肥満になると癌になるリスクが高くなる?医学的な見解を検証

LIL 編集部

肥満になると、身体にもさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。中でも、もっとも怖いのが癌ですが、肥満をすることによって癌になるリスクが上昇してしまうようなことはあるのでしょうか。今回の記事では、癌を研究している複数の機関の見解を元に、肥満と癌との関係について検証していきたいと思います。

日本人の死因ベスト3

肥満と癌との関係について解説する前に、まずは日本人の死因ベスト3について見ていきたいと思います。男性と女性で若干の差がみられるようです。

第3位・肺炎、脳血管障害

日本人の死因第3位は、男性の場合が肺炎、女性の場合が脳血管障害となっています。ただし、女性であっても65歳以上になると脳血管障害よりも、肺炎による死亡率が高くなっています。今後、高齢化が進むことによって、女性の死因第3位も肺炎になる可能性芸があります。

肺炎の症状は、風邪をひいたときに現れる諸症状とよく似ており、代表的な症状としては咳や痰、発熱や呼吸がしづらい感じ、胸痛といったことがあげられます。

風邪のことを正式には「かぜ症候群」と呼んでおり、医学的には上気道に見られる炎症性の疾患を総称したものを指します。上気道とは鼻腔から咽頭までの、空気の通り道を指します。

風邪症候群の原因は、その大部分(85%から90%)がウィルスとされており、代表的なウィルスとしては、コロナウィルスやRSウィルス、ライノウィルスやパラインフルエンザウィルス、アデノウィルスなどがあげられております。

余談になるのですが、ウィルス性の疾患に対する特効薬は存在しません。そのことから、「風邪を治せる薬が発売されたらノーベル賞ものだ」などといわれています。

「え?でも風邪薬があるのでは?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、そのような方は、風邪薬の箱の裏を読んでみてください。そこには「風邪による諸症状の緩和」と書かれているはずです。

つまり、風邪薬とは風邪を根本的に直すためのものではなく、風邪に付随する鼻水や咳を止めたり、高熱を抑えたりするために用いられるものなのです。

インフルエンザを発症したときに処方されるタミフルなども同様で、ウィルスを殺すためのものではありません。これ以上ウィルスを増殖させないために服用するものであり、体内のウィルスは高熱を出すことによって除外されるのです。

これも大事な話なのでぜひ覚えておいてほしいのですが、病院でよく処方される抗生物質は、細菌に対する効果しかありません。細菌性の疾患は全体の10%程度なので、ほとんどの疾患には効果がありません。

病院では二次的な疾患の予防目的で抗生物質が処方されることもありますが、国からはむやみに抗生物質を使用しないよう、各医療機関に対して通達がなされています。

抗生物質には風邪に対する効果がないばかりでなく、濫用することによって薬剤耐性菌の増加にもつながります。つまり、いざというときに抗生物質が効かなくなってしまうのです。

話を元に戻しますが、風邪は上気道にみられる炎症ですが、肺炎は肺を構成している肺胞と呼ばれる部分に炎症を起こす疾患です。

肺胞には酸素を取り込んで、二酸化炭素を吐き出すという働きがあるのですが、肺胞に炎症を起こすことによってこのサイクルがうまく回らないようになり、結果として呼吸困難などの症状が現れるのです。

特に高齢者の場合、若者のように高熱が出たりしにくいことから、肺炎だと気づくのが遅れ、重症化したり、亡くなったりする可能性が高くなるということです。

脳血管障害はその名の通り、脳の血管に何らかのトラブルを発する疾患です。代表的なものとして脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などがあります。

第2位・心疾患

日本人の死因ナンバー2は心疾患です。中でも虚血性心疾患と呼ばれる疾患が、心疾患の中でも大部分を占めるとされています。

心臓には心筋(心臓の筋肉のことです)へと血液を送る冠状動脈と呼ばれる血管がありますが、冠状動脈の流れが悪くなることによって心筋への血流が不足し、心筋が酸欠および栄養低下に陥ることによって、虚血性心疾患を発症します。

虚血性心疾患には大きく分けて、狭心症と心筋梗塞の2つがあります。狭心症は、動脈硬化などが原因で冠状動脈が狭くなり、一時的に心筋への血流が不足する疾患のことを言います。

狭心症の発作が起こった場合、一般的にはニトログリセリンを舌の下に含みます。狭心症の発作は通常であれば数分程度で収まるということです。

心筋梗塞は、冠状動脈が血栓によって詰まってしまう疾患のことをいいます。狭心症に比べて強烈な痛みがあり、発作も狭心症に比べて長時間続きます。

冠状動脈が詰まることによって心筋へと酸素や栄養を送れなくなるため、その部分は壊死することとなります。壊死した部分が広がることによって心臓の機能が低下し、最悪の場合は死に至ります。

第1位・癌

日本人の死因ナンバー1は、皆さんもご存知の通り癌となっています。どのような癌によって亡くなる率が高いのかは、男女によって異なっています。

男性の場合、肺がんによる死亡がもっとも多く、その次が胃がん、僅差で大腸がんが続きます。以下、肝臓癌、すい臓がん、前立腺がん、食道がん、胆のうがん、悪性リンパ腫、膀胱がん、白血病その他となっています。

女性の場合、大腸がんによる死亡がもっとも多く、肺がんが僅差で続きます。その次がすい臓がんで、やはり僅差で胃がん、乳房がんと続きます。以下、肝臓がん、胆のうがん、子宮がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、白血病、膀胱がん、食道がんその他となっています。

肥満が原因で発症する癌とは?

日本人の死因ナンバー1は癌ということでしたが、では、肥満が原因となって発症するような癌はあるのでしょうか。これまで肥満と癌に関するさまざまな研究がなされてきましたが、その結果はまちまちだということです。以下に、国立がん研究センターの長期追跡によって、明らかに肥満によるリスクが上昇する癌を紹介したいと思います。

全死因と癌との関係

国立がん研究センターでは、さまざまな死因を調べることによって、そのうち癌による死亡率が肥満によってどのように左右されるのかを研究しています。

全死因を見てみると、男女ともBMIが21以上27未満の層が、もっとも死亡率が低くなっています(BMIに関しては後述します)。では、BMIが低ければよいのかというとそんなことはなく、BMIが19未満の痩せ型の方が、全死因における死亡率は高くなっています。

では、癌に関してはどうかというと、男女で差が見受けられます。男性の場合、BMIが19未満で癌による死亡率がもっとも高くなっており、BMIが25以上27未満になるまで死亡率が低下していきます。その後、BMIが27以上になるにつれ、癌による死亡率が上昇していきます。

女性の場合、男性ほどBMIによる顕著な違いが見受けられません。BMIが30以上になると、癌による死亡率が高くなってきます。また、BMIが19未満であっても、癌による死亡率がやや上昇します。

大腸がん

肥満によってリスクの高くなる癌として、大腸がんがあげられています。やはり国立がん研究センターの調べによると、男性の場合、BMIが27を超えることで、明らかに大腸がんになるリスクの上昇が認められるということです。

女性の場合、男性ほど顕著な上昇は見られなかったものの、やはりBMIが増加するにつれ、大腸がんによる死亡率にも上昇がみられるということです。

肥満度の測定法

肥満度と癌のリスクの関係については、まだまだ研究途上のようです。ところで、肥満度とはどのようにして測定されるのでしょうか。

BMI

肥満度を示す尺度として、BMIというものが世界的に用いられています。肥満度を測るのであれば体脂肪率を測るのがベストなのですが、医学的にも正確に体脂肪率を算出するのが困難であるため、BMIが指標となっています。

BMIの算出法はとても簡単で、身長(m)の2乗を体重(kg)で割ることによって求められます。たとえば、175cmで68kgの場合、[68÷(1.75×1.75)]=「22.2」がBMIということになります。

肥満度の判断基準

BMIを算出できたら、肥満度を判断することとなります。一般的に肥満とされるのは、BMIが25を超えた場合だとされます。中でも、BMIが35を超えると重度の肥満と分類されることとなります。

肥満の判断基準がなぜBMI25になっているかというと、日本人は体質的に、BMIが25を超えるあたりから、高血圧や脂質異常症といった生活習慣病などを発症するリスクが高くなるからだとされています。

肥満していなければがんのリスクは下がる?

肥満になるとさまざまな疾患のリスクが上昇するということですが、では、BMIが低ければ低いほど、癌になるリスクも低くなるのでしょうか。

痩せすぎも危険

BMI23以上25未満のがんの発生率を1とした場合、BMIが30を超えると癌の発生リスクは1.22倍となります。一方、BMIが19以上21未満の場合、がんの発生率は1.14倍となります。

さらに、BMIが18.9未満になると、がんの発生率が1.29倍となります。つまり、肥満気味な人よりも、痩せすぎている人の方が、癌になる確率が高いと言えるのです。

ちなみに、がんの発生率がもっとも低かったのは、BMIが25以上27未満のグループで、0.99倍ということです。

痩せすぎの判断基準

BMIの指標からいくと、痩せすぎの判断基準はBMIが18.5未満ということになります。BMIが18.5以上25未満であれば標準体重とされています。

肥満度と死亡率調査の限界

国立がん研究センターの調査によって、肥満度と死亡率の関連性が明らかになってきています。ただ、調査の基準として用いたのがBMIである点に、その限界があります。

というのも、BMIだけでは本当の体型や体脂肪率が分からないからです。仮に身長や体重が同じでも、運動習慣のない一般人と、プロのアスリートとでは中身が全く異なりますよね。

もちろん、肥満と死因との関係性について一石を投じる研究であることには変わりありませんし、肥満だけでなく、痩せすぎによっても死亡率の高くなることが分かっただけでも、有意義な研究だということができます。

肥満への対処法

肥満になると、内科系の疾患ばかりでなく、腰痛や膝痛といった整形外科的な疾患を発症するリスクも高くなります。では、肥満にはどのように対処すればよいのでしょうか。

食習慣の改善

人間の身体は食べものからできていますし、肥満している人は肥満になるような食習慣を過ごしていると考えられます。脂っこい物やカロリーの高いものを食べすぎないようにすることが大事です。

特に、最近の研究結果によって、糖質の過剰摂取が、肥満のリスクファクターとなることが分かってきています。甘いものが好きな人が太りやすいということは、皆さんもよくご存じのことだと思います。

ごはんが好きな人は玄米や雑穀米にするとよいでしょう。パンや麺類などは、糖質の含有量が少ないものを選びましょう。どうしても甘いものがやめられないという方は、その分だけ身体を動かすようにしましょう。

有酸素運動

肥満だということは、身体にたくさん体脂肪を蓄えているということでもあります。そして、体脂肪を燃焼させるのであれば、有酸素運動をおこなうのが一番です。

ゼエゼエハアハアいわない程度の運動を長時間(最低でも20分以上)にわたっておこなうことで、体脂肪の燃焼がおこり、痩せることが可能となります。

忙しくて運動をする時間が作れないという方は、通勤や通学の時間を利用して、運動をおこなうとよいでしょう。たとえば、家から駅まで歩いて通うとか、階段を使うように意識するなどといった工夫をするとよいでしょう。

早めの改善で将来の健康に投資しましょう

今回は、肥満と癌との関係や、日本人の死因、また、肥満の改善法などについて見てきました。肥満と癌との関係についてはこれまでもさまざまな研究がなされていますが、ハッキリとした因果関係はまだ見つかっていないようです。

とは言うものの、肥満になるとさまざまな疾患のリスクが高くなってしまいます。将来の健康に投資するという意味でも、早いうちからダイエットに取り組んでくださいね。

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