バリウムで便秘が続く!どうしたらいいか?その解消方法を教えます!

健康診断でバリウムを飲む機会があるという方もいらっしゃることと思いますが、バリウムを飲んだ後に便秘になってしまうようなケースもよくあります。では、なぜバリウムを飲んだ後に便秘になってしまうのでしょうか。また、バリウムを飲んだ後の便秘はどのようにして解消すればよいのでしょう。今回はその辺りの事情に迫りたいと思います。

なぜバリウムが便秘の原因になるのか?

病院でモニターを見ている医師

 

それでは早速ですが、バリウムを飲んだ後になぜ便秘になってしまうのか、その理由について見ていきたいと思います。そもそもバリウムとはどのようなものなのかも併せて知っておきましょう。

バリウムとは

バリウムは胃のレントゲン検査をおこなうときに飲むもので、牛乳のような白いドロドロとした液体状のものです。バリウムにはもともと「重い」という意味があるのですが、それはバリウムが重金属であることに関係しています。胃のレントゲン検査をおこなうときに飲むバリウムは、正確には「硫酸バリウム」と呼ばれるもので、そもそもは無味無臭なのですが、飲みやすいように甘い味が付けられています。

バリウムがドロドロとしているのは、胃の消化酵素に負けないためです。また、身体を動かしながらレントゲンを撮影するのは、胃の粘膜全体にバリウムが行き届くようにするためです。

バリウムが便秘の原因になる理由

バリウムを飲んだ後は、基本的に下剤を用いてバリウムを体外に排出することとなります。なぜなら、バリウムが長時間体内にとどまると、固まって出にくくなってしまうからです。

つまり、バリウムを飲んだ後に便秘になるのは、「バリウムが体内にとどまってしまうこと」が原因なのです。

便秘の定義

皆さんも驚かれるかもしれませんが、実は、長らく便秘にはこれといった定義がありませんでした。そのため、皆さんの中には、毎日の便通がないと便秘だと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。

2017年、わが国で初めての便秘診療に関するガイドラインが策定されることとなりました。そこでは、便秘のことを「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。

では、どのような状態になると便秘と認定されるのでしょう。簡単にいうと、1週間の排便回数が2回以下で、便を出しにくかったり排便後も残便感があったり、便の状態がウサギのフンのようにコロコロとしていると、便秘と認定されることとなります。

つまり、毎日の便通がなくても、2日に1回しっかりと便通があり、しかも排便後お腹がスッキリとしていれば、便秘ではないということです。

バリウムで便秘に?どうしたらいいのか?

トイレで座っている女性

バリウムを飲んだ人の中には、下剤を飲んでも便秘が治らないという方もいらっしゃることと思います。では、なぜそのようなことになるのでしょうか。もしかしたら、やってはいけないことをしているかもしれませんよ。

やってはいけない事

バリウムを飲んだあと、一般的には下剤を2回分渡されることとなります。もともと便秘気味の人の場合、下剤が4回分渡されるようなこともあります。

バリウムを飲んだあとの下剤に限った話ではありませんが、医薬品は必ずお医者様の指示通りに飲むことを心がけましょう。勝手に量を減らすことで、便秘になるリスクが高くなってしまいます。

また、下剤を飲むときには大量の水分とともに飲むようにしましょう。水を飲む量が少ないと、やはり便秘になるリスクが高くなります。

あと、バリウムを飲んだ後にはアルコールの摂取は厳禁です。なぜなら、アルコールを摂取することによって、腸内の水分が奪われてしまうからです。お酒を飲んだ後にのどの渇くことがあると思いますが、それは、アルコールを代謝するために体内の水分が大量に使われるからです。

バリウムを飲んだ後にお酒を飲むと、アルコールの代謝に水分が使われるため、バリウムが固まって体内に残りやすくなってしまいます。普段からお酒を飲む習慣のある人は、バリウムが出きってしまうまで我慢しましょう。

解消方法

それでは次に、バリウムを飲んだあとに下剤を飲んだものの、それでも便秘になってしまった場合の対処法について見ていきたいと思います。

水分を多めに摂取する

下剤を飲んでも便秘が続くような場合、水分を積極的に摂取するようにしましょう。普段から便秘がちの人にも言えることですが、水分量が少ないと便が固くなってしまいます。特に直腸性の便秘と言って、腸の機能には問題がないのに、便の水分が少ないことによって排便が困難になるタイプの便秘があります。

もともと大腸は、小腸で栄養が吸収された消化物から水分を吸収し、固形の便にする働きがあります。ただ、あまりにも水分量が少ないと、水分を全く含まないカチカチの便が肛門の手前にある直腸へとたまることとなるのです。

直腸性の便秘があまりにもひどくなると、最悪の場合、死にいたるようなケースもあります。実際に1998年に直腸性の便秘が原因とみられる腸閉そくで、21歳の女性がなくなるという事例もありました。

もちろんそのような事例は極めてまれなことですが、バリウムを飲んだ後だけでなく、普段から便秘がちな人は特に、日頃から水分を積極的に摂るよう心がけましょう。

デスクワークなど、パソコンを使う仕事に没頭していると、ついつい水分補給を怠りがちになってしまいます。そのような方は、机の片隅にペットボトルを置いておき、仕事の合間に水分を取るよう心がけましょう。

油や水溶性食物繊維の食べ物を摂取する

バリウムを飲んだ後の便秘解消法としては、油分や水溶性食物繊維を多くふくむ食品を摂取するということもあげられます。油分には便をつるんとした状態にし、体外に排出しやすくする働きがあります。

とは言うものの、バターや獣肉の油分などの飽和脂肪酸は、生活習慣病の元となるため、オリーブオイルや魚肉など、不飽和脂肪酸を積極的に摂るようにしましょう。

あと、便秘を解消するためには、食物繊維を多くふくむ食品を摂取するのも効果的です。特に、水溶性食物繊維には、腸内環境を改善してくれる働きがあるので、バリウムを飲んだ後の便秘を改善するのに効果的です。

不溶性の食物繊維は便の「かさ」を増して、腸管を刺激する働きがあるため、便が細い人は積極的に摂った方がよいでしょう。

ただ、直腸に固い便がたまってしまう直腸性の便秘の場合、不溶性の食物繊維を摂取することによって、かえって便秘がひどくなるケースもあります。自分の便秘のタイプが分からない場合は、お医者様に相談しましょう。

下剤でバリウムを出す

下剤を飲んでもバリウムがでないような場合、追加で下剤を服用するケースもあります。その際、水分をしっかりと摂取することを忘れないようにしましょう。

解消法を実施していても直らない場合は病院へ

腕を組んで笑顔の白衣を着た女性

ここまで、バリウムを飲んだ後に下剤を飲んでも便秘になった場合の対処法について見てきました。ただ、そのような便秘解消法を実践しても便秘が治らない場合、病院に行ってみてもらうことが重要です。では、どのようなときに病院を受診すればよいのでしょうか。

便秘と共に痛みも感じる場合

バリウムを飲んだ後に便秘が続く場合で、痛みもともなっているようなときには、便秘の期間にかかわらず、病院を受診するようにしましょう。また、おなかの痛みだけでなく、お腹の張るような感じがある場合にも、病院を受診して専門医に診てもらいましょう。

下剤を追加しても便秘が続く場合

下剤を追加しても便秘が続くような場合、やはり病院を受診して専門医にみてもらうようにしましょう。市販の下剤を継続的に服用していると、自然な排便がみられなくなる可能性もあります。

先ほど、直腸性の便秘が原因とみられる腸閉そくで、慢性的な便秘を持っていた女性がなくなったという事例を紹介しました。実は、その女性はなくなる1年前から、市販の便秘薬を服用していたということです。

ところが、継続的に市販の便秘薬を服用することで、薬に対する耐性ができてしまい、結果として最悪の事態を招いてしまったのです。

下剤を用いても便秘が続くような場合には、自己判断で強い下剤に切り替えるのではなく、必ず専門医の判断を仰いで、薬を処方してもらうようにしましょう。場合によっては浣腸剤が処方されることもあります。

バリウムが出ない場合

バリウムによる便秘のそもそもの原因は、バリウムが体外に排出されないことにあります。そのため、バリウムがでない場合も病院を受診することが重要となります。

とはいっても、一般人にはバリウムが出たかどうかが分かりにくいですよね。その場合、便の色で判断しましょう。バリウムを飲んだ後の便は白っぽい色をしています。

これが、いつもの便と同じような茶色になったら、バリウムを出し切った証拠となります。バリウムが体外に排出されるのは早くても検査をした翌日です。

まとめ

バリウムを飲んだ後に便秘になるというのは、特に珍しいことではありません。お医者様の指示通りに下剤を服用し、水分をたくさん摂って、野菜などの食物繊維を多くふくむ食品も積極的に摂取するようにしましょう。

それでも便秘が続くような場合、自己判断で下剤を追加したり薬を変更したりするのではなく、担当のお医者様に相談することが重要です。