現役歯科衛生士が教える!知って得するホワイトニングとは?

欧米ではもはや当たり前のようにおこなわれている歯のホワイトニングですが、日本では一部の芸能人などを除けば、まだまだ一般に普及しているとは言い難い状況にあります。

今回は「ホワイトニングに興味があるのだけど、正しい情報が欲しい」という方のために、ホワイトニングに関する「いろは」を丁寧に解説していきたいと思います。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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歯のホワイトニングとは?

疑問に思っている女性

最近になってよく耳にするようになったホワイトニングという言葉ですが、実際にはどのようなことを意味しているのでしょうか。まずはホワイトニングの基礎知識について見ていきたいと思います。

歯を白くする

ホワイトニングとは直訳すれば「白くすること」という意味になりますが、一般的に美容方面で使われることの多い言葉です。

お化粧品などのコマーシャルでホワイトニングという場合には「美肌」のことを意味し、審美歯科の分野では、歯の色を白くすることをホワイトニングと呼んでいます。

アメリカでは当たり前の存在

アメリカではホワイトニングや歯列矯正をおこなうことが当たり前と捉えられています。そこには、歯並びや歯の白さに関する日本人とアメリカ人との考え方の違いがみられます。

アメリカではそもそも、歯並びが悪かったり歯の色が悪かったりすることが、まずしさの象徴であるかのように受け取られるのです。そのため、歯列矯正をおこない、歯並びをキレイにすることは親の義務であると考えられています。

日本では歯並びが悪いことによって虫歯になったり噛み合わせが悪くなったりするという理由で歯列矯正をおこなうのが一般的で、審美目的で子供の歯列矯正をおこなうケースはまだまだ少ないといえます。

また、アメリカと日本の文化の違いも、ホワイトニングを積極的におこなうかどうかの違いとなって表れているようです。もっとも分かりやすいのが、アメリカ人は挨拶をするときに頬にキスをするということです。

日本ではキスというものは性的な意味合いが強いものと考えられているため、人前で公然とキスをするようなことはふしだらだと考えられています。

ともかく、アメリカでは文化的に挨拶をするときにハグをしたりキスをしたりするため、口臭に気を使う必要があるわけです。そのために、歯列矯正やホワイトニングでいつも歯をキレイにしておく必要があるのです。

他にも、アメリカではコミュニケーションの基礎として、スマイルが求められます。初めてあった相手であっても、握手をしてニッコリと笑うのがアメリカ流。そのため、美しく白い歯が大事なのです。

もう一つ、アメリカと日本では歯並びや歯の美しさに対する価値観が異なっているため、保険治療ができるかどうかの違いもあります。日本では審美目的の治療は保険適用外ですが、アメリカでは歯列矯正にも医療保険が適用され、医療費を抑えることが可能となっています。

このように、アメリカでは白くて美しい歯並びがコミュニケーションの基礎と考えられているため、日本に比べた場合、ホワイトニングをおこなったり歯列矯正をおこなったりするのが当たり前と考えられているのです。

日本での需要

日本で流行するものは大抵が欧米からやってきます。特に、アメリカからやってくる「ハリウッドのセレブやモデル御用達の○○」などという美容法は、日本でもすぐに流行するという傾向があります。

日本でもやはり、女優さんやモデルさんなどがホワイトニングをおこなうケースがよくみられます。また、女優さんやモデルさんに憧れる女性の間でも、ホワイトニングが美しくなる手段の1つとして利用されています。

ホワイトニングは女性だけでなく、男性がおこなうこともあります。スポーツ選手でも、真っ黒に日焼けをしているのに、歯が真っ白という人がいますよね。このように、日本でもホワイトニングの需要は徐々にですが高まってきているといえます。

どこでできるの?

詳しくは後ほど説明しますが、ホワイトニングにはいろいろな種類があります。歯科医院でおこなわれるホワイトニングもあれば、民間のサロンやエステでおこなわれるタイプのホワイトニングもあります。

また、自宅で専用の薬剤を用いてホワイトニングをおこなうケースもありますし、そうではなくて、ホワイトニング用の歯磨き粉を用いて、歯を白くするという方法もあります。

ホワイトニングの種類

頬杖をついている笑顔の女性

ホワイトニングの概要について知って頂いたところで、次に、ホワイトニングにはどのような種類があるのかを見ていきたいと思います。これを読めば、ホワイトニングがどこでできるのかが分かると思いますよ。

オフィスホワイトニング

ホワイトニング施術を受けている女性

オフィスホワイトニングは、デンタルオフィス=歯科医院でおこなうホワイトニングのことを言います。

国家資格を持った医師、もしくは歯科衛生士によっておこなわれるホワイトニングであることから、数あるホワイトニングの中でも、もっとも安全性の高いホワイトニングだということが可能です。

一般的にオフィスホワイトニングをおこなう際には、過酸化水素を配合したホワイトニング剤を用いるのが一般的です。

過酸化水素などというと難しく思われるかもしれませんが、傷口の消毒に用いられるオキシドールをイメージしてもらえると分かりやすいと思います。オキシドールはおよそ2%から3%の過酸化水素です。

オキシドールには殺菌、漂泊効果があることから、傷口を消毒するだけでなく、衣類を漂泊する際にも用いられています。ホワイトニングに過酸化水素を用いるときは、高濃度(およそ30%)の過酸化水素を用いることとなります。

高濃度の過酸化水素は慎重な取扱いが要求されるため、医薬品医療機器等法(いわゆる薬機法、かつての薬事法)において、「歯科医師もしくは歯科医師の指導のもと、歯科衛生士が処置すること」と定められています。

実際の流れとしては、ホワイトニングができる歯であるかどうか、まず問診並びに検査をおこないます。この段階で虫歯や歯周病が発見された場合、先にそちらの治療を優先することとなります。

ホワイトニングができるようであれば、まずは歯のクリーニングをおこない、そのうえでホワイトニング剤を歯に塗布します。さらに、特殊な光を歯に照射します。なぜなら、光を照射することによって過酸化水素の働きが活性化するためです。

一度ホワイトニング剤を拭き取ったら、再度ホワイトニング剤を塗布し、光の照射をおこないます。一般的にはこの作業が数回繰り返されることとなります。

ホワイトニングを終えたばかりの歯は、白くはなっているものの、歯の表面がややざらざらしています。そのため、仕上げにフッ素を用いて歯磨きをおこない、表面をツルツルにしていきます。

オフィスホワイトニングの最大のメリットは、1度の施術でも明らかな効果を実感できるという点にあります。デメリットとしては、料金がそれなりにかかることがあげられます。

また、定期的にメンテナンスをおこなわないと色が元に戻ってしまいますが、これに関してはオフィスホワイトニングだけでなく、ホワイトニング全体に言えることです。

オフィスホワイトニングの料金は、どの程度歯を白くしたいのかによって異なってきます。比較的安価なコースで1万数千円程度から、しっかりとおこなう場合には6万円から7万円ほどかかることもあります。

ホームホワイトニング

ホームホワイトニングの器具

ホームホワイトニングは文字からも分かるように、自宅でおこなうタイプのホワイトニングを意味しています。オーダーメイドのマウスピースにホワイトニング剤を入れ、歯に装着してホワイトニングをおこないます。

オフィスホワイトニングとは異なり、効果が出るまでに1ヶ月程度の期間が必要となりますが、継続しておこなうことで色戻りのリスクが低いというメリットも得られます。

また、いったん専用のマウスピースを作ってしまえば、ホワイトニング剤を追加購入するだけでよいため、オフィスホワイトニングよりも安価でホワイトニングに取り組むことが可能となっています。

ホームホワイトニングの料金は、もっとも安いケースで1万円前後ということです。また、追加でホワイトニング剤を購入する場合、1本当たり1,000円ちょっとで購入可能ということです。

デュアルホワイトニング

デュアルには「二重」とか「二者」などという意味がありますが、デュアルホワイトニングはオフィスホワイトニングとホームホワイトニングとを並行しておこなうホワイトニング法のことを言います。

オフィスホワイトニングの即効性と、ホームホワイトニングの持続性という両方のメリットが得られるため、「すぐに歯を白くしたいけど、効果も長持ちしてほしい」という人にオススメのホワイトニング法となっています。

セルフホワイトニング

手鏡を見ている女性

セルフホワイトニングは、セルフホワイトニング専門のサロンでホワイトニングをおこなうことを言います。なぜセルフかというと、ホワイトニング剤の塗布や光の照射を自分でおこなうからです。

というのも、人の口腔に生業として触れることは、国家資格を持った医師や歯科衛生士にしかおこなうことができません。

また、セルフホワイトニングには過酸化水素を用いることができないため、化粧品扱いとなるポリリン酸を用いて、歯の汚れを落とすことが主な目的となっています。セルフホワイトニングは、1回あたり5,000円程度でおこなうことが可能ということです。

ホワイトニング歯磨き粉

歯磨き粉と歯ブラシ

自宅でできるもう1つのホワイトニング法として、ホワイトニング専用の歯磨き粉を用いて歯を磨くという方法があります。

ただ、実際にはホワイトニングをおこなうというより、歯の汚れを取り除くことが目的となっています。歯そのものを白くする効果はあまり得られないようです。

ホワイトニングQ&A

黒板に書かれたQ&Aの文字とチョーク

ホワイトニングの種類について知ってもらったところで、次にホワイトニングに関するよくある疑問についてお答えしていきたいと思います。

ホワイトニングは痛いの?

オフィスホワイトニングなど、薬品を用いてホワイトニングをおこなう場合、知覚過敏の方など一部の人には痛みが出る可能性があります。ホームホワイトニングやその他のホワイトニングの場合、あまり痛みが出るようなことはありません。

どのくらいまで白くなるの?

どのくらいまで白くなるのかは、どの程度積極的にホワイトニングをおこなうのかによります。オフィスホワイトニングを1度おこなうと、日本人の歯の平均的な白さから、3段階程度白さをアップすることができるということです。

さらに元々の歯の黄ばみの度合いはそれぞれ違います。まずはカウンセリングで相談することをお勧めします。

副作用はある?

ホワイトニングは基本的に安全な施術ですが、副作用としてもっとも大きいのは知覚過敏であるといわれています。医師の指導のもとで治療をおこなえばリスクは低いですが、ホームホワイトの場合、用法や用量を守らないと知覚過敏の起こるリスクが高くなるということです。

ホワイトニングが出来ない人はいるの?

ホワイトニングは、虫歯や歯周病が重度の場合、おこなうことができません。また、無カタラーゼ症の人もホワイトニング剤を体内で分解できないため、やはり過酸化水素のホワイトニングは禁忌となっています。

セルフホワイトニングや歯磨き粉はクリーニングのような効果なのでほぼ全ての方が行えます。

ホワイトニングのメリット

商談が成立し握手しあう若手営業マン

ここまで読んで頂いた方は、すでにホワイトニングについてかなり詳しくなっていることと思いますが、さらに、ホワイトニングにはどのようなメリットがあるについても紹介しておきたいと思います。

第一印象の向上

アメリカ人が積極的にホワイトニングをおこなうのは、コミュニケーション力を向上させるためだと冒頭で述べました。笑顔はあいさつの基本なので、歯が白くて美しいとそれだけで第一印象がよくなるものです。

信頼性アップ

白い歯とは身だしなみの一つです。社会人として身だしなみに気を使える人は男女問わず仕事が出来るイメージにつながります。

自分に自信がつく

もし自分の歯が黄ばんでいたり黒ずんでいたりしたら、自信を持って笑えるでしょうか。ホワイトニングをおこなって歯を白くすることで、自分の笑顔に自信が持てるようになります。笑顔が増えれば気持も積極的になることでしょう。

口元の健康意識が高まる

ホワイトニングをおこなうと、その効果を長持ちさせようと、アフターケアを積極的におこなうようになります。その結果として、口元に対する健康意識が高まるという副産物も得ることが可能となります。

ホワイトニングのはじまり

歴史を感じさせる古本と懐中時計

歯のホワイトニングというと、最近になって始まったようなイメージがあるかも知れませんが、実は意外に長い歴史があるのです。

最初に歯のホワイトニングがおこなわれたのは、今をさかのぼること170年以上も前、1844年のことです。当初はミョウバンを用いてホワイトニングをおこなっていましたが、1877年になると酸を用いて歯の表面のエナメル質を溶かし、歯を白くするようになりました。

現在のようなホワイトニングがおこなわれるようになったのは1968年で、その後1989年にホームホワイトが、1991年にオフィスホワイトニングが開始され現在に至ります。

ホワイトニングで口腔環境を良好に!

ホワイトニングについて詳しくみてきましたが、いかがだったでしょうか。日本ではまだ必ずしも利用者の多いとは言えないホワイトニングですが、口腔環境を良好に保つ上でもメリットのある方法と言えそうです。興味のある方は、一度お医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。