ひどい便秘の改善法!あまりに酷いときは病院を受診しよう!

「ひどい便秘に悩まされて辛い」という方、どのような対処法を講じているでしょうか。市販の便秘薬を継続して服用していると、かえって便秘がひどくなってしまうケースもあります。

ひどい便秘の改善には、生活習慣の見直しなどをおこなうほか、病院を受診する必要がでてくるケースもあります。

便秘は多くの女性にみられる現象で、取り立てて珍しいものという訳でもありません。ただ、便秘の悩みは人によってさまざまです。

あまりに長いあいだ便通が来ないと、身体だけでなく精神的にもイライラしてしまうものです。そんなひどい便秘になった場合、どのようにして対処したらよいのでしょうか。

ひどい便秘ってどんな便秘?

お腹を両手で抱え込んでいる女性

ひどい便秘の改善法を紹介する前に、そもそも便秘とはどのような状態をいうのか、また、どのような便秘がひどい便秘なのかについて見ていきたいと思います。

便秘の定義って?

便秘を定義することはなかなか難しいのですが、一般的には腸内に便が滞っている状態や、排便が困難な状態のことを便秘と呼んでいます。

また、排便があまりにも困難な場合や、便秘にともなって何らかの不具合が生じた場合で、医療機関による治療が必要となった場合、「便秘症」と呼ばれることもあります。

酷い便秘の例

どのような便秘が酷い便秘なのかを定義することは、便秘を定義すること同様になかなか難しいものです。そもそも、排便が毎日必ず見られるから健康という訳ではなく、2日や3日に1回しか排便がなくても、バナナのような形をして便がスッキリと排便されていれば、それはそれで健康だと考えられているからです。

酷い便秘の例としては、1週間も2週間も排便がないというような状態があげられます。また、排便の際に痛みが生じたり、お尻から出血したりするような便秘も酷い便秘だと言えそうです。

便秘になる原因ってなに?

お肉

日本人のおよそ1割程度が便秘だといわれていますが、なぜそれほど多くの人が便秘になってしまうのでしょうか。主な原因としては以下のようなことがあげられています。

便秘になる原因1 食習慣

便秘の原因としては、食習慣が最初にあげられるようです。それはそうで、便は私たちが食べたものの「残りカス」のようなものだからです。

便秘が増えた要因としては、欧米化した食習慣があげられることもあります。昔の日本人は、玄米を中心として、魚や海藻、きのこや野菜などをバランスよく食べていました。

ところが、高度経済成長期以降、日本人も脂っこい食事やカロリーの高い食事を好むようになってきました。具体的に言うと、昔とくらべて食肉の消費量が段違いに増加したということです。

ご飯とお肉が中心の食生活に移行したことで、必然的に野菜の摂取量が減ることとなったのです。現在、日本人1人当たりの野菜消費量は、アメリカ人1人当たりの野菜消費量よりも少なくなってきているほどです。

野菜には豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維には不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維の2種類があり、それぞれ違ったアプローチで便秘の改善をサポートしてくれます。

不溶性の食物繊維は、体内の消化酵素によって溶かされることなく、消化管内の水分を吸収して膨張しながら、食道から胃、腸へと移動していきます。

不溶性の食物繊維が腸の中で膨張することによって、便のかさが増すこととなります。かさを増した便が腸管を刺激することで便意が生じ、それによって排便しやすくなるのです。

水溶性の食物繊維は、腸内の善玉菌を繁殖させるためのエサとなってくれます。腸内環境を改善して、便秘を根本から治したいようなときに、水溶性の食物繊維は欠かすことのできない栄養素となっています。

ただし、不溶性の食物繊維を摂取することで便秘が悪化するようなケースもあります。直腸性便秘と呼ばれるタイプの便秘の場合、便はちゃんと直腸に送られているのに、うまく便意を脳に伝えられず、結果として便秘になってしまいます。

直腸性便秘の場合、肛門の手前にある直腸に便がたまっており、便意が起こらないために便が硬くなってしまいます。そのようなときに不溶性の食物繊維を摂取すると、ますます便が硬くなってしまうため注意が必要です。

便秘になる原因2 生活習慣

便秘の原因としては、生活習慣もあげられます。たとえば、仕事が忙しかったり通勤時間が長かったり、夜更かしをしたりして睡眠不足になると、便秘になるリスクが高くなります。

なぜなら、私たちが食べたものの消化や吸収は、寝ている間に活発におこなわれるからです。睡眠時間が減少すれば、消化や吸収に割く時間が減ってしまうため、必然的に便秘になる可能性が高くなるわけです。

便秘になる原因3 運動習慣

便意がうまく怒らない直腸性便秘とは異なり、筋力の低下や運動不足によって腸の蠕動(ぜんどう)が弱くなり、それによって便が腸へとスムーズに送れなくなるタイプの便秘を「弛緩性の便秘」と呼んでいます。

弛緩性の便秘は、高齢者や出産後の女性に多くみられるとされていますが、それは、高齢者や妊婦さんが運動不足に陥りやすいこととも密接に関係しています。

運動不足によって腸の蠕動が弱くなるだけでなく、血行不良によって全身の栄養状態が低下することも便秘の要因と考えられています。なぜなら、血液が全身に酸素と栄養を運んでいるからです。

胃腸への血液循環が滞ると、食べ物が十分に消化されない状態で腸へと送られたり、腸内を通過するのに時間がかかったりすることによって、便秘を発症することがあります。

便秘になる原因4 ストレス

ストレスは万病のもとなどといわれることがありますが、便秘とストレスにも密接な関係があります。特に、便秘と下痢とを繰り返すような場合、ストレス性の便秘になっている可能性があります。

便秘になる原因5 便秘薬の飲みすぎ

便秘になると便秘薬を飲むこともあると思いますが、その便秘薬によって、かえって便秘がひどくなるようなケースもあります。

便秘薬には、浸透圧性の下剤や刺激性の下剤、浣腸などさまざまなものがあります。刺激性の下剤や浣腸は身体への刺激がおおきいため、便秘改善の効果も高いのですが、継続して服用することで、身体の方に耐性ができてしまうというデメリットがあります。

続けて服用していると、同じ量ではうまく排便できなくなり、さらに薬の量を増やすこととなります。また、便秘薬に頼ることで自然な便意が起こらなくなり、便秘がさらに悪化するという悪循環にも陥りやすくなります。

酷い便秘にはどう対処したらいい?

診察

便秘の原因はさまざまで、便秘の程度も人によっていろいろです。それでは、1週間も続くような酷い便秘や、排便にともなって痛みを生じるような便秘になってしまった場合、どのように対処したらよいのでしょうか。

病院を受診する

酷い便秘になってしまったら、まずは専門のお医者さんに相談しましょう。消化器内科や便秘外来を受診するのがおススメです。なぜなら、便秘にはいろいろなタイプがあり、それに応じた対処法が必要となるからです。

たとえば弛緩性の便秘であれば、運動をおこなうことによって腸の蠕動を促進したり、食物繊維をとることによって便のかさを増し、便意を促進したりします。

直腸性の便秘であれば、まずは下剤を用いてたまってしまった便を排出し、その後に食習慣を改善したり、整腸剤を用いたりして腸内環境を整えることとなります。

弛緩性の便秘や直腸性の便秘は機能性の便秘と呼ばれるものの一種ですが、機能性の便秘にはその他にも一過性単純性便秘や、けいれん性便秘があります。

一過性単純性便秘はその名の通り一過性の便秘であり、排便をすると治ってしまうことがほとんどです。そのため、あまり心配する必要はないとされています。

けいれん性の便秘は、ストレスなどが原因で緊張状態になることで、腸管が収縮して便が通りにくくなったり、便が詰まったりするタイプの便秘です。ウサギのフンのようなコロコロとした便が出る場合、けいれん性の便秘になっている可能性があります。

けいれん性の便秘を起こしているような場合、まずは便秘の原因となっているストレスを取り除くことが重要となります。便秘の専門医はそのような点も勘案した上で、その人に合った便秘の改善法を提案してくれるわけです。

生活習慣などを見直す

疲労や睡眠不足、夜更かしや朝寝坊など、明らかに便秘の要因となるような生活習慣があるのであれば、生活習慣を見直すことも重要となります。

便秘の治療法は、なにも便秘薬を服用することだけではありません。病院でもまずは生活習慣を改善するように指導されることがほとんどです。

便秘解消に効果的な食事をする

栄養バランスの取れていない食習慣になっている場合、便秘を解消するために効果的な食事を摂ることが重要です。ジャンクフードやファーストフード、コンビニ弁当ばかり食べていては栄養バランスが偏ってしまいます。

白米ではなくできれば玄米を中心とし、魚や海藻、きのこや野菜をたくさん摂るようにしましょう。ただし、すでに便秘になっている人の場合、まずは便を排出する方が先です。

酷い便秘を放置した場合のリスク

驚いている女性

酷い便秘を放置してしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。脅かすわけではありませんが、酷い便秘を放置した結果、死にいたるようなケースもあります。

痔になる可能性が高くなる

酷い便秘を放置した場合、痔になる可能性があります。痔を患っている人の数は意外と多く、虫歯と並んで日本人の国民病だとする医師もいるほどです。

痔には「いぼ痔」や「切れ痔」、「あな痔」などがありますが、それぞれ医学的には「痔核」、「裂肛」、「痔ろう」と呼ばれています。

男女を問わずもっとも多いのが痔核ですが、女性の場合、痔核に続いて多くみられるのが裂肛だとされています。男性の場合は、痔核の次に多いのが痔ろうだとされています。

女性に裂肛が多くみられる原因としては、女性は男性より便秘になりやすいということがあげられています。排便が困難なため、無理やり便を出そうといきむことで、肛門付近の粘膜を傷つけてしまうのです。

ちなみに、妊婦さんのおよそ2人に1人は痔になるといわれています。これから出産を考えられている人は、恥ずかしがらずに病院を受診して、痔を治しておいた方がいいですよ。

合併症を起こしやすくなる

酷い便秘を放置した場合、合併症を起こすリスクが高くなります。特に、高齢者が便秘になってしまうと、腸閉そくを起こすリスクが高くなるとされています。

また、酷い便秘を放置すると、大腸癌を発症するリスクも高くなるとされています。大腸癌は、女性の癌による死因のナンバー1となっていますが、そのことと女性に便秘が多いこととは無関係ではないと思われます。

死亡例もある!?

酷い便秘を放置した場合、最悪の場合、死にいたることもあります。もちろんまれなケースではあるのですが、実際に酷い便秘が原因で亡くなられた方がいらっしゃるので、その事案について紹介しておきたいと思います。

日本人女性の事案

酷い便秘が原因で、奈良県に住む21歳の若い女性が亡くなったという痛ましいニュースがありました。1998年に起こったことですから、それほど遠い昔の話というわけではありません。

女性は比較的小柄でしたが、亡くなった際には腸内になんと6.7kgもの便が詰まっていたそうです。それが原因で腸閉そくを発症し、亡くなってしまったと考えられています。

死亡する1年以上前から、亡くなった女性は便秘薬を常用していたそうです。おそらく、便秘薬の常用によって身体に耐性ができてしまい、酷い便秘になってしまっていたのでしょう。

イギリス人女性の事案

イギリスでも、酷い便秘が原因で亡くなられた方がいます。2013年の2月に、イギリスはコーンウォール州に住む16歳の少女がなくなったという悲しいニュースがありました。

少女は小さい頃から便秘に悩まされており、亡くなる直前の8週間にわたって、排便がみられなかったということです。

また、2016年には、やはりイギリスに住む26歳の女性が、出産時に便秘が原因と思われる難産にともなう大量出血の結果、多臓器不全を起こして亡くなったという事案もあります。

QOLの低下をまねく便秘

今回の記事では、酷い便秘になってしまう原因や、酷い便秘を放置した場合のリスクについて紹介しました。便秘が原因で死亡することはめったにありませんが、そういったケースがないわけではありません。

また、酷い便秘を放置した場合、痔になるリスクも高くなってしまいます。痔になると著しくQ・O・L(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が低下してしまいます。たかが便秘と侮らずに、早めに病院を受診して治すようにしてくださいね。