いまや口臭対策は一般的なエチケットとして多くの人が気にしており、色んな飲み物や食べ物が口臭に効くと紹介されています。その中で烏龍茶が口臭に効くという噂も聞きます。
日本に住んでいると緑茶の効能についてはいろいろと情報が入ってきますが、烏龍茶については深く考えたことがない人も多いのでは?実際に烏龍茶に含まれている成分に口臭を抑える働きがあるのかを見ていきましょう。
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烏龍茶の口臭抑制効果
まず、烏龍茶の基本情報を確認しておきしましょう。烏龍茶はお茶の芽を発酵させ、途中で炒ることで発酵を途中で止めるという手間を掛けられて作ります。発酵を途中で止めるのことで香りの良いお茶が出来るのです。
現在の烏龍茶の生産量は中国福建省が最も多いと推測されます。日本で有名な鉄観音茶も烏龍茶の一種なんですよ。
タンニンの殺菌作用
ポリフェノールという言葉はアンチエイジングに効くということで有名ですよね。ポリフェノールは植物が活性酸素(細胞を傷つける酸素由来の物質)から自分を守るために持っている植物由来の成分なので、土で育った材料からなるお茶や野菜などに多く含まれているのです。
土から育った茶葉で作られた烏龍茶にもポリフェノールが含まれています。しかし一口に「ポリフェノール」とは言っても実はそのポリフェノールは5000種類以上もあるということをご存知でしょうか。烏龍茶に含まれているポリフェノールは「タンニン」と呼ばれる種類のものです。
タンニンは口臭に効くのですが、その理由はタンニンの殺菌作用によって口臭の原因となる口腔内の雑菌の繁殖を抑えることができるためです。これは毎食後に烏龍茶を飲んだ人と飲んでいない人の口腔内を検査するという2012年の実験で明らかになったことです。
タンニンはお茶が自らを害虫や細菌から守るための成分なので、それが私たちの口腔内にも応用できるのですね。では、そもそもなぜ口腔内の雑菌が増えると口臭が発生するのでしょうか。
口腔内の雑菌が増えると口臭が発生
食事の後しばらくすると、口腔内に棲みついている雑菌が食べかすを分解することで舌の上などで増殖しやすくなります。この雑菌には多くの種類があり、中には食べかすを分解したときにくさいにおいのするガスを発する雑菌もいます。
食事の後に歯みがきをしないままでしばらく経つと自分でも口臭を感じることがありますよね。その正体は雑菌が発するにおいだったのです。
ポリフェノールは虫歯の予防もしてくれる
虫歯も進行すると口臭の一因になってしまいますが、烏龍茶に含まれるポリフェノールであるタンニンは虫歯予防にも一役買ってくれます。
虫歯のもととなる菌の繁殖を抑制してくれる上に、烏龍茶はフッ素も含んでいるので歯のエナメル質を保護してくれます。
食事の後に烏龍茶を飲むことは、食後の口臭と虫歯の予防をしてくれるので、短期的にも手も長期的にみても口臭予防に意味があることなのです。
烏龍茶で口臭予防をする際の注意点
口臭の原因となる菌の繁殖を抑えたり、虫歯を予防してくれるとなると、いつでも烏龍茶を飲みたくなってしまいますよね。でも、烏龍茶は口臭対策として使用するには気をつけるべき点があります。
カフェインの効果で唾液が減少
烏龍茶はいつでも口臭を予防してくれるわけではありません。実は烏龍茶に含まれているカフェインには利尿作用があり体内の水分を排出します。このことが口内の唾液の量を抑制してしまうために、飲むタイミングによっては口臭を余計に強くしまうのです。飲みすぎないかぎりは大丈夫なので安心して下さい。
なぜ唾液が少ないときに口臭が強くなるかというと、口腔内の雑菌が増えるからです。唾液には強力な殺菌作用があり、常に口腔内の環境を整える働きがあります。ところが唾液が少なくなると口腔内でおとなしくしていた雑菌が増殖し、口臭の元となるようなくさいガスを発生させるのです。
ポイントは「飲むタイミング」
先ほど、1のパートで「食事の後に烏龍茶を飲むことは口臭に効果的」だとご説明しました。それは食事の後は食べ物を噛むことで普段よりも多く唾液が分泌されている状態だからです。
その状態であれば烏龍茶のカフェインに唾液を減らす作用があったとしても問題はありません。しかし、暑いときや運動の後でのどが渇いている状態で烏龍茶を飲むと、ただでさえ体内の水分量が少ないときにさらに唾液が奪われてしまうので、口が乾いて口臭の原因となります。
普段から口が閉じづらかったり、他の疾患のせいでドライマウスになりやすい方も同様です。
ただ、利尿作用があるからと言っても、口が乾いているときは烏龍茶のポリフェノール「タンニン」による殺菌作用がなくなるわけではありませんので、一杯飲んだり、飲んだ後に飲料水で水分補給をするなどの工夫をすればきちんと効果が得られるでしょう。
口臭予防以外にも嬉しい効果が沢山
緑茶の効能にはすばらしいものが多いと賞賛されていますが、作られる過程が違うだけで烏龍茶も緑茶と同じ茶葉からできているお茶です。もちろん多くの体によい効果があります。
アンチエイジング
これは冒頭でも触れたポリフェノールによる効果です。烏龍茶にはタンニンのほかにも別のポリフェノールが含まれており、アンチエイジングに関係するポリフェノールは「カテキン」です。
人が呼吸をして酸素を取り入れた時、そのうちの約2%が「活性酸素」に変化します。この活性酸素は体内のウイルスや細菌を退治するために作られる人の防衛反応の1つです。
しかし、ストレスや紫外線、残留農薬や添加物などが原因でこの活性酸素が体内に増えすぎてしまうと自ら健康な細胞と結びついて酸化させしてしまうのです。
食べ物や飲み物も長い間空気に触れるようにしておくと味が劣ったり、変色したりしますよね。それは食べ物や飲み物の中の成分が酸素と結びついたことによって起こるのです。だから食品を密閉するタッパーや袋が鮮度を保つ道具として売られているわけです。
それと同じことが体内でも起こっているということです。人の細胞が酸化するとシミやシワができたり、肌のハリがなくなったりします。
烏龍茶に含まれるポリフェノールであるタンニンは、この活性酸素を除去する働きがあるのです。
生活習慣病予防
その他にもカテキンには素晴らしい作用がたくさんあります。偏った食事や不規則な生活で現代人がケアしきれないところを補ってくれるのです。
カテキンは生活習慣病に対する効果があることで知られています。生活習慣病には多くの種類がありますが、高血圧、糖尿病、肥満症、大腸がん、歯周病などが挙げられます。これらが進行すると、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる重大な病気に発展することもあります。
カテキンは血管の内皮機能を改善させ、血の流れを良くするということが実験からわかっています。この効能に関しては、特定保健用食品で有名なお茶がありますよね。血流が良くなると、高血圧や糖尿病、動脈硬化などにかかるリスクが低くなります。
実際に、お茶の生産量が多いことで知られている静岡県は、他県と比べると肥満の人が少なく、健康寿命も最長だというデータがあります。また、烏龍茶は中国が原産ですが、中国の脂っこい食事の後に飲まれてきたことにもうなずけます。日本でも、特定保健用食品の烏龍茶なども販売されて話題になりましたよね。
また、なかなか運動ができない人やどうしても脂っこい食事ばかりになってしまう人のためにLDLコレステロール値の上昇を抑制し、これも動脈硬化や肥満症の防止に役立ちます。
肥満に関しては、脂肪の吸収を妨げるという有名な役割もありますよね。烏龍茶に含まれるウーロン茶重合ポリフェノールという成分が、脂肪分解酵素のリパーゼの分解作用を抑制するために脂肪が体内に吸収されないのです。
ただ、脂肪をできるだけ吸収したくないからと言って飲みすぎないように気をつけてくださいね。飲みすぎると下痢の症状が出てしまいます。下痢になると栄養分が上手に吸収されないためにそれを補おうと逆に体が脂肪を溜め込もうとする可能性もあるのです。
他にも、日頃の運動量が少なすぎる人やデスクワークで同じ体勢を続けがちな人に多い便秘や、ストレスで胃腸を荒らしがちな人のためには、カテキンが腸内の善玉菌を増やしてくれます。これは大腸がんにかかるリスクを減らしてくれます。
これは生活習慣病とはいえませんが、アレルギー反応でひどい鼻水やくしゃみに悩まされている人には、アレルギー症状を緩和することがある研究からわかっています。
多くのメリットが有ることがわかり、これを読んでいて、今すぐお茶を飲みたくなった人もいるのではないでしょうか…?
テアニンのリラックス作用
「テアニン」は烏龍茶に含まれているうまみ成分のことです。遠い昔から人々はお茶をすることでリラックスタイムを楽しんできましたが、最近の科学的な研究から、実際にテアニンは人の心に対する様々な効果を持っていることが分かっています。
ストレスを感じると自律神経の働きにより人の体は緊張状態になります。緊張状態になると胸が過剰にドキドキしたりのどが渇いたり眠れなくなったりと様々な弊害があります。テアニンは興奮状態のときに出現する脳波β波の働きを抑えてくれます。
お茶にはカフェインが含まれているのに、コーヒーを飲んだときのシャキッと感とはまた違ったほっこりとした気持ちになるのはこのせいかもしれませんね。
また、人がリラックス状態にあるときに体内にはα波という脳波が発生しています。テアニンはこのα波を増加してくれるのでより深いリラックス感を得ることができます。ちなみにテアニンが多ければ多いほどこのα波も増えます。
そしてリラックス状態になると体の血行が良くなるので、冷え性が改善される傾向があります。確かに、お茶を飲んだあとはいつもより手足がポカポカするときがありますよね。ここにもちゃんと根拠が合ったのです。
このリラックス効果はPMSの症状にも効くという研究結果もあります。PMSにおける、頭痛、疲れやすさ、怒りっぽくなる、集中できない、乳房が痛い、便秘、無気力、腰痛、物事が面倒になる、などの症状が軽くなったという結果でした。毎月のことだけに薬を買うと結構高ついてしまいますよね。お悩みの方は一度烏龍茶を飲んでみてはいかがでしょうか。
とはいえ、烏龍茶には体を冷やして交感神経を優勢にするカフェインも同時に含まれているので飲みすぎないようにしましょう。
また、少し話がそれてしまいますがお茶に含まれているテアニンとカフェインによって、注意機能やパフォーマンス精度が上がることも実験によって確認されているのです。落ち着いて集中力が上がるとは、勉強やお仕事の際にピッタリの効能ですよね。
その他にもテアニンの作用統合失調症、更年期障害の症状を緩和するなど、烏龍茶に含まれるカテキンには意外な効果がたくさんあるのです。
口臭の予防で重要なのは口の中を乾燥させないこと
ここまでで、烏龍茶の性質やさまざまな効能についてご説明をしてきました。もちろん普段の生活で烏龍茶に頼ることで大きなメリットがありますが、口臭を防ぐための基本的なことは口の中を乾燥させないことです。
水を飲む
水を飲むことで直接的に口腔内を潤すことができますし、水分を摂取することで唾液を増やすことができます。唾液が増えれば水を飲んでいないときでも口腔内がうるおいますし、唾液の殺菌作用によって口の中の細菌の増殖も抑制できます。
牛乳やジュース、コーヒー等のドリンクはにおいが舌に強く付着してしまうので、口臭を防止するという観点では、水の代用品にすることはあまりお薦めはできません。
緑茶や紅茶も同様の作用
緑茶や紅茶も製造過程が違うだけで烏龍茶と全く同じ茶葉から作られていることをご存知でしたか?製造過程が違うために含まれる成分の量は多少ばらつきがありますが、タンニンやテアニンなど、同じ成分を含んでいます。
また緑茶や紅茶はカフェインを含むため、利尿作用があるというところも烏龍茶と同様なので、これらも口が乾いているときに飲むのはおすすめできません。また、カフェインやタンニンや空きっ腹に飲むと胃への負担が大きいので、やはりお茶は昔からそうされてきたように食事やおやつと一緒に飲むのがベストのようです。
烏龍茶は食事と一緒に!
烏龍茶は口臭に効くのか?その答えは「口臭には効くけど、食事と一緒に飲むのがベスト」ということでした。
烏龍茶が口腔内の細菌の抑制をすることは研究で解明されていますし、口臭予防に役立つのは確実ですが、口を乾かす側面も持つ両刃の剣なので口が乾いているときは要注意ということですね。
しかしご紹介したように抗酸化作用やリラックス効果など烏龍茶には女性にうれしい素敵な効能がたくさんあるので、うまくお付き合いしていきたいですよね。