便秘が続くとなんだか気持ちも落ちてしまって、そんな時早く便秘を解決したくて便秘薬に頼りたくなることもあるかと思います。便秘薬の種類は豊富なのでどれを使ったらいいか悩みますが、今回はその中の酸化マグネシウムについてご紹介します。
CONTENTS
便秘薬の種類
便秘薬と一言にいっても、その種類はさまざまです。一般的には便秘薬=お腹が痛くなると思われがちですが、そうとは限りません。安全に正しく使うためにも、まずは便秘薬の種類を知り、酸化マグネシウムはどれに当てはまるのか確認してください。
機械性便秘薬
非刺激性便秘薬とも呼ばれるタイプで、大腸を刺激しないで効果をもたらします。主に
- 酸化マグネシウム
- 水酸化マグネシウム
が機械性便秘薬に該当します。マグネシウムとして体内を通過しますが、吸収を受けないので腸内まで届きます。腸に届いたマグネシウムの周りには水分が集まりやすいので、腸壁から水分を引き込んで便を柔らかくする効果があります。
メリット
穏やかな作用でお腹が痛くなりにくい
大腸を刺激しないので癖になりにくい
妊婦さん、授乳中でも使える
デメリット
効果が穏やかなので腸の動きが悪い人には効きにくい
効果が出るまでに時間がかかる
腎臓や心臓に病気があると悪影響する
刺激性便秘薬
俗によく言う便秘薬とは、大抵の場合はこの刺激性便秘薬に当てはまります。コーラックやスルーラックなど多くのブランドから販売されている市販の便秘薬も大部分はこの刺激性便秘薬です。主に次のような成分があります。
- センナ、センノシド、ダイオウ
- ビサコジル、ピコスルファートナトリウム
刺激性便秘薬では名前の通り、大腸を刺激して排便を促します。
メリット
効果を実感するのがはやい
デメリット
下痢や腹痛を起こしやすい
使い続けると効き目が無くなることがある
使い続けることで依存しやすくなる
妊娠中には注意が必要
その他
他にも下剤の種類としては次のようなタイプがあります。
- 膨潤性下剤・・プランタゴ・オバタ種子
- 座薬・・ 炭酸水素ナトリウム など
- 浣腸・・ グリセリン など
膨潤性下剤は腸のなかで水を含んでふくらむことで腸を刺激して排便を促します。即効性は弱いですが、比較的安全に使えるタイプです。
座薬や浣腸は肛門から薬を入れて、腸を刺激することで排便を速やかにもたらします。便秘になって薬が効きにくい方や、緊急性が高いときに使う薬です。
機械性便秘薬・酸化マグネシウムとは
機械性便秘薬の成分としては酸化マグネシウムがよく使われています。この酸化マグネシウムとはどんな成分でどんな作用があるのか、詳しくみていきましょう。
酸化マグネシウムの成分
酸化マグネシウムというのは「MgO」であらわされる化合物です。白色または灰色の固体であり、医療専門用語ではカマ、カマグとも呼ばれることがあります。酸化マグネシウムには錠剤タイプもあれば粉薬のタイプもあり、効果的には大きな違いはありません。
酸化マグネシウムの作用
酸化マグネシウムには主に次の2つの作用があります。
- 胃酸を中和する作用
- 便をやわらかくして排便を促す作用
胃酸を中和するので制酸剤としての効果もありますが、制酸剤としてはあまり使われていません。主には緩下剤として便秘を改善するために用いられる薬です。
酸化マグネシウムが便秘に効果がある理由
効果を説明する前に、便が作られる流れを簡単に説明します。食べたものは口、食道を通って胃に入るとそこで細かく分解されます。そのあと十二指腸、小腸などを通過して消化液と合わさることで消化されます。そしてドロドロの液体になった状態で、大腸に流れ込んで行きます。大腸では水分が吸収されていき、肛門の方へと進んでいきます。その過程である程度の硬さになって便に変化していくのです。
便秘のときには、腸に滞在している時間が長くなるため、どんどん水分が吸収されてしまい便が硬くなってしまいがちです。そこに酸化マグネシウムを使う意義があります。
酸化マグネシウムは、体内で吸収されずに腸まで届きます。腸に食べ物などと一緒になった酸化マグネシウムには腸粘膜から水分が引き込まれていきます。その結果、便を柔らかくすることができます。
酸化マグネシウムの安全性は?
便秘薬の中でも安全なタイプと呼ばれる酸化マグネシウムでは、一方では副作用があって危険というようなニュースを見たことがある方もいるかもしれません。酸化マグネシウムの安全性について本当のところはどうなのでしょうか
副作用がほとんどない
酸化マグネシウムは他の薬と比べても比較的副作用が少ないことが特徴です。
医療用の酸化マグネシウム「ヨシダ」の添付文書には次のような副作用の記載があります。
酸化マグネシウム錠250mg「ヨシダ」及び酸化マグネシウム錠330mg「ヨシダ」の承認時の常習性便秘を対象とした95例の臨床試験において、腹痛1例(1.1%)、軽度の下痢1例(1.1%)が認められ、9 例(9.5%)に血漿中マグネシウム濃度の軽微な上昇が認められた。
引用元:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066046.pdf
主な副作用は「腹痛」「下痢」「高マグネシウム血症」となります。
この薬は腸を刺激するタイプではありませんが、大腸の水分調整が変わることで体質によっては下痢や腹痛を起こすこともあるので注意しましょう。また、あまりに便が緩い場合は飲む量や回数を減らすようにして飲むと良いですよ。
医師と相談のうえ子供や妊婦も服用できる
酸化マグネシウムは体内にはほとんど吸収されません。成分的にも安全なものなので、妊婦さんの便秘にもよく使われている薬です。しかし、量を多く飲みすぎると子宮の収縮を引き起こすこともあるため注意してください。詳しくは主治医と相談してみましょう。
子供も服用することはありますが、市販薬では年齢が定められている場合もあります。服用前に医師または薬剤師に相談してください。
酸化マグネシウムの服用の注意点
酸化マグネシウムは安全な薬だとお話ししましたが、使う人の状態や服用量によっては問題となることがあります。特に注意したいのは次の場合です。
- 高齢者
- 腎臓の病気がある
- 心臓の病気がある
- 下痢をしている
- 高マグネシウム血症の方
以上の場合では体内で高マグネシウムとなることで、副作用を起こしやすくなります。もし当てはまる場合には医師または薬剤師と相談してから服用を始めてください。
酸化マグネシウムの飲み合わせに注意が必要なもの
酸化マグネシウムは吸着作用や酸を中和する作用などがあるため、他の薬との飲み合わせに問題を起こすことがあります。他のお薬を飲んでいる方はあらかじめ医師または薬剤師に相談しておくことが大切です。
飲み合わせに注意したい薬には次のような薬剤があげられます。
- テトラサイクリン系・ニューキノロン系の抗生物質
- 骨粗鬆症の薬(ビホスホネート系)
- セフジニル・アジスロマイシンなどの抗生物質
- 一部の胃薬
- ジギタリス製剤
- 活性型ビタミンD2製剤
など。以上の他にも相互作用をもつ薬はあるので、服用前に今飲んでいる薬との飲み合わせを医師や薬剤師に確認してもらうようにしましょう。
サプリメントには注意
マグネシウムを摂取することで、他のミネラルの吸収排泄にも影響が起きることがあります。たとてば、大量の牛乳を飲むと腎臓でカルシウムの再吸収が増えて、高カルシウム血症を引き起こすことがあります。大量の牛乳以外にも、カルシウムサプリメントの摂取には注意が必要です。
何らかのサプリメントを飲んでいる場合、飲みたいという場合も相談しておくと安心です。
酸化マグネシウム便秘薬を手に入れる方法
酸化マグネシウムという薬自体、あまり今まで見たことも聞いたこともないという方はどこで手に入れるかということも気になるはずです。酸化マグネシウムの便秘薬を手に入れる方法を紹介していきます。それぞれメリットデメリットがあるので理解しておきましょう。
市販で買う
簡単に自分で手に入れるならば市販で買うことができるので、ドラッグストアまたは薬局で探してみましょう。商品には酸化マグネシウムと商品名に書かれていない場合もありますので具体的な商品をご紹介します。
酸化マグネシウムE便秘薬(健栄製薬)
Amazonで詳細を見る
楽天で詳細を見る
酸化マグネシウムE便秘薬(健栄製薬)
Amazonで詳細を見る
楽天で詳細を見る
錠剤ミルマグLX(エムジーファーマ)
Amazonで詳細を見る
楽天で詳細を見る
スルーラックデルジェンヌ(エスエス製薬)
Amazonで詳細を見る
楽天で詳細を見る
太田胃散整腸薬 デ・ルモア(太田胃散)
Amazonで詳細を見る
成分として酸化マグネシウムのみを含むタイプや、「太田胃散整腸薬 デ・ルモア」のように整腸剤と配合されているタイプもあります。自分の症状や目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
また、錠剤タイプから粉、液体タイプもあります。液体タイプの方が錠剤よりも腸まで速やかに届きやすいですが、効果に大きな差はありません。飲みやすいものを選ぶようにしましょう。
処方箋
お医者さんから発行される処方せんを元に酸化マグネシウムを処方してもらうことも可能です。
酸化マグネシウムは効果がある場合と効果が出にくい場合があります。自分にあったタイプを選ぶためにも、市販薬よりも病院を受診してお医者さんに薬を選んでもらう方が効果は得られやすいでしょう。
また、飲み合わせや持病の問題があるケースでは市販薬では思わぬトラブルを発生することもあります。いつも診てもらっている主治医の先生に便秘である旨を伝えて、服用して良いかどうか確認してもらった方が安心です。
便秘薬を使用する時のコツ
酸化マグネシウムを含めた便秘薬は、適切に選んで正しく使うことが大切です。安易に使いすぎると効果が強く出て辛い思いをするばかりでなく、薬が次第に効かなくなることもあるのです。次のようなポイントを理解しておき、便秘薬を活用することが大事です。
効果が無ければ病院へ
市販の便秘薬や処方してもらった便秘薬を使っても、便が出ない、改善しないということであれば、早めに病院を受診しましょう。効かない薬なのではなく、その薬があなたの症状や原因に対して適当ではない可能性が高いためです。
便秘が高度な場合や、腸の動きの異常やガンやポリープなどの物理的な障害がある場合には、酸化マグネシウムでは効果が不十分になることも。適切な薬を処方してもらうためにも、重大な疾患を見逃さないためにも早めに受診することをおすすめします。
生活習慣も改善を
便秘を改善するには、お薬を飲んでいるだけでは対策としては不十分だと言えます。便秘の原因としては食事や運動などの生活習慣が関わっていることがほとんどです。また、ストレスや自律神経の乱れが関係している可能性もあります。
便秘薬だけに頼らずに便秘を改善していくには生活習慣の見直しが不可欠です。まずはバランスのよい食事と適度な運動を取り入れることをはじめていきましょう。また睡眠不足も便秘を悪化させますので、規則正しく生活して十分な睡眠を取ることも大切です。
おすすめは次の方法です。
- ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と、ヨガやストレッチなどの運動を組み合わせて取り入れる
- 食物繊維は不溶性、水溶性ともにバランスよく十分に取り入れる
- 水分は1日1.5-2.0L摂取する
- ストレスを緩和するアロマやハーブを取り入れる
- 朝起きたら1杯のレモン水を飲んでお腹を刺激
- お腹の「の」の字マッサージを行う
自分にあった方法を見つけて、続けて行なっていくことが効果をあげるコツですよ。
酸化マグネシウムは穏やかな便秘薬
今回は酸化マグネシウムという便秘薬について紹介してきましたが、参考になったでしょうか。酸化マグネシウムはお腹が痛くなるのが嫌、初めて便秘薬を飲むという方、癖になるのが怖いという方におすすめの穏やかな便秘薬です。
ただし、使い方によっては副作用が出たり、効果が得られなくなることもあります。正しく使用するため迷ったら医師または薬剤師に相談してからが安心です。適切に使ってお通じを改善できるように、生活習慣の見直しも行なっていきましょう。