納豆ダイエットを科学する!痩せるために必要なこととは?

テレビで「○○ダイエット」などといったダイエット法を取りあげると、そのときだけはブームになりますが、それで痩せたという話はあまり聞きません。テレビで言われていた効果はウソだったのでしょうか。今回は、その辺りの事情を科学的に検証します。

かつて、納豆ダイエットがテレビ番組で取り上げられたことがあり、しばらくスーパーの店頭から納豆が姿を消す、といったことがありました。その割に、納豆ダイエットで痩せたという話を聞いたことがありません。

では、納豆を食べてダイエットすることは出来ないのでしょうか。そこで今回は、納豆を科学的に解剖し、痩せるための食べ方や痩せるために必要なことを紹介したいと思います。

納豆ダイエットってなに?

ご飯と納豆とみそ汁

納豆ダイエットで痩せられるのかどうかを検証する前に、そもそも納豆ダイエットとはどのようなダイエット法なのかについて紹介しておきたいと思います。

食習慣に納豆を取り入れるダイエット法

ダイエットにはもともと、「健康と美容のために食事の管理をすること」といった定義があるので、そういった意味では、栄養価の高い納豆を日々の食習慣に取り入れることは、まさにダイエットの本義にかなっているといえます。

納豆の栄養素を活かすダイエット法

納豆が身体によいということは、皆さんもよくご存知のことだと思います。そして、納豆に含まれている栄養素には、ダイエットの役に立つものがたくさんあります。

納豆に含まれている栄養素を摂取することにより、健康的に、美しくなることを目的として、納豆ダイエットがおこなわれるわけです。

納豆ダイエットの効果・美容編

便器に座っている女性

納豆にはさまざまな栄養素が含まれていますが、では、ダイエットの目的である美容を達成するためには、どのような栄養素が役立ってくれるのでしょうか。

便秘の解消

女性にとってお肌のトラブルはいつだって悩みの種ですよね。そして、お肌が荒れてしまう原因の1つが便秘です。便秘がひどくなると、肌荒れや吹き出物ができやすくなりますよね。

納豆はもともと大豆からできており、植物由来の食品です。そして、植物由来の食品には、食物繊維が豊富に含まれています。

食物繊維には不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維とがありますが、納豆にはどちらの食物繊維もバランスよく含まれています。

不溶性の食物繊維は、私たちの持つ消化酵素でも溶かすことができないという特徴からその名前が付けられています。そして、不溶性の食物繊維は保湿性が高く、消化管内の水分を吸収し、膨張しながらゆっくりと進んでいきます。

不溶性の食物繊維が腸内の水分を吸収して膨張すると、便の嵩が増すこととなります。それによって便意が促され、便秘の解消へとつながる訳です。

お肌の保湿

納豆というと、ネバネバとしているのが特徴ですが、あのネバネバはポリグルタミン酸と呼ばれる成分によるものだとされています。

そして、ポリグルタミン酸には肌の保湿性を保ってくれる働きがあるのです。また、ポリグルタミン酸は体内で分解されにくいことから、胃壁を守ってくれたり、血栓を溶かしてくれたりする働きもあるということです。

薄毛の解消

薄毛というと、壮年期以降の男性にみられる男性型脱毛症(AGA)をイメージされる方もいらっしゃることと思いますが、女性であっても中年期以降に薄毛のみられることがあります。

男性型脱毛症のように局所がはげあがってしまうようなことはありませんが、髪の毛全体のボリュームがダウンしたり、地肌が透けて見えたりするようになります。

このような脱毛症のことを、女性男性型脱毛症(FAGA)と呼んでいます。女性男性型脱毛症の原因はいろいろあるのですが、大きな要因としてホルモンバランスの変化があげられています。

特に、中年期以降の女性には、女性ホルモンであるエストロゲンの現象がみられるようになり、それにともなってさまざまな不調が現れることとなるのです。

エストロゲンは簡単に言うと、「女性らしさ」を形作ってくれるホルモンです。丸みを帯びた体型や高い声、そして豊かで美しい髪などがいわゆる女性らしさといわれるものです。

ところが、更年期になってエストロゲンの分泌量が減少すると、相対的に男性ホルモンの割合が増加することとなります。それによって、抜け毛がみられるようになってしまうのです。

納豆はもともと大豆からできていますが、大豆にはポリフェノールの一種であるイソフラボンが含まれています。そして、イソフラボンには、女性ホルモンであるエストロゲンと似たような働きがあるのです。

実際、女性用の育毛剤やサプリメントには、イソフラボンの配合された商品が多数あります。髪は女性の命などともいわれますが、納豆ダイエットによって女性の命が守られるという訳なのです。

納豆ダイエットの効果その2・健康編

血圧器

納豆ダイエットの美容効果については、ここまでの説明でご理解頂けたことと思います。次は、なぜ納豆が健康食品といわれるのかについて見ていきたいと思います。

肥満防止

納豆ダイエットをおこなうと、肥満防止の効果が得られます。先ほど、納豆には不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維がバランスよく含まれていると説明しました。

不溶性の食物繊維には便秘の解消効果が期待できますが、水溶性の食物繊維には肥満防止の効果が期待できます。

肥満の原因はいろいろありますが、最も重大なリスクファクターは、糖質の過剰摂取だとされています。糖質を摂り過ぎると、余剰な糖質が脂肪に変わってしまうからです。

水溶性の食物繊維は私たちの腸内でゲル状になり、糖質を包み込んでくれるのです。それによって腸管内への吸収を防ぎ、結果として体脂肪が付着するのを防いでくれるのです。

生活習慣病予防

納豆ダイエットの健康効果としては、生活習慣病の予防効果もあげられます。納豆を納豆たらしめている成分として、ナットウキナーゼの存在があげられます。

ナットウキナーゼには、いわゆるドロドロ血液をサラサラにして、血栓ができるのを防いでくれる働きがあります。

血栓ができてしまうと、心筋梗塞や脳梗塞、急性肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)などのリスクが高まってしまいます。

また、先ほど登場したイソフラボンには、血液中のコレステロールを下げてくれる働きもあります。このように、納豆ダイエットは生活習慣病の予防にも効果を発揮してくれるのです。

骨粗鬆症の予防

ダイエットをするときには、一般的に食事制限をおこなうのが普通だと思います。ただ、あまりにも極端な食事制限をおこなうと、健康面で悪影響の出る可能性が増大します。

そのうちの1つが骨粗鬆症です。特に、更年期以降の女性は骨の形成に必要なエストロゲンの分泌量が減少してしまいます。男性に比べて女性に骨粗鬆症が多くみられるのはそのためです。

先述したイソフラボンには、エストロゲンと似た働きがあるので、骨粗鬆症の予防にも役立ちます。また、納豆にはカルシウムも含まれているので、更年期の女性には特におすすめの食品だといえます。

納豆ダイエットの効果その3・痩身編

ウエストをめじゃで巻いている女性

納豆の美容効果と健康効果について見てきましたが、いよいよお待ちかね、皆さんが一番気になるであろう、納豆の痩身効果について見ていきたいと思います。

脂肪燃焼効果

納豆ダイエットをおこなう際の一工夫として、キムチと一緒に混ぜて食べるという方法があります。納豆が苦手な方でも美味しく食べることのできる方法としてよく知られています。

納豆にキムチを混ぜることによって、キムチのダイエットパワーも享受することができるようになるのです。キムチには辛さの元であるカプサイシンが含まれていますが、カプサイシンは脂肪の燃焼効果を高めてくれることで知られています。

また、納豆に含まれている納豆菌と、キムチに含まれている乳酸菌には、いずれも腸内環境を改善する働きがあります。善玉菌が増えることによって、健康的にダイエットできるという訳なのです。

満腹中枢を刺激する

納豆ダイエットをおこなう際に、食事の前に納豆を1パック食べてしまうという方法があります。納豆を食べてから20分ほど待ち、それから食事を取ります。

食事を開始してから20分ほどすると、満腹中枢が刺激され、満腹感を感じやすくなってきます。そこで、あらかじめ納豆を食べておくことで、食事の量を減らすことが可能となるのです。

効果的に納豆ダイエットをする方法

ケーキ

納豆ダイエットによって、さまざまなダイエット効果が得られることが分かりました。また、納豆を上手に食べることで、痩身効果も得られるということでした。では、納豆ダイエットの効果を最大限に発揮するためには、どのような方法が考えられるのでしょう。

置き換えダイエット

置き換えダイエットとは、カロリーの高い食品をカロリーの低い食品に置き換えたり、糖質の多い食品を糖質の少ない食品に置き換えたりするダイエット法です。

一般的には、穀類や麺類を低カロリーで低糖質なものに置き換えることが多いようです。もしくは、朝ごはんの代わりにダイエット食品を食べるといった方法も、置き換えダイエットの一種となります。

納豆で置き換えダイエットをする場合、3食のうちの1食を納豆にするというのが一般的です。納豆はあまりにも個性的なので、何らかの食品の代わりとして用いるのは難しいですからね。

3食のうちの1食を納豆に置き換えることによって、必然的に1日の総摂取カロリーを減らすことが可能となります。

糖質制限

納豆ダイエットの効果を最大限に高める方法としては、糖質制限を同時におこなうという手があります。糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いたもののことを言います。

一般的にはご飯やパン、パスタやうどんといった麺類などが炭水化物を多く含む食品となっています。最初の方でも述べたように、脂肪が付着する原因は糖質の過剰摂取です。

いくら納豆がダイエット食品として優れているとは言っても、納豆を食べれば食べるほど痩せるなどといったことはありませんし、糖質の摂取量が変わらなければ、ダイエット効果もあがりません。

現代人は1日に300gほどの糖質を摂取しているとされるので、まずは自分が1週間の間に何を食べたか克明に記録し、そこから糖質の摂取量を割り出しましょう。

もし1日当たりの糖質摂取量が300gを超えているような場合、ただちに食習慣を見直した方がよいでしょう。また、納豆に添付されているタレにも糖分が含まれているので、納豆ダイエットをおこなう場合は使わない方がよいでしょう。

納豆ダイエットの落とし穴

納豆ご飯

納豆ダイエットは一世を風靡したダイエット法ですが、現在となってはあまりおこなっている人がいません。納豆自体に問題がある訳ではないのですが、ダイエット法としては若干の落とし穴があるようです。

ご飯に合う

納豆ダイエットの最大の落とし穴は、納豆がご飯に合うということではないでしょうか。納豆だけを単品で食べる人よりも、ご飯と一緒に食べるという人の方が多いと思います。

納豆ダイエットに失敗した人の話を聞いてみると、納豆を食べる回数が増えるようになって、ご飯の消費量が増えたなどという人がいます。

先ほども述べたように、私たちが太ってしまう最大の原因は、糖質の過剰摂取です。いくらダイエット効果の高い納豆を食べたところで、糖質の摂取量が増えていては本末転倒という訳なのです。

ごはんが大好きでどうしてもやめられないというような人は、白米ではなく、雑穀米や玄米に変えるとよいでしょう。これまで白米ばかり食べていたのであれば、納豆ダイエットの効果を得ることが可能だと思います。

継続が大事

納豆ダイエットの落とし穴としては、継続するのが難しいということもあげられます。これに関しては納豆ダイエットだけの問題ではないのですが、特定のダイエット食品を食べ続けると、必ず飽きがやってきます。

納豆以外にもバナナダイエットやりんごダイエット、大葉ダイエットやキャベツダイエットなど、さまざまなダイエット食品を利用したダイエット方法がありました。

そのいずれもが頓挫してしまうのは、やはり飽きてしまうということが原因となっています。ひどい場合には、リンゴなんてもう見たくもないという事態にもなりかねません。

こんな人には効果薄

納豆ダイエットに関するインターネット上の記事を見ていると「4ヶ月で30g減った」とか「10日で6.4kg痩せた」などというものがあります。

ただ、変な言い方になりますが、30kg減量する前提として、かなり太っている必要があります。130kgの人が40kg減量するのと、80kgの人が40kg減量するのとでは訳が違いますよね。

ある程度太ってしまっている人であれば、食事制限をすることで割と簡単に痩せることが可能です。それは納豆ダイエットについても同じです。

逆に、ちょっと太っている人や、ポッチャリしている程度の人に散っては、納豆ダイエットの効果も薄いといわざるを得ないようです。

上手に挑戦してみて下さい

納豆ダイエットについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。納豆を食べるだけでみるみる痩せるようなダイエット法ではありませんが、それは納豆のせいではありません。

とは言うものの、納豆が健康や美容にとって有益なのは間違いありません。糖質の摂取量に気をつけながら、上手に納豆ダイエットにチャレンジしてみてくださいね。