人間の身体には、経穴と呼ばれる場所、いわゆるツボが300か所以上もあると言われています。ツボによっては便秘の改善効果があるということですが、即効性のあるツボなどあるのでしょうか。今回は便秘改善に効果のあるツボと、便秘を根本から改善する方法を紹介します。
便秘が続くと不快なだけでなく、さまざまな精神的トラブル、および身体的トラブルの可能性が増してしまいます。便秘の改善法はいろいろありますが、ツボ押しによって便秘の改善も可能となっています。では、便秘改善にはどのようなツボが効果的なのでしょう。また、便秘を根本から改善するためには、どのようなことに注意すればよいのでしょう。
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便秘改善効果のあるツボ・耳の場合
それでは早速ですが、便秘改善効果の期待できるツボについて見ていきたいと思います。まずは、耳にある便秘改善効果のあるツボからです。耳には身体の各パーツに対応したツボが集中しているとされています。では、便秘の改善にはどのツボが有効なのでしょう。
便秘改善効果のある耳のツボ・便秘点
耳にある便秘改善効果のあるツボとしては、その名もズバリ便秘点(べんぴてん)があげられます。便秘点は、耳の上の方にある1つ目のくぼみの付け根あたりです。
小指の先で刺激してあげるのもいいですし、ビーズなどがあれば、ばんそうこうで張り付けるのもよいでしょう。また、通販で「耳つぼダイエットシール」を購入するという手もあります。
便秘改善効果のある耳のツボ・内分泌点
耳にある便秘改善効果のあるツボとしては、内分泌点(ないぶんぴつてん)もあげられます。場所は、耳の下側のU字型にくぼんでいる場所の淵になります。
やはり小指で刺激したり、耳つぼシールなどを貼ったりするとよいでしょう。ただし、耳はとてもデリケートな場所なので、強く刺激したり、テープを張りっぱなしにしたりすることは避けましょう。
内分泌点には、便秘の改善効果だけでなく、新陳代謝を高めたり、エストロゲンの分泌を正常化したりする効果も期待できるということです。つまり、内分泌点を刺激することで、美容効果も得られるという訳なのです。
便秘改善効果のあるツボ・手の場合
手にも、便秘改善効果の期待できるツボがいくつかあります。自分で簡単に刺激することができるので、便秘に悩まされている人は、日頃からツボ押しをおこなうといいですよ。
便秘改善効果のある手のツボ・神門
便秘改善効果の期待できる手のツボとしては、神門(しんもん)があげられます。神様が通るための門という字を書くことから、東洋医学では重要視されているツボです。
手のひらをこちら側に向けたときに、手首にある下側のシワを小指の方へとたどっていくと、やがてやや落ちくぼんだ場所があると思います。そこが神門にあたります。
神門には便秘の改善効果だけなく、精神を安定させる効果もあるということです。親指と人差し指で神門を挟むようにして圧迫するとよいでしょう。
便秘改善効果のある手のツボ・合谷
手にある便秘改善効果の期待できるツボとしては、合谷(ごうこく)もあげられます。合谷を刺激すると、さまざまな効果が得られることから、万能穴(ばんのうけつ)などと呼ばれることもある、東洋医学的には大活躍してくれるツボです。
合谷の場所は、手の甲をこちら側に向けたとき、親指と人差し指の骨の付け根、人差し指側に向けて押したときにやや痛みを感じる場所に当たります。反対の手の親指で、人差し指側に向けて圧迫するとよいでしょう。
合谷には便秘や下痢といった排便障害の改善効果だけでなく、肩こりや首こり、頭痛、不安感や不眠症などの改善効果も期待できるということです。
便秘改善効果のある手のツボ・支溝
便秘改善効果の期待できる手のツボとしては、支溝(しこう)もあげられます。手の甲をこちら側に向けたとき、手首から指の幅4本分下に下がったところに支溝のツボがあります。
支溝のツボは、エネルギーの分配と、体内の水分代謝をつかさどっているとされており、便秘を改善するのに効果的だということです。
便秘改善効果のある手のツボ・間使
手にある便秘改善効果の期待できるツボとしては、間使(かんし)もあげられます。間使のツボは、手のひらをこちら側に向けたとき、手首のシワから指の幅4本分下がった場所にあります。
間使には腸の働き(蠕動:ぜんどう)を活発にし、便を出やすくしてくれる働きがあるおで、おなかが痛いのに排便がみられないようなときに圧迫するとよいでしょう。
便秘改善効果のあるツボ・お腹の場合
便秘とは腸内に便が詰まった状態のことを言います。そのため、おなかのツボを押すことによって、効果的に便秘の改善を図ることができますよ。
便秘改善効果のあるお腹のツボ・天枢
便秘改善効果の期待できるお腹のツボとしては、まず天枢(てんすう)があげられます。天枢のツボは、おへそから指の幅3本分の場所、左右に1つずつあります。
私たちが食べたものは、口の中で唾液に含まれる消化酵素と混じり合うことで、消化されやすい状態になって胃へと送られます。
胃へと送られた食べ物は、3時間から4時間ほどかけて胃液によって消化され、ドロドロの状態になって十二指腸へと送られます。十二指腸では膵液や胆汁が分泌され、さらに食べたものがドロドロにされます。
十二指腸でさらにドロドロになった消化物は、小腸へと送られ、そこで栄養素が吸収されることとなります。栄養素を吸収された消化物は、いよいよ大腸へと送られることとなります。
小腸から大腸へと送られた食べ物は、上行結腸から横行結腸、下行結腸からS状結腸を経て、直腸から肛門へと送られます。その過程で水分が吸収され、便が作られることとなります。
天枢のツボはちょうど、大腸の上行結腸と下行結腸のあたりに位置しており、天枢のツボを刺激することによって、腸の蠕動を活発にし、便意を促進することが可能となります。
便秘改善効果のあるお腹のツボ・大巨
便秘改善効果の期待できるお腹のツボといえば、大巨(だいこ)も忘れてはいけません。大巨には胃腸の働きを正常化する効果が期待できるとされています。
大巨のツボの場所は、おへそから指の幅3本分下に下がった場所から、さらに指の幅2本分左右にいったところにあります。
便秘改善効果のあるお腹のツボ・関元
お腹にある便秘改善効果の期待できるツボとしては、関元(かんげん)もあげられます。関元はその名前からも分かるように、「元気の関所」とも呼ばれています。
東洋医学では、関元への気の流れが滞ることによって、身体から元気がなくなってしまい、結果として便秘になると考えられているのです。
関元の位置は、おへそから指の幅4本分下に行った所にあります。関元には便秘改善効果だけでなく、生理痛を改善する効果もあるということなので、生理に悩まされている女性は関元のツボを試してみてくださいね。
便秘改善効果のあるお腹のツボ・中脘
便秘改善効果の期待できるお腹のツボとしては、中脘(ちゅうかん)もあげられます。中脘はおへそから指の幅4本分上に行った所にあります。ちょうどおへそのみぞおちとの中間点あたりになります。
中脘のツボを刺激することで、胃の機能を正常化することが可能となります。食後に胃もたれをするような人は、中脘のツボを刺激するとよいでしょう。
便秘改善効果のあるツボ・背中の場合
便秘改善効果の期待できるツボは背中にもあります。では、背中にある代表的な便秘改善効果の期待できるツボを2つ紹介したいと思います。
便秘改善効果のある背中のツボ・大腸愈
背中にある便秘改善効果の期待できるツボとしては、大腸愈(だいちょうゆ)があげられます。病気やけがが治ることを「治癒」といいますが、愈という文字にも癒えるという意味があります。
その名の通り、大腸を癒すことのできるツボだという訳なのですね。大腸愈の場所は、背骨と骨盤がちょうどぶつかるあたりに、左右1つずつあります。
大腸愈を刺激すると、便秘や下痢といった排便障害の改善効果が得られるだけでなく、冷え症の改善効果や腰痛の改善効果、食当たりの改善効果なども期待できるということです。
便秘改善効果のある背中のツボ・便秘点
背中にある便秘改善効果の期待できるツボとしては、その名も便秘点(べんぴてん)があげられます。耳のツボにも便秘点がありましたが、背中にも便秘点はあります。
便秘点の位置は、背骨から左右に指の幅4本分、一番下の肋骨から指の幅2本分下に行った所、左右に1つずつあります。
便秘改善効果のあるツボ・足の場合
人間の身体には300個以上のツボがあるとされますが、足にも便秘改善効果の期待できるツボがあります。では、足にある便秘改善効果の期待できる代表的なツボを3つ紹介したいと思います。
便秘改善効果のある足のツボ・足三里
便秘改善効果の期待できる足のツボとしてはまず、足三里(あしさんり)があげられます。膝のお皿の下から外側に向かうと、くぼんだ場所があると思います。
手の指をそろえた状態で、そこに人差し指をあてます。その時、小指の位置にくるのが足三里です。足三里は手の合谷と同じく、万能穴として知られています。
便秘や下痢といった排便障害の改善効果だけでなく、風邪を予防したり体力を増強したりする効果もあります。また、膝が痛いときにも効果を発揮してくれるツボです。
便秘改善効果のある足のツボ・太衝
便秘改善効果の期待できる足のツボとしては、太衝(たいしょう)もあげられます。太衝のツボは、足の甲側、親指の骨と人差し指の骨が交わるあたりにあります。
太衝には便秘改善効果の期待できるだけでなく、冷え症の改善効果も期待できます。また、身体の疲れや目の疲れを回復したり、肝臓の疲れを回復したりする効果も期待されています。
便秘改善効果のある足のツボ・三陰交
足のツボとしてよく知られているものの1つに三陰交(さんいんこう)がありますが、三陰交にも便秘の改善効果が期待されています。
手の指をそろえた状態で、足首にある外くるぶしに小指をあてます。その時、人差し指の位置にあるのが三陰交のツボです。
三陰交には、消化器の働きを正常化し、便秘や下痢といった排便障害を改善する効果が期待されています。また、肝臓や腎臓の機能を高める働きもあるということです。
便秘に即効性のあるツボなんてあるの?
ここまで便秘の改善効果が期待できるツボについて紹介してきましたが、ツボを押すだけで便秘がすぐに解消することなどあるのでしょうか。
たとえば、手にある便秘改善効果の期待できるツボである「支溝」は、別名を「便秘の名穴」と呼ばれており、便秘改善に効果的なツボだとされています。
ただ、押したからと言ってすぐに便意を催すかどうかは人によります。便秘の原因はさまざまなので、ツボを押すだけですぐに便秘を改善することができると考えるのは早計だと言えるでしょう。
昔、身体にあるツボ(経絡秘孔)を突くことによって、身体を回復させたり、逆に身体を破壊したりする技術を持った人が主人公のアニメがありました。
主人公が悪者の経絡秘孔を付くと、内部から爆発したように悪ものが死んでしまうのですが、現実にそのようなことが起こることはあり得ません。
治療効果に関しても同様で、ツボを刺激したからといって、慢性的な症状がすぐに改善するようなことはありません。
ツボをはじめとした東洋医学の目的は、あくまでも身体の機能を正常化させることにあります。生活習慣や食習慣、運動習慣を見直したうえで、さらにツボも併用するという発想が大事です。
ツボ押しの際の注意点
便秘改善効果の期待できるツボはいろいろありますが、ツボ押しをおこなう際にはいくつかの注意点がありますので、以下に紹介しておきたいと思います。
強く押さない
ツボ押しをする際の基本ですが、強い力で圧迫しないように気をつけましょう。「痛い方が効く」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、あまりに強い力で圧迫すると、かえって症状が悪化することもあります。
あくまでも心地よく感じる程度の力で、数回から十数回程度刺激するとよいでしょう。また、同じところばかり何度も押さないようにしましょう。
リラックスした状態でおこなう
ツボ押しをするときには、リラックスした状態でおこなうことも重要です。東洋医学の目的は体質改善ですが、そのためにはリラックスして副交感神経を優位にしておくことが重要です。
お風呂に入って身体を温め、血行を良くした上でツボ押しをおこなえば、体質改善を効果的に実施することができますよ。
ツボ押しは体質改善の一環
今回の記事では、便秘改善に即効性のあるツボはあるのか、また、どのようなツボに便秘改善効果が期待できるのかについて見てきました。便秘改善効果のあるツボは、押したからと言って魔法のように便秘が治る訳ではありません。ただ、体質改善の一環として取り入れるとよいでしょう。