便秘が辛い場合の対処法!便秘のタイプをしって対応しよう!

便秘に悩まされている方は多いですが、何日もお通じがないと辛いものです。ただ、便秘にはいくつかのタイプがあるので、人によって対処法が異なります。今回は、便秘について徹底解説したいと思います。

便秘が続いてお通じがなかなか来ないと、身体的にも精神的にも辛いものですよね。「この辛い便秘から早く解放されたい!」…そう望んでいるのであれば、まずは便秘の原因や、便秘のタイプについて知っておくことが重要です。なぜなら、便秘のタイプによって対処法が異なるからです。

辛い便秘にはいくつかのタイプがあります

白いブラウスを着ている女性

辛い便秘の対処法について紹介する前に、便秘のタイプについて紹介しておきたいと思います、なぜなら、便秘のタイプによって対処法が異なるからです。まずは、自分の便秘のタイプを知ることから始めてくださいね。

便秘のタイプ「器質性便秘」

便秘には自分で努力して治せるタイプの便秘と、お医者さんにかからなくてはなかなか治らない便秘があります。そして、自分ではなかなか治せないタイプの便秘が器質性便秘といわれるタイプの便秘です。

器質性便秘は、腸の形状的異常や手術後の腸管の癒着、大腸ガンなどの異物、腸管に見られる炎症などが原因となって、便の通り道が狭くなることで起こる便秘です。

原因となる疾患や腸管の異常をまず治療する必要があるため、器質性便秘が疑われる場合には、専門の医療機関を受診して治療を行う必要があります。

便秘のタイプ「機能性便秘」

一般的に「便秘」という言葉が用いられる場合、通常は機能性便秘を指すケースがほとんどです。機能性便秘としては、主に以下のようなものがあげられます。

・弛緩性便秘

弛緩性便秘の「弛緩」には、「ゆるむ」とか「たるむ」といった意味があります。その意味の通り、腸管が緩んでしまい、便を肛門の手前にある直腸へと送る機能が低下することで便が出にくくなります。

弛緩性便秘は、主に高齢者や出産後の女性に見られます。高齢者や出産後の女性は運動不足などが原因で筋力が低下してしまっています。

そのため、腸内の消化物を直腸へと送る機能が低下してしまい、健康な状態の便(バナナのような形状の便)が出にくくなってしまうのです。

・けいれん性便秘

けいれん性便秘は、ストレスを抱えている人によく見られるタイプの便秘です。ストレスによる緊張によって腸管も緊張して収縮してしまい、便の通り道が狭くなることで便の形状に異常が見られるようになります。

特徴的なのが、便の形状がウサギの糞のように固くてコロコロした状態になるということです。大腸には、消化物から水分を吸収して便を作るという働きがあります。

けいれん性便秘になると、便が腸内に留まる時間が長くなるため、便からたくさんの水分が吸収されることとなります。

また、腸管の緊張によって便の通り道が狭くなってしまうため、便が途切れ途切れになってしまいます。そのため、ウサギの糞のような形状の便になってしまうのです。

・直腸性便秘

直腸性便秘は、肛門の手前にある直腸で便が滞ってしまうタイプの便秘です。弛緩性便秘やけいれん性便秘とは異なり、直腸性便秘の場合、便はちゃんと直腸まで送られます。

ところが、便秘薬を常用するなどの理由で自然な便意が起こらなくなることで、直腸に溜まった便を排出することが困難になってしまいます。

直腸性便秘になると、便が直腸に留まる時間が長くなるため、水分のなくなったカチカチの便が見られることとなります。

特に高齢者の場合、直腸性便秘によって腸閉塞を起こすリスクが高くなるので注意が必要です。また、若い人であっても、便秘薬の常用による直腸性便秘の悪化を見逃してはなりません。

なぜなら、直腸性便秘が慢性化すると、最悪の場合、死にいたることもあるからです。実際に、1998年に奈良県に住む21歳の女性が、直腸性便秘が原因と思われる腸閉塞で亡くなったという痛ましいニュースがありました。

たかが便秘と侮って市販の便秘薬を利用していると、その内に身体の方に便秘薬への耐性が出来てしまい、だんだんと薬が効かなくなってしまいます。

そうなると、さらに大量の便秘薬を服用することとなりますが、そのようなことは絶対に避けて、専門の医療機関を受診するようにしましょう。

便秘のタイプ「その他の便秘」

器質性便秘や機能性便秘意外には、特定の医薬品を服用することが原因となって起こる便秘があります。例えば、うつ病やアルツハイマーなどの治療薬を服用していると、便秘になりやすくなるとされています。

また、先程も少し触れたように、便秘薬を常用することによって、結果として便秘が悪化するケースもあります。

病院での辛い便秘の治し方

医者

辛い便秘になった場合、病院を受診するというのも一つの手です。では、病院ではどのようにして辛い便秘の治療を行ってくれるのでしょうか。

生活指導

どのような便秘であっても、改善するための生活指導が行われます。便秘になる原因はさまざまですが、食習慣や生活習慣、運動習慣やストレスなどが引き金となって起こるケースがほとんどです。

そのため、食物繊維を豊富に含んだ栄養バランスのよい食事を摂るようにしたり、疲労や睡眠不足を解消したり、適度に身体を動かしたりすることが推奨されます。

便秘薬

専門の医療機関で便秘を治療する場合、一般的には便秘薬が用いられることとなります。便秘薬は便秘のタイプによって使い分ける必要があるため、やはり専門の医療機関を受診することが重要です。

便秘薬の種類

水を飲んでいる女性

辛い便秘が続いて専門の医療機関を受診した場合、便秘薬を用いて治療がおこなわれるケースもあります。では、便秘薬にはどのような種類があるのでしょうか。

便秘薬の種類①浸透圧性下剤

浸透圧性下剤はその名の通り、浸透圧によって便の状態を軟らかくして、排出されやすくすることを目的とした医薬品です。浸透性下剤には以下のようなものがあります。

・塩類下剤

塩類下剤は酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムを主原料として製造されており、昔からよくも散られているタイプの便秘薬です。

塩類下剤は腸管から吸収されるにくいため、薬への耐性が作られにくく、常用性に移行することが少ないといメリットがあります。機能性便秘だけでなく器質性便秘にも用いられますし、食中毒などで消化管内の内容物をすみやかに排出した今愛にも用いられます。

副作用としては、胃のムカムカや吐き気、食欲の低下などがあげられています。また、腎機能障害のある人が用いたり、長期間にわたって服用を続けたりすると、高マグネシウム血症になるケースもあります。

高マグネシウム血症を発症すると、身体が疲れやすくなったり、身体に力が入りにくくなったりといった現象が見られることとなります。

・糖類下剤

糖類下剤は、腸管内に吸収されにくいタイプの糖類を原料として製造された便秘薬です。原料としては、D-ソルビトールやラクツロースがあげられ、それぞれバリウムを用いた後の便秘を予防したり、肝機能障害にともなう便秘を改善したりする目的で用いられます。

副作用としては、お腹にガスが溜まっておならが出やすくなったり、腹痛が見られたりすることがあります。また、胸やけや吐き気、嘔吐が見られることもあります。

・浸潤性下剤

浸潤性下剤は弛緩性便秘や直腸性便秘、痔疾患を持っている人の便秘を改善する目的で用いられます。便を軟らかくして、腸の蠕動を活発にすることで、便秘の改善を目指します。

副作用としては、お腹が張ったり腹痛が出たり、口の中が乾いたりすることがあげられています。また、腸閉塞の人や重度の便秘の人、授乳中の妊婦さんの服用は禁止されています。

・膨張性下剤

膨張性下剤も浸潤性下剤と同様、弛緩性便秘や直腸性便秘、痔疾患を持っている人の便秘を改善する目的で用いられます。腸内の消化物を膨張させて腸管を刺激し、便意を起こさせることで便秘の解消を目指します。

副作用としては、吐き気やおう吐、胸やけやお腹の張りなどがあげられており、やはり腸閉塞や重度の便秘の人の服用は禁止されています。

便秘薬の種類②刺激性下剤

刺激性下剤は直接的に腸管を刺激することによって、腸の働きを活発にすることで便秘の改善を目指すタイプの便秘薬です。薬効は高いのですが、浸透圧性下剤に比べると習慣化しやすいというデメリットがあります。

・小腸刺激剤

小腸刺激剤としては、ヒマシ油がよく知られています。小腸の働きを活発化させることで、小腸内の内容物を早く大腸へと送ることが出来るようになります。

ただし、生理中の女性や妊娠中の女性が服用した場合、大量出血を起こす可能性があります。また、腹膜炎や急性虫垂炎(盲腸)、けいれん性便秘の人は服用が禁止されています。

副作用としては、吐き気やおう吐、胸やけや腹痛、発疹などがあげられています。また、小腸には消化物から栄養素を吸収する働きがありますが、小腸刺激剤を多用すると、栄養状態が悪化することもあります。

・大腸刺激材

大腸刺激剤はその名の通り、大腸を刺激することで蠕動を活発にすることで便通を促すことを目的とした医薬品です。主に弛緩性便秘や直腸性便秘の治療に用いられます。

大腸刺激剤としては、アントラキノン誘導体やジフェニール誘導体が知られていますが、常用すると身体に耐性が出来てしまうため注意が必要です。

ジフェニール誘導体の方は妊婦さんが服用しても大丈夫なのですが、アントラキノン誘導体の方は、妊婦さんや授乳中の女性、生理中の女性の服用が禁止されています。

また、痔疾患を持っている人や急性虫垂炎の人、腸管からの出血が見られる人の服用も禁止されています。

・直腸刺激剤

直腸刺激剤は、分かりやすく言うと坐薬です。直腸を直接的に刺激することによって排便を促します。妊婦さんや生理中の女性、授乳中の女性や痔疾患を持っている人の利用は禁止されています。

辛い便秘の予防法

森の中にいる女性

辛い便秘になると、治療に時間がかかってしまうものです。そのようなロスを避けるためには、便秘にならないことが一番ですよね。では、便秘を予防するにはどうしたらいいのでしょう。

食習慣を改善する

便秘を予防するためには、食習慣を改善することが重要です。特に現代人は、野菜の摂取量が絶対的に不足しているとされています。

野菜には豊富な食物繊維が含まれており、便秘の予防や改善に効力を発揮してくれます。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ違ったアプローチで便秘を予防してくれます。

不溶性食物繊維はその名の通り、体内の消化酵素によって溶かすことが出来ないという特徴と、保湿性が高いという特徴があります。

不溶性食物繊維は消化管内の水分を吸収して膨張しながら、ゆっくりと胃から腸へと移動していきます。不溶性食物繊維が大腸内で膨張すると、便の嵩が増して腸壁を刺激し、便意を促すことが可能となります。

水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなるため、腸内環境を改善することが可能となります。また、水溶性食物繊維には腸内の糖質を包み込んで、腸管への吸収を妨げる働きもあるため、ダイエットをしたい人は積極的に摂取するといいですよ。

ストレスをためない

便秘の原因としてはストレスもあげられます。ストレスが溜まることによって交感神経が優位になると、睡眠の質が低下したり血管が収縮して血行が悪くなったりと、さまざまな弊害が現れます。

交感神経優位の状態が悪いという訳ではなく、交感神経優位の状態が「継続すること」に問題があるのです。

夜になればちゃんとリラックスできるように、ゆっくりとお風呂で温まって、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。

また、ストレスが溜まっているという自覚がある場合、たまには気分転換に出かけたり、好きなことに没頭したり、親しい友人とおしゃべりをしたりして、ストレスを発散するように心がけましょう。

適度に身体を動かす

便秘の原因としては運動不足もあげられています。特に、妊娠中の女性や高齢者は運動不足になりやすいため、便秘になるリスクが高くなってしまいます。

妊娠中であっても、ウォーキングをするなど適度に身体を動かすように心がけましょう。高齢で歩くのがしんどいという場合、プールを利用して歩くのもよいでしょう。

水中だと浮力が働くため、関節に負担をかけずに筋肉に負荷をかけることが可能となります。プールでウォーキングをした後は、しっかりと身体を温めるようにしてくださいね。

便秘の改善は生活習慣の改善

今回の記事では、辛い便秘の種類や辛い便秘の解消法、また、便秘にならないための予防法などについて紹介しました。便秘は必ずしも珍しいものではありませんが、長期化すると思わぬ弊害を招くこともあります。

便秘の改善法は基本的に、生活習慣病の改善とあまり変わりません。ということは、便秘を予防することによって、生活習慣病の予防にもつながるという訳です。いつまでも健康で美しくいられるよう、便秘の改善に取り組んでくださいね。