便秘で1週間お通じがないと重症?重度の便秘の解消法を紹介

便秘の定義は難しいですが、1週間に2回しか排便がないような場合、便秘だと認定されることとなります。その他にも排便習慣の変化などがあげられていますが、1週間お通じがないような場合、どのように対処すればよいのでしょう。

便秘の程度は人それぞれで、3日や4日にわたってお通じがないという人もいれば、1週間や2週間お通じがないと言う人もいます。

では、1週間にわたってお通じがない場合、重度の便秘と言えるのでしょうか。また、長期間にわたって便秘が続くとどのような不都合が生じるのでしょうか。便秘の原因や対処法とあわせて紹介したいと思います。

便秘で1週間もお通じがない場合は重症?

?マークを持っている女性

これまで一度も便秘になったことがないという人は少ないのではないでしょうか。特に女性には便秘が多くみられ、妊娠した場合など、およそ半数の女性が便秘になるといわれています。そんな便秘ですが、1週間以上も続くような場合は重症なのでしょうか。

便秘とは

1週間以上も続く便秘が重症なのかどうかを判断するためには、まず、便秘とはどのような状態のことを指すのかについて知っておく必要があります。場合によっては1週間にわたって続く便秘であっても、心配することはない可能性もあります。

逆に、3日間や4日間続く便秘であっても、直ちに病院を受診した方がよいケースもあります。では、便秘とはどのような状態のことをいうのでしょうか。

実は、便秘には明確な定義がないという現実があります。便秘とは、腸内に便がとどまっている状態や、腸内にある便をうまく排出できないという現象を意味します。

〈週間お通じがない場合は重症?〉

便秘には明確な定義がないということでしたが、一般的には1週間の排便回数が2回以下である場合や、3日以上排便がみられないような場合を便秘と呼んでいるようです。

ただ、1週間以上お通じがなかった場合であっても、その後の排便習慣が正常に戻るようであればそれほど心配する必要はないでしょう。

1週間以上もお通じが来ないのを何度も繰り返すようであれば、重度の便秘と言えるでしょう。そのような場合は、一度病院を受診して、詳しくみてもらうようにしましょう。

また、便秘の場合に問題視されるのが、排便習慣が変わるということです。これまでは毎日便通があったのに、それが急に2日、3日と排便が来なくなったなどというような場合、なんらかの疾患を発症している可能性があります。

逆に、2日に1回とか3日に1回の排便回数だったとしても、それが昔からの排便ペースであって、特に健康上なんの問題もみられないようであれば、特に心配する必要はないと言えるでしょう。

便秘の原因ってなに?

頭を抱えている女性

便秘で1週間お通じがない場合の対処法について紹介する前に、そもそもなぜ便秘になってしまうのか、その原因について見ていきたいと思います。

便秘の原因1 ストレス

便秘になる原因としては、ストレスの存在があげられています。ストレスは便秘に限らず、心身に起こる様々なトラブルの元となります。なぜなら、ストレスがたまることによって、自律神経のバランスが乱れてしまうからです。

便秘になれば便秘薬を飲めばいいとか、風邪を引いたら風邪薬を飲めばいいと考えていらっしゃる方は、一度、自律神経の働きについて知っておいてほしいと思います。というのも、人間の生命活動は自律神経の働きによって維持されているからです。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つから成っており、両者がバランスをとることによって、血圧を調整したり体温を調節したり、食べたものの消化や吸収をおこなったりしているのです。

交感神経と副交感神経との関係はよく、車のアクセルとブレーキとの関係にたとえられます。日中、活動的になるときは交感神経が優位になり(アクセルを踏み)、夜になって身体を休めるときには、副交感神経が優位になる(ブレーキを踏む)という訳です。

どちらが優位であればよいという訳でなく、両者のバランスが重要なのです。ところが、ストレス状態が継続することによって、両者のバランスが乱れてしまいます。

日本人には交感神経型の人が多いとされていますが、ストレス状態が長く続くことによって、交感神経優位の状態も長く続いてしまうのです。

本来であれば、副交感神経が優位になるはずの時間になっても交感神経優位の状態が続くと、いわばアクセルを踏みっぱなしの状態になってしまうため、身体を回復させることができなくなってしまいます。

特に、私たちが食べたものの消化や吸収は、おもに夜、寝ている間におこなわれます。交感神経優位の状態が続くと、食べたものの消化や吸収が滞ることとなり、結果として便秘になる確率が高くなってしまうのです。

また、交感神経優位が優位になると、血管が収縮して血液の循環が悪くなってしまいます。血液は全身に酸素と栄養を運んでいるため、血行が悪くなることによって栄養状態の低下を招いてしまいます。

胃腸への血液循環が滞れば、胃もたれを起こしたり、消化が滞ったりすることとなります。また、腸の蠕動(ぜんどう)が不活発になり、便を肛門の手前にある直腸へと送る働きも低下することとなります。

交感神経優位の状態が続くと、脳内の3大神経伝達物質の1つである、セロトニンの分泌量も低下します。セロトニンには、簡単に言うと神経を鎮静化させる働きがあります。

ストレス状態が続いた人が自律神経失調量やうつ病になってしまうのは、セロトニンの分泌量低下によって、神経を鎮静化させることができなくなっていることもその要因となっています。

さらに、セロトニンの分泌量が低下すると、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激されにくくなることも分かっています。満腹中枢が刺激されにくくなると、必然的に食べ過ぎてしまうこととなるため、さらに便秘になり可能性が高くなるわけです。

このように、自律神経のバランスが乱れると、便秘になるだけでなく肥満になるリスクも高くなりますし、睡眠の質が低下することによるさまざまな弊害も現れます。

すべての疾患に関して、自律神経は大いにかかわっています。対症療法ではなく、根本的に便秘やなんらかの疾患を治したいのであれば、まずは自律神経のバランスを整えることが重要です。

市販の便秘薬で一時的に便通があったとしても、それは便秘を根本的に解決したことにはなりません。また、市販の便秘薬を常用することで身体に耐性ができ、便秘薬が効かなくなることもあります。

そのような状態になると、さらに便秘薬の量が増えることとなり、副作用のリスクが大きくなります。やはり、便秘を根本的に改善するためには、自律神経のバランスを整えて、体質を改善することが重要です。

便秘の原因2 食習慣

便秘の原因としては、食習慣もあげられます。特に、野菜をとる量が少ないと、便秘になりやすくなるとされています。現代人の食生活は野菜不足だといわれており、そのため厚生労働省では、1日あたり350gの野菜を摂るように推奨しています。

現代人の野菜摂取量が減った要因としては、欧米化した食習慣があげられています。ファーストフードやジャンクフードを食べる機会が増えたほか、肉食中心となってきていることも、便秘の人の増加に拍車をかけています。

日本人が1年あたりに食べる肉の量はどんどん増えており、1960年には1年につき3.5kgしかお肉を食べていなかったのに、50年後には30kgにまで増加しています。

お肉を食べる量が増えた結果、野菜を食べる量が減少することとなったのです。現在となっては、1日あたりに野菜を食べる量は、日本人よりもアメリカ人の方が多くなっているほどです。

野菜には豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維には不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維とがありますが、それぞれが便秘の改善に効力を発揮してくれます。

便秘の原因3 運動不足

便秘になる原因としては、運動不足もあげられます。特に、高齢者や出産後の女性に多くみられる「弛緩性の便秘」と呼ばれるタイプの便秘は、筋力低下や腹圧の低下によって、腸の蠕動が弱くなることで起こると考えられています。

また、運動不足になると、全身の血液循環も悪くなります。先ほども述べたように、血液は全身に酸素と栄養を運んでいます。そのため、運動不足になると、胃腸の栄養状態も低下するリスクが高くなるのです。

便秘で1週間お通じがない場合の対処法

きれいな女性医者

便秘になる原因について知ってもらったところで、次に、便秘で1週間お通じがない場合の対処法について見ていきたいと思います。1週間も便秘が続くような場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

様子を見る

1週間も便秘が続くような場合、まずは様子を見てみましょう。なにか便通を妨げるようなことをしなかったか、食習慣に変化はないか確認し、その後の経緯を見守りましょう。

その後、排便があって、そのまま便秘が改善されるようであれば、一過性単純性便秘であった可能性もあります。一過性のものであれば、それほど心配する必要はありません。

便秘外来を受診する

便秘で1週間もお通じがない場合で、何度もそのような状態が訪れる際には、便秘外来を受診するようにしましょう。

便秘外来はその名の通り、便秘の改善を専門としている外来で、消化器内科よりもさらに詳しく便秘の原因を調べ、対処法を提案してくれます。

便秘にはいろいろなタイプがありますが、場合によっては器質的便秘と言って、なんらかの病変にともなっておこるタイプの便秘もあります。合併症を起こさないためにも、便秘を繰り返す際にはまず、便秘外来を受診するとよいでしょう。

慢性的な便秘の改善法

寝起き

便秘の改善法はいろいろありますよね。ヨーグルトを食べたり運動をしたりという方法もありますが、効率よく便秘を改善するのであれば、以下のような方法でおこなうといいですよ。

便秘を改善する3ステップを実践する

便秘を改善するためには、これから紹介する便秘解消の3ステップを実践しましょう。1ステップがなにかというと、まずは「腸内の便を外に出すこと」です。

「便がでないから困っているのでしょう?」という方もいらっしゃると思いますが、ちょっと待ってください。便秘の改善のため、腸内環境をよくしなければならないなどとよく言われますが、腸内環境を改善するのは排便したあとです。

現在進行形で便秘状態の人が、ヨーグルトを食べたりサプリメントを飲んだりしてもあまり効果がありません。腸内環境の改善は、腸の中が空っぽになってからおこなうべきものなのです。

便を排出するためには、お医者さんに処方してもらった便秘薬を服用するとよいでしょう。便秘にはいろいろなタイプがあるので、市販の便秘薬ではなく、専門家が選んだ便秘薬を服用することが大事です。

便秘薬の服用によって無事、排便がみられたようであれば、2ステップ目として、腸内環境の改善に取り組みましょう。腸内環境を改善するためには、水溶性の食物繊維や、乳酸菌などのサプリメントを摂取するとよいでしょう。

ヨーグルトを食べるものいいのですが、いかんせん腸内細菌の数とくらべると、ヨーグルトに含まれている乳酸菌は少ないといわざるを得ません。

また、乳酸菌を摂取したいと思うあまり、ヨーグルトを1パックも食べてしまうと、カロリーの摂りすぎだけでなく、ほかの栄養素が不足するという問題も生じます。

効率よく乳酸菌を摂取したいのであれば、サプリメントに頼るとよいでしょう。ただし、栄養バランスのとれた食事をした上で、サプリメントで足りない分を補うという発想でおこなってくださいね。

腸内環境の改善ができたら、3ステップ目として、良好な腸内環境を維持することとなります。良好な腸内環境とは、善玉菌が優位になっている腸内環境のことを言います。

そして、良好な腸内環境を維持するためには、善玉菌にえさを与える必要があります。水溶性の食物繊維やオリゴ糖、はちみつなどは善玉菌のエサとなるので、積極的に摂取するようにしましょう。

ストレスを発散する

便秘の原因として、自律神経のバランスが乱れるということがあげられていました。日本人の場合、自律神経のバランスを乱す要因として、ストレスの存在があげられています。

生きていく上で多少のストレスは付き物ですが、過剰なストレスはさまざまなトラブルを引き起こす元となってしまいます。「最近疲れているな」と思ったら、気分転換するようにしましょう。

生活習慣を見直す

仕事が忙しかったり、夜更かしをしたりして睡眠不足になると、食べたものの消化や吸収が滞ることとなりますし、身体の回復機能も低下してしまいます。

明らかに生活習慣が乱れているという自覚があるのであれば、生活習慣の見直しをしましょう。まずは早寝早起きから始めてみてはいかがでしょうか。

たかが便秘と考えるなかれ

便秘で1週間お通じがない場合の対処法について見てきましたが、いかがだったでしょうか。多くの人は、「たかが便秘」と思って、軽く考えていらっしゃることと思います。

ただ、便秘が習慣化してしまうと、年をとったときに腸閉塞や大腸がんになる可能性が高くなってしまいます。若いうちに便秘を治しておくようにしてくださいね。