ホワイトニングに保険は利くの?知っておくと必ず得する知識

日本でもホワイトニングをする人が増えてきていますが、その際に気になるのが「ホワイトニングに保険は利くの?」ということだと思います。今回の記事では、ホワイトニングに保険が利くのかどうかというテーマを通じて、日本の保険制度の実態や、現在抱えている問題点などについても迫ってみたいと思います。知っておくと得する知識満載でお届けしますよ。

柴田はるひ
この記事の監修者
歯科衛生士
歯科医師として、30年近く審美治療にかかわってきて、治療後に患者様の笑顔がより輝いてくることに大きな喜びを感じています。 ホワイトニングや矯正治療後に、「これまでコンプレックスだった箇所が自慢の個所に変わった!」「よく笑うようになった!」など「患者さまの人生を変えることに貢献できた!」と思える瞬間が歯科医師としての一番の喜びだと思っています。最近心に残った言葉は「幸せ」には「人から与えられる幸せ」「自分の力で何かを得る幸せ」「他人に与える幸せ」の3種類あり、「他人に与える幸せ」を知っている人が最高の幸せ者である、という言葉です。 私も人生の折り返し地点を過ぎてきましたので、これからは「他人に与える幸せ」を日々実 践していきたいと考えています。 座右の銘は全ての人を尊重する、日々感謝です。 趣味は格闘技観戦、読書です。
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保険と自費の違い

歯の治療をする女性

ホワイトニングに保険が適用されるかどうかについて解説する前に、まずは保険診療(保険治療)と自由診療(自費治療)との違いについて説明しておきたいと思います。なぜ2つの種類があるのでしょうか。

保険診療とは?

保険診療とは、簡単に言うと国民健康保険などの公的医療保険制度が適用されるタイプの診療を意味しています。風邪をひいたり怪我をしたりすると病院に行きますが、保険証を提示することで治療費の負担が減少します。

一般的に治療費の7割を国民健康保険組合や各種健康保険組合が負担してくれるので、実際に患者さんの支払う治療費は、残りの3割ということになります。この3割の部分を一部負担金などと呼んでいます。

日本では原則として、国民すべてが何らかの保険に入らなければならないと法律で定められています(国民皆保険制度)。サラリーマンであれば各種健康保険に加入するのが一般的ですし、自営業者であれば、国民健康保険に加入するのが一般的です。

また、会社を辞めた場合には各種健康保険を脱退し、改めて国民健康保険に加入することとなります。ただし、どのような治療が保険診療の対象となるのかについては、健康保険法や厚生労働省令によって定められています。

医師が保険診療によって得られる報酬のことを「診療報酬」と呼んでいますが、診療報酬に関しては公的に定められているため、勝手に治療費を増額したり、反対に減額したりすることはできません。

保険診療のそもそもの目的は、誰もが平等に、同じ料金で治療を受けられるということでした。そのため、怪我や病気をしたときでも安心して病院を受診することができるようになったのです。

保険診療をなぜ受けられるかというと、私たちが税金を納めているからです。大した病気やケガでもないのに保険診療を受けるということは、医療費を増大させることに他ならないのです。

他人事のように考えられるかもしれませんが、医療費の増大は将来の税金増となって跳ね返ってきます。国民皆保険制度は非常に優れた制度なのですが、現在ではこういった問題も抱えているのです。

自費診療でできる治療は?

自費診療でできる治療は何かといわれれば、「すべての治療および施術行為」だということが可能です。逆に、健康保険に加入していなければ、すべての治療は自費診療となります。

一般的に自費診療でおこなわれている治療は、怪我や病気を治すのが目的ではない治療となります。たとえば、まぶたを二重にしたり、顔を小さくしたりする美容整形がそれに当たります。

また、医師ではない人間がおこなう、法で定められていない医療類似行為も自費診療となります。

あと、リラクゼーションを目的としたような施術も、原則として自費診療となっています。たとえば、エステティックサロンの施術やクイックマッサージ、足つぼなどがそれに当たります。

自費診療のよい点は、保険ではできない治療も可能であるという点にあります。たとえば、がん治療などがそれに当たります。

がんに対して有効とされる新薬が海外で開発されたとしても、日本の厚生労働省が認可していなければ、保険診療でその新薬を用いることができません。

ところが、自費診療であれば、そのような新薬を用いることも可能となります。このように、健康上の理由以外でおこなわれる施術や、先進医療が自費診療に該当するといえます。

この点にも現在の保険制度の限界が見えてきます。つまり、先進治療を受ける際には多額な費用が必要となるわけで、本当に平等に病気の治療が受けられる訳ではないということになるからです。

患者が選べる

治療内容によっては、自費診療にするか保険診療にするかを患者さんが選べることもあります。たとえば歯の治療などがそれに当たります。

一例を挙げると、虫歯になったときの詰め物や被せ物を選択するケースがあります。保険診療で歯の詰め物や被せ物をする際には、その素材が法律で定められています。

ただ、虫歯の治療をするついでに歯をキレイに見せたい場合など、保険診療では用いることのできない、キレイで高価な詰め物や被せ物を選択することが可能です。そのような場合には、治療費が全額自己負担となります。

ホワイトニングは全て自費診療!

歯の治療中の女性

保険診療と自費診療との違いについて簡単に説明してきましたが、では、ホワイトニングに保険は適用されるのでしょうか。結論から言うと「ノー」です。では、なぜホワイトニングに保険が適用されないのでしょうか。

なぜ自費診療なの?

ホワイトニングになぜ保険が適用されないかというと、ホワイトニングが審美目的だからです。虫歯や歯周病の治療とは異なり、どうしても健康上、必要なものではないからです。

また、虫歯や歯周病の治療をおこなう場合であっても、そこに美しさを求めるようなケースであれば、審美治療ということになります。

どういうことかというと、虫歯を治療したあとの詰め物として銀歯にする場合は保険診療の範疇となりますが、詰め物にセラミックを用いる場合には審美目的が加わるため、自費診療となります。

審美目的に関しては歯のホワイトニングだけに限らず、足をキレイに見せるための脱毛や、顔をキレイに見せるための美容整形なども審美目的の治療に当たります。

お店によって金額が違うのはどうして?

ホワイトニングには、オフィスホワイトニングやホームホワイトニング、デュアルホワイトニングなど、いろいろな方法があります。そして、その料金は歯科医院やクリニックによってまちまちです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

1つには、自費診療の場合、価格設定は歯科医院やクリニックが独自におこなえるからです。この点が、法律によって価格の定められている診療報酬とは異なっているのです。

ホワイトニングの経験が豊富で腕に自信があり、キレイに仕上げられると自負しているのであれば、それだけ高い価格設定にすることもあるでしょう。

また、ホワイトニングをおこなう歯科医院やクリニックの立地条件も、自費診療の価格に反映されます。たとえば、東京の都心部など、地価の高い場所ではそれだけ家賃が高いわけで、その支払いのためにも自費診療の値段が高騰する場合もあります。

逆に、ホワイトニングをおこなう歯科医院やクリニックが密集しているところであれば、価格競争が起こって値段が安くなるようなケースもあります。

自費診療のメリットとは?

グッドサインを出す女性と内科の男性医師

保険診療には、比較的安価で治療を受けられるというメリットがありますが、自費診療にはどのようなメリットがあるのでしょうか。患者さん側と施術側、双方の視点から見ていきたいと思います。

時間の制約がない

自費診療のメリットとしては、時間の制約がないという点があげられます。主に施術側の事情なのですが、保険診療で治療をおこなう場合、言い方は悪いですが「数をこなす」必要があります。

現在、日本では「犬も歩けば棒にあたる」でありませんが、歯科医院が乱立しているという事情があります。2014年の厚生労働省による「医療施設動態調査」によると、歯科医院の数は全国で68,000軒以上だということです。

同時期の日本にあるコンビニエンスストアの数が51,000軒程度だということですから、いかに歯科医院の数が多いか分かると思います。

歯科医院の数がそれだけ多いということは、それだけ患者さんの取りあいが起こっているということでもあります。また、たくさんの患者さんを診るためには、1人1人にあまり時間をとっている訳にもいきません。

ところが、高額な自費診療であれば、1人1人にゆっくりと時間をかけて施術することが可能となります。また、患者さんの方でもしっかりと診てもらえるという満足感を得られることとなります。

グレードの高い素材が使える

自費診療のメリットとしては、グレードの高い素材が使えるというメリットもあります。特に、前歯の治療をおこなったような場合、グレードの低い保険診療用の素材だと、何年かすると変色したり二次虫歯になったりする可能性が高いです。

審美目的の治療で用いられるグレードの高いセラミックだと、ほかの歯との見分けがつかないくらいのものもあり、さらに虫歯にもなりにくくそのあたりが、保険診療よりも自費診療の優れている点となっています。

審美に優れている

自費診療のメリットとしては、先にも述べたように、グレードの高い素材を用いることで、仕上がりを美しくすることが可能だということがあげられます。

保険診療では使うことのできる素材に限界があるため、仕上がりを重視するというよりは、機能面を重視することとなります。そのため、自費診療ほど美しく仕上げるのが困難となっています。

二次虫歯や歯周病の予防に

自費診療でホワイトニングをおこなったり、歯の治療をおこなったりすることには、虫歯や歯周病を予防するといったメリットもあります。

ホワイトニング先進国のアメリカでは、歯を白くすることや歯並びをキレイにすることがあたり前と考えられています。なぜなら、歯並びが悪いのは貧乏の象徴と考えられているからです。

もう1つ、アメリカは日本のように国民皆保険制ではないという事情もあります。日本では、たとえば歯の治療に3,000円かかったとしても、たいていの場合、自己負担は900円で済みます。

ところが、国民皆保険制でないアメリカの場合、歯の治療に3,000円かかったら、そのまま全額自己負担となってしまうのです。

そのため、歯並びをキレイにすることで歯周病になりにくくし、ホワイトニングをおこなうことで、歯に関心を持ち美しく保つということが重要視されています。

こういった予防効果に関しては、日本でおこなうホワイトニングや歯の治療でも同じことが言えます。また、歯をキレイにしておけば、その状態を保とうと努力することにもつながります。

歯を美しく保つことで健康につながる

両頬をおさえる女性

今回はホワイトニングに保険が利くのかどうかというテーマを通じて、保険診療と自費診療との違いや、日本の保険制度が内包する問題点などについても説明してきました。

ホワイトニングに関しては保険の適用がされないということでしたが、自費診療であってもいったん歯をキレイにしてしまえば、その効果を長持ちさせようとするモチベーションにつながるということが可能です。興味のある方は、かかりつけの歯医者さんに相談してみてくださいね。