便秘が体臭の原因になる?便秘からの体臭や口臭を解消する方法

便秘は様々な病気を引き起こすことでも知られていますが、便秘で体臭がきつくなったとか口臭がするようになったという声が聞かれます。本当に便秘が原因で体臭や口臭がきつくなることはあるのでしょうか?

便秘が口臭や体臭を引き起こす原因

口を塞いでいる女性

口臭や体臭がニオってくると会話するのも不安になり、気になってしまいますよね。その原因は色々と考えられるのですが、便秘が関係している場合もあるのをご存知でしょうか?便秘がどうして臭いの原因になるのか説明していきます。

悪玉菌が腐敗して有害物質が発生する

便が長時間腸に溜まって、定期的に排泄されない状態を便秘といいます。便秘になると、腸の中で食べ物のカスなどが腐敗し始めます。食べものの消化物は、腸内細菌によって分解発酵されていきますが、異常に発酵すると臭いの元となる有害物質を発生するようになります。

スカトールやアンモニアのような臭いの強いガスが発生するのです。この有害物質は特に肉類を多く食べた時に発生しやすくなり、強い臭いをもつオナラの原因にもなります。この有害物質を発生させるのが俗に悪玉菌と言われるタイプの腸内細菌です。

腸内細菌のうちで、善玉菌・日和見菌・悪玉菌があり、これらのバランスが適切に保たれているのが理想です。しかし、悪玉菌が増えてくると有害物質を発生しやすくなり、その結果腸の動きが悪くなり便秘を引き起こします。

有害物質が体臭や口臭となる

この悪玉菌により発生した有害物質は、オナラとして排出されますが、ほとんどは腸官の壁から吸収されて血液中に溶けていきます。その血液中に溶けた有害物質は全身を巡って、最終的には呼気として息の中に排泄されて口臭を引き起こすことになってしまうのです。

また、血液を介して最終的に汗や皮脂などから匂い物質が出ていくことで、体臭を発生させることにもなります。

便秘体質の方や、腸内環境が悪化している方は口臭や体臭を起こしやすいので注意しなければいけません。

便秘での体臭の種類

便秘により体臭が強くなる時には次の2つの臭いがあります。それぞれの特徴を説明します。

  • 汗臭

汗臭というと汗は臭いものと思われがちですが、本来汗は臭くないものです。汗が臭かったら夏場はみんなが汗をかいて臭っていることになってしまいますが、そうではありませんよね。

汗が臭うということは、体の中で何らかの異変が起きている証なのです。臭いの種類によってその原因も異なってきます。便秘や胃腸機能が低下しているときには、肉類などが消化しきれず腸内で腐敗することで腐卵臭(イオウのような臭い)が出てきます。

  • 口臭

口臭は名前の通り、口の臭いまたは息の臭いのことです。便秘の時には口臭が強くなりがちです。体にとって不要な食べかすが腸内に滞って腐敗することで、有害物質が発生します。

それが血液に乗って運ばれて口臭になるのです。口臭の原因には、他にも病気や食べ物が関係していることもあります。便秘の場合には、やはり腐卵臭のような臭いがしてくることが多いようです。

便秘が体臭や口臭になるまでのメカニズム

お腹を抱えている女性」

便秘と体臭・口臭は一見するとあまり関係のないものに思えます。どうして便秘から体臭や口臭を招くのか、そのメカニズムをさらに深くみてきましょう。

咀嚼

まず食べ物を食べた時には咀嚼から始まります。口は消化の第一段階。唾液にもアミラーゼというでんぷんを壊す酵素が入っていて、噛みながら唾液と攪拌することで消化の最初のステップが行われます。よく噛まないと、消化不良となり腸での消化が滞りがちとなるため、口臭や体臭を招く原因にもなりかねません。1口ごとに20回―30回程度、よく噛んで飲み込むようにしましょう。

胃で消化

食べたものは口から食道を通って胃に入っていきます。胃の中は袋のようになっていて、収縮と弛緩を繰り返すことで、食べ物をこまかい塊に壊していく役目があります。

強い酸性の消化液と混ざり合うことで、食べ物はドロドロに溶かされていきます。この胃の消化力が弱くなると、消化不良となり腸にも負担がかかってしまいます。胃が悪い方も口臭になりやすいと言われています。

十二指腸に送られる

胃でドロドロになった食べ物はその後十二指腸に送られます。十二指腸でも消化液と混ざり合い、消化が進みます。一つ目は単縦で、肝臓で作られて一旦胆嚢で蓄えられたものが、胃の消化が始まると分泌されて一気に十二指腸に流れ込んできます。胆汁は胃酸を中和する役目をもっています。

また、十二指腸には膵臓からの消化酵素も分泌されてきます。消化が終わるとブドウ糖やアミノ酸などの栄養素まで分解されます。

小腸で消化吸収

消化酵素によって分解された栄養素は小腸で吸収されて体の養分となります。しかし、残った食物繊維や消化されなかった残渣物は腸の中に残ったままとなります。小腸に流れ込んだ消化液は9Lほどになりますが、そのうちの7Lは栄養素と一緒に小腸で吸収されていきます。残りの2Lの消化液にはほとんど水のような状態になり、大腸へ送られていきます。

大腸で水分を吸収

大腸では小腸から送られた水っぽい消化液の水分や電解質が吸収されていきます。大腸を通過する間に水分が吸収されていき、最終的に食べ物のカスや腸の細胞や腸内細菌の死骸などが集められて、固まったものが便となります。

最終的に消化されなかったカスが大腸で便となっていくので、消化されにくい肉類などばかり食べていると便が臭うようになってきます。

この時、十分に水分が吸収されないと、水っぽい下痢となり、滞在時間が長くなって水分が吸収されすぎると硬い便になり便秘を招くことになります。

直腸に送られ排便

大腸のS状結腸まで通ると、最後に到達するのが直腸です。直腸は肛門の手前にある短い腸官です。直腸まで便が届くと、その圧迫により腸粘膜から脳へ指令が伝わり便意となってあらわれます。そして便意を感じると排便できるような仕組みとなっています。

便秘

便秘とは、一般的には3日以上排便がないか、もしくは1週間のうち排便回数が2回以下の場合tv おいいます。しかし、これより頻度が少なくてもスッキリ感があれば問題はなく、逆に回数は多いがスッキリ感が無いならば便秘といえます。

便秘になると不快な症状を引き起こし始めます。お腹が張ったり、重く感じるなどの症状から、吹き出物やイライラ、食欲低下などもあります。さらには便が滞留して腸内で腐敗が進むことで、有害物質が増えてくると口臭や体臭を引き起こすこともあるので要注意です。

何日で体臭や口臭になるのか

便秘になってから何日で体臭や口臭になるか、という機械的な計算による数字を出すことは難しいと考えられます。

通常を食べてから便となって排泄されるまでには、24時間から48時間程度の時間がかかります。それ以上、食べたものが出てこないということであれば、腸内で腐敗を起こして臭ってくる可能性が大ということになるでしょう。

つまり3日以上便秘が続いているならば要注意ということになりますが、これは体質や状況により差が出てきます。

便秘による体臭や口臭を改善する方法

脇がにおう

便秘により体臭や口臭が起きている場合には、口の中や体だけ綺麗にしたのでは解決になりません。臭いを断ち切るには、根本的に内部から対処していくことが必要です。次の対処法を参考に、努力を始めてみてください。

乳酸菌やオリゴ糖を摂取

便秘によるニオイの原因は、悪玉菌の繁殖による腐敗です。その悪玉菌を抑えることがニオイを断つための根本的な解決法の1つとなります。悪玉菌を減らすには、対する善玉菌を増やすことが必要です。

そこでおすすめしたいのが、乳酸菌の摂取です。乳酸菌を増やすことで、乳酸が生成されると悪玉菌が生きにくい環境になります。また、オリゴ糖を摂取すると、善玉菌のビフィズス菌などの餌になり腸内環境を改善することができます。

最近では口臭を予防するための乳酸菌サプリメントなども発売されているので活用してみると良いかもしれませんね。

カフェインを摂りすぎない

カフェインを含むコーヒーを飲むと口臭が強くなることがあります。もともと口臭は唾液によって口腔内の雑菌の繁殖が抑えられていることで予防することができます。しかしカフェインを摂ると、唾液の分泌が抑えられて、雑菌が繁殖しやすくなり口臭になりやすいのです。

また、カフェインには微量であれば腸管を刺激して、排泄を促す作用がありますが、摂りすぎは逆に便秘を招きます。利尿作用が高いため、体の水分を失いがちになるためです。カフェイン摂取は便秘予防のためにもほどほどにしましょう。

睡眠

睡眠不足も便秘を招く原因ということをご存知でしょうか。質の良い睡眠がとれていると、睡眠中に副交感神経が優位に働いて消化管の活動が活発になります。

そして朝おきて朝食を食べることで、空腹な胃に重みが入り、排便のスイッチとなって指令が脳へ伝わっていきます。しかし、睡眠不足や質の悪い睡眠によって、この神経の働きが悪くなると便秘になるのです。

睡眠を改善することは便秘解消にもつながります。特に寝る前の食事を控えて、空腹な状態で寝ることは、睡眠の質もあげて便秘解消にもつながる習慣といえます。

ストレス発散

便秘や口臭などの原因にストレスも大きく関係しています。ストレスがあると、交感神経の働きが高まり、唾液の分泌が抑えられます。すると口腔内で雑菌が繁殖しやすくなり口臭になりやすくしてしまいます。また、腸の動きを悪くすることで便秘を招く原因にもなります。

ストレスは適度に発散していくことが大事です。ストレス解消法としては、好きなことに没頭したり、音楽を聴いたり、アロマやマッサージなどを取り入れるのもおすすめです。

適度な運動

最後に、便秘解消には運動は欠かせない方法です。便秘におすすめの運動は腹筋を刺激する運動です。腹筋が衰えると便秘になりがちなので、しっかり腹筋を鍛えていきましょう。とはいっても、クランチなどの激しい腹筋を行う必要はありません。

簡単なのは「ドローイン」という方法です。呼吸を吸って、吐きながらお腹をぎゅーっと凹ませて絞っていく運動です。外出先などどこでも取り入れられてインナーマッスルを鍛えられるのでおすすめです。

便秘解消においての注意点

お腹が痛い女性

便秘を解消するには、これまでに紹介したような方法はもちろん有効ではありますが、他にも注意しておきたいことがあります。便秘は万病の元とも呼ばれているほど、甘く見てはいけない症状です。

便秘の種類は様々

便秘にはさまざまな種類があります。腸に物理的な原因がある器質性便秘の場合には、どんなに自分で努力してもなかなか改善することは難しいです。また、食事性便秘といって食事が原因で便秘のことや、薬剤性といって薬の副作用として起きていることもあります。

また、最近では特に腸に明らかな異常がないのに腸の不快な症状を訴える「過敏性腸症候群」も注目されています。

ひどい便秘の場合は一度医師に相談を

自分の便秘は何が原因で、どのタイプなのか判断することは、自己判断では限界があります。特に、ひどい便秘ならば、何かしらの病気が隠れているということもあり得ます。

まずは自分だけで悩まないで医師に相談してみることをおすすめします。

口臭の原因は便秘ではないこともある

口臭の原因として便秘を紹介してきましたが、口臭には他の病気が関係していることもあります。例えば、歯槽膿漏などの歯の病気です。また、副鼻腔炎(ちくのう症)のような鼻の病気ということもあります。

胃腸の病気、肺ガン、肝硬変、腎不全など他にも軽視できない病気の可能性もあります。口臭がひどいという場合も、一度お医者さんに相談しておくと安心ですよ。

気になる臭いがあれば注意して

便秘は体の内側の症状ですが、口臭や体臭となって外側へも臭いそのものが出てきてしまうことがあります。臭ってきているということは、腸の中の状態はもっと深刻と考えた方が良さそうです。長いこと腸に食べかすが残って腐敗しているということは、腸にゴミを溜めているのと同じなのです。

臭いはエチケットの1つでもあり、健康のバロメーターにもなります。もし気になる臭いがあるようならば、健康的な問題も疑うことが大事です。