股関節が開くとは?骨盤ダイエットのウソ!ホント?

インターネット上のダイエット記事などを見ていると、股関節が開くことが骨盤の開きにつながり、それが原因で太ってしまうなどと書かれていることがあります。一方、運動系の記事などでは、股関節が開くと怪我のリスクが低下するので、股関節を開くストレッチが推奨されるケースもあります。一体、どちらを信じればよいのでしょう。

「股関節が開く」などと言われることがありますが、これには大きく分けて2つの意味があるようです。そのため、股関節が開くことについて「良い」とされる見解と「悪い」とされる見解と、まったく正反対の解釈がなされる事があります。今回は、股関節が開くことの意味と、そこから派生する骨盤ダイエットの問題について見ていきたいと思います。

股関節が開くとはどういうこと?

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「股関節が開く」という場合、大きく分けて2つの意味があるようです。1つは、足を大きく開くことができるという意味で、もう1つは、股関節が外旋しているという意味です。では、それぞれについて見ていきましょう。

開脚ができるという意味

股関節が開くといった場合、一般的には足を大きく開くこと(開脚)が可能である、という意味で捉えられることが多いのではないでしょうか。最近はひそかな開脚ブームで、開脚の女王なる人も現れています。

股関節が外旋しているという意味

股関節が開くというときに、整体院やカイロプラクティックなどでは、股関節が外旋している(外側に回旋している)状態を指すケースもあります。そこから骨盤のゆがみの説明につなげる訳です。

股関節を開く方法

浜辺 おんな

まずは、一般的に股関節が開くといわれる場合の、開脚について見ていきたいと思います。開脚ができるようになるには、どのようなことをおこなうとよいのでしょうか。

ハムストリングスのストレッチ

ハムストリングスは、太ももの裏側にある筋肉で、大腿二頭筋と半腱様筋、半膜様筋によって構成されています。ハムストリングスが固いかどうかは、立位体前屈で分かります。

立った状態から腰を曲げ、手の指先で床を触るようにします。その際、膝は曲げないようにしましょう。両手がべったりと付くようであれば、ハムストリングスの筋肉が柔軟だといえます。

両手の指先がなんとか付くようであれば、まずまず普通といったところでしょう。まったく届かなかったり、床からだいぶ離れていたりするような場合、かなりハムストリングスが固いといえそうです。

ハムストリングスが固いと、骨盤の前傾・後傾のかかわりも考えられますが、長座(両足を前に投げ出して座ること)をすることが困難となります。これでは開脚どころの騒ぎではありません。なぜなら、開脚は長座をした状態から、両足を真横に開くことを意味するのですから。

ハムストリングスのストレッチ方はいくつかあります。最も簡単な方法は、長座をした状態から両手で足のつま先をつかむように、上体を折り曲げるというやり方です。

ただ、ハムストリングスが固いと、このようなストレッチが困難だと思います。そのような人は、タオルやゴムバンドを用意しましょう。

仰向けに寝た状態で片足を上にあげ、タオルやゴムバンドを足の裏に引っ掛けます。両手でタオルやゴムバンドを引っ張りながら、足を真上にあげてハムストリングスを気持ちよく伸ばしましょう。

また、立った状態でハムストリングスのストレッチをおこなう方法もあります。家でやる場合には、椅子やベッドの前に立って、かかとを椅子やベッドに乗せます。その状態から、反対側の膝を曲げていきましょう。

内転筋のストレッチ

内転筋は、太ももの内側にある筋肉のことを言います。この筋肉が硬いと、長座の状態から左右に足を開いていくことができません。

内転筋をストレッチする簡単な方法は、ハムストリングスのストレッチを応用しておこないます。ハムストリングスのストレッチに関して、最後に紹介したストレッチをアレンジします。

まずは右足の内転筋からストレッチしていきます。椅子やベッドに右足のかかとを乗せたら、そのまま親指側をベッタリと椅子やベッドに倒します。その際、身体は90度左を向きます。

その状態から、左足の膝をゆっくりと曲げていきましょう。太ももの内側に突っ張るような感じがしたら、上手にストレッチできている証拠です。反対側も同様におこないましょう。

合蹠のポーズ

股関節を開くためには、ヨガでおこなわれ合蹠(がっせき)のポーズも効果的です。床に体育座りをした状態から、両足の裏をくっつけます。次に、くっつけた両足を身体の方へと引きつけます。

背筋は丸まらないように、ピンと伸ばすようにしましょう。そして、背筋を伸ばしたまま、上体を前に倒していきましょう。可能であれば両手を前にのばして床につき、さらに上体を倒しましょう。

股関節を開くメリット

自宅 柔軟

股関節を開いて、開脚できるようになる方法については分かって頂けたと思いますが、では、股関節を開くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

怪我のリスクが減少する

股関節が開く最大のメリットとして、怪我のリスクが減少するということがあげられます。プロスポーツ選手でも、長く活躍する選手は、股関節の柔軟性を重視しています。

股関節は肩関節と並び、人体の中でもっとも可動域の広い関節の1つです。動かせる範囲が広いため、さまざまな動作をおこなうことが可能であり、また衝撃から関節を守ってくれているのです。

ところが、股関節周りの筋肉が緊張して硬くなると、ふとした動作で筋線維が断裂しやすくなります。筋線維の断裂などというと大げさに聞こえるかもしれませんが、筋肉痛も筋線維の断裂によって起こります。

股関節周囲の筋肉を普段から柔らかくしておくことで、怪我のリスクを下げることが可能となります。いったん股関節を痛めてしまうと、治るまでに時間がかかってしまいます。

それに関しては、同じように可動域の広い肩関節についても同じことが言えます。四十肩や五十肩といわれる症状は、1年続くこともざらです。

脚のラインが美しくなる

股関節を開いて柔らかくすると、脚のラインが美しくなるというメリットもあります。柔軟性があることで、筋肉が本来の可動域を取り戻すことで、筋肉の隆起を美しく見せることができます。

また、股関節のストレッチをおこなうことによって、姿勢の改善も可能となります。後ほど詳しく説明しますが、股関節に付着している筋肉が緊張すると、O脚になるリスクが高まります。

O脚の原因となる筋肉をストレッチングすることによって、O脚を改善して、キレイな脚のラインを手に入れることが可能となるのです。

股関節が外旋するとは?

ふくらはぎ

ここまで、股関節を柔軟にするという意味での股関節の開きについて見てきました。次に、股関節が外旋するという意味での股関節の開きについて解説したいと思います。

股関節が外側に回旋すること

股関節が開くといった場合のもう一つの意味が、股関節の外旋です。股関節の外旋とは、股関節が外側に開くことを言います。右足なら時計回りに、左足なら反時計回りにといった具合です。

原因

先ほど、股関節に付着している筋肉が緊張することで、O脚になるリスクが上昇すると述べました。その筋肉とは、腰の骨と股関節とをおなか側で結んでいる大腰筋という筋肉です。

大腰筋が緊張して収縮すると、大腿骨の小転子を引っ張ることとなります。それによって、股関節が外側へ開いてしまうのです。その結果、O脚気味になってくるという訳です。

大腰筋が緊張する原因としては、長時間の同一姿勢があげられます。特に、デスクワークなどで猫背の姿勢になってしまうと、大腰筋が緊張しやすくなってしまいます。

股関節の外旋を直す方法

股関節の外旋を直すためには、ストレッチや筋トレをおこなうのが効果的です。いったんO脚になってしまうとなかなか元戻らないので、「あれ、ちょっとO脚気味になってきた?」という場合、早めに対処してくださいね。

まずは、大腰筋のストレッチからです。大腰筋が緊張してしまうと、股関節が外旋し、結果としてO脚気味になってしまうので、普段からよくストレッチングしておきましょう。

立っておこなう場合、両足を前後に開いて、上体をゆっくりとしたに下げていきます。前になった足の膝が90度、後ろになった足の膝が135度の位置で停止し、30秒ほどそのままの姿勢でいます。

慣れないうちはフラフラすることがあると思いますので、壁に手を当てながらおこなうなどするとよいでしょう。また、上体を下げるときには、まっすぐ下げるようにし、背中が丸くならないように気をつけてくださいね。

大腰筋のストレッチをおこなうことによって、股関節の外旋を予防できるだけでなく、姿勢の改善効果や、重心バランスの安定効果も得られます。普段から猫背が気になっているような方におススメのストレッチです。

大腰筋のストレッチは寝た状態でおこなうことも可能です。長座の状態(両足をのばし、投げ出したような座り方)から片方の膝を曲げ、お尻の横に足が来るようにします。

そのまま後ろに倒れて背中を床につけましょう。このストレッチをおこなうと、大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)と、大腰筋を同時にストレッチングすることが可能です。

身体が硬くてしんどいような場合は、両手を後ろについて少しずつ上体を後ろに傾けていきましょう。左右交互に30秒ずつ、3セットほどおこなうとよいでしょう。

股関節の外旋を改善するには、筋トレをおこなうという手もあります。仰向けに寝た状態で膝を少し開き。そこにクッションやゴムボールを挟みます。

O脚の人は内転筋が弱くなっているので、はさんだクッションやゴムボールを両膝でつぶすようなイメージで挟みましょう。筋肉痛にならない程度におこなってくださいね。

骨盤ダイエットのウソ!ホント?

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股関節が開くことについて調べていると、骨盤ダイエットとか骨盤のゆがみといった記事にぶつかることがあります。ただ、医学的に見ておかしなものも多いので、気をつけてくださいね。

骨盤はゆがまない

骨盤ダイエットや骨盤矯正をおこなっている治療院はたくさんありますが、その前提として「骨盤がゆがんでいる」必要があるわけです。

ところが、医学的に見て骨盤がゆがむようなことはあり得ないのです。ウソだと思うなら、かかりつけのお医者さんに聞いてみましょう。鼻で笑われるか、人によっては怒り出すかもしれません。

骨盤を構成する骨は、それぞれが靭帯で強固に結合されており、よほどの外力(交通事故や高い場所からの転落など)が働かない限り、ゆがむようなことはないのです。

考えてみれば当然のことで、上半身と下半身とを結ぶ重要な場所にある骨が、何cmもゆがむわけがありませんよね。そんなにゆがんでしまったら、歩くこともままならなくなります。

骨盤のゆがみが原因で太ることはない

骨盤ダイエットや骨盤矯正をおこなっている治療院では、骨盤のゆがみによって代謝が低下したり血行が悪くなったりすることで、太りやすくなるなどといった説明がされます。

確かに筋肉の緊張によって骨盤が傾くことはあります。主に後ろに傾くケースが多いのですが、簡単に言うと猫背の姿勢がそれに当たります。

ただ、骨盤が傾くことと骨盤がゆがむこととは別物です。例えるなら、骨盤の傾きとは手に持ったお茶碗を傾けるようなものです。お茶碗自体がゆがむ訳ではありません。

それはともかく、骨盤の傾きが筋緊張によってもたらされるのであれば、確かに血行は悪くなります。ただ、「血行が悪くなる→脂肪がつきやすくなる」というのは論理が飛躍しすぎです。

なぜ血行が悪くなれば脂肪がつきやすくなるのか、その辺を医学的に説明しているような治療院は見当たらないようです。なぜなら、医学的根拠がないからです。

また、骨盤がゆがむと代謝が低下するというのも謎の理論です。百歩譲って代謝が低下するとしても、それは血行不良による新陳代謝の低下でしかありません。

太ってしまう本当の原因

太ってしまう本当の原因は、運動不足や糖質の摂り過ぎなどによる体脂肪率の増加です。骨盤矯正をして姿勢を改善することは可能ですが、体脂肪を燃焼させるようなことはできません。骨盤の傾斜を改善したい場合は、膝より股関節が深くなるスクワットか、ヒップスラストのような筋トレによって大殿筋を鍛えることで自動補正の働きをうながすことができます。

根本的に痩せたいのであれば、有酸素運動をしたり、筋トレをしたり、食事制限をしたりすることが重要です。楽して痩せられるような方法は、残念ながらないということですね。

普段から股関節の柔軟にする意識をしましょう

今回の記事では、股関節が開くことの2つの意味と、股関節を柔軟にする方法、またそのメリットについて解説しました。股関節が固いと怪我のリスクが上昇しますし、O脚になる可能性もあります。

普段から少しずつでも構わないので、股関節周囲の筋肉をストレッチして、美脚を保つように心がけてくださいね。