若い女性に多いのがストレス性の便秘だと言われていますが、その便秘は通常の便秘薬だと逆効果になることご存知でしたか?今回はストレスからくる便秘について詳しくご紹介していますのでストレスと便秘に悩まされている方必見です。
便秘の種類
便秘の種類は、大きく分けて機能性便秘と器質性便秘に分類することができます。機能性便秘は、大腸の働きの異常が原因で引き起こされている便秘で、さらに細かく以下の4つに分かれています。
- 弛緩性便秘
- 痙攣性便秘
- 直腸性便秘
- 食事性便秘
まずは機能性便秘から見ていきましょう。
大腸の働き異常でおこる「機能性便秘」
①弛緩性便秘
通常、健康な大腸は一定の緊張とリズムをもって蠕動運動しています。大腸の運動機能が落ちたり、自律神経のバランスが崩れると、腸の排出機能が低下します。便の滞留時間が長くなり、水分吸収が増加してしまい、便秘が引き起こされてしまうのです。
このタイプの便秘が弛緩性便秘です。その他の原因としては腹筋などの筋力が弱いことで、排便する力が足りなくて便秘になることもあります。筋力不足の女性や高齢者に多いタイプです。
②けいれん性便秘
けいれん性便秘は、自律神経のアンバランスにより引き起こされる便秘です。ストレスだけでなく、感情の高まりによっても引き起こされます。特にけいれん性便秘の場合には、副交感神経の過緊張によって引き起こされやすいと考えられています。
腸の中でも最後の方に当たる左下にある下行結腸に痙攣した部分が生じやすく、この部分が狭くなることで、便の正常な移動が妨げられるために便秘になることが多いようです。
痙攣を起こした部分の上の方は、腸内の圧力が高くなってしまっているために不快感や痛みを感じ、腹が張った感じにもなります。
排便があっても、便の量が少ないことが多く、固い塊となりウサギの糞のようなコロコロ便になりやすくなってきます。
しかも、排便後いったんスッキリしますが、出きった感じはなく残便感が残りがちです。けいれん性便秘の場合には腸の収縮した部分より上方に水分の量が増えるので水様性の下痢になりやすい傾向もあります。
③直腸性便秘
直腸性便秘は、直腸まで便が降りてきているにも関わらず、正常な便意が起こりにくくなって生じる便秘です。
せっかく起こった便意をこらえて排便を我慢したりすると、やがて便意がなくなってしまうと言われています。
我慢が重なることで刺激に対する直腸の感受性が低下してしまい、直腸内に便があっても便意が起こらなくなってしまうのです。女性の7割は弛緩性便秘ですが、のこり2−3割は直腸性便秘といいます。
俗にスーパー便秘といわれることもあり、直腸瘤という便のポケットが肛門近くにできて溜まりやすくなってしまうことも。前かがみの体勢になると直腸から肛門がまっすぐになって排便しやすくなります。
④食事性便秘
繊維質の少ない食事だけを偏って食べていると、腸壁にとって適切な刺激がなくなってしまうので、便秘に陥ってしまうことがあります。便のかさが減ることによって出しにくくなることで便秘になる場合もあります。
さらに、食事の量が極端に少ない若い女性などの場合にも同じような理由から便秘に陥ります。ダイエット中で食事制限をしてから便秘になった場合には、食事性便秘の疑いがあります。
腸管の物理的な異常を伴う「器質性便秘」
器質性便秘は、異常や病気などが原因となり引き起こされる便秘で、機能的ではなく腸管の物理的な異常を伴う便秘です。
大腸の形の異常や、傷をともなうような以下のような病気が原因で起こります。
- 虫垂炎などのような腹部の手術跡の腸の癒着
- 大腸の炎症
- 巨大結腸症のような腸の長さや大きさの異常
- 腫瘍などによる腸管の狭窄
器質性便秘の場合には、安易に便秘薬を飲むだけでは解決にならないことも。適切な対処法を医師に相談しておきましょう。
ストレスが原因のけいれん性便秘とは
けいれん性便秘は、ストレスが原因となって引き起こされています。実際にどのような症状が起こり、どんなことに注意しなければならないのでしょうか?ここではけいれん性便秘の特徴を1つずつ紹介していきます。
けいれん性便秘の特徴
けいれん性便秘は、先ほど紹介したように機能性便秘の1種であり、精神的なストレスや生活環境などの影響で引き起こされやすい便秘だといわれています。
現代社会では、あらゆる環境でストレスを受ける機会がありますので、誰でも起こりうる便秘だとも言えます。けいれん性便秘の症状には、3つの特徴があります。
①便秘と下痢が交互に起こる
けいれん性便秘の最大の特徴がこの便秘と下痢が交互に発生するという特徴です。
これは不思議なようですが、腸の機能が活発になりすぎていることで、消化・吸収のリズムが逆に釣り合わなくなることで、便秘の後に下痢が発生してしまうと考えられています。
②下腹部の痛み
自律神経などの乱れにより大腸が過剰な運動を繰り返しているわけですから、食後などには特に下腹部痛などを引き起こす場合があります。
③硬くコロコロした便
腸の中で便がうまく運ばれないことにより、便秘の時は硬くコロコロとした便になりやすいと言われています。排便後も残便感が気になることが多いタイプです。
けいれん性便秘の時の注意点
①強い便秘薬は使わない
むやみやたらに強い便秘薬は使わないようにしましょう。自己判断での便秘薬や下剤の乱用は、けいれん性便秘にとっては逆効果となる可能性があります。また、そもそも下剤の乱用によりけいれん性便秘を引き起こしてしまっているケースもあります。
最悪の場合には、けいれん性便秘の症状を悪化させる原因ともなるので、医師に相談して適切な治療薬を処方してもらうようにしましょう。
②食物繊維は過度にとらない
便通をよくするためには、「食物繊維をとりましょう」とよく言われますよね。これは大腸の働きを促進するためであり、むしろ大腸が過度にけいれんしてしまっているけいれん性便秘の場合には摂りすぎは逆効果にもなりえます。
食物繊維の中でも、とくに大腸を刺激する作用の強い不溶性食物繊維の摂りすぎは控えましょう。おすすめは、果物や海藻類などの水溶性食物繊維です。
③薬を使う場合は整腸薬
先ほど便秘薬などは向いていないと紹介しましたがその他の薬にも注意が必要です。
一般的に使用されている便秘関連の薬には、刺激性、膨張性、塩類性などがあります。蠕動運動を亢進させる刺激性下剤は使用するとかえって逆効果になるので注意が必要です。
けいれん性便秘の場合には、整腸薬などで腸内環境を整えることで、症状が改善されることもあります。けいれん性では精神的なストレスや自律神経の乱れが関わっていることが多いため、心理的なケアが必要なこともあります。
薬に頼りすぎず、乳酸菌や食物繊維を摂ることにより腸内環境を改善し、自然な排便を目指しましょう。
若い女性に多く、コロコロになる
けいれん性便秘は、一般的に若年者に多いと言われており、男性より女性に多い便秘だといわれています。自律神経失調症を随伴することもあると言われています。
さらに、過敏性腸症候群の便秘型としてあれわれることが多く、腹部膨満は少ないのですが、左下腹痛の症状が出ることもあります。
けいれん性便秘は、腸管の拡張や運動の充進による便秘なので、けいれん性収縮により便は小さく硬くコロコロになったり、細く細切れの便になることも多いといわれています。
腸マッサージは逆効果の場合もある
腸マッサージなども逆効果となります。腸マッサージは、腸の蠕動運動を促進することになるので控えめにしましょう。
マッサージだけでなくストレッチなども腹部の刺激になるものでは効果が得られないことも多いのです。強いマッサージは刺激になりすぎてしまうので、できれば弱めのストレッチ程度を取り入れましょう。
ストレスでのけいれん性便秘を防ぐには
これまでに紹介したようにけいれん性便秘にはストレスが大きく関与しています。ストレスを予防する方法を身につけていきましょう。
ストレスを発散する
けいれん性便秘の原因は、ストレスによる自律神経の乱れがメインになってきますから、対処法としてはやっぱりストレス発散が中心となってきます。ストレスを発散して、リラックスして自律神経の働きが安定すると、胃腸の調子が改善されてきます。
とはいえ、現代においてストレスを感じず生活していくことは難しく、ちょっとした人間関係で崩すこともあれば、仕事のプレッシャーで崩すこともあり、さまざまなストレスで引き起こされる可能性もあります。
ストレスは溜まりきってしまう前に、少しずつ発散していくことが大切です。
休養の時間を作る
一番適切なリラックス方法は、休養をとるということ。睡眠時間を含めて、自分にとってリラックスできる時間を作るということです。
自分が何もつらくない時間、疲れない時間を作りましょう。瞑想や座禅の力ともつながるリラックス方法です。自分の時間を作ることで、体も休まりますし、心も落ち着いてくるはずです。
もちろん、何もしないということではなく、自分の好きな趣味に時間を作ることもオススメです。適度な運動をしたり、歌を歌ったり、ゆっくりお風呂につかることも休息になります。
質の高い睡眠をとる
質の高い睡眠をとることがけいれん性便秘のリラックスには必要です。睡眠時間は、7時間以上はとるようにしましょう。睡眠にはストレスを解消する働きがあります。寝て起きたらイライラなどがスッキリしていたということもありますよね。
睡眠は、自律神経を整える働きがあり、けいれん性便秘を改善することにもつながります。
基本的に睡眠の質は光や音がない環境の方がと良くなるといわれているので、安眠できる環境のもとで眠るようにしましょう。
特に、昼夜逆転生活をしている人は、生活をあらためることも強くオススメします。なぜなら昼夜逆転で生活をしていると自律神経が乱れてしまうからです。
その他にも、寝る前にテレビやパソコン、特に現在だとスマホを見るのはやめた方が無難です。体が興奮状態になり睡眠に支障をきたします。
テレビなどを見るくらいなら、軽いストレッチなどをして軽く疲労することで、ぐっすり眠ることをオススメします。
ツボ押しなどでリラックス時間をつくる
リラックスにはツボ押しもオススメです。リラックスだけでなくストレス解消や食欲低下を改善する効果が得られる場合もあります。オススメのツボは、前腕にある内関(ないかん)というツボです。
このツボの場所は、手首の付け根付近から肘の方へ指三本分のところにあり、反対の手の親指で5秒くらい優しく押し続けてみましょう。
このツボ押しリラックスは、いつでもどこでも簡単にできるので、オススメです。
ストレスで便秘が起きた場合の病院の選び方
ストレスで便秘が起きた場合には、どんな病院に行けばいいのでしょうか?ここでは便秘を治すための便秘外来、そしてメンタル面のケアの目的として心療内科についても合わせて紹介していきます。
便秘外来
便秘の治療というと肛門科や胃腸内科、消化器内科などを受診するのが一般的です。今では便秘が大きな悩みとなっている患者さんが多いことから、便秘外来というものが医療機関によっては設けられています。
特に慢性的な便秘の人は、今までいろいろな試みをしても効果が得られないこともあるでしょう。自分にあった治療法を見つけるためにも、便秘外来に相談してみるというのも手です。
心療内科
心療内科と聞くと、腸の症状なのに?と思う人もいるかと思います。けいれん性便秘の場合などには、ストレスが原因となって引き起こされている可能性があり、心療内科の範囲となることもあるのです。
心療内科は、いろいろなストレスが発端となって体に症状が現れた場合にその治療をするための診療科になります。
けいれん性便秘の場合にはストレスが大きく影響を及ぼしています。不安やうつ病が隠れているということもあるので、精神的な問題を抱えている方は心療内科に相談してみても良いでしょう。
ストレスからなる便秘はある
いかがでしたでしょうか?便秘とストレスは大きく関係があります。便秘になる原因がストレスだった場合、便秘になると余計にストレスが溜まってしまい、ストレスが増大してしまうことも。
ストレスは小さいうちにケアすることが大事です。また、便秘の種類によっては便秘薬が合わないこともあります。便秘が改善しないという場合には、精神的な対策も含めて広い視線を持って対処していくようにしましょう。