組織が壊死することで、障害が起こるのが脳梗塞です。
肥満になると動脈硬化になる可能性が高くなり、その中でも狭くなった太い血管に血栓ができやすくなります。その結果、血管がつまる、アテローム血栓性脳梗塞になる可能性が高いといわれています。
その他
これら8つの病気以外にも、心筋梗塞、狭心症、肥満関連腎臓病、脂肪肝などの危険な病気になる可能性があります。
また、睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群などの特殊な症状や、女性特有の月経異常や妊娠合併症などを引き起こす可能性もあるのです。
肥満による生活習慣病の予防や対策
肥満による生活習慣病を引き起こさないためには、肥満にならないように予防や対策が必要です。肥満になってからでも遅くはありません。日頃の生活に組み込んでいきましょう。
まずは減量から
肥満による生活習慣病を予防していくには、まずは減量が大事な要素になってきます。体重を減らすことで、内臓脂肪などを減らしていくことで生活習慣病になるいろいろな要因を予防していけます。
しかし、生活習慣病のための減量は、急激なダイエットをする必要はありません。
目標としては、3ヶ月くらいで体重の5%を減量するくらいを目指しましょう。急激なダイエットはむしろリバウンドにもつながり、逆効果になってしまいます。
特に食事を一時的に抜いたりすると、逆に脳が危機感を覚えて食べるときに一気に食べたくなったり、食べたものを脂肪として蓄えやすくなってしまいます。くれぐれも栄養バランスを整えつつ減量していきましょう。
食事制限と運動を両方する
食事制限は当然必要なことではありますが、食事制限だけでダイエットをするのも効率が悪いので運動も取り入れるようにしましょう。
食事制限だけでダイエットをしてしまうと、脂肪だけではなく、筋肉量や骨の量も減ってしまいます。体を支える力も弱くなり、肩コリや腰痛、膝痛などを引き起こしやすくなります。
さらに、更年期の女性の場合には、骨粗しょう症の危険性も高まってしまいます。
リバウンドをした際にも食事制限だけで減量した場合には、筋肉量や骨の量はそのままなので、脂肪だけが多い状態でリバウンドするために、最悪の状態になります。
そのため、減量をする際には、筋肉量や骨の量を減らさないためにも食事制限と運動の両方を上手にミックスさせましょう。
消費カロリー>摂取カロリーを目指す
肥満による生活習慣病を予防する場合には、カロリー面にも気をつける必要があります。基本的には、「消費カロリー>摂取カロリー」になるように食事制限や運動を行っていきましょう。
一般的な成人の摂取カロリーは、おおよそ1800〜2200kcalだといわれています。まずはこの数値を超えないようにカロリーを制限することにしましょう。
ただし、上記でも紹介したように、摂取カロリーを下げるために、無理矢理、朝食や夕食などを抜いたりするのは禁物です。次の食事で体が脂肪を蓄えようとしてしまい、リバウンドを起こしやすくなってしまいます。くれぐれもバランスよく食べながら摂取カロリーを減らしていきましょう。
質の良い睡眠
一般的に睡眠不足だとダイエットにつながりそうなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。肥満による生活習慣病の予防においても、質の良い睡眠が大事になってきます。
なぜならば、睡眠時間が短いと、「レプチン」と「グレリン」というホルモンのバランスが崩れてしまい肥満につながると考えられているからです。
レプチンは、脂肪細胞が分泌する食欲を抑えてくれるホルモンですが、睡眠時間が減ると減少してしまいます。
一方でグレリンは、胃で作られるホルモンで、食欲を増進してしまうホルモンで、睡眠時間が減ると増加してしまいます。
つまり、質の悪い睡眠だと、食欲が通常の睡眠時よりも増えてしまうということになります。ダイエットのためには、しっかり睡眠をとる事はとても大事なことなのです。
日本人はインスリンが出にくいため太らず病気になりやすい
日本人などのアジア人種は、一般的に欧米人に比べるとインスリンが出にくい体質だと言われています。
そのため、糖尿病などになりやすく、特に親族などに糖尿病患者がいる場合には将来発症しやすい傾向にあります。糖尿病の家系の場合には、日頃から食生活や運動に気をつけるようにしましょう。
欧米人はインスリンが出やすい体質なので糖尿病にはなりにくいのですが、インスリンの分泌によって糖質をとりこみやすいので太りやすいと考えられています。欧米人はさらに太りやすい食生活をしている人が多く、日本人よりも高度な肥満の割合が高くなっています。
生活習慣病を予防する3つのポイント
生活習慣病を予防するには、定期的に自分の生活を振り返る必要があります。それとともに肥満やいろいろな病気についての知識を取り入れていくことも大事です。
ポイント①日頃から予防する
生活習慣病を予防するには、毎日の生活習慣を改善する必要があります。食生活や運動などを改善していくようにしましょう。
肥満と判定されてからでは、すでに生活習慣病になっている可能性もあり、回復させるのも大変になります。健康診断などで肥満が疑われた場合には積極的に食生活などの生活習慣を早めに見直していきましょう。
無理なダイエットは、かえって体を壊す原因にもなるので、日々の積み重ねが大切です。
ポイント②定期的に振り返る
健康診断で特に肥満と判定されなかった場合や、以前より改善していたからといって油断してはいけません。
理想的なのは、毎日体重計にのって特に体重やBMIに変化がないかをチェックし、定期的に健康診断を受けることです。
肥満などに特化したメタボリック健診などもあるので定期的に自分の肥満度を振り返るようにしましょう。
ポイント③病気について知る
ここでもいろいろと紹介してきましたが、生活習慣病がどれだけ危険な病気なのか、肥満だとどのような危険が潜んでいるかを理解しておくことは大事なことです。
知っていれば、食生活や運動などを改善していくことにもつながりますし、対策を練る上でも役立ちます。
今からでもいいので、生活習慣病などの病気について知り、どんなことをしたらいけないのか、どんなことをすれば改善するのかなどの知識を手に入れましょう。定期検診の時には、ぜひ医師などに気になることは相談するようにしましょう。
肥満と生活習慣病は密接な関係
いかがでしたでしょうか?肥満と生活習慣病は密接につながっています。その原因の多くは日頃の生活習慣に関係しています。ここで紹介した予防や対策を参考にして、肥満にならないように気をつけましょう。
肥満になってしまった場合にも、生活習慣病になってしまう前に、食生活の改善や運動などをとりいれていくことが大切です。