皮膚が乾燥しやすい原因と治し方を紹介!皮膚炎になる前にすべきこと6つ

皮膚の乾燥が気になって保湿クリームなど使っているが、なかなか改善しないとお悩みの方へ、ここではその原因と治し方についてご紹介します。乾燥がひどくなると皮膚炎になることもありますので、そうなる前に知っていただきたい6つの対策についてお伝えします。

皮膚が乾燥する原因

なぜ皮膚が乾燥するのか

皮膚の構造

肌の最も外側にある角質層にある、皮脂膜、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質は、肌の水分を保持し、肌を守る上でたいへん重要です(肌のバリア機能)。特に重要なのはセラミドなどの細胞間脂質で、肌の保湿の約80%を担っています。天然保湿因子(NMF)も水分を抱えこむ性質をもっています。これらの成分によって角質細胞内の水分量は一定に保たれますが、年齢、性別、体質、気候、環境やライフスタイルなどの変化で、肌のターンオーバーが乱れると、これらの肌成分が十分に角質層に存在しなくなります。この結果、皮膚は表面にうるおいや柔軟性がなくなりもろくなり、乾燥肌の状態になります。

空気の乾燥が原因

皮膚の水分は、体の内側や大気中から供給される一方で、発汗や皮膚からの自然蒸発によってうしなわれていきます。そのため空気が乾燥していると、水分を保持しておくことが難しくなります。また、部屋が乾燥していたり、エアコンやコタツ、電気毛布などの暖房器具の設定温度を高くし過ぎていたりすることで、肌に熱が加わり、乾燥がうながされます。それだけでなく、熱の刺激でかゆみが生じ、かくことで余計に角質層を傷めることになります。

皮膚炎などの影響

湿疹ができている肌

いわゆるかぶれ、といわれるもので、外部から皮膚に接触した物質により引き起こされる皮膚炎のことです。かぶれには、物と接触した刺激により起こる皮膚炎と、アレルギー性の皮膚炎があります。前者では、化粧品による刺激や、身体を洗うスポンジ・タオルなどのまさつなど、身の回りにあるさまざまなものが原因となります。また後者では、花粉の刺激やアレルギーに伴って皮膚炎を起こす場合があります。皮膚炎になると、かゆみ、掻く、乾燥、かゆみ、掻く、乾燥の繰り返しになり、皮膚の乾燥が一層うながされるだけでなく、深刻な肌トラブルになることもあるため注意が必要です。

洗剤の接触の影響

皿洗い

強い洗浄成分や酸・アルカリ、合成界面活性剤などを使用しているものは、皮膚に必要な皮脂やタンパク質まで奪い取ってしまうことがあります。このため、ダメージを受けた角質層から天然保湿因子NMFやセラミドなどが流出し、皮膚の乾燥をうながすことになります。また、皮膚は過剰な洗浄刺激から肌を守るために、みずから角質層を厚くすることもあるため、肌のくすみやゴワつきの原因になります。

腎不全・栄養障害・ビタミンA欠乏症による乾燥

栄養不足、むくみ(浮腫)、腎不全・栄養障害、ビタミンA欠乏症などの全身的な疾患があると、皮脂を分泌する皮脂腺が減少し肌が乾燥しやすくなります。さらに、細胞間資質や天然保湿因子が減少するため、水分保持能力が失われ、皮膚の乾燥が、一層進むことになります。

加齢による乾燥

年取った女性

年齢を重ねると皮膚が持っている水分を保つ機能が低下するため、以前よりも乾燥状態を招きやすくなっています。角質層では通常、皮脂膜、NMF(天然保湿因子)、角質細胞間脂質などによって肌を守っていますが、加齢のために、皮脂量や細胞間脂質が減少して角質層のバリア機能が働かなくなることが原因です。

皮膚が乾燥するとこんなトラブルがある

皮膚が乾燥し続けるとひび割れが出る

手の肌が乾燥して湿疹がある写真

症状の重い軽いはありますが、皮膚の表面の皮脂が減少することで皮膚の水分がうしなわれ、乾燥が生じます。手足、特にひざから下によくみられ、皮膚がカサカサしてはがれ落ちたり、ひび割れたりします。ひび割れるとかゆみや出血をともなうため、生活に少なからず支障をきたします。特に女性の方が男性よりやや早い年代から起こってくる傾向があります。

乾燥が治らないとかゆみが出る

首が赤くなっている女性

乾燥によりかゆみが起きるのは、乾燥によって皮脂の分泌や皮膚のバリア機能が低下し、外部の刺激を受けやすくなっているからです。もちろん、かゆいからといってかいてしまうのはNGです。かけばかくほど、肌の角層が破壊され、水分を保持しにくい乾燥肌へと悪化するからです。また、炎症を起こしたり、色素が沈着して跡が残るリスクが高くなったりするため、塗布薬を塗る、医師へ相談するなど、早急に処置することが重要です。

さらに進行していくと湿疹になる

首に湿疹がある

皮膚の乾燥やかゆみが進行しているにもかかわらず、症状を放置して、かいてしまっていると、赤みやひび割れなどの急性湿疹を生じるリスクが高まります。この場合の赤みやひび割れは、皮脂欠乏症湿疹と呼ばれる疾患であるため、病院での治療が必要になります。そのまま放置すると、夜中に目が覚めるほどのかゆみを感じてかきむしるようになり、慢性湿疹となる場合もありますので、かゆみが強く、赤みがあるときは早めに皮膚科を診察するようにしましょう。湿疹が出る方はこちら

スキンケアの方法

皮膚を清潔に保つ

鏡を見ながら笑っている女性

本来、人の肌は皮脂によって乾燥から保護されていますが、汗や老廃物で汚れて、その機能が弱くなると、肌には乾燥だけでなく、さまざまなトラブルが引き起こされます。そこで皮膚を清潔に保つために基本となるのが、入浴です。入浴によって徐々に本来の皮脂の保護バリアを回復させ、肌の乾燥やトラブルを未然に防ぐことができます。したがって、体調や季節にもよりますが、週に2回は入浴を心がけることをおすすめします。

入浴するときの注意点

ハート型のお風呂

入浴は一歩間違うと乾燥肌の原因となります。熱めのお風呂やシャワーのお湯や、長時間の入浴は、角質層をふやかし、細胞間脂質(セラミドなど)や天然保湿因子NMFを流出させてしまいます。皮膚の乾燥は、お湯の温度が高いほど、また入浴時間が長いほど、温まった皮膚から水分や脂質が抜け出て、より乾燥が起こりやすくなります。そこで、入浴後の角質層の水分をしっかり保持するため、お風呂やシャワーは38~39℃くらいの温度に設定するとともに、お風呂に浸かるのは20分程度に抑えることが重要です。入浴は毎日でもかまいませんが、せっけんを使うのは1日1回としてください。頭皮も同じく1日1回洗う程度に留めましょう。2回以上のシャンプーは皮脂の取りすぎとなり、乾燥やかゆみの原因になるからです。

入浴剤にも気をつけて

入浴中の乾燥もさることながら、実は、お風呂上がりが一番、乾燥しやすいといわれています。そこで、保湿成分の入った入浴剤を使用することで、入浴後の乾燥を極力防ぎ、皮膚の潤いが保たれるようにします。保湿系入浴剤を使った後は、シャワーなどで洗い流さず、そのままあがるとよいでしょう。もちろんお風呂上りにはきちんと保湿クリームなどで保湿ケアをしてください。なお、入浴剤は岩塩タイプのものや硫黄の入った入浴剤は、肌の乾燥を促す作用があるので避けるようにしましょう。また、入浴剤を選ぶ際には、天然由来の成分や、合成界面活性剤が使われていないもの、無着色・無香料のものなど、できるかぎり肌にやさしいものを選ぶことをおすすめします。

皮膚にやさしい石鹸やボディーソープを使う

石鹸

石けんやボディーソープも、強い合成界面活性剤を使用しているものは洗浄力が強いため、その分、肌が乾燥しやすいといえます。それゆえ、石けんなどは刺激の低い弱酸性の洗浄剤や、しっとりタイプのものを選択してください。簡単なのは敏感肌のためにつくられた洗顔料を選ぶことです。刺激になりやすい成分が、極力取り除かれています。石けんは、こすらず、よく泡立てて、なでるようにして洗えば十分です。冬場や乾燥がひどい部位には、石けんの使用頻度を減らしてください。

スポンジやタオルも皮膚にやさしいものがいい

頭にタオルを巻いている女性

ナイロンタオルや硬いボディタオル、スポンジなどでゴシゴシと強く洗うと、肌に細かい傷がついて、皮膚のバリア機能が破壊されてしまいます。肌の保湿成分も流れ出すため、より乾燥が進みます。また、強く洗うことで肌が赤くなってヒリヒリするのは、汚れが落ちて血行が良くなったというよりはむしろ、軽度の炎症が起こっているのかもしれません。また、皮膚表面の皮脂膜は、皮膚から水分の蒸発や保湿成分の流出を防ぐだけでなく、弱酸性の膜で雑菌の侵入や繁殖を防ぐ役目も果たしています。硬いボディタオルで皮脂を必要以上に奪いとってしまうと、肌が乾燥するばかりか、雑菌への抵抗力も弱まってしまうため注意が必要です。

保湿アイテムでしっかり保湿

鏡を見ながらクリームを塗っている女性

入浴や洗浄剤によって、多かれ少なかれ皮脂膜や角質層内の細胞間脂質などが洗い流された肌は、とても無防備な状態です。入浴後はすぐに保湿ケアをして、皮膚が乾燥しないようにすることが重要です。保湿ケアとは、水分を与える保水と水分を維持する保湿の2つを行うことです。化粧水などに含まれる保湿成分には、さまざまなものがありますが、その中でも、肌なじみがよい成分のひとつにセラミドがあります。セラミドは、私たちの皮膚の表面にも存在するもので、皮膚の水分を保つ性質をもっています。肌なじみのよい保湿成分を含んだアイテムを使うことは、皮膚の保水と保湿を行う上でとても効果的です。

ボディクリーム

ボディクリームを塗っている女性

入浴後、化粧水などで水分を与えるとともに、その後は乳液やクリームなどの油分を塗って水分が蒸発しないようにカバーすることが大切です。また、ボディクリームは、保湿ケアの観点からも有用です。ボディクリームを使うことで、化粧水には溶けない油溶性の保湿成分肌に送ることができるからです。クリームに配合される保湿成分としておすすめなのは、セラミドやスフィンゴ脂質(ステアリン酸コレステロール)などがあげられます。これらは、人の肌本来の保湿成分でもあり肌なじみがよく、肌の角質層でしっかりと水分を抱えこんで保湿してくれます。ボディクリームの中には濡れた肌に使えるものもあり、お風呂上がりにサッとつけることができるのでおすすめです。

ローション

乾燥した肌に水分を与える化粧水は、乾燥肌のケアになくてはならないものです。化粧水が肌になじんでからクリームや乳液をつけるのが、肌の乾燥を防ぐのに効果的です。おすすめは、ローションマスク(またはコットンマスクともいいます)です。

やり方はとても簡単で、カット綿を薄くはがしてローションをたっぷり含ませて、乾燥の気になる部分に貼るだけです。肌が少しひんやりする程度の量をなじませ、手のひらに化粧水がつかなくなる程度に時間をおいてから、クリームなどで油分を補うとよいでしょう。特に入浴中のマスクは、湯気がスチームの代わりとなるのでおすすめです。

室温、湿度を適切に保つ

人間の肌からは潤いとなる水分が一部、水蒸気として排出されています。蒸発量は湿度が低くなればなるほど増え、肌の乾燥が進みます。健康を保つのに必要な湿度は40%~60%とされる一方、肌を乾燥から守るのに適した湿度は60~70%といわれています。肌の乾燥が進み、バリア機能が失われている場合は湿度の設定を少し高めにしておきましょう。室温については、湿度を落とさないように注意しながら、基本的に夏は25度~28度、冬は20度前後が適温です。

皮膚にやさしい素材の衣類を選ぶ

セーター

ウールなどの刺激の強い繊維の衣服を着用する場合、肌と衣類のまさつが刺激になり、乾燥やかゆみの原因になることがあります。コットンなど自然素材の肌着を着て、直接、肌に触れないようにしましょう。中でもシルクは、肌とのまさつが最も少ないのでおすすめです。肌荒れがひどい方であれば下着、手袋、靴下といった素材をシルクに変えるだけで、症状はかなり軽減されます。

また、衣類の縫い目やタグとのまさつが苦手な方のための縫い目がない下着や衣類などもおすすめです。また、衣類ではありませんが、枕カバーやタオルケット、掛布団カバーなどは、顔や首まわりの皮膚ともまさつをもたらします。寝ている間にこすれたり、かいてしまうといったことがないよう肌触りのよいものを選んでください。

栄養バランスを良くする

野菜

乾燥によいとされる栄養素に、タンパク質、ビタミン類、ミネラル、セラミドなどの脂肪酸、α-リノレン酸などの抗酸化物質、などがあります。具体的には、納豆、青魚、卵、カボチャ、アーモンド、ブロッコリーなどがあります。

中でも、肌の水分保持力の8割を担う細胞間脂質の材料となるオメガ6系脂肪酸やオメガ3系脂肪酸などがおすすめです。オメガ6系脂肪酸は、コーン油、紅花油、ごま油などに豊富です。また、オメガ3系脂肪酸は、いわし、サーモン、サバなどの魚介類に豊富です。

現代の食生活ではオメガ3系脂肪酸が不足しがちだといわれており、そのために乾燥肌に傾きがちだともいわれています。肌の乾燥が気になる場合は食生活を見直してみるのもよいでしょう。ただし、これさえ食べていればよいというものはありませんので、野菜や肉も含め、さまざまな食品をとることで、栄養バランスのよい食生活を意識してください。

生活習慣を正す

眠っている女性

規則的な生活とともに、良質な睡眠を確保することで、皮膚の乾燥を予防することができます。かつては、肌の新陳代謝をうながす成長ホルモンが、22時から2時に最もよく分泌されるため、この時間帯にいかに睡眠時間を確保することが重要視されていました。しかし、近年の研究から、寝る時間帯よりもむしろ、睡眠開始から3時間をいかに深く眠るかがポイントであるということが広く認識されています。良質な睡眠と成長ホルモンの分泌をうながすためには、睡眠中の不必要な代謝を抑えることと、入眠時に適切な体温状態となっていることが必要です。それゆえ就寝前2時間、少なくとも1時間は食べ物を口にしないことや、寝る1時間前に入浴をするなどして身体を温め、寝る前には体温が下がっている状態にしておくことが重要です。

皮膚への思いやり

皮膚の乾燥の原因と乾燥がひどくなる前に知っていただきたい6つの対策について治し方についてご理解いただけましたでしょうか。皮膚は体の健康状態を表すものですので、肌が乾燥するのは体が良好ではないサインでもありますので、肌の乾燥は放っておかないで、常に健康な肌を整えていきましょう。