脚痩せをするときには運動をしたり食事制限をしたりするのが一般的ですが、可能であれば簡単に脚痩せしたいものですよね。そんなときに便利なアイテムが着圧ソックスです。今回は、着圧ソックスでできる脚痩せと、その限界について解説します。
カモシカのような脚などと言いますが、すらっと長く伸びた脚って魅力的なものですよね。そんな美脚を得るためには脚痩せを実践することとなるのですが、脚痩せをするときに、着圧ソックスというアイテムを使っている人もいるようです。今回の記事では、着圧ソックスの脚痩せ効果や使用上の注意点に迫ってみたいと思います。
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着圧ソックスってなに?
着圧ソックスで脚痩せができるのかどうかについて解説する前に、まずは、着圧ソックスとはどのようなソックスのことを指すのかについて見ていきたいと思います。
着圧ソックスとは?
着圧ソックスは、ふくらはぎや太ももなどの筋肉に「圧」を加えることによって血行を促進し、脚痩せすることを目的としたタイプのソックスのことです。
本来の「ソックス」は短い靴下のことを意味しますが、着圧ソックスの場合、短くてもふくらはぎ全体を覆う、膝下くらいまでの長さがあります。長いものになると、太ももまですっぽりと覆うタイプのものもあります。
着圧ソックスの種類
一口に着圧ソックスと言っても、目的に応じてさまざまなタイプのものがあります。医療機器として用いられるタイプの着圧ソックスは、下肢静脈瘤の改善を目的として用いられることがあります。
下肢静脈瘤を改善するための着圧ソックスは、一般的に売られているものとくらべて、圧が強いという特徴があります。そのため、医師の指導のもとで使用することが重要です。
また、妊娠中の女性は脚にむくみの見られることが多いことから、妊婦さんを対象にした着圧ソックスもあります。もちろん、健康的な人であっても使用することは可能となっています。
ただ、着圧ソックスを利用する人のほとんどが、美容目的で着圧ソックスを購入しているようです。その他にも、いろいろなタイプの着圧ソックスがありますが、その辺りのことは、着圧ソックスを履くことによる効果を知ることで、理解していただけることと思います。
着圧ソックスの効果とは?
着圧ソックスにも、目的に応じていろいろなタイプがあるということでしたが、基本的に得られる効果は同じです。では、着圧ソックスを履くことで、どのような効果が得られるのでしょうか。
脚のむくみ改善
着圧ソックスを履くことによる効果としては、むくみを改善できることがあげられます。着圧ソックスを履くと、筋肉に段階的に圧がかかることとなり、血行が促進されます。
脚がむくむ原因にはいろいろあるのですが、健康的な人に見られる脚のむくみの原因として、血行不良や疲労の蓄積などがあげられます。
特に、女性に多くみられる脚のむくみの場合、筋力が弱いことによって起こっている可能性があります。なぜなら、脚の筋肉には心臓へと血液を送り返す働きもあるからです。
みなさんは「足は第2の心臓」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、脚の筋肉が全身の血液循環に大きく関与していることを示しています。
心臓が全身の各部へと血液を送り出していることはよく知られていますが、心臓には血液を送り出す働きしかありません。そのため、全身の筋肉が収縮することで、心臓へと血液を送り返しているのです。
特に、脚の筋肉は心臓からもっとも遠い場所にあり、しかも重力に逆らって血液を上方へと送り出す必要があります。そのため、筋力が弱いと血液を送り返す力も弱くなり、必然的にむくみやすくなるのです。
また、血液には全身に酸素と栄養を運ぶ働きがあるので、血液循環が悪くなった場所は栄養状態が低下することとなります。脚がつかれてむくんでしまうのは、栄養状態が低下しているからでもあるのです。
着圧ソックスには、脚の筋肉に適度な圧をかけて、血行を促進する働きがあります。それによって、むくみが取れやすくなるという訳なのです。
疲労感の減少
着圧ソックスを履くことによる効果としては、疲労感が減少するということもあげられます。お年寄りなら「ゲートル」と呼ばれる西洋風の脚絆(きゃはん)をご存知の方もいらっしゃることと思います。
一般的には、脚の甲からふくらはぎにかけての下腿部のズボンを覆うものを指します。ブーツのようになっているものもあれば、包帯などで固定するタイプのものもあります。
戦時中の陸軍兵士の写真を見ると、ふくらはぎからかかとの方にかけて、包帯のようなものが巻かれています。それがゲートルです。
陸軍兵士は長距離を行軍する必要があるのですが、ふくらはぎを圧迫しておくことによって疲労感を減少させたり、疲労骨折を防いだりする効果が得られるのです。
そして、着圧ソックスにもゲートルと同様の効果が期待できます。脚が疲れやすい職業の人が履くことによって、脚の疲れを減らすことが可能となります。
病気の予防
着圧ソックスの中には、「一般医療機器」に分類されているものもあります。一般医療機器に認定されるには、厚生労働省の認可が必要となります。
厚生労働省によって認可された一般医療機器は、市販のものとは異なり、その効果や効能を宣伝することが可能となります。では、一般医療機器である着圧ソックスには、どのような効果が期待されているのでしょうか。
一般医療機器に属するタイプの着圧ソックスを見てみると、その効果として脚のむくみの軽減、脚の疲れの軽減、血行の促進などがあげられています。
また、静脈瘤の改善や、血栓ができるのを予防する効果を謳った着圧ソックスもあります。血栓は急性肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミー症候群)の原因ともなるため、着圧ソックスを履くことである種の病気の予防も可能となるわけです。
医療機器に属するタイプの着圧ソックスもいろいろで、ふくらはぎ全体に圧をかけるタイプのものもあれば、ふくらはぎには圧をかけず、つま先の上下動を動かすことによって、ふくらはぎの筋肉を刺激するようなタイプのものもあります。
見た目がキレイに
着圧ソックスを履くことによる視覚的な効果としては、脚のラインがきれいに見えるということもあげられます。普通のストッキングをはいていても、脚をキレイに見せることが可能ですよね。
着圧ソックスの場合は、脚の筋肉に圧をかけることによって、脚を引き締めて見せることが可能となっています。それによって、通常のストッキングよりもさらに脚のラインがきれいに見えるということなのです。
着圧ソックスで脚痩せはできる?
それでは今回のメインテーマでもある、着圧ソックスで脚痩せできるのかどうかについて見ていきたいと思います。
体重は減らない
痩せるということを、体重が減るという意味でとらえるのであれば、着圧ソックスを履くことによって体重を減らすようなことはできません。考えてみれば当たり前のことで、何かを履いただけで体重の減るようなことがあるわけないですよね。
そもそもダイエットとは、世界保健機関(WHO)によると、「健康や美容ために、食事の量をコントロールしたり、食事内容を見直したりすること」と定義されています。
英語のダイエットに「規定食」という意味があるがその定義を裏打ちしています。つまり、ダイエットとは食事にかかわることなのです。
そういった意味では、運動によるダイエットや、ダイエットグッズによるダイエットということ自体が矛盾していることとなります。
ただ、ダイエットをおこなった人に体重減少の見られるケースが多いことから、「ダイエット=痩せる」という意味で用いられるようになってきたようです。いずれにしても、着圧ソックスを履くことで痩せるようなことはありません。
脂肪の燃焼は起こらない
根本的に脚痩せをするためには、脚についてしまった皮下脂肪を落とすことが必要となります。では、着圧ソックスを履くことで皮下脂肪が落ちるかというと、答えは「ノー」です。
血行を促進したときに向上するのは新陳代謝であって、基礎代謝ではありません。そして、脂肪の燃焼に必要なのは、基礎代謝が向上することです。
新陳代謝機能が高まることによって、お肌や髪の毛をきれいに保つようなことは可能ですが、脂肪の燃焼がおこることはないので、根本的に脚痩せをすることはできません。
見た目痩せは可能
着圧ソックスを履くことで、見た目痩せの効果を得ることは可能です。着圧ソックスには、段階的に圧をかけるような商品もあり、上手に利用することで脚を細く見せることができます。
着圧ソックスがおススメなのはこんな人
着圧ソックスには、血行を促進したり、疲労を緩和したりする働きがあるということでした。その特徴から、以下のような人に、着圧ソックスはおススメとなっています。
デスクワークの人
最近はパソコン仕事が増えているため、長時間にわたってデスクワークをする人も増えてきています。デスクワークをする際には、脚の筋肉を使うことがほとんどありません。
夕方になると脚がむくむというデスクワークの方も多いのではないでしょうか。そのような人にとって、着圧ソックスはおススメです。むくみを抑えて、血液を心臓へ送り返す手助けとなってくれます。
立ちっぱなしの人
着圧ソックスがおススメの人としては、立ちっぱなしの仕事をしている人もあげられます。立っている上に歩き回るのならともかく、あまり歩かないような立ち仕事の人の場合、やはり血行が悪くなってしまいがちです。
妊婦さん
脚のむくみやすい妊婦さんにも、着圧ソックスがおススメです。妊婦さん専用の着圧ソックスもあるので、注意書きをしっかりと読んだうえで利用するとよいでしょう。
冷え症の人
冷え症の人にとっても、着圧ソックスはおススメできます。特に、一般医療機器に認定されている着圧ソックスで、ふくらはぎを圧迫しないタイプの着圧ソックスをおススメします。
ふくらはぎを圧迫したいタイプの着圧ソックスは、つま先を上手に使えるように圧をかけてくれるので、ふくらはぎを自発的に刺激することが可能となります。
つまり、着圧ソックスを履くことで血行を促進するのではなく、自分の力でふくらはぎの筋肉を動かし、血行を促進できるようになるのです。その方が、冷え症の根本的な解決につながります。
長時間乗り物で移動する人
先ほどエコノミー症候群について少し触れましたが、最近ではエコノミークラスではなく、ビジネスクラスや長距離の車での移動でも、肺血栓塞栓症の見られることが分かってきています。
そのため、医学的にはエコノミークラス症候群ではなく、旅行者血栓症と呼ばれるようになってきています。長い時間、乗り物で移動するような場合、着圧ソックスを履くことで血栓症を予防することが可能となります。
着圧ソックスを履く場合の注意点
着圧ソックスにはいろいろな種類があるので、履くにあたっていくつか気をつけなければならないことがあります。代表的なものをいくつか紹介したいと思います。
説明書通りに使用する
着圧ソックスは、曲がりなりにも身体を圧迫するものですから、説明書をしっかりと読んで、説明書通りに使用することが重要です。
特に、一般医療機器に属する着圧ソックスは、一般的な着圧ソックスよりも圧の強いことがあります。ちゃんと使用しないと、効果が得られないだけでなく、何らかの不都合が生じる可能性もあります。
肌に異変が現れたら使用を中止する
着圧ソックスは、一般的に肌に優しいものが多いのですが、それでも肌質によっては、着圧ソックスを履くことでかぶれなどの現れる可能性がなくはありません。着圧ソックスによって肌に異変が生じたら、すぐに着用をやめるようにしましょう。
履く時間帯に気をつける
着圧ソックスは、基本的に1日中履き続けるといった類のものではありません。寝ているときに履くタイプの着圧ソックスもあれば、日中に履くタイプの着圧ソックスもあります。やはり、使用上の注意をよく読んで、目的に応じた時間帯に着用しましょう。
着圧ソックスでむくみ改善
着圧ソックスでおこなう脚痩せについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。履いただけでみるみる痩せるといった類のものではありませんが、むくみを解消するには効果的であることが分かって頂けたことと思います。
また、冷え症の改善効果や疲労回復効果もあるので、足が疲れやすい人や冷え症の人に着圧ソックスはおススメです。もちろん、履くことによって脚のラインをキレイに見せられるというメリットもありますよ。