にんにくはおいしくて滋養強壮にもいいのでなにかと食べたくなるものですが、食べたあとの口臭が気になってなかなか気軽には食べられませんよね。人と会う用事があるのににんにくを食べてしまってあせったり、思いの外においが残って気まずい気持ちになることも。
そんな時にすぐできる口臭対策5選をお教えします。食前に出来る改善策もご紹介するので余裕がある方は食前にも気を使ってみてください。
にんにくの口臭成分の正体
そもそも、なぜにんにくはあのような強烈なにおいがするのでしょうか。日本では過去、仏教が盛んな時代にはその強烈なにおいゆえに忌み嫌われていたそうです。また、平安時代には「わたしのにんにくのにおいが消えてから会いに来てください」という趣旨の和歌の存在が確認されています。
おいしいし栄養もあるけど匂いがきつい・・・昔から日本人をこのジレンマに悩ませてきたこのにんにくの強烈なにおいの正体とは一体何なのでしょうか。
にんにくをすりつぶしたり刻んだりすると、にんにくの中の「アリイン」という成分が「アリシン」に変化します。アリシン自体はにおわないのですが、アリシンは化学反応によってすぐにジアリルジスルファイドというにおい成分に変化します。これは食べた直後のにおいの原因となる成分です。
さらに体内で処理されるとアリルメチルスルフィドという物質が発生します。これは息や汗に混じって体外に排出されるので、にんにくを食べてしばらくしてから体にまとわりつくようににおう原因となります。
つまり、にんにくのにおいには食べた直後ににおうものと、食べてしばらく経ってからにおうものの2種類があるのです。異様にくさいなとおもっていたら、ダブルの臭気で攻撃されていたというわけです。
口の中のにおいを一時的にをなんとかすればにおいは消えると考えがちですが、口の中だけの対策では完全にあのにおいを防ぐことは出来ないのです。
アリシンの化学変化によって生み出されるにおいはきついですが、アリシン自体は疲労回復、風邪や感染症の予防、コレステロールの抑制、血糖値の調整、抗酸化作用や抗がん作用など、健康に役立つ有効成分でもあります。
また、あのにおいも体内からにおうとくさいのですが、食べる前はとても食欲をそそられる香ばしい香りですよね。(ちなみに香ばしい香りは他の成分からも香っています。)
ちなみに、にんにくはむやみやたらにあのにおいを発しているわけではなく、土の中に生息する昆虫や菌などから自分の身を守る目的があって臭気を発しているのです。人間に食べられる前ににんにくが最後のあがきをしていると考えるとすこしおもしろいですね。たまねぎやねぎ、わさびも同じような性質を持っています。これらの野菜の強さを頂いてわたしたちの健康にも応用しているのですね。
においの効果は16時間もつづく!?
にんにくのあの強烈なにおいは食べてからなんと16時間ものあいだ持続します。
16時間というと、日曜日の午後6時に夕食としてにんにく料理を食べてしまったら、翌日月曜日の午前10時頃まではきついにおいを周囲に振りまいてしまうことになります…!次の日が仕事だとゾッとしますね。
たまに職場でにんにくくさい人に出会うこともあると思いますが、においが気になって話に集中できないなんてことも…。どうしてもにおいを出せない用事があるときは遅くとも前日の午後1時までには食べ終わっていることが理想です。
細かく刻まれるほどにおいが強くなる
先ほども述べたように、にんにくは潰されたり刻まれたりしたときに、あの独特のにおいを発します。そして、細かく刻まれれば刻まれるほど有効成分のアリシンが生産されるのでにおいもきつくなるのです。
一見、にんにくをまるごと食べたほうがにおいがきつくなりそうな印象を受けますが、実はすりおろしたにんにくを食べた後が一番強くにおうのです。
食前に出来るにんにく口臭対策
「今日はどうしてもにんにくが食べたい気分!」というときや、にんにく料理店に誘われたときは事前に準備をしておくと安心です。この記事を読んだらいつもの口臭タブレットだけを使ったときよりも匂いを抑えることが出来るはずです。
牛乳を飲む
すりつぶしたにんにくに牛乳を加えたところ、20〜80%ほどにおいが消えたという研究があります。一般的にも牛乳を飲むとにんにくのにおいが軽減することが知られていますよね。
最初の方にお伝えした、にんにくを食べた後にからだの中からにおい成分を牛乳の水分と脂肪分が中和してくれます。
専門家によると、牛乳はにんにくを食べた後よりも食べる前に飲むことで一番効果を発揮できるそうです。どこのレストランでも牛乳を置いているとは限らないですし、家を出る前に、もしくはレストランに行く直前にコンビニで牛乳買って飲んでからにんにくを食べれば一安心!
また、自宅で調理する場合はあらかじめにんにくを牛乳に漬け込んでから使っても効果があるそうです。牛乳を利用したにんにくのにおい対策の料理として、にんにくを丸ごと入れたホワイトシチューなどもあります。
チーズなどのたんぱく質を摂る
にんにくに乳脂肪やカゼイン(牛乳やチーズに含まれるタンパク質)を添加した場合もにおいが軽減されたという研究結果があるので、牛乳が用意できない場合はチーズやアイスクリーム、ヨーグルト、カフェラテでも効果を期待できます。
チーズやカフェラテであれば多くのレストランにおいてありそうですね。これらを食前に頂いてからにんにく料理を楽しみましょう。
まるごと加熱したにんにく料理を選ぶ
家でにんにく料理を作る場合や、様々なタイプのにんにく料理を出しているレストランに行くときに限りますが、にんにくを傷つけることなく加熱した料理をえらぶと食後のにおいがほとんど気になりません。
まるごと煮る、ゆでる、焼いているものであれば安心です。なぜ加熱することでにおいが抑えられるかというと、においのもとのアリシンを作り出す酵素が熱に弱いという性質を持っているためです。バーベキューなどでにんにくの丸焼きを食べたときに意外に臭わなかった経験がある方もいると思います。
自分で調理する場合はにんにくを加熱したあとに、すりつぶしたり刻むことで、さまざまなにんにく料理のにおいをおさえることができます。
ただ残念なことに加熱するとアリシンが作られない=においが抑えられるということは、アリシンの有効成分の恩恵には預かれないということなのです。あくまでもにんにくの味を楽しみたいときはおすすめの方法です。
食べている最中に出来るにんにく口臭対策
「唐突に入ったお店のにんにくラーメンが美味しそうだけど頼もうか迷う…」こんなこともよくありますよね。このように突然にんにく料理を食べたくなってしまった、もしくは食べることになってしまった場合でも何かできることはあるのでしょうか。
お茶を一緒に飲む
緑茶、紅茶、ウーロン茶には消臭・抗菌作用のあるカテキンが含まれています。ニンニク臭を用いた実験によってカテキンによってにおいが減少することが確認されています。食後に飲んでも効果があるのですが、食中から飲んでいればより安心です。
お茶は持ち歩いていたり、お店のサービスでいただけたりと、いろいろなところにあるので対策がしやすいですね。ウーロン茶は食後により作用するので食後にもおすすめです。
肉や魚料理と一緒に食べる
肉や魚が持つタンパク質がアリシンと結びつきにおいを軽減してくれます。例えば、すりおろしにんにく入りのラーメンを選ぶよりは、にんにくと肉・魚を炒めた料理を選んだほうが食後におわない可能性が高いということですね。とくにビタミンB1が豊富な豚肉といっしょに食べると疲労回復を助けてくれますよ。
酢のものと一緒に食べる
にんにくのにおいの成分は、酢によって分解されることが知られています。にんにくを食べると同時にいっしょに酢のものや果実酢をとれば、その場でにおいのもとが分解できます。
もしサイドメニューに酢の物を発見したら頼むことをおすすめします。酢豚を頼んでパイナップルが入っていた場合は、パイナップルに含まれているパパインという名の酵素も消臭に一役買ってくれますよ!
ごぼう料理と一緒に食べる
実はごぼうに含まれるポリフェノールと繊維質には高い消臭効果があります。その効果はごぼうの消臭スプレーが作れるほどです!
ごぼうと一緒ににんにくを体内に入れることで一定の効果が見られます。家にきんぴらごぼうなどがあるときは家を出る直前にすこしお腹に入れていってもいいかもしれませんね。
食後でもできるにんにく口臭対策
「この後人に会う予定が入ってるのを忘れていた…」とにんにく料理を食べた後に気づいても時すでに遅し…ということはありません!食べたものや個人の体質により異なるのですが、食べ物を消化するのには、大体1〜4時間程度かかると言われています。
にんにくのにおいのもとが消化・分解されて血液にのって全身に運ばれてからでは遅いので、気づいたらすぐに対策をしましょう。
リンゴを食べる
りんごにはポリフェノールが多く含まれていることは広く知られています。このポリフェノールには消臭機能があり、にんにくのにおいを軽減してくれます。
加えてりんごにはこのポリフェノールの効果を高める働きのある酵素を含んでいるのでにおい消しとして優秀なのです。
また、ポリフェノールはりんごの皮により多く含まれているので、可能であれば皮ごとたべると効果が高くなります。外出先であれば、果汁100%のリンゴジュースで対策することも出来ますね。
コーヒーを飲む
りんごと同様、コーヒーにもポリフェノールが含まれています。コーヒーであれば大抵の店においてありますし、気軽にどこでも購入することが出来るのでおすすめの方法です。食後であればカフェラテよりもブラックコーヒーのほうがおすすめです。
青汁を飲む
青汁を飲む習慣がある人は是非にんにく料理を食べたあとに飲んでみてください。青汁の原料であるケールも緑茶と同じくにんにくのにおいのもとを抑制するポリフェノールを含んでいます。
他のポリフェノールを含む食品を摂る
にんにくのにおいを軽減してくれるポリフェノールを含む食材は他にもあります。外出先であればいつも都合よくりんごを食べられるわけではないですし、コーヒーが苦手な方もいるのでこの項目でまとめてご紹介します。チョコレートはコンビニでも買えますし、チャレンジしやすそうですね。夕飯でにんにく料理を食べたときには他のお酒よりもワインをチョイスするほうが良いのですね。
・ココア
・チョコレート
・みかん
・ワイン
すぐに歯磨き&舌磨きをする
歯に残ったにんにくの食べかすも強烈なにおいを放ち続けます。可能であればすぐに歯磨きをしましょう。また、そのときに歯だけではなく舌の上も軽く磨いて舌苔をとっておくとより高い消臭効果を感じられるはずです。
ガムを食べる&舌の上で転がす
ガムを食べることで唾液の分泌が促され、口臭を抑えるということがにんにくの臭いを使った研究で証明されています。消臭作用のあるガムを噛む事でより口臭を抑えられます。
唾液をおおく分泌させるという観点であれば、飴をなめることやや舌の運動をすることでも一定の消臭効果はあるといえるでしょう。
ある専門家によると、噛み終えたガムを舌の上でコロコロと転がすことで唾液の分泌をより促進できるそうです。
新陳代謝を良くする
単純に、食べた分のにんにくの成分を外に出し切ってしまう方法です。次の予定までに時間があるのであれば、運動をしたり、お風呂に入ったり、サウナを利用したりすることで発汗を促し、代謝によってにんにくのにおいを消し去ることが出来ます。
汗をかいた後はシャワーを浴びて皮膚の上に残ったにおいも念入りに洗い流しましょう。
また、水や利尿作用のあるお茶を多めに飲んで排尿することでも、にんにくのニオイ成分を体の外にに排出できます。
にんにくと上手く付き合っていきましょう!
科学的な観点からにんにくのにおいを消すための方法をご紹介しました。意外と気軽にできる方法が多いので、あきらめずににんにくのにおいと戦ってみてください。
にんにくのにおいは強烈ですが味も美味しいですし、疲労回復、アンチエイジング、便秘解消、冷え性改善などたくさんの女性にうれしい効果があるので、これからも上手にお付き合いしていきたい食べ物ですね。
また、自宅で調理するのであれば、においがしないハーブにんにく(ハーブガーリック)や、スプラウトにんにく(発芽にんにく)などの特殊な加工がされた、においがないにんにくで作ってみるのも一つの手です!