保湿ケアに効果的なワセリン。もしかしたら、お家にいつもあるという方もいらっしゃるかもしれません。このワセリン、肌荒れにも効果が期待できたら手軽に使用できてうれしいですよね。そこで、ワセリンには肌荒れに効果的なのか、肌荒れに効果的なワセリンの使い方また注意点を調査しました!
ワセリンは肌荒れに効果があるのか?
ワセリンは保湿効果だけでなく肌荒れにも効果があるのでしょうか?率直にいうと、あります。しかし、どんな肌荒れにも効果的というわけではありません。また正しい方法で使用する必要があります。
ワセリンの肌荒れに対する効果
ワセリンは全身に使用できる保湿剤です。使用している方は、乾燥して肌がカサカサするときに使うことがあるでしょう。中には、唇や顔の乾燥が気になるとに使う方もいるようです。
しかし、ワセリンには化粧水などのように有効成分が肌に浸透して、肌の内部に働きかえる効果はありません。なので、ワセリンは肌荒れを治すというよりは、保湿効果の高い油分で肌に膜を張り、乾燥や肌荒れから保護する効果が高いということです。
ワセリンの種類
ワセリンは石油を精製して不純物を取り除いた成分でできています。石油はもともと植物由来のものなので、安心して使うことができます。ワセリンは精製純度の違いで種類が異なります。
サンホワイト
サンホワイトは、ワセリンの中で最も純度が高く、安全性の高いワセリンです。アトピー肌などの方も安心して使用できます。
プロペト
プロペトは、サンホワイトの次に純度が高いワセリンです。目の周りなどのデリケートな部分にも使用できます。
白色ワセリン
最も一般的なワセリンです。上の2つに比べると純度は低いですが、普段使いのスキンケアアイテムとしては十分な精度なので安心です。
ヴァセリン
ヴァセリンは、ユニリーバが販売しているワセリンの商品名。同じ成分でできていますが、ワセリンは「第三類医薬品」、ヴァセリンは「化粧品」に分類されます。白色ワセリンよりも純度の低い黄色ワセリンが使用されていることもあるので、敏感肌など肌の弱い方にはおすすめできません。
ワセリンが効果的な肌荒れとは
ワセリンは肌荒れに効果的ではありますが、どんな肌荒れにも効くわけではありません。では、どんな肌荒れに効果的なのでしょうか?
乾燥による肌荒れ
わたしたちの肌は、乾燥から肌を守るための保湿成分を分泌しています。肌の乾燥がすすむのは、この保湿成分を肌に閉じ込めておく力が弱っているからです。しかし、ワセリンは肌に油膜を張るので、こうした保湿成分が逃げていかないように肌を守ることができます。乾燥による肌荒れの場合、保湿成分の入った化粧水などで肌を整えたあとワセリンを塗ると、肌に浸透した保湿成分や水分を閉じ込めてくれるので効果的です。
肌のかゆみ
肌のかゆみを引き起こす原因はさまざまですが、ワセリンで解決できるかゆみは、原因が外的要因の場合です。例えば、衣服などが肌に触れる摩擦が原因でかゆみが引き起こされることがあります。ワセリンは肌に膜を張って潤滑油のような役目を果たしてくれます。なので、摩擦によるかゆみを抑えてくれるのです。
また乾燥もかゆみの原因になります。乾燥が原因の場合は、保湿ケアのあとにワセリンを塗ることで解決されるでしょう。
アトピー性皮膚炎や敏感肌
アトピー性皮膚炎や敏感肌は、肌のバリア機能が弱っているため、乾燥しやすい状態にあります。また外部からの刺激物が侵入しやすく、すぐに肌がダメージを受けてしまいます。
しかしワセリンは肌に保護膜を張るような役目を果たしてくれます。なので、刺激物から肌を守ってくれるのです。また、肌荒れがひどいと化粧水などがしみることがありますが、ワセリンは肌の表面に留まるだけなのでしみることはありません。
肌荒れを改善するワセリンの使い方
ワセリンで肌荒れを改善するためには、正しい方法で使用する必要があります。ワセリンを使用する際は、次の点に気をつけてくださいね。
保湿ケアの後に少量使う
ワセリンには、肌のバリア機能を改善したり保湿成分を浸透させる効果はありません。ワセリンが保湿に効果的なのは、肌に油膜を張って肌に必要な保湿成分や水分が出ていかないようにする、いわばフタのような役目を果たしてくれるからです。つまり、もともと保湿成分や水分のない肌に使用してもあまり意味がないということです。
ですから、乾燥による肌荒れを改善したいのであれば、湿ケアをして肌に保湿成分を十分浸透させてから、ワセリンを薄く塗って保湿するようにしましょう。ワセリンは少量で十分伸びます。付けすぎないように気をつけてくださいね。付け過ぎは肌のターンオーバーの乱れや洗い残しとなり、肌トラブルの原因となってしまいます。
必要な場所だけに使う
ワセリンは乾燥から肌を守る効果がありますが、不必要に塗りすぎると逆に乾燥を招いてしまうことがあります。また、水分が逃げないようにする効果があるため、蒸発すべき水分が肌内部にこもって体温調節を妨げることもあります。
なので、乾燥や肌荒れ、かゆみがある部分など、必要な場所だけに使用するようにしましょう。塗るときは、小豆大のワセリンを手のひらで包み込むようにして温めると伸びが良くなり、塗り過ぎを避けられます。
ひどい肌荒れにワセリンだけ使う
ひどい肌荒れ、つまり肌が炎症を起こしているようなとき、ワセリンだけでケアすると効果的です。なぜなら、炎症を起こした肌に化粧水などを使用すると、肌に浸透するときにしみてしまうことがあるからです。そんな状態で化粧水を使い続けると、肌に刺激を与えることになり、乾燥や炎症がひどくなってしまいます。
しかし、ワセリンは肌へ浸透することがなく、また刺激も少ないので、肌への負担がありません。繰り返しになりますが、ワセリンには肌に水分を補う効果はありませんが、今ある水分が蒸発するのを防いでくれます。
しばらくワセリンだけを使用して、肌本来の保湿機能が高まってから、保湿ケアをはじめるようにすると効果的です。
傷口の湿潤ケアに
最近注目を集めている「湿潤療法」という傷口の治療法をご存じでしょうか?傷口をしっかり洗い、乾かさずに湿潤状態を保つことで、体が本来持っている自己治癒力を最大限に生かして治療する方法です。治りが早く跡が残りにくいといわれています。
ワセリンでこの治療法を行えます。傷口を洗い、軽く水分を取り除いた後にワセリンを塗って傷口を保護するだけです。もちろん化膿しそうな傷の場合は、病院へ行ってくださいね。
唇の保湿ケアに
ワセリンは唇の保湿ケアにも効果的です。唇は紫外線や口紅など外からの影響を受けて乾燥しやすい部分です。刺激の少ないワセリンは、乾燥から唇を守るだけでなく、唇に膜を張ることで刺激となる外的要因からも唇を守ってくれます。また、ワセリンの油分がグロスのような役割を果たしてくれるので、唇をケアしながらオシャレも楽しむことができます。
もし唇の荒れがひどい場合は、ワセリンを少し多めに塗ってラップなどで覆い、唇をパックすると効果的です。1〜2時間置いて洗い流す程度で十分効果を実感できるでしょう。
ワセリンは多少なら口に入っても害は無いと言われていますが、唇に塗る場合は純度の高いサンホワイト、または唇用ワセリンがおすすめです。
ワセリンで肌荒れ悪化することもある
ワセリンで肌荒れを改善することは可能ですが、すべての肌荒れに効果的なわけではないので、悪化することもあります。その原因を調べてみましょう。
ワセリンは肌質や使い方で効果が変わる
普通肌の方にも当てはまることですが、敏感肌やアトピーなど肌が弱い方は、特に使い方に気をつけましょう。ワセリンの正しい使い方は、手で温めて薄く伸ばして肌に塗ります。もし、使用方法を間違えると…
- ワセリンが伸びないため、塗るときに肌をこすって肌に負担がかかる。
- 厚く塗りすぎることになり、ワセリンが落ちにくく肌に残ってしまう。落とすための洗顔が肌の乾燥の原因に、また毛穴に詰まってターンオーバーの乱れを起こす。
など、肌荒れを悪化させる原因となります。
白色ワセリンを使用して肌が荒れる場合、ワセリン自体が肌に合わないということも考えられます。自分の肌質を知り、正しい使い方をすることで肌荒れの悪化を防げます。
ワセリンで肌荒れが悪化するかもしれないケース
次のような場合、ワセリンを使用することで肌荒れが悪化するかもしれません。
炎症が起こっているニキビ
ニキビが炎症を起こしているのは、ニキビを引き起こすアクネ菌が増殖しているからです。そしてアクネ菌は油分を好み、酸素を嫌います。なので、ワセリンを塗って肌を油膜で覆ってしまうと、アクネ菌にとっては好条件な状態が整ってしまいます。通気性が悪くなるため、アクネ菌が増殖して悪化させてしまうのです。
ニキビが炎症を起こしているときは、油分の入ってない化粧品を使用して、炎症を抑えることを最優先しましょう。
脂性肌や混合肌
肌に油膜を張るワセリンを脂性肌に使用すると、毛穴に皮脂が詰まった状態になってしまいます。ニキビなどの肌荒れが生じるのは、皮脂の詰まった毛穴にニキビの原因菌となるアクネ菌が住み込んで、増えてしまうからです。
なので、脂性肌の方は、口の周りや目の周りなど、特に乾燥が気になる部分のみに少量使用するようにしましょう。混合肌の方も同じです。特に乾燥が気になる部分につけることで、肌質を均一に保つことができます。
必要に応じてワセリンを使いましょう
敏感肌の方はもちろんアトピーなど肌が弱い方も安心して使えるワセリン。赤ちゃんの肌にも使えるくらい安全性が高く、肌を乾燥から守るだけでなく、肌荒れにも効果的という万能アイテムです。しかし、肌質に合っていることと正しい使い方が効果を得るカギとなります。
ですからワセリンでスキンケアする前に、まず自分の肌質を把握しワセリンが合うかどうかを確かめてください。そして、正しい方法で使用するようにしましょう。