朝起きると口の中がカラカラに乾燥している。こんな症状が続いているのなら、それはドライマウスかもしれません。ドライマウスは現代病の1つとなっているほど、身近な病気なのです。ドライマウスはほっておくと他の病気を引き起こす原因ともなりうるので、早めの対処が大切です。そこで、ドライマウスになる原因や改善方法について説明したいと思います。
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口が乾燥するのはドライマウス?
口が乾燥する=ドライマウスというわけではありません。なぜなら、暑い日や運動した後に喉がカラカラといった、一時的に口の中が乾燥することがありますよね。これはドライマウスではありません。
では、風邪や花粉症で鼻が詰まって口呼吸をすることが多くなり、口の中が乾いている症状はどうでしょうか?これはドライマウス予備軍になります。
つまり、ドライマウスは口の中の乾燥状態が続くことによって引き起こされるのです。
口の乾燥で考えられる原因
口の乾燥は唾液の分泌量の低下と関係しています。唾液の分泌量が低下する原因として次の点が考えられます。
- 薬の副作用:薬によっては、唾液の分泌を促す副交感神経の働きを抑制する成分が含まれていることがあります。
- 病気によるもの:糖尿病や腎臓病の症状として、また唾液腺の炎症など唾液の分泌量を低下させる病気が関係している場合もあります。
- 加齢によるもの:加齢とともに唾液の分泌に関係している口の周りの筋肉、唾液分泌機能が低下します。
- ストレス:常にストレスにさらされていると、自律神経が乱れて副交感神経が慢性的に働かなくなってしまいます。
- 口呼吸をしている:口呼吸は、唾液の蒸発や脱水症状を引き起こしやすくなり、唾液が分泌されにくくなります。
- 喫煙・飲酒:タバコに含まれる有害物質が唾液の分泌機能を低下させ、飲酒は脱水症状が引き起こます。
口の乾燥が原因で考えられるリスク
口の乾燥をほっておくと、これが原因となり構内トラブルや病気が引き起こされる場合があります。
- 虫歯や歯周病になりやすくなる
唾液には口の中の細菌の繁殖を抑え、歯を虫歯から守るという働きがあります。しかし唾液の分泌が減るとこの機能も低下するため、虫歯菌や歯周病菌などが増殖しやすくなります。なので、虫歯や歯周病になりやすくなるのです。
- 口内炎になりくなる
唾液は、口腔内の粘膜を固い物や熱いものから守るクッションのような役目を果たしてくれます。しかし、唾液の分泌量が少なく粘膜が乾燥していると、ちょっとした刺激で傷ついて炎症を起こし、口内炎になりやすくなります。
- 口臭が気になる
わたしたちの体の中で一番細菌が多い場所は口の中といわれています。唾液によってその細菌のバランスは保たれていますが、唾液の分泌量が減ると細菌や雑菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因となります。
- 食事がしにくくなる
唾液には食べ物を噛みやすくし、まとめて飲み込みやすくする働きもあります。しかし、その唾液が少なくなってしまうと、食べ物を上手く食べたり飲みこんだりすることができなくなってしまうのです。ひどくなると、本来なら食道を通って胃に運ばれるはずの食べ物が、誤って気管や肺に流れてしまい誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすことがあります。最悪の場合、この誤嚥性肺炎によって死に至ることもあります。
口の乾燥への対処法
口の乾燥に対処する一番手っ取り早い方法は、こまめに水を飲んで口の中を潤すことです。しかし、これは応急処置です。大切なのは、唾液の分泌を増やすことです。次に紹介する唾液の分泌量を増やす方法を試してみてください。
エクササイズ
唾液を増やす方法の1つは、舌を動かすことです。舌の筋肉を動かすことで唾液を出す唾液腺が刺激され、唾液の分泌を増やすことができます。ここでは、舌を動かすエクササイズを二つご紹介します。
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舌回しエクササイズ
- 舌で唇全体の裏側をなめるようにして大きく回します。
例)右回り:上唇の裏と歯茎の付け根に舌を当て、右の頬、下唇の裏と歯茎の付け根、左の頬、最初に戻る、という感じです。 - 右回りを3回、左回り3回と繰り返す。
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舌ストレッチ
- 舌を思い切り前に突き出し、10秒間キープします。
- 上を向いて舌を鼻先に付けるイメージで突き出し、10秒間キープします。
- 正面を向き、舌を思い切り下に伸ばし、10秒間キープします。
- 舌を左右交互に口角に付けるイメージで思い切り伸ばし、10秒間キープします。
- ①~④を1セットとし、高齢の方は5回、若い方は10回繰り返します。
マッサージ
唾液の分泌量を増やすため、直接唾液腺をマッサージする方法も効果的です。まずは、唾液腺の場所を確認しておきましょう。
- 耳下腺(じかせん):耳の前、上の奥歯の付近にあります。
- 顎下腺(がっかせん):顎の骨の内側にあります。
- 舌下腺(ぜっかせん):顎の先の内側、ちょうどくぼんだ部分にあります。
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唾液腺のマッサージ
- 耳下腺のマッサージ:人差し指、中指、薬指の腹を耳の前にあて、軽く押します。続いて耳たぶの下、顎の一番上あたりと同じように軽く押しながら3~5回マッサージしていきます。
- 顎下腺のマッサージ:人差し指と中指を立て、顎の下の骨の柔らかい部分を下から上に突き上げるように押し、徐々に耳の下あたりまで順番に押していきます。
- 舌下腺のマッサージ:両手の親指を立てて合わせ、舌の真下あたりから上に突き上げるようにして押していきます。
リラックスする
ストレスを感じていると自律神経が乱れ、唾液の分泌量を増やすことができません。体がリラックスできる時間を取り分ける努力をしましょう。ハーブティーを飲む、アロマをたく、好きな音楽を聴く、運動を生活に取り入れるといったことがリラックスに役立つかもしれません。どんなに忙しくても自分のために時間を作るなら、それは精神的・感情的・身体的に落ち着く時間となり、唾液を分泌を促す副交感神経が機能する時間ともなります。
生活習慣の見直し
口の乾燥は、生活習慣を見直すだけでも軽減されます。例えば、睡眠時間をしっかり取るなら自律神経を安定させ、副交感神経の働きを促進することができます。また、喫煙や飲酒を抑えるなら唾液の分泌量を増やすことにつながるでしょう。しかし、他にも習慣化していることで改善できる点があります。それは、食事の仕方と呼吸です。食事も呼吸も毎日のことなので、改善するなら大きな効果を期待できます。ぜひ、今日から始めてみて下さい!
ゆっくりと噛む
唾液は噛むことで分泌されます。忙しい生活を送っていると、あまり噛まずに食事を摂ることが多くなってしまいます。できれば、食事の時間をしっかり取って、ゆっくり噛みながら食事を摂ることを意識してみて下さい。
鼻で息をする
口呼吸が習慣化していることが多いです。なので、なるべく口を閉じて鼻呼吸をすることを意識してみて下さい。最初は息苦しさを感じるかもしれませんが、続けていくうちに慣れますし、口の乾燥も軽減されていくでしょう。
お口のケアを行う
口の中の乾燥を改善するには、ある程度の期間が必要になるかもしれません。その間、口の中を保湿ケアするための商品を使用することもおすすめです。保湿剤の入った歯磨き粉やマウスウォッシュなどは、気軽に使い始めることができるでしょう。他にも、直接口の中に塗るタイプの口腔保湿剤もあります。ペースト状、ジェル状、液状タイプがあり、使用シーンや口の乾燥状態で使い分けると良いのですが、毎日続けやすいものを選ぶのが一番大切です。それぞれの特徴などを見ていきましょう。
メリット | デメリット | 使い方や注意点 | |
---|---|---|---|
ペースト状 | 決められた適量を調整しやすい。 保湿力が強い。 |
口の中に違和感を感じる。 | 歯磨き後の清潔な口に使用する。適量を指やスポンジブラシに取り、乾燥が気になる部分や粘膜に塗る。 強い乾燥が気になる方におすすめ。 |
ジェル状 | 少量でよく伸び、塗りやすい。 保湿が長続きする。 |
口の中に違和感を感じる。 つけすぎると、咽頭にたまりやすく、誤嚥の危険がある。 |
歯磨き後の清潔な口に使用する。適量を指やスポンジブラシに取り、口腔内全体に塗る。 寝る前の保湿ケアとしての使用がおすすめ。 つけすぎない。 強い乾燥が気になる方におすすめ。 |
液状 | スプレータイプであれば、外出先や日中、夜中など口の渇きが気になるときにいつでも手軽に使用できる。 初めての方でも違和感なく使える。 |
保湿の持続が短い。強い乾燥には向いていない。 誤飲の恐れがある。 |
口の乾燥が気になるときに、スプレーする。または、ガーゼに取って口の中を拭く。 液が垂れやすいため、誤飲に気を付ける。 口の中の乾燥が軽い方におすすめ。 |
最終的にはお医者さんへ
口の乾燥を改善するためにまずできることについて説明しました。いろいろ試してみたけれど、なかなか改善が見られないようであれば、近くの歯科医院などでお医者さんに相談することをおすすめします。最近は、ドライマウス専門の外来を設けている歯科医院も増えています。口の乾燥の原因を突き止めて、適切な処置を施してくれるでしょう。その早めの処置が、体の健康の維持またあなたの素敵な笑顔につながるかもしれません。