『実は私におってる!?』誰かに相談しにくい口臭の原因と対策

「もしかして私、口臭がしている?」と心配な方、いらっしゃいませんか?口臭は自分でも気づかないうちにひどくなっている場合があります。口臭は見えないだけにやっかいで、知らないうちに相手に不快感を与えてしまい、周りとのコミュニケーションにも悪影響を与えかねません。そこで今回は、口臭の原因や対策について詳しく解説したいと思います。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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口臭の原因と対策!口臭がもたらす被害は?

口臭を指摘する男性

口臭の原因や対策について解説する前に、口臭によってどのような被害がもたらされるのかを知っておきましょう。それによって、口臭予防へのモチベーションが高まることと思います。

人間関係にも亀裂が

口臭はひどい場合、下手をすると人間関係に亀裂が入ってしまうようなこともあります。あたりまえと言えばあたりまえですが、口臭は嗅いでいて愉快なものではありません。場合によっては気分が悪くなるようなこともあるでしょう。

口臭がひどい人と長時間離さなければならないとなると、気が重くなることもあるのではないでしょうか。そのような場合、ついつい口臭がある人を避けてしまうことにもなりかねません。もし自分に口臭があるのであれば、避けられるのは自分ということになります。

また、気になる異性とお付き合いをするようになったときに、顔と顔を近づけたら口臭がひどかった、というのでは、百年の恋も冷めるというものですよね。このように、口臭が原因となって人間関係に亀裂が生じるようなこともあるのです。

自分に自信がなくなる

口臭があると、自分に自信を持てなくなるというデメリットもあります。「もしかして私の息って臭いの?」と思っていれば、息をなるべく吐き出さないよう、会話量が減ったり、声が小さくなったりと、自分に自信が持てなくなることでしょう。

口臭の原因は8割以上が口の中に

口臭の原因にはいろいろあるのですが、全体の8割以上は口の中に原因があるとされています。そのため、歯科医院の中には口臭外来を設けて、口内環境の改善をおこなっている所もあります。

汚れが溜まっておこる口臭の原因と対策

フロスを使い歯間を掃除する女性

口臭のもたらすデメリットについて知ったところで、次に、そもそもなぜ口臭が起こってしまうのかについて見ていきたいと思います。まずは汚れが溜まって起こるタイプの口臭から見ていきましょう。

歯の汚れ

口臭が起こってしまう原因の1つとして、歯の汚れがあげられます。主に食事をした後の食べカスなどが歯に付着することによって、口臭が起こってしまいます。

原因と対策

歯の汚れは通常、歯磨きをすることによって取れるものなのですが、磨ききれなかった場所に歯垢(プラーク)となって付着してしまうと、それが口内の細菌によって分解され、「揮発性硫黄化合物」と呼ばれる臭いの元を発するようになります。

このような場合、歯磨きだけでなく歯冠ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)を用いて、歯と歯の間の歯垢もしっかりと落とすように心がけましょう。また、デンタルフロスや歯磨きを終えた後に、マウスウォッシュで口をゆすぐのも効果的です。

舌の汚れ

口臭の原因として、舌があげられることもあります。舌の表面には細かい襞(ひだ)があるのですが、そこに食べカスが溜まってしまうと、「舌苔(ぜったい)」と呼ばれるものが付着します。

原因と対策

舌苔は誰にでもあるものなのですが、溜まりすぎてしまうとやはり細菌に分解されたときに揮発性硫黄化合物を産生し、口臭の元となってしまいます。

そのため、舌苔を定期的に取り除くことが重要です。とはいっても、歯ブラシでゴシゴシと擦るようなことは厳禁です。なぜなら、舌はとても繊細な器官だからです。歯ブラシでゴシゴシと擦ってしまうと、舌に傷がついてしまいます。

舌苔を取る際には、専用の舌クリーナーを用いるようにしましょう。ただ、その際も舌の横側や裏側は触れないように気をつけてくださいね。

歯周病による口臭

歯周病により汚れた歯

口臭の中には、歯周病が原因となってもたらされるものもあります。歯周病によってもたらされる口臭は、誰にでも見られる生理的口臭よりもひどいという特徴があります。

原因

口臭の原因として、細菌によって産生される揮発性硫黄化合物に存在があげられていましたが、歯周病に罹患すると、メチルメルカプタンと呼ばれる揮発性硫黄化合物が生じます。

メチルメルカプタンは悪臭防止法によって規制物質に指定されているほどで、その臭いは「腐った玉ねぎ」と表現されることもあり、かなり強烈な臭いとなっています。

また、歯周病菌の代表的な細菌ポルフィロモナスジンジバリス菌は歯周病によって炎症した歯茎から出血すると、それをエサに爆発的に増殖し歯茎や骨を溶かしていきます。その時発せられたガスもとても臭いにおいを放つ原因です。

歯周病が進行すると白血球が最近に対して攻撃し、その死骸が膿となり歯茎の中に溜まりその膿も強烈なにおいを発します。

対策

歯周病にならないためには、日頃からしっかりと歯を磨くことが重要です。特に、歯周病菌は嫌気性と言って空気を嫌う性質があるので、歯と歯茎との間にある歯周ポケットに入りこみがちです。

そのため、歯を磨くだけではなく、歯と歯の間もしっかりとブラッシングすることが重要です。それでも取りきれなくて歯茎に炎症を起こしたり、歯磨きの際に出血したりするような場合は、すみやかに歯科医院を受診しましょう。

歯周病のやっかいなところは、虫歯と違って初期には痛みなどがないということです。そのため、定期的に歯科医院を受診して、口内環境をチェックしてもらうことが重要となります。

また、歯周病が進行してしまっているような場合は、歯周病の治療と並行して、舌苔を取ることも意識しましょう。なぜなら、歯周病の進行にともなって舌苔も増えるからです。

唾液の減少によりおこる口臭

よだれをためている赤ちゃん

唾液の分泌量が減少することによって生じるタイプの口臭があり、そのような口臭のことを「生理的口臭」などと呼んでいます生理的口臭の中には、「起床時口臭」「緊張時口臭」「飢餓口臭」などがあります。

原因

「朝起きたら口の中がネバネバしていたり乾いたりしていて、嫌な臭いがした」などという経験は、だれでも一度や二度はあるのではないでしょうか。

生理的口臭とはその名の通り、誰にでも起こりうる口臭のことを意味しています。そして、起床時や緊張時、お腹がすいた時など、唾液の分泌量が減少した時に現れることも分かっています。

実は、唾液には口内をキレイにし、細菌の活動を妨げる働きがあります。ところが、唾液の分泌量が減少して細菌の働きが活発になると、臭いの元となる揮発性硫黄化合物が産生されやすくなるのです。

ただ、唾液の分泌量が低下することによって生じる揮発性硫黄化合物は「硫化水素」と呼ばれるもので、歯周病の際に生じるメチルメルカプタンと比べると、その臭気は軽いものです。

よほど顔を近づけて話したりしない限り、生理的口臭が他者に不快感を与えるようなことはありませんし、特に治療の必要もありません。

対策

生理的口臭は唾液の分泌量が正常化することで、自然と解消するものです。起床時口臭の場合は、時間が経過するとともに通常は和らいでいきますし、飢餓口臭は食事をすることによって解消されます。

緊張によって喉がカラカラに乾いているような場合は、水分補給をおこなうことで緊張時口臭の解消をすることが可能です。ただし、水分補給と言っても臭いの元となるコーヒーやアルコールは控えましょう。

口に入れたものが原因の口臭

たくさんのニンニク

これまで見てきた口臭は、口腔内に原因があるタイプの口臭です。次に、口腔外に原因があるタイプの口臭について見ていきたいと思います。まずは、外因的口臭といって、飲食などによって起こる口臭です。

にんにく

にんにくのたっぷり入った餃子やラーメンを食べたあとに息が臭うなどといった経験は、だれでもしたことがあるのではないでしょうか。

にんにくの他にも、ニラやキムチ、ネギやアルコールなどが原因で、口臭が生じることもあります。このような口臭のことを、外因的口臭と言います。

飲食物による口臭は一時的なものであり、時間の経過とともに自然と和らいでいきます。そのため、治療をするような類の物ではありません。

にんにくで起こる口臭の改善方法や原因などを詳しく知りたい方はこちらの記事も一緒に読んでいただくとより詳しくわかります。

タバコ

タバコも外因的口臭が生じてしまう原因の1つです。タバコを吸っているときはもちろんですが、タバコに含まれる臭い物質が血液中に溶けだし、それが肺に至って呼気から吐き出されることで、口臭がしてしまいます。

カフェイン

カフェインを含むすべての飲み物は利尿作用のせいで水分が不足すると唾液の減少により口臭になる場合があります。そして、カフェインを含む飲み物の代表とも言えるコーヒーを飲むと、口臭のひどくなることが分かっています。

空腹時にコーヒーを飲むと唾液の分泌量が減少し、それによって口臭が出やすくなります。朝、時間がないからとご飯を食べずにコーヒーだけ飲むのは、口臭を発する原因となってしまいます。

また、コーヒーは舌の表面にある襞の部分に残りやすく、それが舌苔の量を増やしてしまい、結果として口臭がひどくなることもあります。コーヒーを飲んだ後は、水で洗い流すとよいでしょう。

内臓系の病気でおこる口臭

耐えきれない腹痛に思わず顔をしかめる女性

口臭の中には病的口臭と呼ばれるものもあります。歯周病などは口腔内に原因があるタイプの病的口臭ですが、口腔外に原因があるタイプの口臭として、内臓疾患があげられます。

原因

呼吸器系や循環器系にトラブルが生じた場合、特有の口臭の現れることが分かっています。例えば、腎臓にトラブルがあったような場合、アンモニア臭がするということです。

対策

内臓系の病気があるような場合はその他にも症状があることが多いです、直ちに内科を受診するようにしましょう。口臭が気になるからと歯を磨いている場合ではありませんし、根本となる病気を改善しない限り、口臭がなくなることもありません。

普段から行える口臭予防

舌を磨いている女性

ここまで、口臭の原因について見てきました。実にさまざまな原因によって口臭の起こることが分かって頂けたことと思いますが、では、口臭が起こらないようにするためには、普段からどのようなことに気をつければよいのでしょう。

定期的な歯科受診

日本人は、欧米諸国の人に比べると、歯の定期健診を受ける割合が極端に低いことで知られています。予防歯科の先進国であるスウェーデンではおよそ90%の人が歯の定期健診をおこなっていますが、日本ではたったの2%しか歯の定期健診をおこなっていないというデータがあります。

その結果、スウェーデンでは80歳時点での平均残存歯数が25本であるのに対し、日本人の80歳時点での平均残存歯数はたったの8.8本(6.8本とするデータも)ということです。

加齢にともなって歯が抜けてしまう最大の原因が、口臭の原因でもある歯周病だと言われています。そのため、定期的に歯科を受診して、口内環境を確認してもらうことが重要となります。

正しい歯磨き舌磨き

口臭を予防するためには、普段から正しい歯磨きや舌磨きをおこなう必要があります。歯はただめったやたらにゴシゴシと磨けば良いというものではありません。

歯ブラシを小刻みに左右に動かすことによって、磨き残しを少なくすることができます。また、歯茎も一緒にブラッシングすることで、歯周ポケットに入りこんだ細菌を除去することも可能となります。舌苔も口臭の原因となるので、舌クリーナーを用いて適度に舌苔を取り除くとよいでしょう。

唾液腺マッサージ

唾液の分泌量が低下すると生理的口臭の原因となりますし、その状態が継続してしまうと歯周病や虫歯にもつながりかねません。唾液の分泌量を増す方法としては、唾液腺マッサージという手があります。

唾液腺はその名の通り、唾液を分布する場所ですが、耳の下(耳下腺)と顎の下(顎下腺)、そして舌の下(舌下腺)の3ヶ所があります。

その内、耳下腺がもっとも大きいので、耳下腺のマッサージをすると効果的でしょう。親指を除く4本の指で、耳の下あたりとクルクルとマッサージしましょう。

外出時口臭が気になった時の対処法

水を飲んでいる女性

外出時に口臭が気になった場合、なにかすぐに対処できる方法はないのでしょうか。それに関しては、こちらの記事に詳しく紹介してありますので、参考にしてみてくださいね。

口臭の原因によって対策をとりましょう

口臭の原因と対策について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。単に口臭と言っても、いろいろな原因と種類のあることが分かったのではないでしょうか。

生理的口臭など自分で対処できるものは日頃のケアで、病的口臭など自分では対処できない口臭は病院で、それぞれ改善を図るとよいでしょう。